バレイタインデイの朝、Samantha Leiffer(Sam)は良くないことが起きるときに生じるDead Man's Fingersという感触が背筋から首筋に這い上っていくのを感じる。それを感じたときは必ず悪いことが彼女に起きていた。今日も何か悪いことが起きるに違いないとビクビクしながら彼女は仕事場に向かう。
午前中の保育園の仕事を無事終え、午後の劇場の職場の休憩時間、Samはいやな気分を癒そうとハドソン川の川縁へ散歩に行く。そこで彼女は男と女が重そうなアイスボックスを川の中に投げ捨てるのを目撃する。女性は、冬なのに半袖の衣服を身につけていた。そして、後ろ姿の女性は肩をふるわせ泣いているように見えた。何故、泣いているのか興味をもって二人の様子を見ていた彼女は、男と目があってしまう。その男の目は白目の部分が鏡のように光を反射している異様な目をしていた。彼女はあわててその場を去る。あのような眼をした人間がいるはずはない、自分は幻覚を見たと思いこもうとする自分と、実際に見たと確信する自分の間で、気が変になったのではと彼女は悩む。
休日開けの月曜日、保育園の仕事に行った彼女は、いつも子供達に読み聞かせるために持っている本にhideという落書きが、そして母から送られてきたバレンタインデイ・カードの母親の写真の眼には×じるしの落書きが何者かによってなされているのを発見する。
×印された写真の眼と川で目撃した異様な眼の男と関連があるのか?
思い悩んだ彼女は、川で目撃したことをゲイで親友のYaleに話すが思い過ごしだと一蹴される。Yaleは新しい恋人Peterを紹介したいので彼がつとめているレストランに一緒に行こうと彼女を誘う。レストランでPeterを紹介された彼女は、その男が埠頭で会った男と同じ鏡の眼をした男であるのを知り、さらに男がこのコンタクトレンズはほかにないと言ったのを聞いて蒼白となる。彼女の様子に訝るYaleを後目に彼女は早々とその場を去る。そして、彼女がPeterにとった態度に気づき、彼女の後を追ってきたPeterの同僚の店員からPeterがSM主義者で悪魔崇拝者だと教えられる。
Samはアイスボックスを捨てていた男はPeterであり、アイスボックスの中身は悪魔の生け贄にされた死体の一部であると確信し、以前、保育園に安全教育に来た刑事のKrulにその目撃情報を話にいく。しかし、話を聞いたKrulはアイスボックスの中身は不法投棄したゴミである可能性が高いと指摘し、彼女の意見を取り上げなかった。
また、Peterの断言にもかかわらず、彼女の周辺にミラーコンタクトをつけている人々が他に数人いるのを知り、彼女はPeterが殺人犯人だという信念が揺らぎ始める。
そんな中、刑事のKrullが彼女に会いたいと電話して来る。Samと会ったKrullは彼女が目撃したと思われるアイスボックスが見つかり、その中から3歳の少女の遺体が発見されたと話す。そして、その少女の遺体は何かの儀式のように眼が傷つけられていた。
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ヒロインは、別に何かやりたいという野心もなく、今の仕事に、自分に満足して人生をユルークのんびり生きている女性。
また、おばあちゃんの影響でとても迷信深く、思いこみも激しい。DeadMan's Fingersを感じたときは、悪いことを避けるために、今やっていることの反対のことをしないといけないと思い込み、あわててバッグを反対に持ち変える。刑事のKrullが彼女の身を案じていろいろ心配してくれると、自分のことをこの刑事は好きなのだと思いこんでベッドに誘い込もうとしたり・・このおっちょこちょいな性格を愛らしいと見るか、軽重浮薄と見るかで この本の評価が180度違ってくると思う。
私はスタンフォード大を出たという割には知的な面が感じられず、例えが下品だし家で見るのはポルノと通販のテレビというのは女性としては軽重浮薄で、あまり好きになれないキャラクター。
また、プロットの展開、捻りに無理があるような気がする。
326ページ Kindle版 ★★★