ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

エレニの帰郷

2014-01-24 00:44:55 | あ行

ブルーノ・ガンツが出てる。
久しぶり、久しぶり!(喜)


「エレニの帰郷」69点★★★☆


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20世紀末の現在。

映画監督の“A”(ウィレム・デフォー)は
両親の人生を題材に映画を撮っている。

母親エレニ(イレーヌ・ジャコブ)と
恋人スピロス(ミシェル・ピコリ)、
そしてエレニを支え続けたヤコブ(ブルーノ・ガンツ)。

歴史に翻弄された男女の物語だ。

だが製作は思うように進まず
しかも現在、“A”自身も問題を抱えていた…。

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2012年に事故で急逝した
テオ・アンゲロプロス監督(享年76歳)の作品。

「エレニの旅」(04年)に続く
20世紀を描いた三部作の二作目ですが、

続編というわけではなく独立した作品なので、
単体で見ても大丈夫です。

でも三作目の途中で亡くなったので
これが遺作となってしまったんですねえ。


ストーリーは
主人公の映画監督“A”(ウィレム・デフォー)が
自身の母エレニを映画にしようとし、

そこに両親の実際の物語、“A”の現在が交互に描かれ、
やがて入り交じり、不思議な融合を果たしていく……というもの。

時代も交錯するし、
また歴史事件や背景や“知ってて当然”の感ありで
すんなりと見るには及ばないところがありますが、

やはり映像が圧巻。

どこだかまったくわからないけれど
雪の平原にぽつんと1両編成の電車がやってくるシーン

放送を聞くために
大勢の人々が集まってくる広場のシーン、

数奇な運命を経て3人が再会する駅のシーン……。


磨き抜かれ、完璧に統率された“芸術”ですね。


あまり考え込まずにまずは浸り、
感じるのもいいかもしれません。

で、あとからゆっくり考える、という。


★1/25(土)から公開。

「エレニの帰郷」公式サイト
コメント
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