「その1」 、「その2」、「その3」の続きです。
ここで先手に好手があった。
▲2五角(変化図6)………これが見た目以上に厳しい。
===以下は『将棋世界』10月号の棋戦情報の解説===
対して△8六飛は▲同歩△6七銀打▲7九玉△7七銀成に▲8一飛(変化図7)から後手玉が詰む。
また、△7七銀成に代えて△5五銀は、▲8一飛△5一金▲2二歩成(変化図8)で先手勝ち。
▲2五角には△5五銀くらいだが、そこで▲9六香(変化図9)ならば先手有望だった。(表記の都合で、語順など原文と少し異なっています)
==================================【引用 終】
第12図から変化図9へ進めば、先手玉のひっ迫感がかなり減少している。
その上、後手陣への4枚の垂れ歩や2五の角の利きは相当な脅威で、▲2二歩成△同銀▲3二金の筋(ただし、この後▲2二金と銀を取る手が甘い)や▲6三桂の打ち込みなど、後手玉に迫る手に事欠かない。
ただし、この変化図9は上記のように先手が相当よく見えるが、実際はそれほど簡単ではないようだ。
変化図9以下、△4四角▲2一金(次に▲3一金で△同玉なら▲3二銀で詰み)△5一玉と早逃げし
以下▲3一金にも△6一玉と遁走し、▲3二歩成に△2四歩▲3四角△3五金と先手攻撃の主軸である角に圧力をかける。
要領を得ない手順だが、先手角を主戦から追いやると同時に、先手玉に対して遠巻きではあるが包囲網を築いている。
もちろん、これは変化の一例だが、中継解説の“先手有望”という表現は的確かもしれない。
ともあれ、第12図では▲2五角の一手だった。
しかし、羽生九段は単に▲9六香……痛恨の手順前後だった。
すかさず、△8六飛と切られてしまった。以下▲同歩△6七銀打▲7九玉△7七銀成と進むと、
▲8一飛と打っても、変化図7とは違い先手の角が2五に居ないので後手玉は詰まない。
なので、羽生九段は△8六飛に▲6三桂△同銀を利かせて後手玉を詰みやすくしておいて▲8六歩と手を戻したが、やはり、△6七銀打▲7九玉△7七銀成と進められて、はっきりと後手の一手勝ちとなった。
ずっと、▲9六香と桂を取るチャンスがあったのだが、最も悪いタイミングで桂を取ってしまった。
「はっきり勝ちと書いた」が△7七銀成に▲3二金と打ち込んだ手に対して
うっかり、玉を逃げると頓死してしまう。
△5一玉は▲4一飛以下簡単。△5二玉にも▲2五角△4三桂▲6三歩成△同玉▲3六角△4三桂▲6四飛△7二玉▲6三銀△同玉▲5四角△6二玉▲7二金△5三玉▲4五桂△5二玉▲4三歩成△同歩▲6四桂△5一玉▲4一金△同玉▲6三角成△4二金▲5二馬で詰む。
なので、佐藤天九段は▲3二金(第13図)に△同銀と取る。以下▲同歩成に、ここでも迂闊に△5二玉と逃げると、やはり頓死する(手順は省略)。
佐藤天九段は誤らず、△3二同玉と取り、羽生九段が投了。
投了図以降、▲2二飛には△3三玉▲3四銀△2四玉で逃れている。以下▲2五銀には△3三玉(△1三玉)▲3四銀(▲1四銀)△2四玉の連続王手の千日手で先手の負け。
ただし、ここでも▲2二飛に△4一玉と逃げると、▲3二銀△4二玉▲2五角(変化図13)以下頓死する。
図以下、△4三桂▲同角成△同歩▲同銀不成(成りでも詰む)△6一玉▲6二飛成△同玉▲6三歩成△同玉▲6四金(変化図13)△7二玉▲8四桂以下詰み。
押し引きがあったが、拮抗した形勢が続いた。非常に難解な将棋だった。
終盤、痛恨の手順前後で、急転直下の終局となったのが残念。
順位戦は初戦の菅井戦は勝利したが、この佐藤天戦、糸谷戦、そして、先日の斎藤戦も敗れ、1勝3敗と苦しい星勘定。
斎藤戦はやや変調だったが、他の将棋は悪くない。今後の巻き返しに期待したい。
それと、やはり竜王戦はモノにしてほしい。挑戦者決定3番勝負は仕事が手につかなかった。
ここで先手に好手があった。
▲2五角(変化図6)………これが見た目以上に厳しい。
===以下は『将棋世界』10月号の棋戦情報の解説===
対して△8六飛は▲同歩△6七銀打▲7九玉△7七銀成に▲8一飛(変化図7)から後手玉が詰む。
また、△7七銀成に代えて△5五銀は、▲8一飛△5一金▲2二歩成(変化図8)で先手勝ち。
▲2五角には△5五銀くらいだが、そこで▲9六香(変化図9)ならば先手有望だった。(表記の都合で、語順など原文と少し異なっています)
==================================【引用 終】
第12図から変化図9へ進めば、先手玉のひっ迫感がかなり減少している。
その上、後手陣への4枚の垂れ歩や2五の角の利きは相当な脅威で、▲2二歩成△同銀▲3二金の筋(ただし、この後▲2二金と銀を取る手が甘い)や▲6三桂の打ち込みなど、後手玉に迫る手に事欠かない。
ただし、この変化図9は上記のように先手が相当よく見えるが、実際はそれほど簡単ではないようだ。
変化図9以下、△4四角▲2一金(次に▲3一金で△同玉なら▲3二銀で詰み)△5一玉と早逃げし
以下▲3一金にも△6一玉と遁走し、▲3二歩成に△2四歩▲3四角△3五金と先手攻撃の主軸である角に圧力をかける。
要領を得ない手順だが、先手角を主戦から追いやると同時に、先手玉に対して遠巻きではあるが包囲網を築いている。
もちろん、これは変化の一例だが、中継解説の“先手有望”という表現は的確かもしれない。
ともあれ、第12図では▲2五角の一手だった。
しかし、羽生九段は単に▲9六香……痛恨の手順前後だった。
すかさず、△8六飛と切られてしまった。以下▲同歩△6七銀打▲7九玉△7七銀成と進むと、
▲8一飛と打っても、変化図7とは違い先手の角が2五に居ないので後手玉は詰まない。
なので、羽生九段は△8六飛に▲6三桂△同銀を利かせて後手玉を詰みやすくしておいて▲8六歩と手を戻したが、やはり、△6七銀打▲7九玉△7七銀成と進められて、はっきりと後手の一手勝ちとなった。
ずっと、▲9六香と桂を取るチャンスがあったのだが、最も悪いタイミングで桂を取ってしまった。
「はっきり勝ちと書いた」が△7七銀成に▲3二金と打ち込んだ手に対して
うっかり、玉を逃げると頓死してしまう。
△5一玉は▲4一飛以下簡単。△5二玉にも▲2五角△4三桂▲6三歩成△同玉▲3六角△4三桂▲6四飛△7二玉▲6三銀△同玉▲5四角△6二玉▲7二金△5三玉▲4五桂△5二玉▲4三歩成△同歩▲6四桂△5一玉▲4一金△同玉▲6三角成△4二金▲5二馬で詰む。
なので、佐藤天九段は▲3二金(第13図)に△同銀と取る。以下▲同歩成に、ここでも迂闊に△5二玉と逃げると、やはり頓死する(手順は省略)。
佐藤天九段は誤らず、△3二同玉と取り、羽生九段が投了。
投了図以降、▲2二飛には△3三玉▲3四銀△2四玉で逃れている。以下▲2五銀には△3三玉(△1三玉)▲3四銀(▲1四銀)△2四玉の連続王手の千日手で先手の負け。
ただし、ここでも▲2二飛に△4一玉と逃げると、▲3二銀△4二玉▲2五角(変化図13)以下頓死する。
図以下、△4三桂▲同角成△同歩▲同銀不成(成りでも詰む)△6一玉▲6二飛成△同玉▲6三歩成△同玉▲6四金(変化図13)△7二玉▲8四桂以下詰み。
押し引きがあったが、拮抗した形勢が続いた。非常に難解な将棋だった。
終盤、痛恨の手順前後で、急転直下の終局となったのが残念。
順位戦は初戦の菅井戦は勝利したが、この佐藤天戦、糸谷戦、そして、先日の斎藤戦も敗れ、1勝3敗と苦しい星勘定。
斎藤戦はやや変調だったが、他の将棋は悪くない。今後の巻き返しに期待したい。
それと、やはり竜王戦はモノにしてほしい。挑戦者決定3番勝負は仕事が手につかなかった。