英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『家政婦のミタ』 最終話

2011-12-22 19:46:17 | ドラマ・映画
 「お母さんになって!」………「承知しました」

 主婦のミタです
この家に、母親はふたり必要ありません。みなさん、これからも末長くよろしくお願いいたします」
「ミタさんではなく、お母さんです。いつまでも、家政婦扱いするのは止めてください」
「死んだお母さんと唄った歌なんて、忘れなさい」
ターミネーター主婦、ロボットお母さんの誕生である。

 家政婦の時より、パワーアップしたかのようなロボットぶりで、家政婦の時の方が、母性を感じさせた。しかし、食事中の厳しい言葉自体は、母親としての言葉で、正論ではある。かなりきつくズバズバ言っていたが、甘甘な阿須田一家にはちょうどいいかもしれない。聞いていて、うなずいてしまった。
 しかし、さすがに仏壇を燃やすのはやり過ぎで、子どもたちもついていけず、恵一の病室に避難。

うららは逆疫病神
 胃潰瘍、PCフリーズ、ゴキブリを踏むなど、阿須田家の面々は不運に見舞われる。まるで、うらら状態。最初はミタさんの神通力かと思ったが、どうやら、うららが阿須田家の厄災を一手に引き受けていたようだ。
 ターミネーター主婦+厄災で笑顔が消えた阿須田家、そんな状態になってみて、うららの顔が浮かんだ。「私が何とかするから」と言っているうららの顔が。うららは阿須田家にとって大切な人だった。(でも、厄災を引き受けると言っても、抱えきれず、周囲に撒き散らし、結局被害を与えていたんだけど、被害を拡大させていたかも)

ミタさんかうららか、お母さんかミタさんか
 ミタさんに「自分かうららか、どちらかを選べ」と選択を迫られ、悩んだ挙句、うららを選び、「あなた(ミタさん)はお母さんじゃない」と言う。

ミタさんの真意
 ターミネーター主婦、ロボットお母さんの真意は、子どもたちに主婦や母の務めを認識させ、そして、お母さんの代わりはいないと分からせるためだった。安易にミタに母親を求めた阿須田家の子どもたちへの戒めでもあるように思う。

7連発、うららへの叱咤激励
 7連発のビンタ、「あたしなんかより必要なんだから、ミタさんの方が必要なんだから、結ちゃん達には」といううららに対して。
 有無も言わさぬミタのビンタ(さすがにグーではない)に、ヘラヘラうららも
「ふざけんなよ~」と体当たりするうららに

「そうやって、怒ってください。
泣きたいときには泣いてください。
気を遣って、無理に笑顔を作るのはやめてください。
ご機嫌を取ったり、顔色をうかがうようなこともやめてください。
あの人たちの家族になりたいのなら。
本当に、あの家族を守る気なら。

あなたは、旦那様の妻にはなれないかもしれない。
子どもたちの母親にはなれないかもしれない。
でも、保護者にはなれます。
〈あたしが何とかするから〉
〈人を憎むより、好きになって欲しい〉
〈大丈夫だよ、ハートでぶつかっていけば〉
あなたが言ってきたことは、全部正しいんです。
ただ、伝え方が間違っているだけです。
これからは、甘いだけじゃなく、厳しいことも言ってください。
今までのように、あなたがババを引いて、
あの家族に降りかかる災いを、すべて跳ね返してください。
そして、最後には、いつもあなたの笑顔で、みんなを包んでください。
あなたは、わたくしのようになっては、絶対だめです」

「私は、ずっと、笑顔を忘れずに生きていく」
笑顔を捨てようとしたうららが、約束した。


 うららの良さも認め、正さなければならないことは正す。
 子どもたちの母親の代わりは、簡単にはなれない。
 そして、自分への戒めもあったのだろう。

 心に響く、ミタの言葉だった。


「勇気が出ました。今から言ってきます」って、え?
 うららの結婚相手の言葉。何言ってんだ?と思ったら
「その結婚、ちょっと待ったぁ!」
 『卒業』のように、結婚式の花嫁を強奪。
 新婦に逃げられた新郎、追いかけるが、見事にコケル。本当に見事に。
 と、誰かと思ったら、極悪の元部下の名取だった。
     わはは!すっきり。

変わった阿須田一家
 元愛人にも、隣のおばさんにも、救いの言葉を掛ける阿須田一家。
 これを見てミタも安心か。

 ミタ語録が後押しする。いつもと違う前向きな定義だ。
「奇跡というのは、普通に考えれば絶対起きない出来事が、そうなって欲しいと願う人間の強い意志でおきることです。奇跡は起こるから、奇跡と言います。自分には無理だからと諦めている人には、絶対起きません」

 この後、おばさんと息子・翼が抱擁し、それを優しい眼差しで観るミタ、わずかに微笑んでいたように見える。しかし!スポンサーのロゴがそれを遮ってよく見えない。邪魔!

「食事の用意が出来ました」の声が震えていた
 阿須田一家が変な顔をして振り返った時、ミタさんの顔がヒクヒクし、声が震えていた。絶対、笑いをこらえていた。その後、お腹も鳴らしたし。

「皆さんおかげで、少しですが、光を取り戻すことができました。ただ、死んだ夫と息子への思いは一生消えることはありません。ふたりを死なせてしまった十字架は一生背負っていくしかないんです。でも、これからは……皆さんのおかげで取り戻すことができた小さな灯りを頼りに家政婦として働いていこうと思います。自分の意思で」
 ミタの顔には明るさと柔らかさと、意思が感じられた。


ミタさんが笑った
「最後の業務命令です。ミタさん、笑ってください」
「(恵一の言葉なので、多少端折ります)今でも、亡くなったご主人と息子さんのために、笑ってはいけないと思っているんだろうけれど、そんなこと、本当にふたりが望んでいるとおもいますか?あなたは、生きているんです。………あなたは、ロボットじゃなくて、人間なんです。亡くなったご主人や息子さんのために、笑って欲しいんです。……笑ってください。ミタさん」

 少しうつむき目を閉じ、意を決したように眼を開き、
「承知しました」
そして

ぎこちなく微笑む。
ひとりひとりに微笑む。少し硬いが優しい微笑み。
子どもたちが、ミタさんに声を掛け、それに対し、
「承知しました」と答え、微笑む。
「承知しました」涙がほほを伝う。
「承知しました」
「承知しました」
「承知しました」
「承知しました」

「今度はあなたが幸せになる番です。あなたが幸せにならなかったら、ぼくは承知しませんからね」
「承知しました」
「これからは、いっぱいいっぱい笑ってね、ミタさん」
「承知しました」

 感動のシーンだった。ミタさんが笑顔になって本当によかった。
 ミタさんの心の殻を突き破るような強烈なエピソードがあるのかと思ったが、これはこれでいいのかもしれない。

 このあとの10分弱の別れのシーンは、冗長気味。
 最終話は、たぶん笑顔のシーンなのだろう。私も感動してしまった。でも、印象に残ったのは、ミタがうららに託した言葉や行為だった。
 特に「あなたは、旦那様の妻にはなれないかもしれない。
子どもたちの母親にはなれないかもしれない。
でも、保護者にはなれます。
〈あたしが何とかするから〉
〈人を憎むより、好きになって欲しい〉
〈大丈夫だよ、ハートでぶつかっていけば〉
あなたが言ってきたことは、全部正しいんです」


 は、心に響いた。「母親にはなれないかもしれない」というのは、最終回のテーマに沿った言葉で、感心した。



 各話に格となるエピソードがあり、それが強烈で、全体にビシッと筋が通り緩みがなかった。それも、単に強烈なだけでなく、各話の主題がきっちりしていて、それの決着もしっかりつけてある。
 さらに、それでいて、次回どう展開していくんだろうという期待感さえ抱かせる。その上、各話にユーモアも盛り込んである。感心したなり~!


【その他いろいろ】
・恵一「まさか、夫婦になるなんてことはないですよね」(少し嬉しそう)
・ポケットから書類を出す。ミタさんの事だから、婚姻届かと思ったら、やはりそうだった。もしかしたら、特別超過料金の請求書かと思ったけれど。
・婚姻届に署名捺印って、ホントに婚姻届を出されたらどうするつもりだったのか?


【ストーリー】(番組サイトより)
 阿須田家の子供たちから「お母さんになって」と懇願された三田(松嶋菜々子)が「承知しました」と返事をしたことを聞いた恵一(長谷川博己)は耳を疑う。事実を確認しようとした恵一に三田は署名・捺印済みの婚姻届を差し出す。恵一はすぐに結婚は考えられなかったものの、子供たちのためにも「ずっと家にいてほしい」と頼む。三田は、阿須田家の“母親”になった。

 喜ぶ阿須田家の子供たちだったが、三田は意外な行動をとり始める。

 そんな矢先、恵一が食事中に倒れ、入院してしまう。阿須田家は、しばらく三田と子供たちだけの生活になる。

 一方、恵一のことを忘れたいうらら(相武紗季)は見合い相手(勝地 涼)との結婚を決意し、結婚式の日取りまで早々に決めてしまう。そんなうららの前に三田が現れ、自分が阿須田家の子供たちの母親になったことを勝ち誇ったように告げる。

 三田が母になって以来、子供たちの周りで不運なことが次々と起こり、阿須田家には不穏な空気が漂う。困惑を深める子供たちは、三田が家を乗っ取るつもりではないかと疑い始める。

 三田の真意とは、一体何なのか?

 そして、阿須田家の人々との交流をきっかけに人間らしい感情を少しずつ表すようになった三田は、最後に笑顔を見せるのだろうか?


主婦になったのに、やはり食べない。
寝室は?それとも通い?
コメント (6)
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