ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

危険なメソッド

2012-10-25 23:32:01 | か行

ユングとフロイトの違いが
「ふうん」とわかりました。なーる。

「危険なメソッド」69点★★★☆

**************************

1904年、スイス。

若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は
18歳のザビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ)という患者を担当する。

フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)の理論に刺激を受けていたユングは
彼が提唱する“談話療法”を
ザビーナに試すことに。

そして、ザビーナは誰にもさらすことのなかった
心の奥底をユングにさらし、

ユングはそんなザビーナに
特別な感情を抱いていく。

やがて二人は
超えてはいけない一線を越えることになり――?!

**************************


デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作。

ユング、フロイト、そしてユングの患者であり愛人であり、
のちに精神科医となった女性、
ザビーナ・シュピールラインの史実に基づく物語です。

シュピールラインという人は
相当にユングに、そしてフロイトにも
インスピレーションを与えた女性だったらしいんですが

1980年代まで、その存在は葬られていたそう。

なもんで
今回、いろいろ勉強になりました。


パキッとした色調、カリッとした構図、
倒錯する愛や、フロイト役のヴィゴ・モーテンセンの苦みなど

映像トーンはいたって気持ちよく“クローネンバーグ”だけど
キツい描写などはなく、かなり正調といえます。


ザビーナ役のキーラ・ナイトレイが
独白しながら変貌する様子を正面から映すシーンなど
かなり挑戦的でいいし、

質問に直感的に答えることで深層心理を暴くという
「言語連想テスト」のシーンは
すごいおもしろかった。


フロイトの説を「何でも性衝動に結びつける」と
ユングがプンプンするシーンに、
「あー、やっぱり当時からそう思われてた?」とか(笑)

ユダヤ人だったフロイトの葛藤など
「へえ」がいっぱいでした。

フロイトとあの音楽家マーラーの話
「マーラー・君に捧げるアダージョ」
裏付けるようなところがあって、おもしろかった。


ただ中盤までは集中できたんですけど、
フロイトとの決別あたりから失速するのが残念。


20世紀の偉大な心理学者であるユング先生ですが
高尚な研究といいながら
やってることは単なる不倫なわけで(失笑)


結局、自分の良心と倫理にがんじがらめになる様子は
いつの世も変わらない“人間らしさ”であり
悲哀、にも見える。

まあ、それがなかったら
彼はここまでに到達しなかったかもしれないし。

人間って単純なのか
複雑なのか、やっぱりわかんねー(笑)


★10/27(土)から全国で公開。

「危険なメソッド」公式サイト

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4 コメント

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Unknown (ぷっちん)
2012-10-26 21:52:28
ゾクゾクするほど観たい映画。
でも、動悸は不純でして、
ヴィゴ・モーテンセンは、不動の恋する俳優1位でして、
渋い演技が観たい!!

当分、我が町仙台にはやってこないようですが、
愚痴をこぼすようですが、
仙台は人口110万都市なのに、
上映順番的には、東京から東北を飛ばして北海道に行っちゃうことが多いです。
東京の方が羨ましい!!
返信する
順次は嫌! (空気人形)
2012-10-26 22:27:53
 順次公開って嫌ですね~。
でも単館系はスクリーンの数が足らないですから私んとこなんて、普通に来ない。
2~3月遅れはあたりまえ。
でも、ぷっちんさん、仙台の上映予定空白ですよ!
返信する
Unknown (ぷっちん)
2012-10-27 05:41:29
おはようございます。

公式サイトでは、東北の上映予定はなかったのに、
11月下旬にミニシアターでやってくれるようです。
返信する
順次公開・・・ (ぽつお番長)
2012-10-27 23:20:08

なにをもって“主要都市”?と
考えちゃいますよね~

でも
ぷっちんさん、公開されてよかった!
仙台は映画都市ってイメージありますけどねー。
伊坂幸太郎作品の舞台になるから?

空気人形さん
情報交換、助かります。ありがとうございます(笑)
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