難しい話

実は、当初上手くいかなかった話。。。

今更ですが、デイトナではフェアレディZをメインで販売、メンテナンス、各種モディファイを得意としております。
その中でも特に足回りのモディファイは得意中の得意。 Z32に関しては、僕は世界で一番の理解者ではなかろうかと言う位 得意としています(笑)
しかしZ33では、まだまだ研究の余地があります。 意外とリアのバネ形状で全体の動きが変わったりもしますし、Z32ではあまり考えなかったレバー比の問題なども合わせると、それなりに難しい所もあります。

つい最近 ビルシュタイン製ダンパーを造りました。
本来なら、最も得意とする「はず」でしたが。。。
あまりダンパー内部や仕様等詳しいことを書いても、話の本題からはかけ離れますので省略しますが、早い話 僕が車の仕様やオーナーさんが求める内容を聞きBSC(サービスセンター)に伝えます。
「○Kgのバネを使用します。 タイヤは○△です。 ステージは◎です。 車の仕様は◇です。 ですので、これにあうような仕様で減衰力を造って下さい。」と言うようなオーダーですね。
これに対してBSCは「じゃあ 全体的に○の方向で造りましょうか?」と言うような意見が出てきますので、イメージで作り上げて行き製品化していきます。

3週間ほど待ち 待ちに待ったダンパーが届きました。
すぐさま組み込みオーナーに乗ってもらいます。
オーナーがいつも行くステージでの試乗です。 ところが、、、
「どうもイマイチ オーダーの内容と違うような気がする」とのコメント。 
話を聞くと、どうもリアが柔らかすぎて、フロントの縮みが軟すぎ、伸びが速すぎるような内容ですので、フロント、リアの伸び、縮みの強さ、スピードについて分析しながらBSCに意見を出しました。
「要望していた特性と違うんじゃないか?」と率直に言いました。

すると担当者は「え! どこが悪いですか? 今の流行はこのような特性ですよ。 この仕様のほうがタイムも出ますよ」と言ってきました。
もう少しわかりやすく話をしますと、担当者は担当者で車のトラクションがかかるようにするために、僕の要望を聞いたうえで、もっと良くなるようにとスパイスを効かせたということ。 マッチングさえ合うのでしたら最高とは思いますが、残念ながら今回はマッチしませんでした。 こういうときは難しいところです。
担当者の思いや流行は今回の仕様なのかもしれないが、僕が出した要望 オーナーの好みとはまったく合わないのだから、その時点で話はかみ合わないのです。
おかしな話ですが、若干にらみ合いみたいな状況でした。
詳しい数値を担当者に聞くと、やはり僕等が考えていたものに対して2,30%減衰力が足りないなど。 やはり当初の目標より脱線しているのは確かなようでした。 
渋々、「あの仕様の何が悪いんですかね~ まあ良いです 作り直したらいいんでしょ」的な流れでしたが(笑)

改善策をもう少し数値化してBSCに伝えダンパーの仕様変更をお願いしました。

2週間後

今度はとても素晴らしい仕様のものが届きました。
オーナーの理想に近いダンパーですので、それはそれはご機嫌さんで、
思いどおりのダンパーになったとオーナーも非常に喜んでくれています。



当初オーダー内容と若干の違いがあり、少し険悪ムードにもなりましたが、それはそれで真剣にオーダー内容を考えてくれてた結果だと 僕は受け止めています。
相手も仕事ですので、こちらのオーダー通りにチャッチャッと組み上げてしまえば簡単でいいのでしょうが、経験も豊富な担当者さんなりに良いイメージで組み上げて自信を持って納品してくれたのが最初の製品だと思います。
ところが僕が「ぜんぜん違うんじゃないの!」みたいな言い方をしたもんだから「何だこの野郎~ お前に良さなんて解るんか!」となったわけでして(笑)
2回目はもっと入念に打ち合わせを行いました。
担当者さんは何度も打ち合わせの電話をくれたり、真剣にダンパーを考えてくれました。
それで出来上がったのが写真のダンパー  とても素晴らしく仕上がった1品です。 
お客さんへは納期を延ばしてもらいご迷惑をおかけしましたし、少しだけ遠回りしてしまいましたが、僕が考えたダンパーを評価してくれるお客さんや、僕の考えを物にしてくれるビルダーさんあってのものだと。
改めて感謝します!




















« 王道 BIGスロットル »