気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Blindsighted by Karin Slaughter

2016-01-31 09:48:40 | 読書感想

Georgia州、Grant CountyのHeratsdaleという小さな町で小児科医と検死医を兼務するSara Lintonは昼食を取りに行った店のトイレで女性がレイプされ刺殺されているのを発見する。
殺された女性はSaraも顔見知りのSibyl Adamsという目が不自由な33歳の大学教授だった。

彼女は直ちに警察署長で元夫のJeffrey Tolliverに連絡する。現場に到着したJeffreyは腹部を十字に切り裂かれた死体を見て慄然とする。被害者Sibylは犯罪捜査課の唯一の女性刑事Lenaの双子の姉であった。被害者の身内であるLenaを捜査から外すべきか悩んだ彼は、彼女を捜査から外すと独断で捜査を行うことを懸念、また彼女が刑事として優秀であることを考慮して、彼女を捜査チームに加える。LenaはSibylの死に驚愕するが、Sibylの死を悼むよりも彼女を殺した犯人を突き止め電気椅子に送ることに全力を挙げることを決意する。

捜査会議に参加したSaraは、犯人は盲人であるSibylのお茶に利尿作用のある薬belladonnaを投入し、トイレでSibylを待ち伏せて殺したと話し、犯人が誰であろうと、かなり注意深く計画された犯行であると断言する。
Jeffreyは、Sibylの身近な人間への聞き込みの他、性犯罪歴のある住民のリストを作り、捜査員たちに個別に当たるように指示する。

そんな中、Sibylの交友関係を調べに彼女の教えている大学に行ったJefferyとLenaはJulia Matthewsという女子学生が行方不明だということを知る。そして翌日、彼女がSaraの車のボンネットに放置されているのがSaraによって発見される。

彼女を綿密に調べたSaraは、12年前に、自分に起きた悲惨な出来事が事件の手がかりを握っている可能性に気づく。それはまた、彼女の身に危険が迫っていることを意味しているのだが。

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Sara Lintonが主人公の物語と思って読み始めたが、Grant Countyシリーズと名付けているようにSara、Jeffrey、Lena3人が主人公で展開するストーリーだった。Saraが死体から殺された状況を的確に推理していく様子がかっこよく、彼女の主導でストーリーが進むかと思ったら、やはり検死医という立場のため捜査には関与せずにJeffreyが捜査の主体となっていたのは残念。もうすこし彼女を捜査に関与させてほしかった。

検視の場や救急現場では毅然とした態度を取りながらも、自分の過去の悲惨な体験をJeffreyに知られることを恐れるSara。黒人や女性を対等とみない南部アメリカ社会の偏見と苦闘するJeffery、そしてなんとかSaraの愛情を取り戻そうと奮闘するJeffrey。女であることで同僚の刑事たちから軽んじられていることに苛立ち、反発するLena、また保守的な町でSibylがレスビアンであったことを隠し、姉の名誉を守ろうとするLena。それぞれのキャラがとても魅力的に語られていく。また、Saraを見守る両親、妹の絆の強さが物語の清涼剤となっている。

検視の場面、犯行の場面、過激な描写にびっくり。絶対、映像では見たくない。頭にその場面を思い浮かべたくないけれど、He didn't want to think about Sibyl Adams,blind,sitting on the toilet while her attacker slit....と描かれたら読んでる方は、つい、そのシーンを頭に想い描いてしまう。文章を通して被害者の恐れ、動転した様子、またLenaの回想を通して幸せそうに微笑むSibylの姿が見事に描かれている。

blindsight ➡ 盲視(光源や他の視覚的刺激を正確に感じ取る盲人の能力)、またbelladonnaの薬効によって起こる作用you can see ,but your mind can't make out what it is you're seeing p242より

Kindle版 ★★★★ 434ページ 985円 2001年出版


Fortune Redding

2016-01-24 10:13:08 | 女性探偵(刑事)

Fortune Redding

CIAの特殊工作員(暗殺者)。

15才の時に亡くなった父親、一度も仕事をしくじ を ったことがない超優秀なCIA エージェントだった父親を尊敬、目標としている。
人に会うと、その人の身長体重など身体的特徴を素早く評価し、相手の弱点を探る。

正義感が強く直情径行、状況を考えないで、目の前の出来事に興奮して行動する傾向がある。その性格のせいで犯罪組織から命を狙われていて、今は元Beauty Queenの図書館職員と身分を偽りLouisiana州のSinfulという田舎町に身を隠している。

眠ろうとするときは羊の数を数えるのではなく手榴弾の数を数えて眠ろうとする。愛読書は武器に関する本。自分の任務に関係すること以外に興味を示さない。化粧もしない。本人は気づいていないが、かなりの美人。銃以外、身近なもの、例えば自分が履いていたハイヒールなどを利用して人を殺す能力にも優れている。

作者 Jana Deleon

Miss Fortune シリーズ
 Louisiana Longshot(#1)★★★★, Lethal Bayou Beauty(#2)★★★★ , Swamp Sniper (#3), Swamp Team 3 (#4) , Gator Bait (#5) , Soldiers of Fortune (#6) , Hurricane Force (#7)


 Kate Redman

2016-01-24 10:00:39 | 女性探偵(刑事)

Kate Redman


Londonの西方に位置する都市Abbeyford市の警察の刑事(Detective Sergeant巡査部長)

28歳、17歳の時、男の子を生むが養子に出す。手放したことを今でも悔やんでいる。それをきっかけにKellyという名前をKateに変える。
アル中気味の母親を見て酒は飲まない。

著者 Celina Grace http://www.celinagrace.com 

Kate Redmanシリーズ ⇒ Hushabye(#1)★★★, Requiem(#2),  Imago(#3), Snarl(#4), Joy(Short Story#5), Echo(#6), Creed(#7), Sanctuary(#8)


Lethal Bayou Beauty by Jana Deleon

2016-01-17 12:50:16 | 読書感想

CIA所属の暗殺者Fortuneは、武器密輸業者から100万ドルの賞金をかけられ世界中の犯罪組織から命を狙われている。彼女の身を案じた上司の命令で、彼女は、Louisiana州、Sinfulという田舎町に図書館職員と身分を偽って、身を隠す。
退屈な田舎暮らしを想像していた彼女の予想に反して、彼女は、次々と事件に巻き込まれていく。

今回の事件は、Pansy Arceneauxという女性がこの町へ帰ってきたことから始まった。彼女は元beauty queenで、数年前に女優を目指してハリウッドへと旅立っていった。
Pansyの帰郷の目的は、Summer Festivalで行われる子供達の美人コンテストの美容指導を行うためと云われているが、Fortuneの世話役を自認する老婦人のIda BelleGertieの二人は女優になる夢を絶たれ、母親のCeliaから金を無心するために彼女は戻ってきたのではないかと考えていた。一方、町の多くの男たちが、Pansyと肉体関係をもっており、彼女が帰ってきたことに戦々恐々としていた。

Fortuneは、Pansyと同じく元beauty queenの図書館職員というふれこみでこの町に身を隠しているため、このコンテストに参加を余儀なくされる。
そして、子供達が集まったコンテストのリハーサルの日、美容について全く無知なFortuneはPansyから侮蔑的な言葉を浴びせられる。怒ったFortuneはもう一度同じ言葉を浴びせたら彼女を殺すと威嚇する。

翌朝、Fortuneは副保安官のCarterから、深夜、Pansyが自宅で殺されたと告げられ、彼女のアリバイについて聞かれる。
町の多くの人々が昨日の二人の諍いを目撃していて、彼らはFortuneがPansyを殺したと考えていた。
もし、警察が自分を容疑者として逮捕して、身元を調査し始めたら、犯罪組織に潜伏場所が知られてしまう。その可能性を憂慮したFortuneは Ida BelleとGertieの協力を得ながら、自ら真犯人の捜査に乗り出す。

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アメリカ特有のドタバタコメディーにはついていけないところもあるが、Fortune,Gertie、Ida Belleの3人のキャラの面白さで楽しく読めた。
普通、NYやDCの大都会に過疎の町からやってきた若者が、何も知らないの田舎者とバカにされるのに対し、都会から過疎の町にやってきたFortuneが世間の常識を知らない田舎者(?)として描かれているのがおもしろかった。


Kindle版 269ページ ★★★★  561円 2013年3月8日出版


Invisible City by Julia Dahl

2016-01-11 16:08:24 | 読書感想

フロリダの大学のジャーナリスト学科を卒業したRebekah Robertsは、世界の中心地New Yorkの一流紙の記者となり名声を得ることを夢見ていた。しかし、応募が殺到する一流紙の新聞記者となるのは容易ではなく、彼女は、タブロイド紙New York Tribuneの非正規の記者となり、毎朝、編集デスクからその日の取材対象を指示される遊軍記者となる。

そして 厳寒の一月の金曜日、彼女は編集デスクからBrooklynのスクラップ置き場で全裸の女性の死体が発見されたので取材に向かうよう指示される。
現場に着いた彼女は殺された女性がユダヤ教の厳格な規律に従うHasidicであることを知り胸騒ぎを覚える。
彼女の母親もHasdicで、彼女が生まれてまもなくフロリダに住む彼女と彼女の父親を見捨てて、New YorkのBrooklynのユダヤ人地区に移り住んでいた。彼女が New Yorkに職を求めた理由のひとつは、母親がBrooklynに住んでいることも関係していた。

取材を始めた彼女は 警察とHasdicとの奇妙な関係に戸惑う。彼女は、殺された女性の死体が死因の特定に必須である検死を行うことなく、現場に駆けつけたHasdicの男達に引き渡される場面に遭遇する。警察は真剣に事件を捜査する気があるのか?彼女は疑問を感じる
やがて、彼女は殺された女性がスクラップ置き場のオーナーAron Mondelssohnの妻Rivka であることを突き止め、さらなる情報を得るためにHasdicが住むユダヤ人居住区Borough Parkに向かう。そこは 新聞もTVも見ることを許さない世間とは隔絶したInvisible Cityであった。そして、そこは彼女の母親が生活している町でもある。彼らは自分達に起きた出来事は自分達で解決する自治権を主張し、部外者の介入を好まなかった。

Rivkaの自宅前で聞き込みを行おうとした彼女は、彼らに拒絶され取材は困難をきわめる。しかし、粘り強く取材を続けた彼女は、彼女もユダヤ人であることを知った数人から殺されたRivkaの人物像を得ていく。また、彼女は、そこで思いがけなく彼女の母親を知っているというユダヤ人の警官Saul Katzに出会う。彼は NYPDは捜査に消極的で、このままでは Rivkaの死の真相はあいまいなままに終わってしまうと言い、警察の捜査にプレッシャーをかけるため、事件を記事にして欲しいと話す。彼は 密かに、Rivkaの死体を彼女に見せ死因は殴打によるものだと教えるなど、他の誰も知らない情報を彼女に与えていく。

彼女は、スクープの予感に緊張する、今までは、デスクの指示で事件を取材しているだけで、一つの事件を追及し続けることはなかった。
Rebekahは、何時間も人々の前に無惨な姿をさらしていたRivkaの無念を想い、また、Rivkaのことを調査していくことは、同じHasdicだった母親のことを知ることになると考え、独自に取材していくことを決心する。

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ミステリーというよりは、Hasdicという閉鎖された社会に対する好奇心とRebekahのキャラで読ませる作品だと思う。また、Rebekahの取材を通して見えてくるRivkaの生き様、不合理と思われる戒律から抜け出そうともがき苦しむ彼女の様子がよく描かれている。

2015年のMWA新人賞と Mary Higgins Clark Awardsの最終候補作になったにも関わらず賞を逃したのは、おそらくミステリー色が、いまいち、薄かったため?。ただ、SHAMUS AWARDSのBEST FIRST P.I. NOVELを獲得している。たしかに Rebekahの粘り強く取材を続けるキャラは探偵としてとても魅力的。

 

また、作者が記者だという経験から描かれていると思われる取材の実態の様子。取材するのは記者、記事を書くのはエデェターという分担。なかなか事件の関係者からコメントを取れない点など、ワイドショーのレポーターが事件の関係者から情報を聞き出そうとマイクを突きつける姿を思い浮かべながらとても興味深く読めた。

 

 Kindle版 ★★★★ 298ページ


No Good Deed by Allison Brennan

2016-01-03 15:59:15 | 読書感想

!! この本はDead Heat,Besr Laid Plansに次ぐ3部作の最後の作品、順番に読むことをお薦めします。前の作品のネタバレが含まれています。少なくとも,Besr Laid Plansは先に読むことをお勧めします。!!

 

Texas州、San Antonio、月曜日朝、護送中のNicholeの乗った車が彼女の仲間によって襲撃される事件が起きる。多数の犠牲者が出る中、Nicoleは仲間と共に行方をくらます。彼女はDEAの捜査主任だったが、麻薬カルテルと結託していたことが露見し、逮捕、勾留されていた。
FBI捜査官のLucyは、週末の休暇中にSeanからプロポーズを受け、幸福感に満ち足りた気分でいたが、Nicoleの脱走の報告を聞き、直ちに現場に向かう。彼女は、Nicoleの不正を暴いた1人だった。多くの捜査官が麻薬カルテルのボスTobiasの犯行だと主張する中、Lucyは、護送方法を熟知している者しか考えつかない、子供が乗ったスクールバスを利用した鮮やかな脱走、襲撃の手口から、Nicoleがこの計画の首謀者だと確信する。
Nicoleの元パートナーだったDEA捜査官のBradは、Nicoleが襲撃の時間、場所をあらかじめ知っていたことから、DEA内部にNicoleの協力者がいると確信して、部外者であるLucyを上司の了解を得て捜査のパートナーとする。

Lucyは良く練られた計画だったことを考慮して、彼女が海外脱出の手段、潜伏するための隠れ家を用意していると確信する。そして、犯罪心理学者の資格を持つLucyは、上司のAbigail DurantからNicoleの身元調査書と経歴書を渡され、彼女のプロファイルを作るように命令される。
Nicoleの経歴を調べ始めたLucyは、彼女の経歴に嘘や謎が多く存在することを知る。彼女の警官だった父親はドラッグ業者の手によって殺されたと言う。何故、彼女はそういう彼らを取り締まろうとせずに、彼らと手を結んだのか?また、San Antonioに着任するまで、彼女は頻繁に勤務地の異動を上層部に申請していたのは何故か?。Lucyは、浮かび上がってくる多くの謎を解明するために彼女を知る人物をピックアップして彼らの話を通して彼女の人物像を特定しようとする。

そんな中、彼女が捜査中に知り合った捜査官達がNicole達によって次々と殺されていく。
遂には、Tobiasの行方を追っていたSeanの兄Kaneも行方不明になる。

Nicoleは何故、国外に逃げず、San Antonioに留まっているのか?DEAに対する復讐のため?彼女の思考パターン、行動パターンを理解するためにLucyはNicoleのプロファイルを完成することに全力をあげる。

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 最初から最後まで息詰まる展開。捜査機関内部に、Nichole達に情報を流す内通者がおり、自分の身の回りの人間を信用できない緊迫感の中で、次々と仲間の警察官や一般市民が殺されていく、アメリカのテレビドラマ「24」を観ているようなワクワクドキドキする面白さがあった。

また、Nicle、Tobias、Elise、3人の人間関係が分からず戸惑っていたが、やっと彼らの関係が明かになる、Tobiasの思いがけない正体にはビックリした。NicoleへのJosephの絶対的な愛は、SeanのLucyに対する愛情に匹敵、共に愛する者のために闘う姿は読みごたえがある。

Lucyは仲間、上司との関係が上手くいってないように感じて落ち込んだり、自分の推理が間違えていたらと不安に思ったり、悩み戸惑いながらも、他の捜査官が見逃すような出来事から犯人に迫っていく推理の冴えは見事。

 Kindle版 ★★★★★  発売日2015年11月3日 461ページ