いま日本映画では
妻夫木聡氏が、安定品質表示(笑)
「小さいおうち」73点★★★★
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現代。
健史(妻夫木聡)と仲の良かった
伯母のタキ(倍賞千恵子)が亡くなった。
タキは健史のすすめで、
自分の人生を大学ノートに綴っていた。
健史は遺品を整理しながら
ノートを読み始める。
昭和初期、山形から東京郊外の
ある若夫婦の家に奉公したタキ(黒木華)。
優しい奥様(松たか子)がいる
その小さなおうちでは
だが静かに、ある出来事が起こっていた――。
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2010年の直木賞受賞作
中島京子氏の『小さいおうち』を、山田洋次監督が映画化。
現代を生きる妻夫木氏が
昭和10年代に乙女時代を送った伯母の人生を明かしていくという構成で
「東京家族」に続く家族の物語ながら
こちらはちょっとミステリアス。
昭和モダンなムードも好みでしたが
今回は完全に役者の好みが
自分にマッチした気がいたします。
松たか子氏のはつらつとして
そして物語上、重要な“艶っぽさ”を持つ奥様が
いやらしくならずに、うまくハマってたし
吉岡秀隆氏がなんだか久しぶりに
“モテ役”というか(笑)
二人の道ならぬ恋も、
分別ある(ありすぎる?笑)優良描写によって
余計に切なさが駆り立てられるしねー。
実際のところ
滑り出しは少々眠かったのだけど、
川筋を束ね、大きな流れにしてゆく巨匠の技にすっかりハマりました。
なにより
タキの綴る昭和初期~開戦までの時代、
不穏な戦争時代へとゆるゆると進みゆく“前夜”の空気が
なんだか、まるきりいまの世の中を映しているようで
すうっと背筋に冷たいものが。
いまこれを、伝えたいのだな、という
監督の思いをしかと受け取りました。
「東京家族」に出演した山田組役者たちが
ほぼ全員出てるのでは?というほどの豪華っぷりだし。
なかでも和風しょうゆ系昭和顔の黒木華が
戦争と現代をつなぐ、良き媒介者となってました。
★1/25から全国で公開。
「小さいおうち」公式サイト