気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

ホームレス刑事登場 The Late Show by Michael Connelly

2017-08-27 13:41:00 | 読書感想

午前12:41、傷害事件が発生したという報せを受け、LAPDの夜勤専門の刑事Ballardと相棒のJenkinsは被害者がいる病院に向かう。被害者は ,女性に性転換した男娼、名前はRamona RamoneまたはRamon Gutierrez。瀕死の状態でSanta Monicaの駐車場で置き去られていた。現在、昏睡状態にある彼女(?)は現場に駆け付けた警官に襲った人物には心当たりがないが襲われた場所はupside-down houseと意味不明な答えをしていた。

Ballard は被害者の受けた傷害の様子を写真に収める。被害者は頭蓋骨にヒビを持つほど強打され、顔は腫れ、さらにブラスナックルによる殴打の跡が腹部に数か所、残されていた。また手首の傷跡から被害者は数日拘束されて殴打などの暴行を加え続けられていたことを知る。彼女は拘束して何日も拷問を加え続けた冷酷非道な犯人の仕打ちに怒りを覚える。彼女は報告書を書いて担当部署に回しても、昼の刑事たちは男娼の傷害事件に関心を持たずに報告書は机の隅に積み上げられて忘れられてしまうと主張し、自らこの犯人を捕まえたいと望むが相棒のJenkinsに拒否される。

病院から署に戻ろうとしたBallardはDancersというナイトクラブで銃撃事件が起こり、多数の犠牲者がでたという連絡を通信指令から受ける。そして彼女に犠牲者の1人が病院に緊急搬送されるので事情聴取できるかどうか治療現場に立ち会うよう命令される。しかし、病院に運ばれてきた女性は手当てのかいもなく死亡する。彼女は女性の死亡と証言が得られなかったことについての報告を行うため事件現場に向かうが、事件の捜査主任がRobert Olivas警部と知り、直接の報告を躊躇する。Olivasは、2年前、彼女がセクハラで告発した相手であった。そんな時、Olivas自身から女性についての問い合わせの電話が来る。彼女は犠牲者の死亡報告をし、事件への捜査協力を申し出るが即座に拒否される。しかし、彼女が犠牲者の身元確認を申し出るとしぶしぶ許可される、誰もが嫌がる親族への連絡を条件に。ただし、それ以上捜査に介入しないように命令される。

彼女は相棒がいない一人勤務の時、勤務時間より早く署に着き、勤務が始まる前の時間を利用してRamon の事件の捜査をはじめる。彼女は、凶器であるブラスナックルとupside-down houseという言葉をキーワードにして、警察の犯罪データベースからヒットするものがあるかどうか調べる。やがて彼女は、データベースから、売春のおとり捜査中、ブラスナックルを所持していることで捕まった男がいることを突き止める。彼の住所を調べ、ストリートビューで彼の家の外観を見た彼女は自分の発見に興奮する。

さらに事件の捜査を続けようとしている時、彼女はかって5年間パートナーだった刑事が射殺されたという知らせを聴く。彼女は、上司をセクハラで告発した時、彼に裏切られたことに未だに怒りを覚えているが、刑事としての彼の優秀さ、彼から捜査についてのノウハウを教えてもらったことなどを思い出し、捜査の手助けができないかと考え、彼の家に向かう。しかし、捜査担当のOlivasから彼の死はナイトクラブの殺人と関わっているとして、拒否される・・・さらに彼から捜査に関与しないよう命令される。

しかし、彼女は上司の命令を無視して、バッジに喪章をつけて Dancersというクラブの銃撃事件について上司や仲間に感知されないよう注意しながら密かに独自の捜査を開始する。

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今まで、刑事というものは事件が発生すると真夜中でも電話があると現場に駆け付けるものだと思っていた。こういう制度(夜勤専門の刑事)があるのは初めて知った。

それにしても、彼女の単独行動にひやひやドキドキ。ただでさえ、上司から睨まれているので、何か失態を冒したら確実に首になる可能性が高いと思われるのに違法すれすれのことを度胸よくやっていく。また行動が早い、容疑者に前科があると分かると、逮捕した時の刑事から情報を得たり、容疑者の仕事、住所を素早く調べ、即その場所へ向かう。

Renee Ballard

年齢

住い 海辺のテント(警察には祖母の住所を届けている)

彼女がRHDから左遷された理由

上司のセクハラを告発したが却下され、逆に左遷され11時から7時までのLate Showと呼ばれる夜の勤務に異動させられる。

彼女の仕事(深夜勤務)

彼女は、昼勤務の刑事たちが帰った後に警察にかかってきた110番通報があった事件の現場に向かい、通報されたことが犯罪であるかどうか判断し、犯罪と分ったなら初動捜査を行い、報告書を書き、彼女は事件担当から外れる。その報告に基づき、窃盗事件は窃盗担当の刑事、強盗殺人の事件は殺人担当の部署の刑事たちに回され、昼の刑事たちが事件の捜査し犯人を逮捕する。彼女はみずから犯人逮捕までしたいと望んでいるが職務上できない。

彼女が刑事になった理由

ハワイ大学のジャーナリスト専攻を卒業した後ジャーナリストになるが法廷記事を書くためレイプ殺人の裁判を傍聴している時に、彼女は犯人に対する怒りを覚え彼らを逮捕する刑事になることを決心する。

彼女が刑事を辞めない理由

犯人を突き止めた時の興奮


E-book(Kindle版)★★★★ 405ページ 2017年7月出版 958円(2017年8月購入)



the Woman in Cabin 10 by Ruth Ware

2017-08-20 15:02:29 | 読書感想

イギリスの旅行雑誌の記者Laura Blacklock(Lo)32歳、酔って家に帰って寝込んでしまった彼女は自分が戸締りをきちんとしたか覚えていない。早朝4時、飼い猫によって眠りから目覚めた彼女は家に忍び込んでいた泥棒とばったり会ってしまう。泥棒は彼女を寝室に閉じ込め家捜しを始める。彼女は泥棒が彼女に害を加えるのではないかと思い、寝室のドアを開けられないように恐怖に震えながらも、ドアの取っ手を両手で抑え、彼がそのまま立ち去ることを願って、じっと彼の行動に聞き耳をたてる。そして、翌日、錠前屋に鍵を付け替えさせるが、泥棒は同じ家に繰り返し入る可能性が高いと彼に言われ、また泥棒が侵入することを心配して、何度も何度も戸締りのチェックをするが、不安から夜寝付けなくなる。

そんな寝不足な中、彼女は、上司の女性が産休のため、初めて豪華クルーザーの処女航海のレポートを任せられる。普段は記事の編集に携わっていて、観光地などを訪ねる取材などはしたことがない彼女は、昇進のチャンスと思ってこの仕事に張り切る。乗船初日、晩餐会に参加するための身支度を整えようとした彼女はマスカラを持参してないことに気付き、隣の10号室の若い女性からマスカラを貸してもらう。

晩餐会で他の参加者との交流を心がけょうとしたがうまく立ち回ることもできずに、いたずらに深酒をしてしまった彼女は部屋に帰るとすぐに寝入ってしまう。深夜、何かの音で目覚めた彼女は、隣の10号室のベランダの戸が開き、人間が海に落ちたようなスプラッシュ音を聴く。様子を窺いにベランダに出て、隣の10号室のベランダを覗き込んだ彼女は、ベランダの手すりに血の痕のようなものがついているのを発見する。彼女は何者かが死体を海に投げ込んだと思い、自分が殺人の目撃者であることに恐怖に震えながら、直ちに船のスタッフに連絡する。しかし、やってきた警備スタッフの男に事情を説明してベランダの血痕を見せようとした時、彼女はベランダに血痕が付いていないことに唖然とする。さらに10号室に向かった彼女はその部屋が使われた痕跡がないことに呆然とする。彼女はこの部屋には若い女性がいたと主張し、彼女から借りたマスカラを証拠として見せるが、警備の男は明らかに彼女の証言に懐疑的な態度をみせ、10号室は誰にも使用されていない空き部屋だと告げる。

翌日船内のすべての乗員、スタッフに会った彼女は、彼女のあった女性が船内の何処にもいないことを知る。さらに彼女は警備担当の男から、彼女が当時相当酔っていたことや彼女が精神安定剤を常用していることなどを指摘され、彼女の目撃談は彼女の妄想であると暗に指摘される。

彼女は10号室の女性は殺されて海に投げ落とされたと確信し、この船には殺人鬼がいるという事態にうろたえる。そして、誰も10号室の女性の存在、彼女が殺されたことを信じない時、唯一の目撃者である自分が次に殺されるのではとパニックになりながら、自らの身を守るためにも殺人者がだれか突き止めようとする。

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史上最弱なヒロイン。超怖がり屋、不安神経症  閉所恐怖症、恐怖に怯えてすぐ泣く アル中気味。 酒を飲むと翌朝の目覚めが悪い、深酔いすると何があったか覚えていない。そのたびに酒はもう飲まないと決意するのだが・・・・心配事を紛らわすためについ飲んでしまう。自分に起きた出来事、たとえば泥棒に会った恐怖、恋人との喧嘩などについて何度も何度も頭の中で繰り返し思い返しては、その恐怖や後悔に頭がパニックになる。

そんな人間としても記者としてもダメ人間であるヒロインが直面する事態に怯え、泣きながらも事態を打開しようと奮闘する姿に引き付けられて最後まで面白く読めた。プロットもよくできていて、物語の最後もにやりとさせる終わり方でよかった。


E-book(Kindle版)★★★★ 345ページ 2016年6月出版 1033円(2017年8月購入)



The Do-Right by Lisa Sandlin

2017-08-09 19:24:49 | 読書感想

Winner of the 2015 Dashiell Hammett Prize and 2016 Shamus Award

Amazonの本の紹介では、私立探偵のTom Phelanは行方不明になった少年を探しだす過程でシリアルキラーの隠れ家を発見するとか、14年前、彼女の働く店に父と息子の二人組の強盗が押し入った時、Delpha Wadeは彼女をレイプした息子を殺すが、父親は逃がしてしまう。そして、今、彼女は逃走した父親と遭遇するとある。この紹介を読んで本を購入した僕は、シリアルキラーが自分の存在を知った二人の命を狙い始める、または息子の仇を討とうと父親が彼女を狙う・・そういう緊迫した場面が続くのを期待したのだが・・・・・物語の進行に、そんな緊張感は皆無で拍子抜け。著者は短編小説を書いていたようで、長編はこの作品が処女作だそうだが、背後にメインのプロットも薄く述べられていくが、4つの依頼事件を調査、解決していくという構成は4つの短編を読んでいる感じで略歴を知ると納得。ミステリーというよりは女性の人生を描いた文学作品のような気がする。

ただ、Delpha Wadeにはすごく惹かれるものがある。自分をレイプした男を殺したことで14年も刑務所に収監されていたというのは、随分不合理な判決のような気がして彼女の境遇に同情してしまう。Delphaは出所に備えて、刑務所で会計士の資格を取り、出所後、求人広告を見て会計事務の仕事を求めて面接を受けに行くが、前科があるということでことごとく断られる。しかし、彼女は保護観察官から教えられた通り、「会ってくださってありがとうございました。」と面接者に言って、いじけることなく次の面接に向かう、その姿は健気で応援したくなる。

やがて彼女がTom Phelan と出会い、職を得て、住いを得て、隣人、ボーイフレンドを得て、孤独だった彼女が徐々に社会の一員として復活していく様子は読んでいて心地良かった。

E-book(Kindle版)★★★ 306ページ 2015年9月出版 1876円(2017年購入)

【 あらすじ 】
14年前、18歳の店員Delpha Wadeは、オーナーが売上金を回収しに来るのを待っている時、父と息子の2人に襲われる。息子はナイフで彼女を襲いレイプするが、その時彼のナイフを手にした彼女は息子を刺す、オーナーの車を見た父親は息子を見捨てて逃走し、彼女は息子の息の根を止める。彼女は殺人罪で刑務所に収監される。今、彼女は仮釈放で出所する。二度と刑務所には戻らないと誓いながら・・・

28歳のTom Phelanは、 石油会社で掘削作業員として働いている時、左手の中指を事故で失くす。彼は、会社からの補償金を基にして探偵事務所を開業し、秘書を募集する。

出所したDelphaは、職探しを始めるが、刑務所帰りということから求人広告を見て訪ねた会社で悉く断られた後、彼女はparole officerの Joe Fordから紹介されたPhelanの探偵事務所に面接を受けに行く。Phelanが刑務所からの紹介状を戸惑いながら検証している時、事務所に依頼人が訪ねて来る。彼が依頼人と応対する暇を与えず、Delphaは依頼人に対して見事な対応をする。その対応を見たPhelanは彼女を雇うことにする。

そして、ウオーターゲート事件や石油危機など世間が騒然とする時、二人は石油産業の町、テキサス州Beaumontで人生の再出発の手段として探偵の仕事を選び、社会の闇の部分に入り込んでいく。