プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

改悪教基法成立 予想される今後の成行き 錯誤から出発した教育改革で現場はさらに混乱

2006-12-16 20:38:54 | 政治経済
安倍政権が臨時国会の最重要課題と位置づけた改悪教育基本法(以下新教基法)が、15日の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決され、成立した。徹底審議を求める圧倒的な教育関係者や国民世論を踏みにじっての暴挙であった。戦後レジーム(体制)からの脱却を掲げる安倍政権と安倍を首相に担ぎ上げた日本会議などの改憲右翼勢力にとっては満足であろうが、今後の事態はそう簡単ではない。可哀想なのは、今後ますます混乱するであろう教育現場に巻き込まれる子どもたちである。 . . . 本文を読む

07年度税制大綱 「海外と同等の条件に」の欺瞞性

2006-12-15 19:01:46 | 政治経済
自民、公明両党は14日、2007年度の与党税制改正大綱を決定した。年金課税の強化や所得・住民税の定率減税廃止で負担が強まる個人向けには、小規模な改正にとどめる一方で、安倍政権が掲げる「経済成長なくして財政再建なし」の成長重視路線を背景に、企業向けには、各種の企業減税を盛り込んだ。これには、マスコミも「1兆円減税 企業に厚く」、「税制改正 理不尽な法人税下げ」(「朝日新聞」2006年12月15日)など批判的である。多国籍企業の要求は、「グローバルな活動を進める上での基礎的な競争条件をそろえること」(御手洗・日本経団連会長)である。しかし、この「海外と同等の条件に」との言い分には数々の欺瞞が含まれている。 . . . 本文を読む

タウンミーティング――世論操作と傍観(観客)民主主義

2006-12-14 20:19:59 | 政治経済
小泉内閣が発足した2001年、この直後から「日本国民の声を聞く」と称して全国的に「タウンミーティング」が始まった。ところが、この「タウンミーティング」は巨額な税金を使った政府による大掛かりな「世論操作」であったことがわかった。問題の発端は青森県教組と青森高教組の訴えを日本共産党の石井郁子議員が11月1日の衆院教育基本法特別委員会で暴露したことであった。9月2日に青森県八戸市で行われた「教育改革タウンミーティング」で、内閣府が県教育委員会に依頼して教育基本法改悪法案に賛成するよう学校関係者に「やらせ質問」をさせていたのである。民主主義が「傍観(観客)民主主義」であるとき、権力者とその手先による「世論操作」が常に付き纏う。 . . . 本文を読む

経団連「御手洗ビジョン」の反国民的攻撃に総反撃を

2006-12-13 19:06:31 | 政治経済
奥田―小泉・竹中ラインによる「構造改革」の推進に味をしめた御手洗・日本経団連会長の好き勝手な横暴が目だっている。「朝日新聞」(2006年12月12日)によれば、来年1月1日に発表する御手洗ビジョンは「希望の国、日本」と名づけられ、法人税減税と消費税率の引き上げを柱とする税制改正や「労働ビッグバン」といった経済的なテーマだけでなく、憲法改正、愛国教育なども盛り込まれているという。「希望の国、日本」は明らかに安倍の「美しい国へ」を意識したもので、安倍政権を下僕として使いながら財界の思い通りの政策を国家権力を通じて実現しようとする意図を示すものだ。このままでは中流以下国民の総貧困化と多国籍企業とその一部関係者だけがひとりこの世の春を謳歌する社会となることが必至である。そして、多国籍企業の権益を守るために、貧乏人の子どもはやがて“自発的”に軍隊にいくほかないのだ。 . . . 本文を読む

教育基本法「改正」を突破口として安倍「教育再生」がやろうとしていること

2006-12-12 19:34:56 | 政治経済
国会会期末が15日に迫るなかで自民、公明両党は、安倍内閣が最重要と位置づける教育基本法「改正」法案をなにがなんでも今国会で強行成立させる腹である。なぜ教基法改悪をそんなに急ぐのか。それは、安倍「教育再生」が支配階級が狙う「教育改革」を新教基法の成立を前提にして一気に全国展開することを目指しているからである。つまり、新教基法の成立は、安倍「教育再生会議」とセットになっており、まず新教基法を通し、次に再生会議で改革を具体化する内容を議論の上、新教基法17条の「教育振興基本計画」としてオーソライズし、全国的に貫徹させることが目論まれている。それでは、教育再生会議のお墨付きを得て教育振興基本計画の中にどんな内容を盛り込もうとしているのか。 . . . 本文を読む

変わるか“石原タブー”――マスコミは石原知事の都政私物化批判にどこまで迫れるか

2006-12-11 19:14:56 | 政治経済
日本共産党都議団が、石原慎太郎知事の物見遊山超豪華海外出張や画家の四男を、都の芸術関係の事業に深くかかわらせている“都政私物化”を告発した。福島、和歌山、宮崎の官製談合事件と形態は違うが、ともに知事による貴重な税金の無駄遣い・公金費消そのものである。これまで“空疎な小皇帝”(斉藤貴男)がいくら乱暴狼藉を働いても日本共産党と一部の心ある文化人以外は口をつぐんできた。しかし、今回は多くのメディアが共産党の告発を報道した。それでもまだ、石原知事の「(息子は)余人をもって代え難かった」とか「(支出に)違法性はない」などの言い分を無批判に報道するなど及び腰である。首都の知事の資格もない“空疎な小皇帝”をここまでのさばらせたのは、権力の脅しに弱いマスメディアの提灯持ちと口だけの勇ましさにコロッと騙される東京都民の責任である。 . . . 本文を読む

米議会「慰安婦」決議の行方―安倍首相の政権運営の思惑と「慰安婦」問題の国際的到達点

2006-12-10 20:30:52 | 政治経済
アジア太平洋戦争中のいわゆる「従軍慰安婦」について、日本政府に責任を認めるよう求める決議案は、九月に米下院外交委員会を通過したが、日本政府の必死のロビー活動で本会議での採決が妨害され、今議会での採択は実現しなかった。ただ、「慰安婦問題ワシントン連合」のオクチャ・ソック会長は、決議案が本会議の採択まであと一歩で実現しなかったことは「残念」だが、「委員会で通過したことは大きな成果」であり、「(来年一月からの)次期議会では、積極的な可能性がある」と語っている。決議案が1月から始まる米議会(第110会期)に再び提出されることはほぼ確実な情勢である(「しんぶん赤旗」2006年12月7日)。 . . . 本文を読む

経済力1位、2位の国は、貧困率も1位、2位―米国型不平等放置社会の到来

2006-12-09 20:17:49 | 政治経済
国内総生産(GDP)世界1位、2位のアメリカ、日本が経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で(相対的)貧困率も世界1位、2位と聞けば多くの人は一体何で?となるであろう。今年の7月にOECDが公表した「対日経済審査報告書」には、この驚くべきデータが示されている。これは、生産年齢人口(18歳から65歳以下)を対象に、税金や社会保障の負担などを引いた後の自由に使える所得である「可処分所得」について分析した結果、同所得分布の中央値の半分以下の所得しかない人口の割合(相対的貧困率)は、1位のアメリカが13・7%、続いて日本が13・5%であった(3位はアイルランドで11・9%)。 . . . 本文を読む

『武士の一分』――「労働者の一分」は?

2006-12-08 20:45:07 | 政治経済
山田洋次監督作品『武士の一分』を観た。「武士の一分」とは、侍が命をかけて守らねばならない名誉や面目をいう。 人には命をかけても守らねばならない一分(いちぶん)がある。譲れないものが何であるかは人によってさまざまだろう。藩主の毒見のために盲目となり、職を失いそうになった、愛する夫・三村新之丞(木村拓哉)のため、口添えを得ようとした、愛妻・加世(檀れい)は、藩番頭・島田藤弥(坂東三津五郎)の罠にはまり、身を捧げてしまう。素朴だが、こころ豊かで幸福な日々の生活。その「譲れないもの」を権力者によって無慈悲に奪われたとき、妻は夫のために身を捧げ、夫は妻のために”一分”をかけて自らの命を賭けるのだった。 現代日本の大企業や公務職場にも、「労働者の一分」をかけてたたかう人々がいる。 . . . 本文を読む

時代遅れの軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)と日米同盟の連携を画策するブッシュ政権

2006-12-07 18:57:46 | 政治経済
イラク戦争に失敗し、選挙に負けてもブッシュ政権は「世界の警察官」の地位を降りるつもりはない。アメリカはその覇権主義、帝国主義的野望をアメリカの主導のもとに有志連合を組織することによって遂行しようとしている。そもそもNATOにせよ日米同盟にせよ、仮想敵をもつ軍事同盟は、仮想敵をもたず加盟国内部で問題を解決するという国連憲章の集団的安全保障制度と異質のものであり、ソ連崩壊とともに過去の遺物となるべきはずのものである。 . . . 本文を読む

暴行米兵に終身刑  主権意識の高いフィリピン人

2006-12-06 20:13:09 | 政治経済
フィリピン人女性をレイプしたとして起訴されていた米海兵隊ダニエル・スミス被告(21)にフィリピンのマカティ裁判所は四日、禁錮40年の有罪判決を言い渡した。フィリピン国内での米兵の犯罪で有罪判決が出されたのは、上院が1999年に「訪問米軍の地位に関する協定(the Visiting Forces Agreement:VFA)」を批准して以来、初めてである。今回の判決の背景には、事件をきっかけに、米国との軍事協定のもとでの「主権とは何か」をめぐる国民的な論議の高まりがある(「しんぶん赤旗」2006年12月6日)。1992年にスビック(SUBIC BAY NAVAL BASE)、クラーク(CLARK AIR BASE)2大米軍基地を全面撤去させたようにフィリピン人は主権意識が高い。日本人が見習いたいところである。 . . . 本文を読む

チャベス大統領圧勝 中南米で進む米国流支配からの決別と社会変革の新しいうねり

2006-12-05 19:01:14 | 政治経済
南米ベネズエラの大統領選挙は3日投開票され、現職のチャベス大統領(52)が大差で三選を果たした。ラテンアメリカでは、10月末からブラジル、ニカラグア、エクアドルの大統領選挙で、米国流の新自由主義の押し付けと内政干渉に抗し、自主的な経済政策、社会開発をめざす政治勢力が連続的に勝利している。チャベス大統領の勝利はこうした自主的な流れをさらに強めるものと予想される(「しんぶん赤旗」2006年12月5日)。 ラテンアメリカの選挙での新自由主義とのたたかいは、日本と似た側面がある。米国の影響の強い経済界やマスメディアやの包囲をどう打ち破るかは日本と共通している。チャベス氏は最近、社会変革の目標として、「21世紀の社会主義」を議論しようとも提起している。先進資本主義諸国では、多国籍企業本位の新自由主義が跋扈し革新勢力が押され気味のなかで、長い間「米国の裏庭」と呼ばれてきた中南米の社会変革のうねりはおおいに注目されるところである。 . . . 本文を読む

「いざなぎ景気」を超えた景気は何「景気」―その特徴は? 貧困化の新しい日本型形態

2006-12-04 19:18:21 | 政治経済
11月の政府「月例経済報告」は、今回の景気拡大が58カ月となり、「いざなぎ景気」(1965年11月から70年7月までの57カ月つづいた景気拡大)を超えて、戦後最長記録を更新したと発表した。「いざなぎ景気」に対して今回のこの景気をなんとネーミングするか。どのような思いがあったのか、当の大田弘子経済財政相は「ノーアイデアです」とのことだった。すでに、一部の経済評論家からは、「実感なき景気」とか、「リストラ景気」「格差型景気」「蜃気楼(しんきろう)景気」「低体温景気」などなど、さまざまなアイデアが提案されている。雑誌『経済』編集長の友寄英隆さんは、「今回の『最長景気』が続けば続くほど、『景気の二極化』がひどくなり、格差が拡大し、矛盾がさまざまな分野、さまざまな形態で噴出しつつあるという特徴を一言で表現するために、かつてない日本型の異常な『格差景気』と名づけてみたいと思います」と語っている(「しんぶん赤旗」2006年12月4日)。 . . . 本文を読む

大手銀行史上最高益なのに法人税ゼロの不思議―法人課税のあり方はこのままでいいのか

2006-12-03 20:19:48 | 政治経済
税金を注入された銀行が史上最高益をあげているのに、自らは税金を払っていないことに風圧が強まっている。そのうえ、自民党への献金再開を検討しているとあっては、国民は納得できない。銀行のあり方として正常かとの声が、預金者などからあがるのも当然である。しかし、いまの法人課税のあり方でいえば「欠損金の繰越控除」制度は国際的にも認められており、銀行はルールに従っているだけと主張する。大小さまざまな法人を一律に扱う法人課税制度は、国際的に見直されるべきである。 . . . 本文を読む

儲かったから、オレの税率をさげよ―大企業の横暴を代弁する政府税調

2006-12-02 19:04:36 | 政治経済
政府税制調査会(会長・本間正明 阪大教授)は1日、07年度税制改正の答申を安倍首相に提出した。減価償却制度の見直しなど各種の企業減税を盛り込んだほか、法人税率については今後引き下げを検討するとしている。財界の声を代弁したものである。彼らが(安倍首相も含め)「わが国経済の活性化」をいうとき、国内総生産(GDP)の55%を占める個人消費のことは眼中にない。庶民を踏みつけにしておいて儲かった分、税収増があった筈だから、“オレたちの法人税の実効税率を引き下げよ”というわけである。 まともな経営者なら、儲かったのなら踏みつけにした庶民に還元する、直接関係者に還元できないのなら、国の税収を通じてお返しすることを考えるのが当たり前であろう。トヨタやキャノンのような多国籍企業の代表が経団連の会長をやるようになって日本の大企業は最後の「品格」まで失ってしまった。こんな連中と安倍、本間のような下僕たちを決して思いのままにさせてはならない。 . . . 本文を読む