今回のハートブレーク・ホテルは、昨年の12月28日の私のブログ、「まい フォトブログ 75」に
書けなかった「サイゴン ハートブレーク・ホテル」の読後の感想です。
表題の本は、著者が10年を越えるベトナム戦争の取材で知り合ったカメラマンや記者たちを
とおして、ベトナム戦争が何であったか、何をもたらしたかをを問いかけたもので、大宅賞を
もらった第一作、「キャパになれなかったカメラマン~ベトナム戦争の語り部たち~」につづく
第二作です。
内容は7章からなっており、今回は、「フォトブログ」で書けなかった、第6章、「日本人記者群像」と、
第7章の「記者たちの戦争症候群」について書いておきます。
ここで、彼が言う、日本人記者は、主として新聞記者であり、著者の経歴からも毎日新聞の記者
がしめるスペースが大きい。
どの記者も、著者の質問には丁寧に答え、自分の意見を率直に語っている。
その受け答えが、テンポよく整理され、読む者には歯切れよく、あの戦争が何であったかを語り
かけてくれる。
戦争症候群については、それぞれの記者の中に、35年を経て具体的には残っていないようだが、
「何かを書き残したい」という気持ちが強くあるのを感じた。
しかし、その人たちも、もう書くだけの多くの時間が残っていない年齢になっている。著者の問い
合わせに、「自分のおもう真実を語りたい」という気持ちが読むものの心を打つ。
著者にとって、ベトナム戦争がなんであったのか。その答えを探す旅が、まだ、終わりでないこと
を強く感じさせてくれた。
とにかく、著者と出版社の語らいが、うまくかみ合った、素晴らしい出来映えの一冊になったとい
える。
(写真は、本の表紙と講談社の新刊案内のパンフレットから借用しました)