ユングとフロイトの違いが
「ふうん」とわかりました。なーる。
「危険なメソッド」69点★★★☆
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1904年、スイス。
若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は
18歳のザビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ)という患者を担当する。
フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)の理論に刺激を受けていたユングは
彼が提唱する“談話療法”を
ザビーナに試すことに。
そして、ザビーナは誰にもさらすことのなかった
心の奥底をユングにさらし、
ユングはそんなザビーナに
特別な感情を抱いていく。
やがて二人は
超えてはいけない一線を越えることになり――?!
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デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作。
ユング、フロイト、そしてユングの患者であり愛人であり、
のちに精神科医となった女性、
ザビーナ・シュピールラインの史実に基づく物語です。
シュピールラインという人は
相当にユングに、そしてフロイトにも
インスピレーションを与えた女性だったらしいんですが
1980年代まで、その存在は葬られていたそう。
なもんで
今回、いろいろ勉強になりました。
パキッとした色調、カリッとした構図、
倒錯する愛や、フロイト役のヴィゴ・モーテンセンの苦みなど
映像トーンはいたって気持ちよく“クローネンバーグ”だけど
キツい描写などはなく、かなり正調といえます。
ザビーナ役のキーラ・ナイトレイが
独白しながら変貌する様子を正面から映すシーンなど
かなり挑戦的でいいし、
質問に直感的に答えることで深層心理を暴くという
「言語連想テスト」のシーンは
すごいおもしろかった。
フロイトの説を「何でも性衝動に結びつける」と
ユングがプンプンするシーンに、
「あー、やっぱり当時からそう思われてた?」とか(笑)
ユダヤ人だったフロイトの葛藤など
「へえ」がいっぱいでした。
フロイトとあの音楽家マーラーの話
「マーラー・君に捧げるアダージョ」を
裏付けるようなところがあって、おもしろかった。
ただ中盤までは集中できたんですけど、
フロイトとの決別あたりから失速するのが残念。
20世紀の偉大な心理学者であるユング先生ですが
高尚な研究といいながら
やってることは単なる不倫なわけで(失笑)
結局、自分の良心と倫理にがんじがらめになる様子は
いつの世も変わらない“人間らしさ”であり
悲哀、にも見える。
まあ、それがなかったら
彼はここまでに到達しなかったかもしれないし。
人間って単純なのか
複雑なのか、やっぱりわかんねー(笑)
★10/27(土)から全国で公開。
「危険なメソッド」公式サイト