英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015NHK杯将棋トーナメント2回戦 羽生名人-北浜八段 その2

2015-08-16 16:08:01 | 将棋
「2015NHK杯将棋トーナメント2回戦 羽生名人-北浜八段」の続きです。


 駒の損得、働きの差が大きく、先手が優勢であろう。
 後手は放っておくと▲7八金△同銀成▲5六飛成や▲5六飛成△同銀成▲7八金があるので、△5三歩と受ける。先手の飛車と角の利きを同時に遮る効率の良い手だ。
 しかし、これで上述した先手の利(駒の損得、駒の働き)に加え、手番も先手になった。しかも、後手の持ち駒もなくなり、後手の攻め駒は馬と2枚の銀となった。
 通常、「3枚の攻めは切れる(受け切れる)」と言われており、後手の角銀銀の駒の重複具合から見て、先手の受け切り勝ちが濃厚のように思える。
 もちろん、ここでは自陣に1手の余裕ができたこともあり、▲7一飛成△同銀▲同龍と二枚換えしながら敵玉に迫るのも有力であった。ただ、▲7一同龍に△8九銀成▲同玉△6八桂成▲7八銀△同成銀▲同金△同馬▲同玉と金を入手しつつ先手玉を引っ張り出した後、△7二金打と手を戻される順が気になる。
 先手の大きな駒得で大優勢のはずだが、先手玉がむき出しで、後手も飛車を手にしているので、後手玉の安泰さを考慮すると、先手が勝ち切るのに苦労が大きそう。



 この後、先手玉の周辺で駒打ち駒取りを繰り返し、千日手模様となる。
 細かい手順は勘弁していただいて、局面図だけ提示。持駒や6七の後手の駒が金になったり銀になったりなど、同一局面のようなそうでないようなという微妙な手順が続く。(正直、盤面で再現してもよく分からない)





 純粋なループ手順による同一局面は113手目~118手(第9図~第10図辺り)、125手目~138手目(第12図~第13図辺り)か。

 長い長い押し合いが続いていたようだが、主導権は羽生名人が握っていた感がある。
 剣の達人が間合いを計りながら、相手の切っ先を受け止め、また、切り掛かる。ただ、その切っ先は本気で相手に致命傷を狙うものではなく、徐々に相手を不利な位置に追い詰めていくような感じ。本気で踏み込めば自分も深手を負う危険も伴う。
 相手が穴熊の場合、駒得などかなりの戦果を上げても、攻め込んだことによって(駒を渡す)、決死の反撃を受け、食いつかれ、受けが困難に陥ることがある。
 羽生名人は、千日手模様の手順を描き繰り返しより有利な条件を求めながら、斬り掛かるタイミングを計っていたのだ。

 第13図、後手の攻め駒の銀2枚が7七、8八に利いておらず、多少の駒を渡しても、後手からの反撃に対処しやすくなっている。
 ≪頃は良し!≫
 ▲7一飛車成△同銀▲同龍と斬りかかる。
 △7二飛と受けて、第14図。

【続く】
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