活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

金持ち優遇税制で広がる格差

2010-07-06 19:53:04 | Weblog
菅首相が4日、TV番組で所得税の最高税率を引き上げたいこと言及した。遅きに失した感があるが、その必要性を問うたことは評価したい。

本来であれば、消費税増税の論議より先に「所得増税ありき」で切り込むべきことだった。その意味では選挙を控え、順序が逆になったことで、戦術上の影響が懸念される。

わが国を覆う貧富の格差は「構造改革」により作り出された。国民には痛みを押しつけ、大企業や富裕層には規制緩和し、さまざまな恩恵を与えてきた。なかでも税制面での優遇は特筆すべきものだった。

所得税については、最高税率を70%から段階的に40%に引き下げたことである。また、株式等の配当金への課税も20%から10%に一気に引き下げた。「預貯金より投資を」の政府のかけ声のもと、時限立法されたが、すでに10年近くになるが、税率はそのまま放ったらかしされたままである。

これらは「カネ持ち優遇」と散々批判を浴びたが、ときの政権はその都度頬かぶりしてきた。政治はいつの時代も大企業・富裕層には手厚く報いる。一方、大勢の一般庶民には耳を貸さない、高圧的態度を取り続ける。

さて、本題の所得税であるが、最高税率を元の70%に戻すべきである。併せて配当等の税率も30%を基準に設定することだ。決して高い税率ではない。これでようやく先進国並みの税率になるからだ。

税率引上げで税収不足は改善される。今世界の趨勢は富裕層への課税強化にあること心しておきたい。放置すれば格差が広がり、社会不安を招くからだ。

常識外れの低税率で、カネ持ちを優遇してきたことは階級社会の固定化を招いた。政治の失敗であった。これを是正したい菅首相発言は、選挙向けのパフォーマンスでなければ一定の理解はできる。大いに進めてもらいたい。

ところで、今度の総選挙、税論議が沸騰しているが、真に国民のためを思ってのことか、慎重に見極めることが大切である。そのためには、いつも冷静な「眼力」だけは養っておきたいものである。


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