従姉妹のPetraが給料の良さに惹かれて、ほぼ全裸の女性が自らの身体をキャンバスにして観客に絵を描かせるBody Artが人気のある、いかがわしい店でアルバイトを始めたのを危惧し様子を見に行ったV.I.Warshawski(Vic)は、店の裏口で女性が銃撃される場面に遭遇する。Vicは傷の手当てをしようとするが、彼女は「Alley」という言葉を最後に息をひきとる。殺された女性Nadia Guamanはこの店の常連客で、いつもBody Artist(Karen Buckley)の身体に女性の顔を描いていた。そして、容疑者として浮かんだのは、同じく店の常連客でイラク帰還兵のChad Vishneski。店の誰もが二人が口論しているのを何度も目撃していて、Vicも事件の前日、Chadが凄まじい剣幕で彼女に詰めよっていたのを目撃していた。匿名の電話を受け、彼の自宅を急襲した警察は彼がドラッグの過剰摂取で意識不明の状態でいるのを発見する。さらに、彼の傍らに殺害に使用された銃があるのを発見、直ちに彼は逮捕勾留され、刑務所内の病院の救急治療室に収容される。
Vicは自分には関係ない事件と無関心を装おうがNadiaの死に顔が頭から離れなかった。そして、事件が報道された翌日、事務所に着いたVicをChadの父親が待ち受けていた。彼は、息子が女性を殺すことはあり得ないと主張、仮に息子が女性を殺したとしたら、何がそんなに彼を逆上させたのか調べて欲しいとVicに依頼する。Vicは、状況証拠からChadの犯行だと思っていたが、父親の主張を尊重し、彼が無罪であるという前提で調査を進めることを決心する。
Vicは二人の接点を探るため、彼らの身辺を調査することから始める。
Chadは軍隊に入るまでは陽気な男だったが、イラクでの任務中、彼を除く彼の部隊全員が殺されたことで精神的ショックを受け、除隊後、精神的に不安定になり怒りぽい性格に変わってしまっていた。
Nadiaの身辺を調査したVicはNadiaが死に際に彼女に漏らしたAlleyという言葉が、3年前、イラクで死んだ彼女の姉Alexandraを指していることを知る。同時期、Chadもイラクに派遣されていた。NadiaとChadを結びつけるものはAlexandraではないか?
また、本来、男性客を対象にしていると思われるショーに、何故、Nadiaはしつこく出続けたのか?body Artistと彼女は知り合いなのか?
事件の鍵を握るのはAlexandraとBody Artistだと思ったVicは二人について徹底的な調査を決意する。
そんな一方で、Vicは、NadiaとChadの部屋が荒らされ二人のパソコンが持ち去られているのを発見し、Chadが犯人であることに疑問を感じ始める。
だが、精力的に調査を進める彼女の前に、調査を阻止すべき、巨大軍事産業と金融マフィアが立ち塞がる。
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ちょと複雑な人間関係、。ChadとNadiaの調査に行き詰まるとAlexandra,それにも行き詰まるとBody Artist、さらにクラブのオーナーのOlympiaと調査対象が目まぐるしく変わって、それぞれの人間関係、利害関係、読み返さないとわからなくなる、Vicが言っているように表にしてみたくなる。
相変わらずVicは猪突猛進、相手が大物であろうと非協力的であろうとも怯むことなくねばり強く接触し情報を引き出そうとする。しかし、今回登場したBody ArtistとOlympiaという二人はVicと同じぐらいタフ、Vicの執拗な面会要求もさらりとかわしてしまう。自分のことは自分で守れるという矜持をもっていて、とても魅力的なキャラだった。
疲れたという言葉が頻繁に出てくるようになり、老眼にもなってきたと嘆いているわりに、犯人を誘き出すために最後に見せたVicの行動にはビックリ!まだまだ若いと 思い安心した。
Kindle版 ★★★★ 443ページ