ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

私の男

2014-06-10 22:27:05 | わ行

二階堂ふみ氏が素晴らしい。
ホント素晴らしい。


「私の男」67点★★★☆


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流氷のやってくる北海道・紋別。

10歳で家族を失った花(二階堂ふみ)は
遠い親戚と名乗る淳悟(浅野忠信)に引き取られ
一緒に暮らすことになる。

寄り添うように暮らす二人の関係は
次第に濃密になってゆく。

そして
二人を見守る遠縁の大塩(藤竜也)は
高校生になった花と淳悟の
ただならぬ関係に気づくが――?!

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「海炭市叙景」「夏の終り」の熊切和嘉監督が
桜庭一樹氏の直木賞受賞作を映画化。

いや~けっこう
濃密で濃厚な映画です。

なんたって
二階堂ふみ氏が素晴らしい。

愛に飢えるがゆえに
不遜さ、残酷さを併せ持つ少女を

甘く柔らかそうな肉体を伴って
ガッツリと表現しているのが素晴らしい。

ゆえに
父親代わりの浅野忠信氏との
インモラルな愛にも、真実みがあります。

制服姿の彼女と浅野氏の濡れ場、
けっこうキュンとしましたよ。


冒頭の海岸シーンから、
ただ事ではなさが広がり、

大規模な仕掛けをせずとも
スケールの大きさを感じさせることにも成功してる。

こっちのチラシのほうが
イメージジャストですね。


夕方に流れるチャイム音楽や
花の得意技など、
すべていびつな「子ども」を示唆しているのだなと思います。


なのにこの点数なのは
残念ながら
始めよく、終わりがすぼむパターンだったこと。

冒頭の殺人の切なる必然性に比べて
その後の展開が、もうひとつ迫ってこないんですね。


なにより
ベースの話がおもしろいだけに
破滅的な展開の合間が、サッサと端折られるのが、気になる。

気になる!

熊切監督は、ホントにこういう端折り感があるんですよねえ。
でも「夏の終り」の脚本家・宇治田隆史とのコンビでもあるので
このコンビの機能なのかもしれない。

うまく機能すればOKなんだけど、どうも気になる。

イメージとして血の雨が降ったりする演出も
好き嫌いが分かれるかもしれません。

「夏の終り」より30倍いいっすけどね。


★6/14(土)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「私の男」公式サイト
コメント (2)
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