12月4日記事
「『馬弾の射手』 中田章道七段作」の解答です。
持駒に金があれば、2五に金を打って一手詰。金がないので代わりに銀を打ってみますが、△3五玉(失敗図)と逃げられ失敗します。
初手はいろいろ浮かびますが、慣れた方なら▲1五飛成(途中図1)が第一感だと思います。
△1五同玉の一手に▲1六銀△2四玉までは一本道。ここで▲2五銀上と▲2五銀引が有力ですが、取り敢えず▲2五銀上(途中図2)としてみます。(ssayさん、出題記事のコメントで「右」と説明しましたが、「上」の方が良いです。「右」でも間違いではありませんが)
失敗図同様2五の駒が銀なので、するりと3五に抜けられて失敗かと思いますが
ここで、いままでじっと息を潜めていた馬が、その威力を発揮します。
▲1三馬!(詰め上がり図)
なんと、詰みです。
1三の馬が玉を射抜くような詰め上がり図ですね。
直前の▲2五銀上で▲2五銀引だと4五に逃げられてしまいます。
さて、今一度、失敗図をご覧ください。
詰め上がりが分かると、1三の飛車が邪魔だということに気づくでしょう。
問題図で飛車がいなければ、▲2五銀打△3五玉▲1三馬の3手詰めでした。
「詰将棋にすごく慣れた方」なら、飛車の邪魔駒消去の意でで▲1五飛成。ところが、「詰将棋に慣れた方」は、第一感で▲1五飛成が浮かび、結果的に邪魔駒消去することになって詰ましてしまいます。あまりに初手が第一感の手なのが、この詰将棋の弱点かもしれません。
とは言っても、初手は▲1五飛成の他にも、▲1四飛成、▲2三飛成、▲3三飛成など候補手がいろいろあります。
特に▲3三飛成は、
敢えて玉を攻め駒の龍と銀の裏側に逃がすという不利感を利用した詰将棋という匂いがします。
△3五玉に▲4五銀成!(誘惑図2)
とすれば、龍、馬、成銀が一気に利いて詰みます………が、4五に銀は成れない(反則)ので詰みません。