気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Taken by Robert Crais

2013-06-23 10:32:35 | 読書感想

恋人同士のJack BermanKrista Moralesは、数十年前に麻薬密輸業者の飛行機が墜落したという、Palm Springsの南、メキシコ国境近くのAnza Borrego砂漠の現場を見に行く。
そこで 彼らは メキシコからの不法入国者のグループと不法入国を請け負う組織の男(Coyoteと呼ばれる)がBajadoresという組織に襲撃され、Coyoteが殺され不法入国者が拉致される場面に遭遇する。そして、彼らは 不法入国者の一員と思われて捕らえられる。

Bajadoresは 家族から身代金を巻き上げることを目的として不法入国者達を拉致していた。彼等は不法入国者の家族が貧しいことを考えて、一回に要求する額を少額に押さえ、一定の期間をおいて何度も要求し、支払えなくなった家族の人質は殺していた。
Kristaは、自分はメキシコからアメリカに家政婦として働きにきたメキシコ人と嘘を言い、彼らの指示に従い、身代金として500ドルの送金を要求する電話を母親にする。

LAで探偵事務所を開いているElvis ColeNita Moralesという女性実業家から娘の居所を探して欲しいと依頼される。大学を卒業して、近々、就職先のDCに向かう予定の彼女は、ボーイフレンドのいるPalm Springsに行ったきり一週間連絡が途絶えていた。さらに、彼女自らの声で誘拐されたので身代金として500ドルを送金してくれと電話があり、Nitaはその金を送金したとColeに話す。

しかし、Nitaは金額が少額なことから、誘拐は遊ぶ金に困った娘の狂言と考え、娘がべガスに行き、二人だけで結婚式を挙げたのではと危惧しており、娘の失踪をそんなに深刻に考えていなかった。

Coleはボーイフレンドの住むPalm Springsに向かい、彼らの友人から、ここ数日二人と連絡が取れないと言われ、彼が最後に二人と別れた場所に案内してもらう。
そこでColeは真新しい銃のヤッキョウと二人の免許証、そして’Q,coy Sanchez'(SanchezというCoyoteに聞け)と書かれたメモを発見する。

相棒のJoe Pikeとともに調査を開始したColeは、二人の免許証を発見した場所で不法入国者を乗せたトラックがBajadoresに襲われ、SanchezというCoyoteは殺され、不法入国者とその場にいた二人は一緒に拉致されたと考えた。
ColeはKrista達の監禁場所を探るため、人手を必要とする企業に不法入国者を売り渡す仲介者になりすまし、単身、Bajadoresの組織に潜入しようとする。

Pikeが彼の動きをフォロウしてくれていることを信じて。

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相変わらず、二人の友情の厚さ、信頼の強さは、読んでいる僕を心地よくさせる。
最初は劣悪な環境ながらも 誘拐犯の口調の柔らかさ、穏やかな態度にどこかホッとしているKristaだが、やがて、身代金を家族が払わない場合は 人質に拷問を加えていることを知り、彼らの凶暴性に徐々にパニックになっていく。 大丈夫だろうと思いながらも早くColeかPikeが助けにこないかとやきもきさせる。
章ごとに捜索する側のColeとPikeの章、誘拐されたKristaの章と交互に描かれていくが、徐々に二つの接点が近づいて行くのが分かり読むスピードを上げていく。ただ、冒頭近くに時間軸を無視して、PikeのColeを捜索をする章が入っているのは ちょっと戸惑いを感じた。
最後の盛り上がり、そして、依頼人がColeに示した粋な感謝の形、とても良かった。

また、Coleが事務所にかけているピノキオの時計について、Nitaが”Pinocchio reminded us to work for our dreams"と話す場面。この時計、欲しくなったな。

Kindle版 ★★★★


Six Years by Harlan Coben

2013-06-09 10:42:07 | 読書感想

6年前、夏の間、学術論文を書くことに専念するために保養所で過ごすことにしたJake Fisherは 画家をめざしているNatalieと出会い、恋に落ちる。Jakeは彼女こそ運命の女と思い、彼女との愛が永遠に続くと信じていた。が、突然、Natalieは彼を捨て他の男Todd と結婚してしまう。結婚式当日、呆然とするJakeにNatalieは自分のことは忘れてそっとしておいてくれるよう約束して欲しいと頼む。

Jakeは約束を守り、この6年間、Natalieのことは心の奥にしまい 大学で政治哲学を教えていた。そんなある日、 大学の同窓会のホームページにNatalieの夫であるToddの死亡記事を発見する。
そっとしておいて欲しいという彼女との約束を気にしながらも、未亡人となったNatalieのことが気になってこっそりと強盗にあって殺されたというTodd の葬儀に参列する。しかし、そこにはNatalieの姿はなくかわりに彼の妻であるという女性と 10代の子供達の父を悼む姿があった。Natalieは結婚している男と重婚をしたのか?それとも彼は別人なのか?

Jakeはそれを確かめるべくNatalieの妹のJulieに電話するが 彼女はNatalieの結婚式で会ったにも関わらずJakeのことを知らないと突っぱね、もう二度と電話してこないよう言って電話を切ってしまう。
妹にむげに断られたJakeはNatalieの居所を突き止めるべく、手がかりを求めて、彼らが出会った保養所を訪ねるが保養所はすでになく、いや、それどころか最初から存在してなかったと巡回していた警官に言われる。

さらに、ふたりが結婚式をあげた教会に行ったJakeは二人の結婚式の記録がないことを知る。さらに、式を主宰した牧師は、式の記憶がないと言い、そのとき、彼と話したにも関わらずJakeのことを覚えてないと主張する。そして、二人が頻繁に訪れたカフェの女主人も彼らのことを記憶にないと言う。本当に覚えてないのか?それとも嘘をついているのか?もし、嘘をついているのなら、それは何故か?

JakeはNatalieの所在がわかればすべてが氷解すると考え、同僚の教授に助けを求める。彼女はFBIの出身でそのコネを利用してFBIの持っているデータベースからNatalieの居所を割り出すことができる、とJakeは考えたのだが・・・彼女からNatalieに関する記録は6年前で途絶えており、アメリカで暮らして行くには必須となる銀行口座、納税証明、クレジットカードなどの記録が一切なく、彼女がどこにいるか、生死を含めてわからない、これは異常であると話される。

Natalieを探す手がかりがなかなか見つからないことに絶望したJakeは、深酒して家に帰るが拳銃を持った二人組に待ち伏せされ車に拉致される。彼らは 強盗に見せかけて、Natalieの夫(?)Toddを拷問の末殺した男達だった。そして、彼らは銃を突きつけて、拷問しても聞き出すという仕草を見せながらJakeに尋問を開始する。「Natalieは何処にいる」と。

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ちょっとプロットに無理がある。読み進んでいくと、すでに結婚している男との結婚、結婚式後のNatalieの消息不明などの不可解な事実が徐々に解明されて行くのだがちょっと納得いかないところがあった。

くどく感じるほどのJakeの心情に関する書き込み、相変わらずの畳み込むようなCoben節にもちょっと飽きてきた。約束を破ってNatalieを探そうとする自分の行動にいちいち言い訳を探すのは190センチの大男にしては女々しい感じがして、このキャラクターに好感が持てない。

★★☆(2.5)


Dead Famous by Carol O'Connell

2013-06-02 12:25:57 | 読書感想

4ヶ月前、シカゴで精神科医として働いていたJohanna Apolloは患者のひとりのFBI捜査官が彼女の待合室で今話題の連続殺人犯The Reaperに殺されてから 、FBIの監視の目を逃れて、NYのホテルに人を見ると襲ってくる凶暴な猫と一緒にひっそりと暮らしていた。そして、名前を偽りRikerが運営を任されている犯罪現場の清掃を請け負う会社の一員として働いていた。

シカゴでは 誰もが有罪であると疑わなかった裁判で無罪の評決が陪審員によってなされ、その後、評決をした陪審員がReaperとマスコミによって名づけられた殺人犯によって次々と殺される事件が起きていた。FBIが彼らを保護しているにもかかわらず次々と犠牲者がでる中、陪審員たちはFBIの保護を信頼せず密かにシカゴを抜け出して他の州に移り住んでいった。
殺された捜査官はこの事件を捜査しており、何か手がかりをつかんだためにReaperに殺されたと思われた。FBIは彼女が何かを知っていると考え彼女の行方を追っていた。

全米のマスコミが この事件で沸き立っている中、Ian ZacharyをパーソナリティとするNYのラジオ番組は、行方をくらました陪審員の目撃情報を募り、確かな情報には賞金を与えるというショッキングな生放送を毎夜放送し高聴取率をはじきだしていた。そして、Johannaは、全米でもっとも悪名の高いZacharyいうこの男から、この特殊な仕事についてのインタビュー依頼をRikerを通して受けていたが断っていた。Rikerは会社の宣伝になると考え、彼女に出て欲しいと考えているのだが・・そして、Johannaはいつもこの番組を聞いているのだが。

 彼女の経歴を調べ、 彼女とシカゴの事件との関連を知ったMalloryは この事件を利用して復職しようとしないRikerをなんとか復職させようと計画する。MalloryはRikerにJohannaが偽名を使っていることを知らせるが、RikerはJohannaの彼に与える癒し感に好感をもち 偽名など意に介さない。

しかし、Malloryの思惑通り、FBIがJohannaに接近してくる。そして、FBIを振り切っての帰途、Johannaは、いつも遭遇するホームレスの男を通して彼女を見つけたというReaperからのメッセージを受け取る。翌朝、Reaperからのメッセージを彼女に伝えたホームレスの男が公園で殺されているのを彼女は発見する。

最初は 死体発見者として彼女から事情聴取していた警察だが、彼女の指紋の照会から、本名がJohanna Apoloという精神科医であり、殺害の手口が同じであるシカゴでのFBI捜査官の殺人事件の現場にもいたことを知り、一転、容疑者として彼女を扱うようになる。

10代の精神異常の犯人から銃撃されて死の淵まで追い込まれた恐怖から、二度と刑事に戻るまいと考えていたRikerだがJohannaの無実を立証するため、また、Reaperから彼女を守るために一連の事件に関する捜査を開始する。

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読んでいて衝撃的なのは 物語の中だけの設定なのかもしれないが 殺人犯から逃れている陪審員の所在を明らかにしたら賞金をもらえる番組。

こんなこと有りかと思って読んでいくとさらに衝撃的な事実が明らかになっていく。Malloryが知っていたにも関わらず、渡された捜査資料などには書かれていなかった事実にショックを受けたRikerじゃぁないけど、この事実を著者はもっと早くに教えてくれた方が この本を読むスピードをあげていったと思う。・・でも、ミステリーとはこういうものか?

この本の主役はJohannaだと思う。このキャラクターがすばらしい。10代の頃から背中にできた腫瘍のため背骨が曲がり前かがみになってしか歩くことができない。しかし、そんなハンディキャップを持っているにも関わらず、精神科医として人に心の安らぎを与えることを目的として生きている。Rikerも彼女といると安らぎを感じているようで、Malloryは銃撃されたショックから立ち直って刑事として復帰できるようJohannaがRikerを治療してくれることを願っているのだが。

Malloryは相変わらずruthless(JohannaのMalloryに対する出会った印象)
FBIのデーターなどをハッキングしたり、盗聴装置をつけたり、捜査に必要と考えたら証拠をでっち上げて証人を拘留したりとマイペース。ただ、パートナーとしてRikerを復帰させようとする必死さ、そして、孤独さが随所に感じられる。
そして、相変わらずの病的なほどの整理好き、散らかっているのを見ると直さずにはいられない・・この性格、好き!いつもにやにやしながら読んでる。そして、もうひとつ、写真のピンぼけ、尾行の他に弱点があったんだ。

★★★★