気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Body Work by Sara Paretsky

2015-11-29 10:06:23 | 読書感想


従姉妹のPetraが給料の良さに惹かれて、ほぼ全裸の女性が自らの身体をキャンバスにして観客に絵を描かせるBody Artが人気のある、いかがわしい店でアルバイトを始めたのを危惧し様子を見に行ったV.I.Warshawski(Vic)は、店の裏口で女性が銃撃される場面に遭遇する。Vicは傷の手当てをしようとするが、彼女は「Alley」という言葉を最後に息をひきとる。殺された女性Nadia Guamanはこの店の常連客で、いつもBody Artist(Karen Buckley)の身体に女性の顔を描いていた。そして、容疑者として浮かんだのは、同じく店の常連客でイラク帰還兵のChad Vishneski。店の誰もが二人が口論しているのを何度も目撃していて、Vicも事件の前日、Chadが凄まじい剣幕で彼女に詰めよっていたのを目撃していた。匿名の電話を受け、彼の自宅を急襲した警察は彼がドラッグの過剰摂取で意識不明の状態でいるのを発見する。さらに、彼の傍らに殺害に使用された銃があるのを発見、直ちに彼は逮捕勾留され、刑務所内の病院の救急治療室に収容される。

Vicは自分には関係ない事件と無関心を装おうがNadiaの死に顔が頭から離れなかった。そして、事件が報道された翌日、事務所に着いたVicをChadの父親が待ち受けていた。彼は、息子が女性を殺すことはあり得ないと主張、仮に息子が女性を殺したとしたら、何がそんなに彼を逆上させたのか調べて欲しいとVicに依頼する。Vicは、状況証拠からChadの犯行だと思っていたが、父親の主張を尊重し、彼が無罪であるという前提で調査を進めることを決心する。

Vicは二人の接点を探るため、彼らの身辺を調査することから始める。
Chadは軍隊に入るまでは陽気な男だったが、イラクでの任務中、彼を除く彼の部隊全員が殺されたことで精神的ショックを受け、除隊後、精神的に不安定になり怒りぽい性格に変わってしまっていた。

Nadiaの身辺を調査したVicはNadiaが死に際に彼女に漏らしたAlleyという言葉が、3年前、イラクで死んだ彼女の姉Alexandraを指していることを知る。同時期、Chadもイラクに派遣されていた。NadiaとChadを結びつけるものはAlexandraではないか?
また、本来、男性客を対象にしていると思われるショーに、何故、Nadiaはしつこく出続けたのか?body Artistと彼女は知り合いなのか?
事件の鍵を握るのはAlexandraとBody Artistだと思ったVicは二人について徹底的な調査を決意する。

そんな一方で、Vicは、NadiaとChadの部屋が荒らされ二人のパソコンが持ち去られているのを発見し、Chadが犯人であることに疑問を感じ始める。
だが、精力的に調査を進める彼女の前に、調査を阻止すべき、巨大軍事産業と金融マフィアが立ち塞がる。

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ちょと複雑な人間関係、。ChadとNadiaの調査に行き詰まるとAlexandra,それにも行き詰まるとBody Artist、さらにクラブのオーナーのOlympiaと調査対象が目まぐるしく変わって、それぞれの人間関係、利害関係、読み返さないとわからなくなる、Vicが言っているように表にしてみたくなる。

相変わらずVicは猪突猛進、相手が大物であろうと非協力的であろうとも怯むことなくねばり強く接触し情報を引き出そうとする。しかし、今回登場したBody ArtistとOlympiaという二人はVicと同じぐらいタフ、Vicの執拗な面会要求もさらりとかわしてしまう。自分のことは自分で守れるという矜持をもっていて、とても魅力的なキャラだった。

疲れたという言葉が頻繁に出てくるようになり、老眼にもなってきたと嘆いているわりに、犯人を誘き出すために最後に見せたVicの行動にはビックリ!まだまだ若いと 思い安心した。

Kindle版 ★★★★  443ページ


Lousiana Longshot by Jana Delleon

2015-11-15 11:21:52 | 読書感想


CIAの特殊工作員Fortuneは中東での麻薬取引の囮捜査の最中、12才の少女をアラブの族長に売り渡そうとする男がいるのを目撃して、怒りのあまり自分の任務を忘れ、男を履いていたハイヒールを使って殺してしまう。その結果、囮捜査は失敗に終わり、さらに殺した男が名うての武器密売人の弟だったことから、彼女はその武器密売人から彼女の命に莫大な懸賞金を懸けられる。

彼女が世界中の犯罪組織から命を狙われることを懸念した彼女の上司Morrowは、彼らが武器密売人を逮捕するまで、Fortuneに彼の姪に成りすまして、Loisiana州のSinfulという湿地帯にある小さな田舎町に身を潜めているように命令する。 Morrowは、彼の姪は最近亡くなった Sinfulに住む叔母から財産を相続したが、一度もそこに行ったことがないので、住民は誰も彼女の顔を知らずFortuneが姪のSandyーSueと名乗って財産整理のため叔母の家に滞在しても誰も疑わないと渋るFortuneを説得する。

Sinfulの叔母(?)Margeの家に着いた彼女は、Margeの親友だったという老婦人GertieとMargeが飼っていた老犬Bonesに出迎えられる。Fortuneは、世話好きなおばあちゃんと老犬に囲まれての退屈な日常を予期して一刻も早く任務に復帰することを願う。しかし、用足しに離したBonesが裏庭を流れる川から人骨を咥えて戻って来たことから様相は一変する。

人骨は5年前から行方不明になっていた町一番の大金持ちで嫌われ者Harvey Chicoron、容疑者は町の誰もが大好きな彼の妻Marie、彼女はMargeやGertieたちの親友だったためFortuneは否応なしに事件の捜査に巻き込まれていく。

だが、Fortuneは慎重に行動しなければならない。もし、自分の存在がこの事件を通じて、世間やマスコミの注目を浴びることになり、自分の顔写真がマスコミに曝されることになれば、彼女の正体がばれ、彼女の身に危険が迫ることを意味する。

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コージーミステリーらしくハッピーエンドで終わる。アメリカ人好みのドタバタにはちょっとついていけないところもあるが、ストーリー自体は良くできていてうまく捻りもあって面白く読めた。とにかくキャラが魅力的。

暴力にまみれた生活を送っていた男や元殺人課の刑事などが平穏な生活を求めて田舎町に住み着く。しかし、そこで事件が起き男は巻き込まれていき、やむなく以前の経験をいかして事件を解決するというパターンは良くあるが.CIA所属の女性暗殺者が身分を偽ってちっぽけな田舎町に身を隠すというのは、初めて読むパターンでヒロインが何時その凄腕を見せるのかワクワクしながら読んだ。
Kindleだと無料なので是非一読を!

Fortune Redding
CIAの特殊工作員(暗殺者)。
15才の時に亡くなった父親、一度も仕事をしくじ を ったことがない超優秀なCIA エージェントだった父親を尊敬、目標としている。
人に会うとその人の身長体重など身体的特徴を素早く評価し、相手の弱点を探る。
正義感が強く直情径行、状況を考えないで、目の前の出来事に興奮して行動する傾向がある。無理に眠ろうとするときは羊の数を数えるのではなく手榴弾の数を数えて眠ろうとする。愛読書は武器に関する本。自分の任務に関係すること以外に興味を示さない。化粧もしない。本人は気づいていないが、かなりの美人。銃以外、身近なもの、例えば自分が履いていたハイヒールなどを利用して人を殺す能力にも優れている。

Kindle版 ★★★★ 紙の本の長さ 250ページ 

 

 


164円でBoschを読む!THE DROP

2015-11-01 09:48:40 | 読書感想

Amazonは期間限定である本の値段を超特価で販売している。そしてその期限が過ぎると値段を戻す。前に読んだBoschシリーズのこの本の次回作Burnning Roomも162円で 読んだが、今は500円になっている。円安で洋書の価格が上がっているので、こういうサービスはありがたい。

この本の中でBoschは3つのDROPの問題に直面する。

20数年前、海水浴に来ていた19才の女性が強姦され、殺される事件が起きる。事件は、犯人を特定逮捕することなく現在に至る。そして今、迷宮入り事件(The Open-unsolved Unit)を担当してい るBoschは、最新の鑑定技術で、その事件の証拠を洗い直していた鑑識から犯人が被害者の首に残した血の1滴(drop)がDNA鑑定の結果、性犯罪歴のある男Clayton PellのDNAと一致したという報告を受ける。Boschは Clayton Pellの性犯罪歴を見て、彼が犯人であると確信するが、男の生年月日を見て愕然とする。犯人と思われるPellは当時8才だった。8才の少年が19才の女性を強姦して殺す?、あり得ない状況にBoschは困惑する

また、長年、Boschを目の敵にしている市会議員Irvin Irvingの息子Georgeがホテルのバルコニーから転落死(drop)する事件が起こる。IrvingはBoschの捜査手腕を買い、彼に事件を捜査するよう署長を通じて要請する。Boschは、不本意ながらも、署長命令に従い、事件を捜査することに同意する。先乗りした刑事たちは、Georgeがバルコ ニーのある最上階の部屋を予約していたことや飛び降りたときの悲鳴が聞こえなかったことなどから、彼は自殺したと断言した。しかし、BoschはGeorgeの肩についていたアザから他殺の可能性を疑う。

このふたつのDropに関する事件を捜査するBosch自らも、DROP(Deferred Retirement Option Plan)と名付けられた熟練刑事の定年を延長する制度と直面する。この仕事が好きな彼は最大限の5年の延長期間を希望しているのだが.ふたつの事件の捜査が彼自らのDROPについての想いに影響を与えていく。

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価格が安いので作品的につまらないかと思って読んだが面白かった。とくに8才の少年が殺人犯という設定は、どういう結果になるのか興味をひかれた。些細な証拠を見逃さず事実を突き止めていく。明快な推理は心地よい。ただ、事件の盛り上がりという点で、二兎を追うもの・・という感じもしたので★3つ。また、次回作 The Burning RoomでBoschのパートナー が代わっているのも納得。

 Kindle版 ★★★ 紙の本の長さ 401ページ  164円