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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Missing You by Harlan Coben

2015-03-29 10:08:08 | 読書感想


40歳になったNYPDの刑事Kat Donovanは、ボーイフレンドを持たない彼女を心配した親友のStacyから出会い系サイトを紹介される。
共に夜を過ごす男性を欲しいと思っていた彼女はそのサイトにログインしてみる。そこで彼女は18年前、彼女の元を去った婚約者Jeff Raynesの写真に出会い、呆然とする。18年前、彼女が22歳の大学生の時、ふたりは出会い、婚約したが、警察官である父親がマフィアの殺し屋に殺された後、二人の関係はぎくしゃくするようになり、Jeffは彼女の元を去っていった。
Jeffのプロファイルを見たKatは彼が今、男やもめであり、交際相手を探していることを知り、また、交際を復活できる可能性を考え興奮する。彼にどんなメッセージを送るか、さんざん逡巡したあげく、彼女は、かって二人が一緒に聞いた忘れられない想い出の曲「missing you」のMusic Videoのサイトをリンクしたメッセージを送る。
しかし、Jeffはその曲についても、ネットに公開した彼女の写真を見ても、彼女が誰か気づかないようだった。彼女は人違いしているのか、確かめるために自分がKatだというメッセージを送る。最初、Jeffはその名前に覚えがないというメッセージを送ってくるが、さらに彼女が彼がJeffであるかどうかの確認のメッセージを送ると、彼はJeffであることを認め二人の関係は終わっていると告げ、彼女を落胆させる。

そんな中、Katは、かって、父親の相棒で、今は上司のStaggerから、彼女の父親を殺し、現在、終身刑で収監中の男Monte Leburneが末期癌で危篤状態であると教えられる。男は殺し屋でマフィアのボスCozoneに命令されて父を殺したと思われていたが、彼は取り調べ中に殺害を命令した男については頑なに名前を言うことを拒否していた。
彼女は、この18年間、何度も彼を訪ね、首謀者の名前を明かすよう求めていた。Katは、これが最後のチャンスだと思って彼に会いに行く。彼と会った彼女は、痛み止めのモルヒネの作用で意識朦朧としている彼が、自分は警官を殺していないと独白するのを聞き、衝撃を受ける。
彼によると、逮捕された後、男が会いに来て金と引き替えに警官殺しの罪をかぶるように要求。他に二人殺していたことで、すでに終身刑が確定していた彼は、もうひとつ罪を認めても代わりはないと考えて自白したと告白する。
彼女は、新しい発見に興奮し、上司のStaggerにMonteの告白を話し、再捜査するよう求めるが、彼は、Monteは長年つきまとってきた彼女をからかうために、そのような告白をしたと主張し、要求を却下する。
しかし、彼女は、この事件について、Monteのものでない指紋が現場で検出されていることや、父親の場合だけ、彼の殺害の手口が違うことなど、つねづね疑問に感じていることがあった。父親を殺した犯人を逮捕することに執念を持っている彼女はStaggerの意見に納得せず、独自に事件を捜査することを決意する。

Jeffに振られてから2週間後、Katは署に少年の訪問を受ける。Brandonと名乗る少年は母親が行方不明になっており、行方を探して欲しいと話す。大学でPC技術を学んでいる彼の話によると母親Danaはボーイフレンドと旅行に行くといって以来、連絡が3日間ないという。
彼女はBrandonが他の刑事に事件を話さず、彼女を指名してきたことに不審を覚え、母子の身元を調べ、二人はConnecticut州に住んでいることを知る。なぜ、彼が管轄違いの彼女を訪ねてきたのか問いただした彼女は、母親はKatが登録している出会い系サイトでボーイフレンドと知り合い、その相手はJeffであることを知る。BrandonはサイトをハッキングしてKatとJeffがメッセージをやりとりしたことなどを調べていた。

Brandonは、父親が3年前に死亡して以来、常に毎日、彼の居場所、安否を確認してくる母親が電話をしてこないのはおかしいと言い、さらに、今まで一度もATMを利用したことがない母がATMで千ドルの大金を引き出したのも異常であり、母親は何か危険な目に遭っていると主張する。また、相談した地元の刑事は頼りにならないと言い、彼女に捜査を依頼する。
彼女は少年の母親に対する思いに、自分が父に対して持っていた思いを重ね合わせ、管轄が違うと言いながらも彼のために捜査を進めていくことを決意する。それは、彼女が今も思い続ける元婚約者のJeffの現在の状況を調べることを意味していた。

Katが過去からずっと引きずっている謎、父を殺すように指示した男は誰か、そして、彼の婚約者はなぜ、突然、彼女を捨て行方をくらましたのか?いま、それらの謎が新展開を見せ、彼女の前に立ちふさがってくる。彼女は、その謎を解明すべく全力を挙げる。

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日本でもよく事件が起きる出会い系サイトを利用した拉致事件。誘拐された人がどうなるのか、誘拐犯の立ち回り形がうまくて、Katが誘拐事件に気づきそうで、なかなか気づかない、何時、気づくのか気になってなかなか読むのをやめられず、けっこう夜遅くまで読み続けた。

最後は思いがけない展開。捜査を続けるKatに、誰かが言った忠告が的を得ていたように感じる終わり方だった。

Katは捜査官として、とても魅力的なキャラ。気になることは、たとえ上司と対決しても、納得行くまでねばり強く捜査を続ける。私的に気になることがあっても、事件に考えを集中しようとするタフさ。でも、思い続けた男にふられて独り泣く、精神的に弱い一面も持っている。Stacy、Cjazなど、まわりのキャラも良い。シリーズにならないかな。

 ★★★★  410ページ Kindle版 786円


Bear is Broken by Lachlan Smith

2015-03-18 17:35:42 | 読書感想

2014 SHAMUS AWARDS BEST FIRST P.I. NOVEL

サンフランシスコ、司法試験に合格し弁護士資格を得たLeo Maxwellは、ここ4ヶ月間、刑事裁判を専門とする弁護士、兄Teddyのもと で法律実務を学んでいた。
ある日、二人でレストランで昼食を取っているとき、Leoの背後からサングラスと帽子で変装した男がTeddyを銃撃し、仲間の車で逃走する事態が起きる。すぐに救急車で病院に運ばれたが、Teddyは頭部を撃たれ、意識不明の重態。
事態に呆然とする彼の下に、Teddyが撃たれたという噂を聞きつけた依頼人から裁判を心配して電話が立て続けにかかってくる。Teddyは犯罪者の間で無罪を勝ち取る優秀な弁護士として知られていた。事態に動揺する彼らに、Leoは兄が無罪を勝ち取るために行ってきた弁論を無駄にする裁判のやり直しよりも、自分が事件を引き継いで裁判を継続していくことが、兄の意志だと考えて、彼が代わりに弁護を行っていくという決意を彼等に伝える。

また、Teddyは二人の警官を殺した男Ricky Santorezを無罪にしたことで警官たちから嫌われていた。この事件を担当した刑事が捜査に積極的でないことを憂慮した彼は、意識不明の兄のベッドに付き添うよりも、彼を撃った男を突き止めることが兄の意志だと信じ、独自に調査を開始する。
調査を始めたLeoは 兄が仮眠するために事務所近くに借りているアパートで二人の女性が、また、事務所でTeddyが雇っている探偵が、そしてTeddyの家では別れた妻が、室内を物色している場面に遭遇する。彼は 彼らが何を探しているのか、考えることも問うこともできなかった。何故なら、Teddyと12歳、歳が離れているLeoは、常に兄に庇護されて生きてきたが、Teddyの女性関係や交友関係、過去の仕事などまったく知らなかった。

そんな中、Teddyの元妻Jeanieは、TeddyはS-and-M homicideと言われる事件に関連して銃撃されたのではないかという推測をLeoに話す。2週間前、Green Lightと呼ばれる風俗店の前で、大学教授の死体をゴミ箱の裏に隠そうとしていた店の従業員Keith Lockeという30代後半の男が殺人の容疑で現行犯逮捕される。彼は、Teddyを弁護士に雇い、自分は犯人ではない、真犯人を知っているとTeddyに話す。 Teddyは彼の話を信じ、後日、彼が警察に出向き、真犯人を教えるということで、警察に彼を釈放させたが、彼はそのまま行方をくらましていた。Teddyを撃った男は、Keithが名指ししようとした真犯人で 彼にそのまま沈黙を守るようにというメッセージを伝えるために 彼を撃ったのではないかと。他に何の手がかりがないLeoは、Keithの行方を知っているかどうか尋ねるためKeithの家族に会いに行く。そこで LeoはTeddyのアパートで会った女性がKeithの妹であることを知る。

そんな時、捜査を担当している刑事からLeoに電話があり、Ricky Santorezが殺し屋を雇ってTeddyを殺そうとしたという密告があり、警察はSantorezを逮捕するつもりだと話す。そして、密告者は終身刑で収監されている彼の父親Lawrence Maxwellだと告げる。彼は十数年前、妻を殺した罪で終身刑を言い渡されていた。Lawrenceは無実を主張し、兄のTeddyは彼を信じ、今でも彼の釈放を求めて運動しているが、Leoは彼が母親を殺したと信じ、以後一切、彼との関係を絶ち、父親の記憶を消去しようと努めていた。LeoはSantorezの犯行 だという父親や警察の主張に賛同せず、彼の無罪を証明しようと行動する。それは彼の父の無罪を信じる兄と有罪を信じる彼との長年にわたる家族の葛藤に彼を引きずり込んでいくことになる。

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まだ弁護士としては半人前、Monkey Boyと揶揄され、Teddyからも調査で会う人々からも軽視されていたLeoが、調査を進める過程で成 長していき、兄のように自分の思い通りの結果を得るためなら手段を選ばない法律家になっていくようすが述べられていく。

物語の結末、いまいち迫力不足。また、プロットが複雑にからみあってしまっていて、各キャラクターの関係が、最後、どうなったのかよくわからなかった。

Leoのキャラクター、まあ、Monkey Boyと言われるのも納得するほど。兄が回復する可能性10パーセントと医師に告げられた時の動揺、植物人間になって生きるのは兄の意志に反すると考えて、死んだほうが良いのでは思ったり・・・昔見た「金田一耕介」の映画に出てく る狂言回しの刑事、ちょと怪しい点が見つかると、「よし!!わかった!!犯人はこいつだっ!」、と早合点する刑事を思い出すそそっかしさ!とらえどころのないキャラクター、あまり魅力的なキャラクターとは思えなかった。

 ★★ Kindle版 274ページ

 


Dark Places by Gillian Flynn

2015-03-08 10:33:26 | 読書感想

アメリカの中心部カンザス州の田舎町で、農場を経営するシングルマザーPattyとその娘達が、悪魔崇拝の息子Benによって殺されるという衝撃的な事件が起きる。
当時7歳だったLibbyは窓から逃げ出して難を逃れる。以来25年間、当時、事件に同情した人々から寄せられた多額の寄付金を取り崩しながら、Libbyは働くことなく無気力、自堕落に生活していた。しかし、事件から25年たったことで基金は底をつき、彼女は生活費 に困っていた。そんなとき、彼女は実際に起きた有名な事件について研究、討論する会Kill Clubから会への参加の要請を受ける。金に窮していた彼女は700ドルの報酬を条件に招請に応じる。彼女は亡くなった母親や姉たちの殺害された時の写真を会員たちが所持していることに不快を感じる。もっとも、彼女はそんな彼らに殺害された姉の日記を売るために持参していたが。彼女は、会員たちからBenは無罪であり、彼女が裁判で行った証言を撤回するよう求められる。

彼女は裁判で兄のBenが家族を殺したのを見たと証言していた。しかし、実際はBenの声を聞いただけで殺す場面を見たわけではなかった。また、現場には血の付いた大人の靴跡が残されていたり、母親は銃で殺されたがBenの手から硝煙反応がないことなどBenの犯行とするには不審な点がいくつかあった。しかし、彼女の証言が陪審員の評決に決定的な影響を与え、Benは終身刑を言い渡され刑務所に収監されていた。Libbyは裁判で嘘をついたことに良心の呵責を感じていたが、Benが上告しなかったことから、Benが家族を殺したと信じていた。

だが今、Kill Clubの会員たちは、Benが犯人である点についての矛盾点を彼女に指摘し、Benは無罪であり、犯人は他にいると主張、彼女に犯人の可能性がある別れた父親やBenの友人たちと会って当時の状況を聞き出すよう要請する。
彼女は、彼女が嘘の証言をしたと言われたことに苛立ちその場を飛び出す。しかし、生活費に困っている彼女は、当時事件に関与していたかもしれない人々に会いに行き、その情報を彼らに売ることで生活費を得ることできると考え直し、彼等の要請を受けることを決意する。

だがそれは、今まで避けていたLibbyの記憶の中の思い出したくない領域、惨劇が起きたときの記憶、Darkplacesに彼女が踏み込んでいくことを意味していた。

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物語は、犯人として逮捕された15歳の息子Benと、犠牲になった母親Pattyの視点で惨劇の前日から、また唯一人、生き残ったLibbyの視点で現在から、惨劇の瞬間に向かって突き進んでいくようすが描かれていく。
読んでいる方としては、最後に母親達は殺されるとわかっているので母親の子供達に対する愛と娘達の愛らしい仕草を読むのが辛くなってくる。
ろくでもない男に出会ったばかりに貧乏のどん底に落とされた母親がそれでも懸命に子供達を育てようとする思いと愛が切なく伝わってきて心に残る。子供達もこれがアメリカ?と思うほど貧しい。長男のBenが着たお古が3人の娘達に次々とわたっていく。新しい洋服を着ることがない娘達、それでも不服を言わずに無邪気に生活を楽しんでいる3姉妹がいじらしいし、そのあと殺されると思うとさらに悲しくなる。

この物語は読んでる者を暗く悲しい気持ちにさせる。それでも読み進めるのはどこかに救いが待っているのではと期待して。
そう、この本ではLibbyのキャラが救いとなる。BenとPattyの部分を読んでいると心が暗くなるが、Libbyの部分でほっと一息、明るくなる。偏屈で無愛想、身勝手だけど、それは独りでで生きていくために身につけたサバイバル技術?
無気力、自堕落に生きていた彼女が事件を調べる内に家族の愛に目覚め、人間的に成長していく姿が救いを与えてくれる。

 ★★★★ Kindle版 345ページ


NYPD Red2 by James Patterson

2015-02-22 09:56:49 | 読書感想

秋のニューヨーク、市民の間ではHazmat Killerという連続殺人犯が話題になっていた。マスコミからHazmat Killerと名付けられた犯人は、これまでに3件の犯行を繰り返していた。いずれも、暴力や脅迫などで証人を沈黙させて裁判では無罪になった犯罪者を拉致監禁し、自分がやった犯罪を拷問を加えて白状させ処刑、その死体が発見された後、自白した様子を撮ったビデオをネットに公開していた。殺された被害者が皆Hazmat防護服を着用させられていたことから犯人はHazmat Killerと呼ばれていた。

そして、月曜日早朝、NYのセントラルパークの中にある遊具、回転木馬でその男の犯行と思われる女性の死体が発見される。
女性は他の被害者と同じように毒ガスなどを扱うときに着用する防護服Hazmatを着せられ、拷問された様子があることから、自分が殺人者であることを自白し、殺されたと思われた。

以前の3件と異なり、彼女はセレブの一族で、常習の犯罪者ではなかった。しかし、彼女は同性愛者で、愛情関係のもつれから愛人の女性を14階のマンションから突き落として殺した容疑がかけられていた。警察は殺人事件と見て捜査を行おうとしたが、政治的圧力がかかり、事故死で捜査を終了していた。
女性は大金持ちの一族の一人だったことからセレブに関する犯罪を捜査することを任務とするNYPDのエリートチームRED所属の
JordanKylieがこの事件と今までの3件の連続殺人事件を担当することになる。
二人は市長室に呼ばれ、市長は被害者が来週行われる市長選の対立候補Muriel Sykesの選挙参謀だったことを明かし、Sykesから市長の犯罪に対する取り締まりの怠慢を糾弾されており、何としても投票前、一週間以内に犯人を逮捕するよう命令する。
二人は目撃者探しの聞き込みを行うが、被害者が犯罪を自白していることや、法が裁けなかった犯罪者を処刑するHazmat Killerの犯行を是認する人も多く、それらの人々は捜査に非協力的だった。また市長選に伴う政治的圧力や妨害もあり、二人の捜査は困難を極めた。しかし、粘り強い聞き込み捜査の結果、犯人が複数であることや車を使っていることなどを二人は突き止める。Jordanは警察所属の精神科医Cherylに犯人像の分析を求める。

そして、彼女の導いた犯人像は衝撃的なものだった。

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メインプロットはどこかで見たような設定、そのメインプロットにサブプロットを織り交ぜて、テンポよく物語が進み、最後に思わぬ展開があり大満足。おもしろく読めた。

Jordanという刑事のキャラクターがとても良い。
ふつう、男の刑事が主役だとダーティーハリーのような型破りのキャラクターの刑事が相棒の刑事をあたふたさせる設定が多いが、この物語では規則などは破ってもかまわないと思っている相棒の刑事と緊急時はルール無視も黙認する上司の女性達に挟ま れて、きちんとルールを守って捜査を行うことを信条とする刑事が主人公。
同僚の精神科医Cherylに恋心を抱きながらも、離婚して間がない女性を口説くのは倫理に反すると考えて離婚したばかりの彼女と距離を置こうとする。しかし、MattというIT犯罪担当の男が彼女と親しく話しているのを見て、彼女をMattにとられると邪心して落ち込んだり、すごく人間くさいのが良い。

Kylieとのコンビは今回も好調。どちらかが主導権を取るというのではなく、お互いが意見を述べあって捜査の方針を決めてい く。Kylieがきれいで活発なだけでなく理知的なところが良い。次回作も期待。

 

 ★★★★ Kindle版 417ページ 946円


 NYPD Red  by James Patterson

2015-02-08 09:47:04 | 読書感想


月曜日、NYPDのエリートチームRedに所属する刑事 Zach Jordanは、朝4時に目覚めた。早く目覚めた原因は今週ハリウッドスターがNYにやってきて行うさまざまなイベントの警備に緊張していたからというより、今日から組むパートナーKylie MaxDonaldのためだった。長年の相棒だったJordanのパートナーは怪我で入院中で、その相棒が復帰するまでの間の臨時のパートナーとして任命されたのはKylieだった。10年前、警察学校の初日、JordanはKylieに会った。およそ警察官には似合わない美貌をもった彼女に同期の誰もが抱いたようにJordanは一目惚れをしてしまう。しかし、彼女にはすでに恋人がいて、やがてその男と結婚、彼のKylieと結婚するという夢は破れたが、10年たった今も、Jordanはまだ彼女に恋心を抱いていた。

Kylieは首席で警察学校を卒業するほど優秀だったが、最近も、自ら囮になって連続レイプ犯を逮捕し、新聞の一面を賑わすほど優秀な刑事として知られていた。
しかし、レイプ事件は彼女の担当でなかったにもかかわらず、上司の許可を得ることなく独断で勝手に事件に介入したことで警察幹部は彼女について快く思ってなかった。
Jordanは上司のCatesからパートナーとなる彼女が任務から逸脱した行動をとることがないよう監督することを命じられる。
Kylieは臨時で任命されたとはいえ、NYのセレブたちを犯罪から守ることが任務であるエリートチームRedに入ったことに興奮しており、二人の上司である警部に自分の能力を認めてもらい、一時的ではなくこのままRedに残ることを希望していた。

パートナーを組んだ初日、二人はハリウッドからやってきた映画関係者の不審死の捜査を命じられる。
NY市はハリウッドの映画産業を誘致しようと考えて、ハリウッドから映画関係者を招きハリウッド週間として、一週間にわたってイベントを行う計画を立てていた。第一日目の月曜日、朝食中に映画プロデューサーが死亡する事件が起きる。さらに数時間後、撮影スタジオで俳優が死亡する事件が起きる。Jordan達は二つの出来事は同一犯による殺人と考え捜査を進める。映画関係者が一日の内に二人も殺されたことを受けてRedの捜査主任のCatesは夕方5時に緊急の捜査会議を開き、今夜行われるNY市主催の歓迎パーティーの警備にJordanを責任者として任命、さらなる事件が起きないように各自警備に万全を期すように命令する。
しかし、Jordanが監視カメラで監視している目の前、イベントを中継しているテレビカメラの前でさらなる惨事が起きる。

男は映画制作にエキストラとして参加していた。自分の才能を過信している男は、映画会社などに送り続けている自作の脚本がすべて無視されたことに怒りを感じていた。彼は自ら書いた犯罪映画の脚本を、マスコミをカメラと見なし、自らを主役として演じていくことを決意する。自分の行った犯罪がテレビ、新聞で報じられ有名になることで、いつか映画会社が自分の行った犯罪を映画化してくれると確信して。男はエキストラで培った変装技術を利用して、脚本通りに自分の正体をさらすことなく次々と殺人を実行していく、脚本のクライマックスとなる大惨事に向かって。

Jordanたちは男の犯行が徐々に大胆、派手になっていることに気づき、男が多数の犠牲者を出す事件を計画している可能性に懸念を抱き、急ぎ犯人を捕まえる必要性を感じる。二人はこれ以上犠牲者が増えないように現場に残された手がかりから犯人に迫っていく。

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二人の女性が心に残る。映画館で毎日ポップコーンを売っている退屈な生活から抜け出してワクワクする刺激的な生活を得た女、あこがれていたREDに入ってはりきっている女性、どちらもその刺激、興奮が続くことを願って頑張る姿が好ましい。
ミステリーとしては犯人も最初からわかっているし、ひねりもなく捜査が進めばいずれ犯人に行き着く単純なストーリー。しかし、次から次へと事件が起きるスピード感ある展開で、一気にクライマックスまで読む者を引っ張っていく。楽しく読めた。
JordanとKylieのコンビは良い。Kylieは仕事熱心で寝る間を惜しんで捜査の手がかりを得ようとする。犯人逮捕に必要とあらばルールを破ることも厭わない。また自分の捜査能力に自信満々で市長に必ず犯人を捕まえると宣言したり、天真爛漫な態度がさわやか。いっぽう、Jordanは一歩後ろからKylieを見守っているようで、いざとなると前にでてKylieを守る。なかなか良い男。
さらに上司のCates,警察嘱託の精神科医のCherylと魅力的な女性達に囲まれて仕事するJordanがうらやましい。

 ★★★★ Kindle版 481ぺーじ ¥905円


Bullseye by David Baldacci ( short story)

2015-02-01 08:29:31 | 読書感想

77ぺーじの短編です。


国家の謀略を監視する私的組織Camel Clubのリーダーで墓地の管理人の仕事をしているStoneはいつものように土曜日の午後、閉店間際の銀行に支給された給料を預けに入って行く。そして、そんな彼を尾行していたかのように国家機関の暗殺組織に所属するWill Robieも同じく銀行に入る。
Stoneが行員と入金手続きをしている時、半分閉じたシャッターをくぐって数人の武装した男達が警備員を殺して侵入してくる。男達は行員とStoneたちを拘束して銀行に立てこもる。しかし、男達は、金を取ることなく大金が納められた金庫の扉を閉じるという銀行強盗としては不似合いな行動をとる。彼らの行動に違和感を覚えながらStoneはCamel Clubのメンバーに秘かに救出を依頼する。

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このところ他のシリーズに隠れて影が薄くなっていたCamel Clubシリーズ。
最近の作品でStoneが他の仲間から距離を置き始めたと感じ、このシリーズはもう続かないと思っていたので、短編ながらも、メンバーの活躍を久しぶりに読めて楽しかった。このシリーズの復活を期待したい。

また、国家機関の暗殺組織に所属するWill RobieがStoneの背後に登場、Stoneは諜報機関にとっては癌のような存在、ついにRobieにStone殺害指令が?などと、銀行強盗の目的と相まって短編ながら読む方をワクワクさせてくれた。

このRobieとStoneの関係、昔読んだ「ルパン対ホームズ」という小説のようにどちらもファンがいて、片方だけを引き立たせると片方から不満が起きる。どう料理するのかなぁと思ったら・・まぁ、不満ないかな。

 ★★★   77ページ  Kindle版  270円


Little Girl Lost by Brian McGilloway

2015-01-25 10:13:54 | 読書感想


1ヶ月前、故郷の北アイルランドのDerry市のPrehenに認知症の父親の介護のために転勤して戻ってきた北アイルランド警察(PSNI)重犯罪捜査課(CID)所属の刑事 Lucy Blackは冬の早朝、上司の警視正Traversから捜査中の行方不明の16歳の少女、Kate McLaughlinがLucyの自宅の近くの森で目撃されたという情報を確認するよう命令され、大雪の中現地に向かう。降りしきる雪と凍える寒さに一刻も早く彼女を見つけだすことが急務と感じた彼女は同僚の警官の到着を待たずに森に入っていく。
森にわけいったLucyは胸にAliceと刺繍されているパジャマしか着ていない8歳ぐらいの少女が木の根元にうずくまっているのを発見する。
病院に収容された少女は自分を発見、保護してくれたLucyを頼りにし、他の者が手をさしのべると激しく泣き叫んで触られることを拒否した。しかし、Lucyを含め誰に話しかけられても一言も返答しなかった。
LucyはAliceを発見したことや少女に信頼されていることから上司のTraversから一時的に子供の虐待などを扱うPPUという部署に配置転換を命じられる。PPUで彼女はAliceの身元を捜査を命じられるが、彼女は行方不明のKateの捜査に携わっていたCIDの仕事にやりがいを感じていて、少女の身元の確認という単調なPPUの仕事に不満を感じる。そんな中、鑑識員、Tony Clarkeから少女の着ていたパジャマから多量の血しぶきが検出されたという知らせを受ける、さらにTonyが少女を調べた結果、少女の手からもルミノール反応があり、彼女は多量の吐血をした人物と一緒にいたと告げられる。Lucyは少女が誰とも口を聞かず、人との接触を拒否している原因は全身に血を浴びたせいだと推測する。Lucyは検出された血液型を手がかりに12時間以内に吐血して病院に運ばれた該当者がいないか調べるが、少女と結びつけられる人物を見つけることはできなかった。

翌日、Kateの父親McLaughlinが娘の誘拐についての情報提供者に100万ポンドの賞金を提供するという記者会見を行う。それに便乗してLucyはAliceについての情報提供を少女の写真を掲げながらテレビを通して市民に呼びかける。
すると、テレビでLucyを見て彼女がKateの捜査をしていると勘違いした賞金目当ての女性から電話があり、事情聴取に向かったLucyは 女性から自分の同棲相手だったBilly Quinnという男が事件に関与しているという証言を得る。女性は証拠として男の車の中に落ちていたというロケットをLucyに見せる。その中にはKateと思われる若い少女と父親McLaughlinの写真が入っていた。

早速、この情報をPPU上司のTom Flemingに話した彼女は一人で行動するのは危険だと叱責され、この事件は自分達の担当ではない、CIDにまかせると言われる。しかし、行方不明のKateに関して初めて有力な手がかりを得た自分が捜査から外されることに不満を感じた彼女は密かにBillyの住所に向かい家を見張るのだが・・そこで彼女は大失敗をしてしまう。
Lucyは、誘拐事件の捜査責任者のTraversから叱責され、警察副本部長Wilsonのもとに出頭するよう命令される。警察副本部長はLucyの母親でもあるのだが、母娘を公私混同を避けるため、そのことを隠していた。WilsonはLucyの取った行動に理解を示すが、CIDの仕事に介入しないように注意する。
そんな中 Lucyは 鑑識のTonyからAliceのパジャマにKateの髪の毛が付着していたと教えられ、二人が一緒にいた事実に興奮する。またテレビを見たという男からの情報でAliceの身元、両親の所在が分かる。
やがて、二人の少女の関係に注目して捜査を進めるLucyは事件の背後にアイルランド紛争時代の出来事が関連していることに気づく。

いっぽう、認知症の父親が盛んに口にするJanetという名前の女性が気になり彼女の身元を調べたLucyは、少女だった彼女が家族とともに受けた忌まわしい悲惨な出来事と再び対峙することになる。

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Lucyは泣く。老いていく父の姿を見て。同棲している男の暴力から母親を守るために学校へ行かない少女に。森で発見されてからも誰も彼女の身を案じているように見えない少女の孤独に。何とかしてあげようと思いながらもなにもできない自分の無力さに。しかし、現実の厳しさ、残酷さに打ちひしがれながらも、彼女はその事実から目を背けることなく、父親や少女達にいつも自分がそばにいることで安らぎを与えようと頑張る。
そんな人々に対する思いやりが彼女の周りに人脈を作っていき、捜査の手助けになっていく。
父親の介護、捜査と頑張る彼女に希望と安らぎを与える出来事があって欲しいなぁと思っていたら、最後にそんなシーンがあってホッとする。
殺人や誘拐事件など重大犯罪を捜査することが刑事としてのやりがいと感じていたLucyが児童虐待などを扱う部署に配属されて、その部署の存在意義を理解、刑事として成長していく姿が好ましい。次回作では彼女はまだPPUにいるのだろうか?
事件の背後にアイルランド紛争という北アイルランドの暗い歴史があり、全体に暗く重々しいストーリーだったので、次なる作品ではもうすこし明るい感じになって欲しい。

 ★★★★  本の長さ 384ぺーじ Kindle版  ¥343円


Alex by Pierre Lemaitre

2015-01-11 11:29:44 | 読書感想

男は皆、その魅力に惹きつけられる美貌の女性Alexは、パリの町でウィンドウショッピングしているとき、50代と思われる大男が彼女をストーカーしているのに気づく。彼女は2、3日前、自宅の近くでその男を見かけたことを思い出す。動揺した彼女は店に入り、しばらく様子を窺う。そして、通りに男がいないことを確信してから店を出て近くのレストランに入る。
しかし、食事後、通りを歩いて帰宅する途中、待ち伏せしていたストーカー男に襲われ車で拉致される。彼女は広大な倉庫に連れ込まれ、裸に剥かれたうえ、身動きができないほど狭い木枠の中に閉じこめられる。そして鳥かごのように天井からロープで 吊される。

恐怖に泣き怯える彼女に男は「俺はおまえが死んでいくのを見るつもりだ。」と言って、彼女をレイプするでも、暴力をふるうでもなく、また殺そうともせずに、黙って彼女を見つめ、携帯で彼女の様子を撮って彼女を放置して去っていった。
彼女は男の言葉から彼がいつか自分を殺すと確信する。そして足音が聞こえる度に彼女は死の恐怖に怯える。しかし、男は彼女のやつれていく姿をじっと見つめ写真に撮り、去っていくことを繰り返していた。やがて数日が経ったとき 吊り下げられたロープを伝ってネズミが降りてくるのを見て、彼女はおとこの陰湿な計画、男の言った言葉の意味を理解して慄然とする。
そんな時、死の恐怖に怯えながら彼女は奇想天外な計画を思いつき実行に移す。

パリで起きる殺人、誘拐など重大犯罪を担当する犯罪捜査課の捜査主任のCamilleは、身長150センチに満たない刑事、その身長のため証人から彼の捜査能力に不信の目を向けられることもたびたびある。4年前、彼は、妊娠中の妻を誘拐されたうえ殺され、精神的ショックから数ヶ月間休職していた。復帰してからも彼は痴情による殺人、隣人の殺害などを担当し、誘拐事件などの重大犯罪は妻の事件を思い出すので辞退していた。しかし、今、人員がいないことを理由に彼は上司で長年の友人でもあるLu Guenから誘拐事件の捜査を命じられる。
彼は、誘拐などほとんど起きないこのパリで自分が誘拐事件を担当する不運に憤慨しながらも、ほかの捜査主任の手が空くまで と言う条件で事件を担当することを承諾する。

事件が起きた現場に行ったCamilleは、目撃した男から若い女性が大男に襲われ、白い車に拉致されたという証言以外、男の特徴、車の特徴など有力な手がかりが得られないことに苛立ち、同じように手がかりを得られないまま最終的に死体で発見された妻の誘拐事件を思い出し、この捜査から早く手を引くことを考える。しかし、被害者の女性が拉致される様子を思い描いた時、あのような事件の後に自分が刑事に復帰したのは、今、この瞬間にも誘拐犯から拷問されたり、レイプされているかもしれない女性を一刻も早く助け出すためと考え直し、女性の救出に全力を挙げることを決意する。

Camilleは目撃者から誘拐犯が白い商用車に乗っていたという証言を得て、現場付近の防犯カメラに映っている犯人の車を発見し、車のサイドに文字が書かれていることを見つけだす。しかし文字の下部しか映っておらず科捜研に文字の解読を依頼する。
科捜研は映像から車のメーカーとモデルを特定し、さらにサイドの文字を解析して可能性のある文字の車の所有者をチェックしていくが、すべての所有者をチェックするには数週間かかると思われた。とくに商用車は頻繁に転売されるので所有者を特定するのは困難を極めた。

Cammileは、誘拐された女性の身元を特定をするべく警察本部に失踪人調査の依頼が届いていないか調べさせるが、捜索願は出ていなかった。
さらに、事件から数日が過ぎても女性について、家族や恋人、勤務先のどこからも捜索願いが出てこないことを知り、彼女の失踪に関心を持っている人が誰もいないことに彼は違和感を覚える。
そんな中、地道な捜査の成果が実って犯人と思われる男をCamille達は探し出す・・・そこでCamilleは想定外の事態に直面する。
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捕らわれたAlexの様子の描写が残虐すぎて読むのを止めたくなったが、我慢して読んでいくと俄然おもしろくなった。想定外の出来事が次々と起こり、事態がどうなっていくのか、読み手をどこにつれていってくれるのかわからず、次なるアッと言わせてくれることを期待して読み手をわくわくさせてくれる。そして期待通り、最後の最後に「なるほど!」と納得、感動させてくれる。

原作はフランス。フランスのミステリーはアメリカのミステリとはひと味違う気がする。じっくり人物を書き込んでいく。昔読 んでいた松本清張のようなストーリー、犯罪を通して人間を描く。

とくにAlexという女性。いつまでも心に残る女性。美貌の持ち主ながら恋愛は自分とは無縁と達観している、引っ越しを頻繁に繰り返す彼女が持っている持ち物の中身、子供の頃からのものを大切に今も保存している。その背景がわかると、彼女の人生が見えてきて、心にジーンとくるものがある。愛というものを教えてあげたくなる。

またCamilleという刑事、誘拐と殺人の違いは何か、誘拐犯の一般的特徴は何か、理詰めに考えて捜査方針を決めていく。身体
的ハンディも含めてアメリカの刑事とは違うキャラクターが設定がおもしろかった。

★★★★★  Kindle版 368ページ


Black Friday by Michael Sears

2014-12-28 10:44:32 | 読書感想

2013 SHAMUS AWARDS BEST FIRST P.I. NOVEL

Jason StaffordはMBAの同期の中で誰よりも早くManaging Directorになったと自負している。またMBAの同期の中で、不正会計処理を行ったことで刑務所に入った最初の男でもある。
2年間、刑務所に収監された後、仮釈放された私が先ず実行しようとしたことは別れた妻Angieと5歳になる息子と一緒に暮らすことだった。
私は不正な会計決済処理を行って架空の利益を計上していたが、いつの日か不正が発覚することを覚悟していた。そして私の取引にたいする疑惑が徐々にわきあがってくるのを察知した私は、当局にすべての財産が没収される前に、Angieと偽装離婚し、彼女と息子に財産の半分を渡していた。いづれこの問題が解決したら彼女に与えた財産の利息で3人で暮らしていこうと計画して。
しかし、当初、刑務所に収監された私を月に一度訪ねてきたAngieは8ヶ月前に会いに来たとき、息子が自閉症であることを明 かし、彼女に心を開かない苦悩や私が手助けしないことに不満を訴えた後、会いに来るのを止めた。そして息子と一緒にルイジアナに引っ越すとという葉書をよこしてから連絡もしてこなくなっていた。

私は、所内で自閉症に関する本を読み、出所したら、また、3人で暮らすことを夢見ていた。そして出所した私は、再び3人で 暮らすようAngieを説得するために、また何よりも息子と会うためにルイジアナに行く決心をする。
そんな中、Weld証券のCFO(最高財務責任者)Bill Stockmanから仕事の依頼がくる。彼によると数週間前に嵐のLong Island湾で船から転落死した会社の若いトレーダーBrian SandersについてSEC(証券取引委員会)が関心を示し、彼の取引に関する全帳簿を提出するようもとめてきたという。
何故、SECが彼の取引に関心を示したのか?Stockmanは、会社の監査部門にBrianが不正な取引をしていないか調査させたがおかしな取引は発見できなかったという。しかし、念のため私にBrianの取引についておかしな点がないかみてほしいと調査を依頼する。
裁判所から金融取引の仕事に就くことを禁じられている私は、トラックの運転手、清掃業など肉体労働などの仕事にしか就けないと思っていた。そんな私にとって金融関係の調査は今までの経験を生かした仕事であり、報酬も高額だった。私は思いがけない幸運に喜ぶが、息子と妻を呼び戻すために2、3日の猶予をもらうことを条件に仕事の申し出を承諾する。

私の生活は順調に再出発したと思ったが、現実は厳しかった。Angieは他の男と再婚してしまい、私は息子だけをNYに連れ戻した、いきなり暴れ出す自閉症の息子を一人で育てることに不安を抱きながらも、。
また、証券会社で調査を始めた私は、かって私が行った不正行為のため、協力を必要とする社員達から嫌悪の目で見られ調査に非協力な彼らに苛立ちを感じる。
そんな中、Brianの取引を調べた私は、彼が去年までは大した業績を上げていなかったのが、今年になって突然、群を抜いた業績をあげはじめた不自然さにに気づく。その点に注視して取引を精査している時、私は何者かに尾行されているのに気づく。さらに調査対象の男の同僚が自殺する事件が起きる。私は彼の行った取引の背後に大きな陰謀の存在を感じ始める。

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どうも経済用語が多くてどのような不正があったのかよくわからない。そのため犯罪の手口がよくわからなかった。また、父子
の関係があまりにうまくいきすぎて、自閉症の子供を育てる難しさ、Angieが息子を愛していながらも一緒に暮らすことができ
なかった苦しさ、が伝わってこない。新人賞を取った作品だが なんども途中で読むのを断念したくなる作品だった。僕には英
語が難しかった。

Jasonは交渉力が肝心であると考えているように見える。自分がやったことを反省しているかどうかを見ると、自分の不正行為
で人が死んでいるわけではないと考えて、自分では反省していると言うが、不正行為を反省しているよりも捕まったことを反省
しているようにみえる。
自分は証券マンという自負をもっており、どんなときでも自分に有利に物事をもっていこうと交渉する。善悪よりも、どう立ち
回れば自分にとって利点があるか考えて行動ているようにみえる。

ミステリーには主人公の犯罪に対する怒りがあるのが普通だと思うのだが、この本ではそれを感じることができない。物語の終
わり方も好みではない。

★★ 341ページ


A Bad Night's Sleep by Michael Wiley

2014-12-21 09:39:31 | 読書感想

俺の名前はJoe Kozmarski。シカゴに事務所を置く元警官の私立探偵。元警官というと組織の中で働くことを嫌って探偵を開業したと思うかもしれないが、俺の場合、警官を首になって探偵を始めた。パトロール警官だった俺は、当時、酒とドラッグに溺れていて、酒と薬でハイになった状態で勤務に就き、パトカーを新聞の売店に突っ込むでしまった。

いま、俺は、11月の寒い夜、建設会社から依頼され、このところ頻繁に起こっている建築現場からの建築資材の盗難を防ぐための見張りをしている。深夜3時、ウトウトしていた俺は車の近づいてくる音に目を覚まし、とんでもない光景を目にする。
なんとパトロールカーに乗った警官が泥棒の手先となって仲間を呼び、建築資材を盗んでいる。そして俺の110番通報によって駆けつけた警官たちと泥棒たちの銃撃戦が始まる。しばし、事態を静観していた俺は、駆けつけた警官達に泥棒の手先となった警官が銃口を向けるのを見て彼を射殺する。犯罪者の片割れとはいえ、警官を殺したことに後味の悪さを感じながら。

警察は俺が警官を殺したということで3日間俺を拘留したが、殺した警官は泥棒の一味だったという俺の主張を認めて釈放する。
3日ぶりに釈放された俺は、警察は窃盗団の一味に悪徳警官がいたことを発表することなく、銃撃戦で死亡した3人の警官は、皆善良な警官だったと話していることを知る。そして、その善良な一人を俺が殺したとマスコミが報じたことで、俺は警官殺しとして警官達ばかりではなく多くの市民から敵意の目を向けられる。釈放された俺は、警官殺しということで仕事も激減、また 警官と思われる男達に尾行され、いきなり銃弾の脅しを受ける。


ビビった俺は行方をくらますことを考える。また恐怖から逃れるため、昔の酒と麻薬に溺れていた頃の習慣に惹かれていく。
そんな時、俺は友人で元同僚だった警部のBillから呼び出される。彼は警察官の不正を捜査する部門に所属している。
Billは俺に警察学校の同期だったEarl Johnsonの名を挙げ、彼が今回の窃盗事件の首謀者であると言い、彼の下に8人の警官が窃盗品の故売や売春業を行っていると話し、俺に彼らの仲間に加わって、その組織を公にすることなく壊滅させる手助けを要請する。
その要請を受けるかどうか考える間もなく、署を出た俺は以前に俺に銃弾を発射して脅した二人組の警官に捕まりボスと会うように言われる、俺の家族の安全を人質にして。奴らは俺が事件現場にいた他の男達について証言しなかったことを評価して、俺を仲間に加えることを決定する。ただ、リーダーのJohnsonは仲間に入れることは認めたが俺を信用していないとはっきり言う。俺はBillから渡されたJohnsonに対する資料を参考にして彼の厳しい疑惑の視線を感じながら、奴らを壊滅させるための罠をしかけていく。バレたら命はないことを肝に銘じながら。

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物語冒頭の銃撃戦に始まり、いつ潜入捜査がばれるのか緊張感を持った展開が進み読むのを止められない。

僕の好きな一人称で物語が進む探偵物。とぼけたキャラが良い。窃盗団の警官からボスに会えと言われると、こっそり裏口から逃げ出したり、なぜ、自分達の名前を警察に話さなかったと問われると、誰も彼に尋ねないからだとつぶやいたり・・探偵はタフな奴と思っていると恐怖や心配ごとを忘れるために酒を手にする、しかし、昔の失敗を思い出してそこで酒瓶を割ると思いきや、エイやと飲んでしまう。窃盗一味の仲間から、東欧系の美女を一晩の相手として紹介されると、最近よりが戻っている元妻のことを考えて断るが、そのあと断ったことを後悔する。なんとも人間的なキャラが魅力。

プロットもすごくよくできていて、最後にとんでもない仕掛けがあってびっくり。おもしろかった。

★★★★ Kindle版 256ページ 

2012年  SHAMUS AWARDS BEST HARDCOVER P.I. NOVEL