英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

東京五輪 その3「やっぱり、五輪はない方がいいかなぁ」(今回の記事はコロナとは関係ありません)【訂正あり】

2021-08-18 08:50:19 | スポーツ
コロナ禍での五輪開催については、これまでも述べてきたが(新型コロナウイルス 「その103」とか「その104」)、今回は純粋に五輪の存在意義の疑問を、忘れないうちに書いてしまおうと思った次第。

 一昔前は、「スポーツの祭典」とか「参加することに意義がある」という言葉が聞かれたが、現代では選手が「人生を懸けて臨んでいる」感が充満している。報道もメダリストへの扱いも超加熱。
 参加人数が絞られて、代表争いが過酷を極める競技もある。男女混合という意味に疑問(この件に関しては、アジア大会の記事で述べている)を感じる種目(陸上競技や競泳の男女混合リレーや柔道団体)ができた半面、体操競技は団体メンバーが5人から4人に減らされた(過去は6人だった)。
 卓球も代表争いは熾烈を極めた。団体メンバーは3人。個人戦に出場できるのは2人のみ。他の種目としては混合ダブルスがあるが、普通のダブルスはない。
 中国は単純に強さだけで(国際大会などの実績は考慮しない)ランキングを作ると、トップ15の内、中国選手が12人ぐらい入るのではないだろうか。五輪はそんな強い中国選手が2人しか出場できないので(他国に帰化して参加する元中国の選手はいるが)、代表になってしまえば、メダル獲得の可能性は世界選手権より遥かに高い。

 冒頭の「五輪の存在意義の疑問」(これについても「オリンピックが競技を歪める その1」などで書いている)だが、今回、ソフトボールを観て、強く感じた。
 ソフトボールは、1996年アトランタオリンピックから正式種目となり、2008年の北京五輪まで実施されたが、2012年のロンドン五輪で種目から外された。リオデジャネイロ五輪でも復帰はかなわず、2020年の東京五輪でも復帰は実現しないことがIOC総会で決定されたが、開催都市が追加できる正式種目として実施された。(次回の2024年パリ五輪では実施されない)
 北京五輪で金メダルを争った日本とアメリカの両エース、上野、アボットが今五輪でもエースとして活躍していることがうれしい。称賛する。
 ロンドン五輪以降、正式種目から外れてしまい、両者とも(他のソフトボールプレーヤーも)目標を失った。北京五輪後のソフトボール界の消沈ぶりに、上野は「北京五輪での大盛り上がりは何だったのか?」と述懐している。上野を立ち直らせたのは、宇津木監督の「これからは、他人のために投げなさい」という言葉だったという。
 アボットも上野同様目標を失った。彼女は日本の実業団チームに入り、上野らと競うことに意義を見出した。おそらく、彼女は五輪に拘らず、プレーすること自体に楽しさや喜びを感じたのだろう。非常に大きい人間である。


 東京五輪の決勝、日本×アメリカ戦は上野、アボットだけでなく、両チームすべての選手が激突?し、激闘、熱闘となった……素晴らしいゲームだった。
 特に、2―0の6回ワンアウト、ランナー一、二塁という日本のピンチ。相手バッターのサードへの痛烈なライナー、三塁・山本優のグラブを弾き、レフトへ抜けると思われたが、その打球をショート・渥美が反応し、ノーバウンドでキャッチ。すぐさま二塁に送球し、アウト。ダブルプレーで、アメリカの逆転機は一瞬で消えた。
 サードへのライナーにショートの渥美も当然サード方面に動いていたが、サードのグラブを弾いた打球はその勢いは少しも衰えていなかった。その上、サードのグラブに当たっていたので、ライナーの軌道は変わっていた。それをキャッチしたのである。文章にすると長いが、一瞬の出来事で、目撃した時は、何が起こったか理解できないほどの一瞬の出来事だった。(サードのグラブを弾いたので、起動がショート方向に逸れたのは幸運だった)
 ショートの渥美は、アボットのチームメイトで、アボットからいろいろなことを学んだという。

【訂正】
 安倍晴明さんから、「グラブを弾いたのではなく、グラブを持つ腕のリストバンドをしていた部分に当たって跳ねたように見えた」というご指摘があり、録画してあった映像を確認したところ、おっしゃる通りでした。
 サード選手の腕のリストバンド部分に当たって、ショート方面に跳ねていました。
 安倍晴明さん、ご指摘ありがとうございました。


 それはともかく、上野もアボットも凄い球を投げていた(北京五輪時と比べると、球速は若干衰えていたかもしれないが)。
 この凄さは、五輪でメダルを獲得したかどうかに関わらない。投球そのもの、プレーそのものが凄いのである。
 なのに、メダルを獲ったかどうかで、その評価は大きく変わってしまう。

 やっぱり、五輪はない方がいいのかもしれない。
コメント (9)
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