気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Payback (the) by Simon Kernick

2012-10-28 11:02:47 | 読書感想

ロンドン市警、殺人課警部補Tina BoydNick Pennyという新聞記者が自殺したという連絡を所轄の警察署の刑事から受ける。彼はPaul Wiseという男の犯罪を暴く取材をしていた。Wiseは麻薬の密輸、幼児に対する性的暴行、殺人など多くの犯罪に関与している疑いがあるが、豊富な財力によって優秀な弁護士を雇い、決定的な証拠を発見できないこと、また、政財界にも人脈をもっており、警察も彼についての捜査には消極的だった。Tinaは数年前から彼の犯罪を立証しようとしているが思いどうりにいかなかった。警察幹部が彼の捜査に消極的な今、Tinaは密かに暴露記事を書くことで有名なNickにWiseに関する捜査情報を流し、彼にWiseに関する記事を書かせ、Wiseの捜査に消極的な警察幹部を動かそうと考えていた。
そんな状況での彼の自殺したという知らせ、かって、彼女は同僚で恋人でもあった男を自殺に見せかけてWiseに殺されていた。今回も同じ可能性が高いとして、彼は殺されたと主張するが、手書きの遺書があることなどから、所轄の刑事は自殺として、これ以上 捜査はしないと述べていた。

その夜、Nickは殺されたという彼女の考えを裏付けるかのように 自宅に帰った彼女は二人組の男たちに襲われ、入浴中の事故死のように見せかけて殺されそうになる。
彼女はNickがWiseの犯罪についての証拠を発見したため殺されたと考え、彼の電話の通話記録を調べ、彼が話した人々から調査の内容を探ろうとする。
そして、通話記録から彼が東南アジアのフィリピンの新聞記者Patrick O'Riordanと話していることを知る。ネットで彼の書いた記事を読んだTinaはNickが殺された理由の手がかりを発見する。
TinaはO'Riordanと会って話を聞くべく彼の住むフィリピンのマニラに向かう。殺し屋のDennis Milneが待ち受けているとは知らずに。

Dennis Milneは元ロンドン市警の警察官、インターポールから指名手配されていて、偽名のパスポートを使い、ラオスに住み 東南アジアを拠点にして行動している。
彼は 自分が殺した人間は悪人である、また、女性は殺さないという信念を持って仕事を請け負っていた。
最近は、殺し屋稼業に嫌気が指し、引退してのんびり余生を過ごそうと考えている。しかし、彼の偽名のパスポートや銀行口座などは殺人ブローカーである男に 知られており、引退すれば警察に通報され、一生、刑務所で過ごす恐れがあり 容易に引退できなかった。
彼の引退願望を知っているブローカーは、引退と引き替えにTinaの殺しを請け負うことを要求する。Milneは引退できるという誘惑に抗しきれず、信念を曲げて仕事を実行すべくマニラに向かう。

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主役が元警官の殺し屋という設定がユニーク。警察官だったらできない、しかし、内心ではやりたいと思っていたこと、犯人の口を割らせるためには 拷問も辞さない、どうしようもない悪だと思ったら法の判断を待たずに殺してしまう。警官の夢を実現しているようなキャラクターの設定
また、Tinaのキャラクターも魅力的。自宅で襲われ、銃を向けられ、おとなしく言うことを聞けと脅された時、自殺に見せて殺すという相手の意図を逆手にとって、銃にひるむことなく相手に立ち向かってゆくなど、沈着冷静でタフ。

あとがきを読むと二人のキャラクターは著者のお好みでシリーズものになっているよう。昔、読んだ『ルパン対ホームズ』のように 著者にとってはどちらも捨てがたいキャラクター。
しかし、殺し屋と刑事、どちらかが相手を倒さなければ・・・

ミスリードがうまかった。ネタバレになるとまずいからこれ以上書けないがまんまと引っかかった。
最後の落ちも意外、思わぬ展開、でも読むとその可能性も確かにあると思う、うまい結末。

Kindle版 ★★★★