気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

2nd Chance(Women's Murder Club) by James Patterson

2014-07-27 09:39:15 | 読書感想

3ヶ月前、連続殺人事件を解決した後、精神的落ち込みから立ち直るため現場を離れていたLindsayは黒人居住区の教会で起こった銃乱射の連絡を受けて現場に復帰することを決意する。
銃の乱射はちょうど聖歌隊の子供達が教会から出てきたときに起こり、多くの子供達が逃げまどう中、11歳の黒人少女Tasha Catchingsが胸に銃弾を受けて死亡する。
現場に赴いたLindsayは、教会の壁に穿たれた無数の銃弾の痕、ステンドグラスの破壊の様を見て、犠牲者が一人だけだったことに意外性を感じる。

近所の聞き込みに回ったLindsayは Bernardという8歳の少年から犯人はドアに双頭のライオンの絵のステッカーが貼ってある白い車に乗っていたという証言を得る。

署に戻ったLindsayは署長のMercerから黒人の教会に対する襲撃は、人種差別主義者(Hate Group)による犯行の可能性が高く、市長も世間が騒然とすることを懸念しており、次の事件が起きる前に犯人を逮捕するように要求される。

そんな中、サンフランシスコ・クロニコルの犯罪担当の主任のCindyが会いたいと連絡してくる。
Lindsayは以前の事件を契機に女性に関する犯罪を独自に捜査する組織、Women's Murder Clubを発足させていた。メンバーは新聞記者のCindy,検察官補Jill,検視長Claire、そしてLindsayの4人で構成されていた。

Lindsayと会ったCindyは この犯人の仕業と思われる事件が、もう一件起きていると話す。2日前、オークランド市で高齢の黒人女性が電気コードで首を吊って死んでいるのが発見される。自殺と思われたが検死の結果、女性の指の爪から殺人犯のものと思われる皮膚が検出され殺害されたことがわかる。電気コードは首にしっかり食い込むように細工されており、犯人は被害者を縛り首の私刑にかけたようにみえた。Cindyは人種差別主義者の同一犯だと断言していた。

Cindyの情報が気になりオークランドの現場の検分に行ったLindsayは被害者が吊り下げられていた部屋の壁に双頭のライオンの絵が描かれているのを発見、二つの事件は同一犯によるものであると確信する。

そんな中、少女の検死を行ったClaireから電話がある。少女は胸を2度撃たれており、たまたま流れ弾に中ったのではなく、乱射は少女を殺すために意図的に行われたものだった。

そして CindyとLindsayはほぼ同時にHate Groupの中に双頭のライオンをシンボルにした白人の人種差別主義者グループの存在を突きとめる。Cindyの新聞社の資料によると双頭のライオンはキマイラと呼ばれ、不敗の獣とされていた。Lindsayは部下の刑事にキマイラをシンボルにしているHate Groupの捜査を命じる。

また、二人の被害者にはどちらも身内に警察官がいたことがわかる。

犯人の動機は警官への恨みから、それともHate Crimeとよばれる人種差別主義者による犯行か?

Lindsayはメンバーの会合を開き、捜査関係者や世間がHate Groupの仕業と考えているが、彼女はHate Groupの手口を真似た個人の犯行であると考えていると話し、メンバーに捜査の協力を求める。

そんな中、第3の黒人の犠牲者が出てLindsayは捜査責任者として窮地に追い込まれていく。

・・・正確にはHate Group(特定の人種、国、宗教などに対する偏見、差別憎悪を持つ団体)と人種差別主義者は意味が一致しませんが 分かりやすくするためにあえて同一の意味として扱いました。


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Women's Murder Club、殺人事件を解決するための集まりか と思っていたが、2巻目になって、そればかりではなく、メンバー同士の、お互いの喜び、悲しみを共有していく心の繋がり、結びつきも強く感じられた。ひとりが落ち込んでいると皆が駆けつけてその悲しみを共有し彼女に孤立感を抱かせない。仲間って良いなぁと思わせる。

また、犯人を追いつめていく過程も前回、Lindsay 一人で捜査を進めていく感じがしたが、今回はCindyがオークランドの殺人事件の情報を教えたように、チームワークを発揮して事件を解決していく。Women's Murder Clubの名にふさわしいストーリーになってきた。
今後もこの展開を期待。

★★★★  本の長さ 410ページ Kindle版  ¥794


 


Into the Dark by Alison Gaylin

2014-07-09 13:38:28 | 読書感想

失踪人捜査を専門とする私立探偵Brenna Spectorは助手のTrentに言われ、今度調査することになるLura Belleと言う女性のパソコンに映し出された映像を見ていた。Lulaはバックからの照明で顔を判別することができず、ヌードと思われるシルエットがビデオの中で動いていた。
Lulaはperformance artistと称し、Webで自らのビデオを有料で公開していた。彼女はヨガのようなポーズを取りながら、南部訛のハスキーボイスで視ている者に自らの少女時代の思い出を話していた。Trentをはじめ多くの男が彼女の魅力に引かれ 彼女のサイトは盛況を呈していた。しかし、3ヶ月前に彼女は、突然、Webのサイトを閉鎖して消息を絶っていた。

自分が見聞きしたことはすべて記憶する能力を持つBrenna は Lulaが何気なくした仕草に、2ヶ月前に娘のMayaとナイアガラの滝を見物に行ったとき、同じ仕草をした女性がいたことを思い出す。男と一緒にいた20代と思われる美しい女性はとても悲しそうな目をしていて、死にたいと思っているように見えた。

その女性とLulaが同一人物か判断できないものの、BrennaはLulaに興味を引かれるが、依頼人の名前がErrol Ludlowと分かるとこの仕事を断ることを決心する。彼女は独立する前彼の事務所で働いていたが、その間、彼の配慮のなさで4度も生命の危険に会っていた。

しかし、映像を見続けていた彼女は Lulaが子供の頃の思い出としてセメントミキサーの歌について話していることに衝撃を受ける。その歌はBrennaと彼女の父親しか知り得ないはずの歌だった。どうして Lulaはこの歌を知っているのか?興味を持ったBrennaはこの仕事を引き受けることにする。

Brennaは依頼人のErrolと会って、真の依頼人がGary Freemanというハリウッドで有名な少女専門の大物プロデュウサーであることを突きとめる。

Garyは、Lulaの依頼でWebに有料サイトを立ち上げたことは認めたが、彼女との連絡はE-mailで行っており彼女と会ったことはなく、何処に住んでいるかわからない、とBrennaに告げる。

Garyは、Webで得た収入をLulaに送っていたが、Lulaが送り先に指定した私書箱はBrennaが子供時代を過ごした町だった。
彼女は伝てを利用して私書箱の設置者を突き止めるが、設置者はLulaではなくRobin Tannenbaumという男だった。そして、RobinもLulaとほぼ同じ時期に消息不明になっていることがわかる。また、彼の部屋にはBrennaについて書かれた本が残されており、さらに彼のPCには幼いBrennaと姉Cleaが一緒に映っている子供時代の写真が保管されていた。

BrennaはRobinの母親から彼は映画学校に行っていたことがあると聞き、Webに流されていたLulaの映像は彼が撮っていたと推測する。

Brennaは Lulaが行方不明になっている姉ではという想いが心の中で徐々に膨らんでいくのを感じる。一刻も早く、二人の行方を突き止めることが 長年、Brennaの重荷になっている姉の消息を掴めることになると信じ彼女は捜査を進めていく。

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ひとつの手がかりが次の手がかりへとつながり、読むスピードをゆるめない。ただ、一つの手がかりを発見する度にBrennaのそれに関連した回想シーンが入り込んできて読んでる僕を混乱させる。
ミステリーとしては必須かもしれないが、単なる人探しの調査のはずが殺人事件が起こり、Brennnaたちも命の危険にさらされるなど、物語も次第に緊迫感を増していく。

また、最後の最後まで、Lula BelleがBrennaの姉であるかどうか曖昧にしたままでストーリーが進むので、Lulaが姉でハッピーエンデングの終わりになるのか?ミステリー小説なのだから、うまく理由づけして他の終わり方をするのか?どちらも可能性がありそうで最後まで興味が尽きることなく読めた。


読んでいて一番印象に残ったのは、Dinandraという若く美しい女性、男は皆彼女の魅力に一目惚れしてしまう。ここまで男に尽くす女性はいないのではと思うほど敬愛する男に対する彼女の献身的、無上の愛、一途さ・・ちょっとほろりとしてしまう。

また、昔のすらりとした体型の面影が消えてしまったBrennaの高校時代の友人が彼女に情報を与える代わりに、高校時代の彼女の話、チアガールをしていた彼女がどんな服装をして、どれだけ男達にモテていたのかをBrennaに話をさせ、自分の輝いていた時代を懐かしがる。この気持ち分かる、思わずにやりとしてしまう。

384ページ ★★★  Kindle版 519円