英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2016全日本総合バスケットボール選手権 決勝 JX-ENEOSサンフラワーズ × デンソー アイリス

2016-01-12 20:44:35 | スポーツ
JX-ENEOSの圧勝だった。
「為すすべなく敗れる」という言葉があるが、デンソーは「為すべきことをせずに敗れた」だけだった。


 最初のプレイ、渡嘉敷のポジション取りが上手かったこともあるが、吉田からゴール下の渡嘉敷に簡単にパスが通り、難なく2点シュートが決まる。≪えっ?簡単に通ってしまったぞ≫
 なぜか、吉田をマークする伊藤が渡嘉敷の方に寄り、フリーになった吉田にパスが渡ったのを見て、慌てて吉田に詰め寄ったが、その逆をついて渡嘉敷にパスが通されてしまった。吉田→渡嘉敷へのパスは、JXに最も許してはいけないプレーだというのに、初っ端からこのプレー……今後の展開を暗示するかのようだった。

 それでも、オフェンスリバウンドを2本取り、JXのターンオーバーを2つ誘い(そのうちスティール1本)、高田真が個人技で渡嘉敷のディヘンスを掻い潜ってシュート、伊藤がを決め4-4(2分26秒)、さらにもう1本スティール(by高田汐織)するなど、流れは悪くなかった。
 ターニングポイントとなったのは、3分45秒(JX6-4デンソー)、ゴール下へドライブしようとした大沼に伊藤が2つ目のファールを犯し、ベンチに下がらざるを得なくなってしまったこと(in大庭)。さらに、エンドラインからJXのスローインを容易に渡嘉敷に通してしまい、バンクシュートを決められてしまった。
 司令塔の伊藤が下がるということの動揺や、伊集がポイントガードを果たすことでディフェンスのマークも変更することとなったせいもあったのだろう。スローインする吉田へのマークと渡嘉敷への注意が散漫になっていた。
 さらに、オフェンスで大庭がパスミスのターンオーバー。ここで、赤穂のマークを外した間宮がゴール下でパスをもらい、カバーに来た2人のディヘンスをもろともせず、シュートを決める。
 直後のデンソーは意思のない3Pシュートが外れ、渡嘉敷がリバウンド→ドリブル→シュートと“ゴールtoゴール”を決め、12-4と8点差(4分45秒)。僅か1分の間に、ゲームの流れが一気にJXに傾いてしまった。

 この後、デンソーは自分のポジションやタイミングでシュートを打つことができず、高田真のドライブ1本だけ。デンソーのオフェンスが単調になったこともあるが、デンソーガード陣への吉田、岡本のプレッシャーが強く、また、間宮、渡嘉敷がデンソーの高田、赤穂を押し出し、ペイント内を支配していた。デンソーのパスがペイントゾーンに入ることはほとんどなく、外側を、しかもかなり外側をパスが回るだけで、不本意な位置やタイミングでシュートを打たされていた。この傾向は、8分12秒に伊藤がコートに戻った後も続いた。
 JXもオフェンスが機能したシュートは少なく、ターンオーバーもあったが、個々の力でシュートを決めていたように思えるが、それでも、自分たちのオフェンスは貫けていた(プレイがリングに向いていた)。
 結局、第1ピリオドは22-6で終了。デンソーのフィールドゴールは、3/15の20.0%(3Pシュートの0/4を含む)ターンオーバー8では、勝負にならない。(JXはフィールドゴール56.3%(9/16)、ターンオーバー5)


 さて、準決勝で「赤穂が加わったのが大きい」と感じたのだが、この試合に関しては、「高田真&赤穂」が機能しなかった。
 昨シーズンは、高田真がひとりで奮闘して、「渡嘉敷&間宮」に対抗していた感があったが、『赤穂が加わったことで、ペイント内での力の差が縮まり高田真希にマークが集中していたのが、赤穂が加わったことで分散できるのではないか』という見方があった。
 昨年は「高田真&牛田」コンビで、高田8:牛田2の攻撃割合で攻撃力90であったとすると、今年は高田6:赤穂4の割合で攻撃力130になったと期待できた。

 しかし、「高田真&赤穂」はコンビの相乗効果がなく、「渡嘉敷&間宮」が強力なせいもあって、分断されてマイナスにさえなっていた。
 さらに、高田への依存度が減ったということは、高田の攻撃機会が減ったということ。その分、赤穂が得点を上げられれば良いが、間宮に抑え込まれてしまっていた。

 特に、ゲームが始まって間もない頃、赤穂は2度ドライブを試みたが、2度とも逆に外に押し出されてしまった(2度目のそれは、間宮の圧力に腰が崩れ、ターンオーバーとなった)。さらに、ファーストブレイクで赤穂へのパスを間宮がカットするという場面もあった。
 これなら、牛田が高田のフォローに徹していた昨シーズンの方が、高田のポテンシャルを発揮できていたし、意図のあるオフェンスもできていた。牛田はシュートはうまくなかったが、センターに思えないほど動いていたので、ガードからのパスの選択肢も多かった)
 結局、赤穂は4点に終わった。

 伊藤の14分半というプレイタイムの短さもどうだったのだろうか?
 ファールトラブルのあった第1ピリオドの5分33秒は仕方がないとしても、第2ピリオド4分23秒、第3ピリオド1分32秒、第4ピリオド2分59秒と短いのは、疑問である。

 ハーフタイムの小嶋HCの弁は
「オフェンスの終わり方が悪く、JXに走られてしまった」
「(“現状を打破するには?”という問いに)、シュートを入れることです」
 確かに、オフェンスの終わり方が悪くて走られた場面もあったが、まず、良いディフェンスで相手のリズムを崩して、自分たちのペースでオフェンスをするのが肝心なのではないだろうか?
 ディフェンスに関しては、ゾーンディフェンスに切り替えたり、吉田にダブルチームなどでプレッシャーを与えるなど、特に工夫を感じられず、JXに好きなように攻められてしまった。準決勝のシャンソンの方が、遥かにディフェンスを頑張っていた。

 伊藤の代わりに入った大庭は、動きも激しく、ガッツも感じた。シュート力もあり、ゲームの流れを変え得る選手である。しかし、この試合では、伊集、高田真、赤穂らのプレーとは相性が悪くて、ひとり浮いているように感じた。


 デンソーは、為すべきことをせず、結局
JX-ENEOSサンフラワーズ 83-44デンソー アイリス
で、敗れた。そんな中、17得点を上げた高田真は流石である。


盤石のJX
 まず、厳しいディフェンスが光った
 ディフェンスの勝利といって良い。


 昨年は、ポイントガードにウイークポイントがあった。
 故障上がりの吉田の状態が悪く、動きも悪く、プレー時間も限られていた。(無理して、長時間プレーしたが)
 吉田の控えの新原ではカバーできず、新人の宮崎を使う度胸もなく、吉田がコートにいない時は劣勢に陥った。状態のよくない吉田の動きが完全でないうえ、「自分が下がったら劣勢になる」という重圧もあった。
 今年は宮崎の成長があって、精神的にも体力的にも余裕があった。

 渡嘉敷、間宮は相変わらず強力。
 渡嘉敷は米国でのプレーを経験し、シュートレンジも広くなり、ドライブシュートも鋭くなった。間宮の堅実なプレーも光った。

 大沼は地道なプレーでチームを支え、控えに回っている宮澤のポテンシャルも相変わらず高い。控えの中村も使えそうだ。
 宮澤をもう少し使って欲しいというのが私の希望だ。「渡嘉敷、間宮、宮澤トリオ」は超強力だが、「渡嘉敷&間宮」「渡嘉敷&宮澤」「間宮&宮澤」というコンビでローテーションさせてもいいのではないだろうか?
 私的な欲だが、宮澤は他チームに移籍して、思う存分プレーする姿を見てみたい気もする。

 佐藤HCも余裕があり、控えの選手をうまく使った。また、まずいプレーが出た時、素早くタイムアウトを取り、悪い芽を摘んだのは見事だった。(渡嘉敷、間宮をもう少し休ませてもいいと思う)

現状では、JXに死角はなく、Wリーグでも優位は揺るがないように感じた。

 

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