いつもながらの「今更ながら」ですが、世界陸上です。
衆議院選挙が強烈過ぎて、世界陸上なんて遠い過去の出来事のように感じます。私自身の記憶や感動もややぼやけてしまいましたが、よろしければ、お付き合いください。
★短距離編
やはり何といっても、ウサイン ボルトでしょう。別次元の走りでした。9秒58!
タイソン ゲイの9秒71もすごいタイムなのですが、それを全く問題にしないような走りでした。3位のアサファ パウエルはさらに離された感がありましたが、9秒84は立派なタイムです。やはり、この3人が抜きんでているようです。
ゲイが完調でなかったのが残念です。とくに、スタートに影響が出たようです。予選でも、スタート直後は、他のランナーに後れをとっていました。後半の伸びは、他のランナー(ボルトを除く)を寄せつけないものがありました。
もちろん、他の有力ランナーは競うように力を抜いて、余裕を見せようとしていました。しかし、それを差し引いても、ゲイの後半の伸びは良かったです。ただ、ゲイは後半もほとんど力を抜かずに走っていたのは、全力投入の精神ではなく、走りにブレーキをかけると、かえって足の故障に響くからなのでしょう。完調のもと、二人の競り合いを見たかったです。
決勝も驚きましたが、準決勝も度肝を抜かれました。ボルトは50m過ぎから、力を抜き始め、75mぐらいからは、完全にリラックスして走っています。それでも、他のランナーが離れていきます。準決勝なので、他のランナーが力を抜いているようには見えません(2位のベイリーは多少、力を抜いていましたが)。
その走りで、タイムは9秒89!。
日本記録は伊東浩司氏が1998年に出した10秒00。朝原宣治氏は10秒02、現エースの塚原直貴氏は10秒09。
つまり、ボルトは鼻歌混じりに走って、日本の歴代エースたちが、一生懸命走りベストの走りをしても、ボルトに全く追いつけないことになります。
この時点で、決勝でボルトが全力で走れば、世界記録の更新は間違いないように思いました。
ただ、8割の力で走れば、スピードも8割になるかというと、そうではありません。また、速く走ろうと、必死に走れば一番いいタイムが出るかというと、そう単純なものでもありません。たとえば、9割の力で10秒で走った(秒速10m)として、100%で走れば9秒という計算ができますが、実際にはそうはなりません。
速く走ろうという意識が強いと、余分な力が入って、フォームも硬くなり、筋肉の力がスムーズに推進力に転化しません。力まず、それでいて、筋肉を無駄なくスムーズに動かす、これができたとき、最高の走りとなり、最速タイムが出るのです。
だから、流して9割で走っても、力みがないので9割5分ぐらいのピードが出てると考えます。
準決勝の後半、かなり流して走って(見た感じ9割強)9秒89なので、全力で走れば単純に1割弱タイムが縮まって、9秒3ぐらいは簡単に出そうな気がしますが、そう単純なものではありません。
それはさておき、今回のボルトの次元の違う走りは、そんなクドクドした理屈を吹き飛ばすものだったと思います。今回は、苦手と思われていたスタートも克服してきて、トップクラスの反応速度でした。
さて、北京五輪のジャマイカの強さを見せつけられた日本のコーチが、その秘密を探ろうと、ジャマイカの練習を視察に行ったそうです。しかし、そこで見た風景は、20~30年前の日本と変わらない練習風景だったそうです。ただ走るだけ、しかも、グラウンドやシューズなど練習環境もよくないそうです。肩透かしを食った気分だったそうです。
特筆すべきは、ジャマイカの陸連の取り組み方。短距離だけしか力を入れておらず、長距離は見向きもしないそうです。とにかく、素質あるものを見出し、集め、切磋琢磨させる。それだけです。
ただ、そんな中にも、短距離の理論があるそうで、それは、鍛えれば、ピッチは速くなる。しかし、それには限界があって、人類には一定の壁がある。実際、ボルトとゲイのピッチ数は同じだそうです。つまり、ストライドの差=速さの差なのです。このストライドが素質と考えるそうです。なので、ジャマイカの男子選手はみな大きいそうです。
さて、日本選手についてですが、ほとんどの選手が自己新どころか、シーズンベストにも及ばないタイムでした。
何が原因か?
①日本選手権が調子のピークで下降線だったり、故障した
②大舞台で、力が発揮できなかった
大まかに言うと、この二つだと思っていました。
①の場合は、なかなか、そういう情報は表に出しませんから、前日や当日にならないとわからないという場合もよくあります。
調子がいいという場合、特に、予選は割と余裕を持って通過して、インタビューでも、かなり手ごたえの良いような言葉を発していても、2次予選、準決勝の方がタイムが悪いことがよくあります。
これは、緊張や興奮で、精神的にも肉体的にも消耗してしまったのではないかと考えていました。夏の暑さ、国外のレースという要素もありますし。
しかし、原因はそれだけではないようです。
2次予選、あるいは、準決勝になると、周りが速くなります。自分はベストの走りをしているのに、周りに前を走られる。「おかしい」「こんなはずでは」とか「もっと速く走らないと」と力みが出て、走りが硬くなります。
国内レースではこういう経験はありません。海外のレースを経験しているとは思いますが、慣れていないのでしょうか?とにかく、そういった状況でも走りが硬くならないメンタル的なトレーニングを重視すべきだと思いました。
日本人にとって短距離は厳しい種目です。が、せめて、自己ベスト、シーズンベストに近いような悔いのないレースをしてほしいです。
衆議院選挙が強烈過ぎて、世界陸上なんて遠い過去の出来事のように感じます。私自身の記憶や感動もややぼやけてしまいましたが、よろしければ、お付き合いください。
★短距離編
やはり何といっても、ウサイン ボルトでしょう。別次元の走りでした。9秒58!
タイソン ゲイの9秒71もすごいタイムなのですが、それを全く問題にしないような走りでした。3位のアサファ パウエルはさらに離された感がありましたが、9秒84は立派なタイムです。やはり、この3人が抜きんでているようです。
ゲイが完調でなかったのが残念です。とくに、スタートに影響が出たようです。予選でも、スタート直後は、他のランナーに後れをとっていました。後半の伸びは、他のランナー(ボルトを除く)を寄せつけないものがありました。
もちろん、他の有力ランナーは競うように力を抜いて、余裕を見せようとしていました。しかし、それを差し引いても、ゲイの後半の伸びは良かったです。ただ、ゲイは後半もほとんど力を抜かずに走っていたのは、全力投入の精神ではなく、走りにブレーキをかけると、かえって足の故障に響くからなのでしょう。完調のもと、二人の競り合いを見たかったです。
決勝も驚きましたが、準決勝も度肝を抜かれました。ボルトは50m過ぎから、力を抜き始め、75mぐらいからは、完全にリラックスして走っています。それでも、他のランナーが離れていきます。準決勝なので、他のランナーが力を抜いているようには見えません(2位のベイリーは多少、力を抜いていましたが)。
その走りで、タイムは9秒89!。
日本記録は伊東浩司氏が1998年に出した10秒00。朝原宣治氏は10秒02、現エースの塚原直貴氏は10秒09。
つまり、ボルトは鼻歌混じりに走って、日本の歴代エースたちが、一生懸命走りベストの走りをしても、ボルトに全く追いつけないことになります。
この時点で、決勝でボルトが全力で走れば、世界記録の更新は間違いないように思いました。
ただ、8割の力で走れば、スピードも8割になるかというと、そうではありません。また、速く走ろうと、必死に走れば一番いいタイムが出るかというと、そう単純なものでもありません。たとえば、9割の力で10秒で走った(秒速10m)として、100%で走れば9秒という計算ができますが、実際にはそうはなりません。
速く走ろうという意識が強いと、余分な力が入って、フォームも硬くなり、筋肉の力がスムーズに推進力に転化しません。力まず、それでいて、筋肉を無駄なくスムーズに動かす、これができたとき、最高の走りとなり、最速タイムが出るのです。
だから、流して9割で走っても、力みがないので9割5分ぐらいのピードが出てると考えます。
準決勝の後半、かなり流して走って(見た感じ9割強)9秒89なので、全力で走れば単純に1割弱タイムが縮まって、9秒3ぐらいは簡単に出そうな気がしますが、そう単純なものではありません。
それはさておき、今回のボルトの次元の違う走りは、そんなクドクドした理屈を吹き飛ばすものだったと思います。今回は、苦手と思われていたスタートも克服してきて、トップクラスの反応速度でした。
さて、北京五輪のジャマイカの強さを見せつけられた日本のコーチが、その秘密を探ろうと、ジャマイカの練習を視察に行ったそうです。しかし、そこで見た風景は、20~30年前の日本と変わらない練習風景だったそうです。ただ走るだけ、しかも、グラウンドやシューズなど練習環境もよくないそうです。肩透かしを食った気分だったそうです。
特筆すべきは、ジャマイカの陸連の取り組み方。短距離だけしか力を入れておらず、長距離は見向きもしないそうです。とにかく、素質あるものを見出し、集め、切磋琢磨させる。それだけです。
ただ、そんな中にも、短距離の理論があるそうで、それは、鍛えれば、ピッチは速くなる。しかし、それには限界があって、人類には一定の壁がある。実際、ボルトとゲイのピッチ数は同じだそうです。つまり、ストライドの差=速さの差なのです。このストライドが素質と考えるそうです。なので、ジャマイカの男子選手はみな大きいそうです。
さて、日本選手についてですが、ほとんどの選手が自己新どころか、シーズンベストにも及ばないタイムでした。
何が原因か?
①日本選手権が調子のピークで下降線だったり、故障した
②大舞台で、力が発揮できなかった
大まかに言うと、この二つだと思っていました。
①の場合は、なかなか、そういう情報は表に出しませんから、前日や当日にならないとわからないという場合もよくあります。
調子がいいという場合、特に、予選は割と余裕を持って通過して、インタビューでも、かなり手ごたえの良いような言葉を発していても、2次予選、準決勝の方がタイムが悪いことがよくあります。
これは、緊張や興奮で、精神的にも肉体的にも消耗してしまったのではないかと考えていました。夏の暑さ、国外のレースという要素もありますし。
しかし、原因はそれだけではないようです。
2次予選、あるいは、準決勝になると、周りが速くなります。自分はベストの走りをしているのに、周りに前を走られる。「おかしい」「こんなはずでは」とか「もっと速く走らないと」と力みが出て、走りが硬くなります。
国内レースではこういう経験はありません。海外のレースを経験しているとは思いますが、慣れていないのでしょうか?とにかく、そういった状況でも走りが硬くならないメンタル的なトレーニングを重視すべきだと思いました。
日本人にとって短距離は厳しい種目です。が、せめて、自己ベスト、シーズンベストに近いような悔いのないレースをしてほしいです。
スポーツの競技人口が増える。
そのスポーツの実力、レベル、競争率、記録が全国的に上がる。
その国の代表の力が上がる。
こんな感じなんでしょうかねぇ~?ワタクシはサッカーもバレーもJリーグ、Vリーグのレベルアップする事で代表が強くなると思ってます。
ただそういう次元、カテゴリーに当てはまらない物の怪じみたと申しましょうか、異次元の彼方からやってきた人間が時たま世に生まれるみたいです。
ボルトがそうだと思います。
アスリートって自分の体の事を知り尽くして、節制に節制を重ねながら記録の限界に挑戦するもんだと思ってましたが、ボルトのようにチキンでも何でもレース前であろうが好きに食べて、自由に伸び伸びと練習してもあのような記録を出してしまうので驚きというか、衝撃ですよねぇ~
ワタクシはですねぇ~日本人って本来は本番に強い国民性だと思うんですよね。
一瞬にかける思い、一瞬にかける情熱の為に精神を集中し、間を充分にとる「作法」みたいなモンは日本のお家芸かと思うんですよね。
「道」に通じてる事なのかも知れませんが、儀式や礼儀ってのは「礼」「節」「分」などの己を鍛える効果もあるんでしょうが、真剣勝負などでの「切れ味」を鋭くする効果もあると思うんですよね。すぐに刃こぼれしてしまう「刀」なんかいかにも日本人らしいなぁ~と思いますよ。儚くも一瞬に賭ける想いってのが伝わってきます。
練習の力をそのまま本番でもしくは大舞台で出せるのが一番良いんでしょうが、これはどの分野も難しいんでしょうねぇ~
ワタクシも昔はレコーディングなんかの前の日はプレッシャーで胃に穴が開きそうでしたし^^将棋だってそうじゃありません?
で、それを経験で、努力で、練習で、幾度も重ねていくと、フッと克服するんかも知れません~
その先にあるのがゾーンやフロー現象なんかも・・・
う~ん、何か話がそれてしまいました~
何が書きたかったっていうと、
>そういった状況でも走りが硬くならないメンタル的なトレーニングを重視すべきだと思いました
近代的トレーニングが主流になってるみたいですが、「道を歩む」「己に勝つ」ってな努力も絶対に必要なんじゃないかなぁ~
陸上に関わらず全てに通じてる事なのかも知れませんねぇ。
そうですね。日本人はスポーツやブドウを通じて、礼節を学び、道を究め、肉体だけでなく精神的高みを目指す面があります。
なので、「日本人は本番に強い」という法則は成り立つはずなのですが……。追い込み過ぎて、いっぱいいっぱいになってしまうのでしょうか?
陸上競技は自分の最高の走りや試技のイメージが大切です。でも、短距離走の場合は、自分の横や前を走られるというイメージトレーニングも必要な気がします。
将棋の場合は、対局前に緊張することはあまりないですね(大一番でも)。
ただ、勝ちを意識すると、緊張しますし、手が伸びなくなりますね。
「音楽家」はちょっと大げさですかねぇ~^^
音大出身じゃありませんし、まず音大は目指しても無理だったと思います。それぐらい難しいですし、ワタクシの中ではリスペクトに値する所ですねぇ~
まぁ難しさで言ったら将棋の奨励会の方が難しく狭き門のような気もしますが^^
スタジオにあるパソコンは規制がかかっててヤフーブログ、ライブドアブログ、個人ブログはチェック出来ないんですよね。簡単に言っちゃえばYOUTUBE対策だと思います。発売前やデモトラックが流出出来なくしてるんですよね。業界人ってのは奇人、変人の集まりですから^^ワタクシのコメントがスポーツナビに集中しているのはそういう理由です。スポナビしかチェック出来ないんですよね^^
「印税」ですか、うらやましい響きですね。居p句のプロデュースやアレンジ……尊敬してしてしまいそうです(笑)。あ、いえ、尊敬します。ほんとうに凄いです。
>スタジオにあるパソコンは規制がかかっててヤフーブログ、ライブドアブログ、個人ブログはチェック出来ない
おお、そんな状況で、当ブログの放電におつきあい下さり、ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします。
ボルト選手の場合、100m9秒59は秒速10.43m。9秒89なら10.11m。
例えば秒速5m(=100mを20秒)あたりをゼロと考えれば、(10.11-5.00)/(10.43-5.00)=94.1%の感覚で10.11/10.43=96.9%の速度を出したことになります。
ゼロをどの速度にとるかで大きく変わってきてしまいますが、例えば秒速7m(=100mを14秒3)をゼロにすれば、感覚的には90.7%となります。
なるほど、そのように考えたほうが、合理的ですね。