プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

『武士の一分』――「労働者の一分」は?

2006-12-08 20:45:07 | 政治経済

北九州市の労働者9人は、七日、北九州西労働基準監督署に対し、新日本製鉄の思想差別是正のための指導・勧告をするよう申し立てを行った。新日鉄は、新日鉄広畑争議の和解(昨年12月)に際し、反共労務政策や日本共産党員の差別を断罪した神戸地裁判決を真摯に受けとめ、思想信条による差別をなくし、「公平・公正な処遇」をすることを約束していた。しかし、この約束は口先だけだったのだ。<o:p></o:p>

内部告発による新日鉄の「ブラック・リスト」よれば、会社は共産党員ら279人の一覧を作成し、「1=共産党員」「ア=特ランク」などと労働者をランク付けし、一人ひとりについて職場で話した内容や地域でのビラ配布、共産党後援会まつりへの参加など克明に行動を記録していた。申し立てた労働者、野澤政治さん(58)らは、勤続35年以上になるのに、勤続20年前後で昇格する主事に昇格できず、年収で200万円も下回るなど数十年にわたって差別を受けていた(「しんぶん赤旗」2006128日)。<o:p></o:p>

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新日鉄だけでなく、日本の大企業の多くは「職場に憲法は通用しない」といって、日本共産党員への迫害や差別を見せしめにして労働者全体の支配をすすめてきた。企業にとっては、仕事の出来栄えよりもなによりも資本主義社会の真実を知る者が怖かったのである。<o:p></o:p>

新日鉄・広畑は「厚生施設管理マニュアル」と題した極秘文書を作成し、日本共産党員や支持者とみなした者をリストアップ。「思想偏向者の把握」「特定新聞」「思想偏向者対策」「活動家の転向指導」などの項目で自治会や組合役員選挙、各種サークルでの活動、「しんぶん赤旗」などの購読について把握し、変節させるマニュアルまで書いていた。変節しない者には、職場の野球チームから退部するよう勧告したり、仕事に必要なクレーンやフォークリフトの免許を取らせないなどの嫌がらせをやり、ついには“隔離職場”に押し込めるのであった(「しんぶん赤旗」20051227日)<o:p></o:p>

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いうまでもなく、資本主義企業に雇われる労働者は賃金と引き換えに「労働力」を売っているが、労働者自身を売っているわけではない。ところが、雇い主がほしい労働力を発揮した成果=「労働」は「労働者」とは切り離せない。「労働」を欲しい雇い主が会社の中だけではなく、そとに出た労働者の生活も24時間監視しておきたがるのは、このためである。

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なぜ企業は日本共産党員を嫌がるのか。彼らは、企業に雇われる以外生きるすべのない労働者を支配するために、常套手段として日本共産党員や支持者を“企業破壊者”として敵視するイデオロギーを使う。こうして大企業職場で要求実現の先頭に立つ日本共産党員たちを排除し、労働者の団結を破壊して、自由にものがいえない職場をつくり、やがて支配の本質を隠すことで労働者全体の支配を強めるのである。

概して日本共産党員や支持者はよく勉強する。勉強すると資本主義社会の仕組みの秘密を知ることになる。秘密を知った労働者は、自ずから「労働者の一分」が何であるかをそれぞれが獲得することになる。

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『武士の一分』で木村拓哉扮する三村新之丞が最後にしみじみという。「真実を突きとめないでアホのほうがよかったかナ(―軽口をたたいてアホだナというのが新之丞の口癖だった)。いやアホのままでいい筈がない」


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