気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Hide Your Eyes by Alison Gaylin

2014-05-18 10:37:01 | 読書感想

バレイタインデイの朝、Samantha Leiffer(Sam)は良くないことが起きるときに生じるDead Man's Fingersという感触が背筋から首筋に這い上っていくのを感じる。それを感じたときは必ず悪いことが彼女に起きていた。今日も何か悪いことが起きるに違いないとビクビクしながら彼女は仕事場に向かう。

午前中の保育園の仕事を無事終え、午後の劇場の職場の休憩時間、Samはいやな気分を癒そうとハドソン川の川縁へ散歩に行く。そこで彼女は男と女が重そうなアイスボックスを川の中に投げ捨てるのを目撃する。女性は、冬なのに半袖の衣服を身につけていた。そして、後ろ姿の女性は肩をふるわせ泣いているように見えた。何故、泣いているのか興味をもって二人の様子を見ていた彼女は、男と目があってしまう。その男の目は白目の部分が鏡のように光を反射している異様な目をしていた。彼女はあわててその場を去る。あのような眼をした人間がいるはずはない、自分は幻覚を見たと思いこもうとする自分と、実際に見たと確信する自分の間で、気が変になったのではと彼女は悩む。

休日開けの月曜日、保育園の仕事に行った彼女は、いつも子供達に読み聞かせるために持っている本にhideという落書きが、そして母から送られてきたバレンタインデイ・カードの母親の写真の眼には×じるしの落書きが何者かによってなされているのを発見する。
×印された写真の眼と川で目撃した異様な眼の男と関連があるのか?

思い悩んだ彼女は、川で目撃したことをゲイで親友のYaleに話すが思い過ごしだと一蹴される。Yaleは新しい恋人Peterを紹介したいので彼がつとめているレストランに一緒に行こうと彼女を誘う。レストランでPeterを紹介された彼女は、その男が埠頭で会った男と同じ鏡の眼をした男であるのを知り、さらに男がこのコンタクトレンズはほかにないと言ったのを聞いて蒼白となる。彼女の様子に訝るYaleを後目に彼女は早々とその場を去る。そして、彼女がPeterにとった態度に気づき、彼女の後を追ってきたPeterの同僚の店員からPeterがSM主義者で悪魔崇拝者だと教えられる。

Samはアイスボックスを捨てていた男はPeterであり、アイスボックスの中身は悪魔の生け贄にされた死体の一部であると確信し、以前、保育園に安全教育に来た刑事のKrulにその目撃情報を話にいく。しかし、話を聞いたKrulはアイスボックスの中身は不法投棄したゴミである可能性が高いと指摘し、彼女の意見を取り上げなかった。

また、Peterの断言にもかかわらず、彼女の周辺にミラーコンタクトをつけている人々が他に数人いるのを知り、彼女はPeterが殺人犯人だという信念が揺らぎ始める。

そんな中、刑事のKrullが彼女に会いたいと電話して来る。Samと会ったKrullは彼女が目撃したと思われるアイスボックスが見つかり、その中から3歳の少女の遺体が発見されたと話す。そして、その少女の遺体は何かの儀式のように眼が傷つけられていた。

 

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ヒロインは、別に何かやりたいという野心もなく、今の仕事に、自分に満足して人生をユルークのんびり生きている女性。
また、おばあちゃんの影響でとても迷信深く、思いこみも激しい。DeadMan's Fingersを感じたときは、悪いことを避けるために、今やっていることの反対のことをしないといけないと思い込み、あわててバッグを反対に持ち変える。刑事のKrullが彼女の身を案じていろいろ心配してくれると、自分のことをこの刑事は好きなのだと思いこんでベッドに誘い込もうとしたり・・このおっちょこちょいな性格を愛らしいと見るか、軽重浮薄と見るかで この本の評価が180度違ってくると思う。

私はスタンフォード大を出たという割には知的な面が感じられず、例えが下品だし家で見るのはポルノと通販のテレビというのは女性としては軽重浮薄で、あまり好きになれないキャラクター。

また、プロットの展開、捻りに無理があるような気がする。

326ページ Kindle版 ★★★


The Target (Will Robie3) by  David  Baldacci

2014-05-05 11:10:13 | 読書感想


アメリカ大統領は核開発を積極的に進める北朝鮮に危惧の念を抱いていた。彼は、この事態の解決に苦渋の決断をする。彼は、CIA長官 のEvan Tuckerが提案した北朝鮮の最高指導者の暗殺計画を承認する。そして、その計画に同調して行動する予定の北朝鮮軍のNo2、Pak 将軍に彼の言質を与える。

Tuckerはこの作戦の遂行に最適な人物としてWill RobieJessica Reelの二人を指名する。ただし、Tuckerは前回の作戦で二人が上司 の命令に従わなかったことを問題にし、再教育の必要があるとして二人をCIAの訓練所に送る。
かって自分の部下の副長官をReelに殺されているTuckerは、二人が過酷な訓練に耐えられず死ぬことを願っていた。彼は 二人が死んだ 場合に備えて、予備の人選を終わっていた。
RobieReelはこの再訓練でのTuckerの殺意を察知するが、この仕事にプライドとやりがいを感じている彼らは、この訓練を受ける決心 をする。

そんな中、北朝鮮国家警察はイギリス大使館員Lloyd Carsonが敵対国アメリカの情報員と接触しているのを突き止める。事態を重視した国家警察は、Chung Chaという女性に彼の行動を監視し、米情報員との会談の内容を探り出すよう命令する。Chungは20代という若さだが凄腕の暗殺者として上層部から信頼されていた。
北朝鮮を離れ欧州を旅行中のLloydを監視していたChungは、ルーマニアのホテルに投宿した彼の部屋に侵入するが、監視されているのを 察知したLloydの待ち伏せにあう。しかし、なんなく反撃し、彼を殺す。彼女はLloydの持っていた携帯電話の履歴をチェックして、最近 かけた番号に電話した彼女は、電話に出た相手がPak将軍であること知る。

CIA長官のTuckerLloydが殺されたという知らせに顔面蒼白となる。ただちに大統領と面談したTuckerは、もし、Pakが当局に拘束され 、北朝鮮首領の暗殺計画とアメリカの関与を彼が吐露した場合、アメリカは世界中から非難を浴び、アメリカの権威は失墜すると説得し 、渋る大統領からPakの暗殺許可を得る。

Tuckerは、訓練所にRobieReelを訪ね、暗殺計画の発覚を察知してフランスに逃亡潜伏しているPak将軍の暗殺を二人に命令する。

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ヒロインは北朝鮮の暗殺者Chung-Chaであるよう。とても 惹きつけられるキャラクター。wrong place wrong timeという言葉があるが Chungはまさしくその言葉があてはまる。生きるためには暗殺者になるしか選択の余地がなかった。彼女は、生き残るためには家族も犠 牲にするしかない収容所から這いあがって家と車を持てるようになり、北朝鮮では人並み以上の生活をしている。しかし、仕事をしくじ ったらすべてを失い、また収容所に戻されることを危惧しながら生活するすさまじい生きざま。北朝鮮の生活の一端がよく描かれている と思う。

読み進むにつれて、この若き孤高の女性暗殺者にどんどん親近感を増していき、好きになっていく。どう考えても最後は、・・彼女が成 功すればRobie達が失敗する事になり、それはありそうもないから・・、彼女にとって、いい結果にならないと思い、だんだん読むのが 辛くなっていく。

しかし、予想外の展開になりビックリ、そして、読み終わった後、ジーンと心に残るものがある。特に、Chungが強制収容所から連れ出 したMinに"My name is Min. I am ten.Will you help me?”という英語を彼女に暗唱させる、その意味が分かったときは泣ける。

二人が再教育のために訓練施設に送られ、肉体的に過酷な訓練を受ける様子や、精神科医との面談などの場面がえんえんと綴られていく のだけど、読む方としては退屈だった。

Kindle版 ★★★ 400ページ 1022円

Will Robieシリーズ   The innocent (#1)  The Hit  ( # 2 )  The Target ( # 3)