“インボイス制度”と言っても、ピンとこない方も多いだろう。
一般に言うサラリーマン(給与生活者)や主婦など多数の方は、あまり関係のない制度である。(サラリーマンでも、仕入れ担当や経理関係の方は、関係ありそう)
ここで、制度の目的や概要を説明すべきだが、内容を知らない方は、そのままで、まず、次の記述をご覧いただきたい。
【国税庁のホームページの「インボイス制度」のページより引用】
インボイス制度の概要
インボイス制度の概要について、次のとおりとなります。
▼適格請求書(インボイス)とは、
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
▼インボイス制度とは、
<売手側>
売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
<買手側>
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
インボイス制度の基本的な内容をお知りになりたい方は以下のリーフレット等をご覧ください。
「令和5年10月 インボイス制度が始まります」【引用 終】
ここで、諦めてしまうのは短気なので、もう少し頑張ってみる。
「インボイス制度の基本的な内容をお知りになりたい方は以下のリーフレット等をご覧ください」とあるので、リンク先を見てみるが説明はほとんど進展していない。
挙句に、『インボイス制度特設サイト』(制度の概要の他に説明会の開催情報や申請手続などを掲載してある)や「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」のページを紹介しているだけで、このページで説明しようとする意思は全くない。
因みに、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」の「特集 インボイス制度」というページがあるが、「○○が知りたかったら△△のページを見ろ」というリンクばかり。“説明のたらい回し”だ。
試しに、「制度の概要」へのリンクがあったので、クリックすると、当ブログのこの記事で引用した「インボイス制度の概要」のページに戻ってしまった。……迷路、迷宮だ
で、“インボイス制度”とはどういうモノなのか?……
………まず、消費税の仕組みのおさらい(利益率は適当です)
10,000円(本体価格・食料品などの軽減税率対象品以外)の商品があるとして、ショッピングセンターなどで販売された場合、購入者は10,000円に加えて、消費税10%分の1,000円を加えて11,000円を店に支払っている。
ショッピングセンターは11,000円すべてを懐に入れていいわけではなく、消費税の1,000円を国に納めなければならない。しかし、ショッピングセンターもタダで仕入れているわけでなく、卸業者とか製造者から購入しており……例えば、8,800円(消費税込み)で仕入れているとすると、そのうち800円の消費税を卸業者などに支払っていることになる。つまり、既に800円を仕入れの段階で消費税として支払っているので、販売時の消費税額1,000円から800円を差し引いた200円を消費税として納めれば良いということになる。
この仕組みは、卸業者や製造者にも当てはまる。ショッピングセンターに売った分の消費税全額から、卸業者なら製造者などに支払った消費税分を差し引いて国に納めている。製造者も、原材料の仕入れ時に、その分の消費税を支払っている。
うまく図で説明できればいいが、そこまで、熱意はないので簡単に……
代金
A…11,000円→ 商品(本体価格)+ 消費税10%
10,000円 + 1,000円
↓
仕入れ代金
B…8,800円→ 本体価格 + 消費税10%
8,000円 + 800円
↓
仕入れ代金(卸業者・メーカー・職人)
C…5,500円→ 本体価格 + 消費税10%
5,000円 + 500円
:
:
Aが納める消費税は1,000円-800円=200円
Bが納める消費税は800円-500円=300円
というのが基本だが、低売り上げ事業者救済のため
「消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除される」ことになっている。
例えば、上記の例で、Bが免税事業者の場合、Bが納めるべき300円が免除される。つまり、最終購入者が支払った消費税1,000円のうち、300円が税金として国に納められないことになる。(C以下続くメーカーや職人が、免税事業者だったら、更に回収率は低くなる)
具体的数値は深く考えないことにしてほしいが、要は《消費税を払っているのに、それが全部税金として徴収されないのはおかしい。不公平なので、すべて徴収しよう》というのが政府の考え。言葉を変えると、《取り漏らしていた消費税をすべて徴収しよう》
じゃあ、免税されていた低額事業者を見捨てるのか?というと……(一応)そうではない。
「インボイス発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の方の任意です」……“インボイス発行事業者”が何か、きちんと説明するのは後にするが、まあ、「免税事業者を止めて消費税を払う」という登録をするのは任意。《免税事業者のままでもいいし、納税事業者として登録してもいい》ということ。
それなら、《登録しないよ》となるが、半強制的にそうさせないのが、“インボイス制度”。
このインボイス制度が施行されるのが、令和5年10月。
で、実際どういう制度なのかと言うと、納品書・請求書・領収証などが、適格請求書(インボイス)でないと、消費税の控除が受けられませんよというモノ。(適格請求書(インボイス)……インボイス発行事業者が発行したものでないと、控除は認められない。インボイスの証として、インボイス登録者の登録番号の明記が必要)
この結果、どういう事になるかと言うと、Bがインボイス(適格請求書)を発行できないと、Bが納めるべき消費税300円を、Aが負担しなければならなくなる
普通、他者が払うはずの消費税を自分が支払うほどやさしい会社・人はいないので、インボイス発行登録事業者に切り替えることになる。
免税事業者はそのまま免税事業者でいるのは自由ではある。《そのままでいて取引先から切られる》か、《これまで免除されていた消費税を支払うか》の選択を迫られる。どちらも厳しい。
聞くところによると、免税事業者(個人事業者が多い)の例として、アニメーターが挙げられていて、年収…年収が96万円!。同じ業界の声優も厳しい状況らしい。
インボイス発行登録事業者にしても、インボイス発行の作業が煩わしい…
ほんと、弱い者いじめの制度だ……
私自身が、消費税の仕組みやインボイス制度について、よく理解していないので、間違っていることを書いているかもしれません。
お気づきの点がありましたら、ご指摘ください。
一般に言うサラリーマン(給与生活者)や主婦など多数の方は、あまり関係のない制度である。(サラリーマンでも、仕入れ担当や経理関係の方は、関係ありそう)
ここで、制度の目的や概要を説明すべきだが、内容を知らない方は、そのままで、まず、次の記述をご覧いただきたい。
【国税庁のホームページの「インボイス制度」のページより引用】
インボイス制度の概要
インボイス制度の概要について、次のとおりとなります。
▼適格請求書(インボイス)とは、
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
▼インボイス制度とは、
<売手側>
売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
<買手側>
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
インボイス制度の基本的な内容をお知りになりたい方は以下のリーフレット等をご覧ください。
「令和5年10月 インボイス制度が始まります」【引用 終】
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これで、インボイス制度がどういうモノか、理解出来たら天才だと思う
これで、インボイス制度がどういうモノか、理解出来たら天才だと思う
ここで、諦めてしまうのは短気なので、もう少し頑張ってみる。
「インボイス制度の基本的な内容をお知りになりたい方は以下のリーフレット等をご覧ください」とあるので、リンク先を見てみるが説明はほとんど進展していない。
挙句に、『インボイス制度特設サイト』(制度の概要の他に説明会の開催情報や申請手続などを掲載してある)や「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」のページを紹介しているだけで、このページで説明しようとする意思は全くない。
因みに、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」の「特集 インボイス制度」というページがあるが、「○○が知りたかったら△△のページを見ろ」というリンクばかり。“説明のたらい回し”だ。
試しに、「制度の概要」へのリンクがあったので、クリックすると、当ブログのこの記事で引用した「インボイス制度の概要」のページに戻ってしまった。……迷路、迷宮だ
で、“インボイス制度”とはどういうモノなのか?……
………まず、消費税の仕組みのおさらい(利益率は適当です)
10,000円(本体価格・食料品などの軽減税率対象品以外)の商品があるとして、ショッピングセンターなどで販売された場合、購入者は10,000円に加えて、消費税10%分の1,000円を加えて11,000円を店に支払っている。
ショッピングセンターは11,000円すべてを懐に入れていいわけではなく、消費税の1,000円を国に納めなければならない。しかし、ショッピングセンターもタダで仕入れているわけでなく、卸業者とか製造者から購入しており……例えば、8,800円(消費税込み)で仕入れているとすると、そのうち800円の消費税を卸業者などに支払っていることになる。つまり、既に800円を仕入れの段階で消費税として支払っているので、販売時の消費税額1,000円から800円を差し引いた200円を消費税として納めれば良いということになる。
この仕組みは、卸業者や製造者にも当てはまる。ショッピングセンターに売った分の消費税全額から、卸業者なら製造者などに支払った消費税分を差し引いて国に納めている。製造者も、原材料の仕入れ時に、その分の消費税を支払っている。
うまく図で説明できればいいが、そこまで、熱意はないので簡単に……
代金
A…11,000円→ 商品(本体価格)+ 消費税10%
10,000円 + 1,000円
↓
仕入れ代金
B…8,800円→ 本体価格 + 消費税10%
8,000円 + 800円
↓
仕入れ代金(卸業者・メーカー・職人)
C…5,500円→ 本体価格 + 消費税10%
5,000円 + 500円
:
:
Aが納める消費税は1,000円-800円=200円
Bが納める消費税は800円-500円=300円
というのが基本だが、低売り上げ事業者救済のため
「消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除される」ことになっている。
例えば、上記の例で、Bが免税事業者の場合、Bが納めるべき300円が免除される。つまり、最終購入者が支払った消費税1,000円のうち、300円が税金として国に納められないことになる。(C以下続くメーカーや職人が、免税事業者だったら、更に回収率は低くなる)
具体的数値は深く考えないことにしてほしいが、要は《消費税を払っているのに、それが全部税金として徴収されないのはおかしい。不公平なので、すべて徴収しよう》というのが政府の考え。言葉を変えると、《取り漏らしていた消費税をすべて徴収しよう》
じゃあ、免税されていた低額事業者を見捨てるのか?というと……(一応)そうではない。
「インボイス発行事業者の登録を受けるかどうかは事業者の方の任意です」……“インボイス発行事業者”が何か、きちんと説明するのは後にするが、まあ、「免税事業者を止めて消費税を払う」という登録をするのは任意。《免税事業者のままでもいいし、納税事業者として登録してもいい》ということ。
それなら、《登録しないよ》となるが、半強制的にそうさせないのが、“インボイス制度”。
このインボイス制度が施行されるのが、令和5年10月。
で、実際どういう制度なのかと言うと、納品書・請求書・領収証などが、適格請求書(インボイス)でないと、消費税の控除が受けられませんよというモノ。(適格請求書(インボイス)……インボイス発行事業者が発行したものでないと、控除は認められない。インボイスの証として、インボイス登録者の登録番号の明記が必要)
この結果、どういう事になるかと言うと、Bがインボイス(適格請求書)を発行できないと、Bが納めるべき消費税300円を、Aが負担しなければならなくなる
普通、他者が払うはずの消費税を自分が支払うほどやさしい会社・人はいないので、インボイス発行登録事業者に切り替えることになる。
免税事業者はそのまま免税事業者でいるのは自由ではある。《そのままでいて取引先から切られる》か、《これまで免除されていた消費税を支払うか》の選択を迫られる。どちらも厳しい。
聞くところによると、免税事業者(個人事業者が多い)の例として、アニメーターが挙げられていて、年収…年収が96万円!。同じ業界の声優も厳しい状況らしい。
インボイス発行登録事業者にしても、インボイス発行の作業が煩わしい…
ほんと、弱い者いじめの制度だ……
私自身が、消費税の仕組みやインボイス制度について、よく理解していないので、間違っていることを書いているかもしれません。
お気づきの点がありましたら、ご指摘ください。
コメント、ありがとうございます。
>制度のメリットはあるのでしょうが、事業者の方に新たな負担を強いるのであれば、社会全体での収支はプラスにすることは難しいのでは?
政治家や官僚は、高い位置にいます。その高い地点からの視点でからしか物事を考えません。
つまり、現場の状況を良く知らずに、一方向の改良しか考えないので、全体としては改悪になってしまう……
まあ、万人が幸せになる法規などないと思いますが、それでも、もっと多方面の視点、低い目線で熟考していただきたいです。
少し論点がズレますが、最近では、原発稼働年数の延長の方向です。
国の考えでは、《延長を可能にする法の改正を行えば、法的には問題ないだろう》というモノ。40年期限を勝手に改正して、さらに20年延長可能にしておいて、今度は更に無期限に。
確かに、エネルギー問題や脱酸素の視点からは、原発稼働期限をなくすのは一番手っ取り早い方法です。
でも、40年以上稼働して、本当に大丈夫なのか?安全性は二の次です。核のゴミ処理問題も、全く解決の見込みもありませんし。
ああ、長くなってしまいました。
もともと、低売り上げ事業者の救済の為に免税しているのに、それをなくしてしまうのは本末転倒です。しかも、免税事業者を継続する選択肢を残しているので、問題ないだろうというやり口に憤りを感じます。
それと、国税庁のサイトの「インボイスの制度の概要」って、全く説明になってませんよね。
「概要(がいよう)」……物事の大まかな主旨や流れなどを意味する言葉なのですが、用語と手続きを示しただけ。
そのうえ、たらい回しのサイトシステム。呆れてしまいます。