ベトナムと沖縄。
一人の報道写真家を通して、よくつなげたと思う。
**************************
「石川文洋を旅する」71点★★★★
**************************
1938年に沖縄に生まれ、
1964年から戦場カメラマンとしてベトナム戦争を撮り
いまも沖縄の基地問題などを撮り続けている
写真家・石川文洋氏のドキュメンタリーです。
拙著『“ツウ”が語る映画この一本』で
ベトナム戦争のドキュメンタリー映画「ハーツ アンド マインズ」を語っていただくなど
個人的にも大変にお世話になっている方なので
より親近感もあったんですが
客観的に見ても
なかなかよくできた映画だと思います。
著書『写真記録 ベトナム戦争』を紐解きながら
自身が当時を振り返り、いまの思いへつなぐという作りで
冒頭、講演会での映像に「プッ」と笑っちゃうように
文洋さんのおだやかで温かい人柄を写しつつ、
その奥にあるもの、
突き動かしている原動力のようなものも
しっかり描き出している。
長野県諏訪市の自宅で
戦場のすさまじさと
サイゴンの下宿での悶々とした日々を語り
米軍に侵略されるベトナムを
米軍側に同行して撮ったことのジレンマや
傍観者であるカメラマンの宿命を率直に語り
出身地である沖縄戦の悲劇と
さらに今なお続く、沖縄の問題へとつなげていくんです。
重いテーマではありますが
いやいや
文洋さんの笑顔と、柔らかい語り口につられて
スーッと、見られるから不思議。
改めて歴史の勉強になるし
なにより75歳のいまも
エネルギッシュに撮影を続けるその姿に
「人に与えられた“使命”とは」を考えずにいられません。
ワシもがんばらねば、うん。
★6/21(土)からポレポレ東中野、沖縄・桜坂劇場ほか全国順次公開。
「石川文洋を旅する」公式サイト