STILLENスーパーチャージャー with カム 解説。


今回のクライアントからの依頼は更なるパワーの上昇でした。 STILLENスーパーチャージャーを装着した際に、既にブーストアッププーリーを組み込んでいるため過吸気側でのパワー上昇は見込めません。
と、なればエンジン内部に手を入れるしか方法はなく、ハイカムの装着を提案することになりました。 画像手前が272度 11.0mmリフトカム ハイカムというと尖ったイメージを持つ方が多いですが、実は緩やかな山を持つ(バルブを開ける時間が長くなる)方がハイカムです。


まだ、走行距離は5000kmのほぼ新車の個体へメスを入れていくのは緊張するもので、通常VQエンジンへのカムシャフト交換の際にはエンジン着脱が一般的なようですが、手間、工数が増えても可能ならば余計な箇所の着脱を避けたかったので、エンジンは搭載したままバラすことにしました。
フロントカバーを外すのが大変で、相当数のネジが存在します。 また、VVELが装着されているインテーク側はとても複雑な形状を持っていますが、ひとつひとつ丁寧に作業を進めていきました。


現段階では世界中を見渡してもインテーク側のハイカムは存在しないようですが、VVELキラーを用いて機械的に動くインテークカムシャフトを作っても面白いかもしれません。 やはりVVELは複雑すぎて高回転でのトラブルが心配です。 そのスペックから見ても本来ならば9000rpm程は回したいのですが、どうも骨の細さが脳裏から離れず最終的には8000rpm仕様としてまとめました。


エンジンを組み上げると元通り。 外観上ではまったくもって見分けがつきません。



出力がある車はセッティングが難しいのでシャーシダイナモを用いたセッティング(高負荷、全開時のみ)にて各部確認と、エンジンマネージメントの最適化を行います。
インジェクターとエアフローセンサーが純正とは変わっていますので、全体的なスケールの再調整、確認も同時に行っていきます。


スーパーチャージャーを搭載した場合。 ほぼ、このようなパワー/RPMグラフが出来上がります。
高回転になるほどパワーがついてくる絵です。 だから、より高い回転数でエンジンを回せることが有利になりますが、だからといってブローしては身も蓋もない。 ある程度の回転数でパワーがついてくる体力が求められます。


最終的には実測484.8PS/7850rpm(TCF1.15係数換算後 557PS) この日エンジンセッティングのみで50馬力近い上昇を手に入れることに成功。  全体的なスケールの見直しや、UpRev Osirisをフルに使用し左右バンクでの空燃比の誤差を調整できたことが大きな結果となっています。
高速道での確認の際、BMWアルピナB5ビターボに遭遇。 アクセルを踏み込んだ瞬間の加速では僅かに離されますが、それ以上は離されることはなく"ほぼ"同じ速さで走ることができました。
帰社後、インターネットでB5のスペックを調べると最高速度: 328 km/h 最大トルク: 81.6 kgm 最高出力: 600 PS のモンスターと判明。
加速時に離された要因はトルク差でしょうが、その後のランデブーに付き合うことができた要因は相違ないパワーを持っているという事実の表れで、やはりSTILLENスーパーチャージャーは侮れない存在との証明を身を持って行うことができました。


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