イギリスの近郊都市Denton。ここで起きる犯罪は、よれよれのコート、マフラーを首に巻き、唇にタバコをだらしなく咥え、下品な比喩を乱発するFrost警部が捜査指揮をおこなうことになる、彼は次々と起こる事件の捜索に大忙しだが、てきぱきと処理して行く。
雷雨の中 切断された足首が発見されたという通報があるが、彼は 近くの研修医のいたずらだと考え(希望し?)、それ以上の捜索をしない。
また、10代の少女が行方不明という通報にも ボーイフレンドと一緒に行動していると考え、2,3日で両親の元に帰ると楽観している。
最近続けざまに起きている10代の少女のレイプ事件が また起こるが、事件が起きた場所から急発進して逃げた車がいることを防犯カメラから知り、..その車の持ち主を突き止め この男が犯人に間違いないとして 現場に残された体液と男の体液をDNA鑑定するよう指示する。
そして 食品に毒を入れると金銭を要求する脅迫があったとスーパーから通報があるが Frostは 現金を引き出しに来たところを捕まえるからと スーパーの経営者に指定された口座に現金を振り込ませる。
・・・しかし、行方不明の少女は 依然として帰らず、一緒にいると思われる少年も彼女と同じ時期に行方不明であることがわかり、Frostも二人が事件に巻き込まれて、すでに殺されているのではと危惧する。そして、少女の父親からは すべての捜査に優先させて娘の捜査をするよう圧力をかけられる。
レイプ事件も犯人と思われた男が DNA鑑定の結果 犯人でないとわかりがっくり。
犯人を簡単に捕まえると公言したスーパーの恐喝も もう今日は犯人は現れないと見て 張り込みを解除した後に犯人が現れて現金を引き出すという大失態。
昼は少女の捜索、夜はCD(現金引き出し機)の見張りと 人手不足のDenton署は皆が寝不足、過労気味。そんな中にもあらたに 10代の少女が行方不明になり、また身元不明の女性の死体が発見されFrostは休む暇がない。
一方、Frostの上司Mullettは あらたにFrostの上司としてSkinnerという男を他の署から転任させるが SkinnerはFrostを他の署に転任させる手段を講じる命令をMullettから受けていた。
Skinnerは Frostが領収書の額を不正に上乗せして 請求していることを突き止め 不正請求を黙認する代わりにFrostに転任を納得させる。
Frostは 不正の事実を突きつけられて しぶしぶ転任を承諾するが いま関わっている事件を転任の時期までに解決したいと思ってがんばるのだが・・・
*** 感想 ***
amazonの書評などを読んで この本はユーモア小説で ずっこけ警部を周りの優秀な部下が守り立てて 警部に手柄をたてさせる・・・そういうミステリーかなと思っていた。が、Frostを中心においた警察署物語という感じ。この警部はかなり仕事熱心、事件が発生すると on my way と言って 深夜だろうが疲れていようが、すぐに現場に向かう。また、次から次と起こる事件に没頭するあまり、 デートの約束を忘れてしまったり。
また彼は、被害者の両親に 娘が殺されたことを伝えに行くのだが、両親の悲嘆を見るのがつらくて 彼らのうちの前に車を止めたままタバコを吸い続けて なかなか彼らに会いに行く決断がつけられないところに人間的な優しさを感じる。
彼はすごい明晰な頭脳の持ち主というわけではなく、お金を引き出された時間帯に道路に置かれた監視カメラの映像に映っている車の所有者を片端から調べさせたり、 犯人が現金を引き出す場所に設置された防犯カメラの映像を何度も何度も見て犯人の特徴を見極めようとしたり、地味だが丹念な捜査指揮を行っていく。
また上司のMullettの意向に逆らって行った彼と犯人とのやりとりはちょと感動的。この警部の修羅場での度胸がわかっておもしろい。
なかなか優秀な警部だと思うのだが、なぜ、Mullettが彼を嫌って追い出そうとするのかよくわからなかった。もっとも これはシリーズ物なので前作などを読めば分かるのかもしれない。
ちなみに良く出てくる単語、flaming,bloodly,sod は強調語だと思い無視して読みました ^_^;
' Sod it ! Tell him I'm on my way.' P43より
"I want to know everything that happened. Every bloody thing, no matter how unimportant you think it might be." P17より
" He's a detective , Mum " said the girl.
" Well, he don't flaming look like one." P 19より