Emily Lawrenceの事件を解決した後 Denver警察の刑事Jane Perryは 職を辞し探偵になり アルコール依存症を治すべくアルコールも断っていた。
Janeは、ここ3ヶ月、FBIの依頼でコカイン取引の潜入捜査をしていたが 土壇場で正体がばれFBIからの成功報酬も得られることができず、さらに取引場所として使った酒場からも損害賠償を請求され経済的にも精神的にも参っていた。
そんななか、Katherine Clark(Kit)という初老の女性から 仕事の依頼を受ける。
Kitは 今、ニュースで話題になっているCharlotte Walkerという12歳の少女が誘拐された事件について 自分はその犯人を知っている、その犯人Lou Petersが Carlotteを殺す前に彼女を助け出してほしいと告げる。
Lou Petersは 14年前にKitの孫14歳のAshleeを誘拐し、レイプして殺していた。Louは刑務所に収監されていたが、一年前に彼の無実を証明する可能性が高い証拠が発見され 現在、再審を待って保釈され Charlotteが住む町に住んでいた。
LouとCharlotteとを結ぶものは 彼が同じ町にすんでいるということと Kitの狂信的な信念だけ。Janeは Kitの話を疑いながらも、賠償金の支払いにあてるためにこの仕事を請けることにする。
Kitによると Louは信仰上の信念をもって犯罪を実行しており 14歳のAshleeは誘拐されてから14日後に殺されていた。12歳のCharlotteは12日後に殺される可能性が高いとして、それまでにLouを見つけ出すようJaneに求めていた。
Janeは このような少女誘拐事件が起きた場合、警察は近くに住む性犯罪者のアリバイ調査を行うので、Louは当然、警察の捜査をうけているはずで それにもかかわらず容疑者として浮上しないことから この誘拐事件とLouは無縁の可能性が高いと見ていた。
そして、Janeは KitがLouを探す目的は末期的癌であと3ヶ月しか生きられないKitが殺された孫の恨みを晴らすためではないかと疑っていた。
やがて JaneとKitは アメリカ中のマスコミが集まって騒然としているCharlotteが誘拐された町へとやってくる。
誘拐から2日以上経ち、誘拐された少女の生存率は48時間以内であるとの警察関係者の常識から 関係者が絶望感に陥っている中 12日後がデッドラインと見るJaneはLouの居所を突き止めるべく行動を開始する。
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この本のテーマは「自分や家族にひどい仕打ちを行った人間を許すことができるか」だと思う。
Kitは 孫Ashleeを殺したLouを許すと言っているがJaneは信じない。Janeは父親が自分に行った暴力を許すことができない。KitはJaneが父親の暴力を許さない限り 悪夢にうなされる日が続き、救い(Redemption)がないと説得しようとするが。
そして Kitの娘は 一人娘を殺されたのはKitのせいだとしてKitを許さない。
また、犯行を行ったと思われるLouも子供時代 母親から性的虐待を受けていた。
キリスト教の聖書やネイティブアメリカンの伝説を引用した問答がところどころで続くが聖書などに縁のないぼくにはかなり読むのが疲れる。
しかし Jane Perryは魅力的。犯行が行われた町に着くまでのKitとJaneのやりとりは退屈だったが 現場についてからのJaneの行動はわくわくさせてくれる。
Charlotteの実家にあつまる野次馬の中から 気になる行動をする人物を見つけ出したり、聞き込み捜査の中で相手が嘘をついているかどうかの見極め。捜査情報をかっての上司で敬愛するWeylerから得ながら、捜査方針を180度転換する必要がある事実をつぎつぎと突き止め Charlotteの居場所にじょじょに迫っていく様子は興奮させる。