3ヶ月前、連続殺人事件を解決した後、精神的落ち込みから立ち直るため現場を離れていたLindsayは黒人居住区の教会で起こった銃乱射の連絡を受けて現場に復帰することを決意する。
銃の乱射はちょうど聖歌隊の子供達が教会から出てきたときに起こり、多くの子供達が逃げまどう中、11歳の黒人少女Tasha Catchingsが胸に銃弾を受けて死亡する。
現場に赴いたLindsayは、教会の壁に穿たれた無数の銃弾の痕、ステンドグラスの破壊の様を見て、犠牲者が一人だけだったことに意外性を感じる。
近所の聞き込みに回ったLindsayは Bernardという8歳の少年から犯人はドアに双頭のライオンの絵のステッカーが貼ってある白い車に乗っていたという証言を得る。
署に戻ったLindsayは署長のMercerから黒人の教会に対する襲撃は、人種差別主義者(Hate Group)による犯行の可能性が高く、市長も世間が騒然とすることを懸念しており、次の事件が起きる前に犯人を逮捕するように要求される。
そんな中、サンフランシスコ・クロニコルの犯罪担当の主任のCindyが会いたいと連絡してくる。
Lindsayは以前の事件を契機に女性に関する犯罪を独自に捜査する組織、Women's Murder Clubを発足させていた。メンバーは新聞記者のCindy,検察官補Jill,検視長Claire、そしてLindsayの4人で構成されていた。
Lindsayと会ったCindyは この犯人の仕業と思われる事件が、もう一件起きていると話す。2日前、オークランド市で高齢の黒人女性が電気コードで首を吊って死んでいるのが発見される。自殺と思われたが検死の結果、女性の指の爪から殺人犯のものと思われる皮膚が検出され殺害されたことがわかる。電気コードは首にしっかり食い込むように細工されており、犯人は被害者を縛り首の私刑にかけたようにみえた。Cindyは人種差別主義者の同一犯だと断言していた。
Cindyの情報が気になりオークランドの現場の検分に行ったLindsayは被害者が吊り下げられていた部屋の壁に双頭のライオンの絵が描かれているのを発見、二つの事件は同一犯によるものであると確信する。
そんな中、少女の検死を行ったClaireから電話がある。少女は胸を2度撃たれており、たまたま流れ弾に中ったのではなく、乱射は少女を殺すために意図的に行われたものだった。
そして CindyとLindsayはほぼ同時にHate Groupの中に双頭のライオンをシンボルにした白人の人種差別主義者グループの存在を突きとめる。Cindyの新聞社の資料によると双頭のライオンはキマイラと呼ばれ、不敗の獣とされていた。Lindsayは部下の刑事にキマイラをシンボルにしているHate Groupの捜査を命じる。
また、二人の被害者にはどちらも身内に警察官がいたことがわかる。
犯人の動機は警官への恨みから、それともHate Crimeとよばれる人種差別主義者による犯行か?
Lindsayはメンバーの会合を開き、捜査関係者や世間がHate Groupの仕業と考えているが、彼女はHate Groupの手口を真似た個人の犯行であると考えていると話し、メンバーに捜査の協力を求める。
そんな中、第3の黒人の犠牲者が出てLindsayは捜査責任者として窮地に追い込まれていく。
・・・正確にはHate Group(特定の人種、国、宗教などに対する偏見、差別憎悪を持つ団体)と人種差別主義者は意味が一致しませんが 分かりやすくするためにあえて同一の意味として扱いました。
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Women's Murder Club、殺人事件を解決するための集まりか と思っていたが、2巻目になって、そればかりではなく、メンバー同士の、お互いの喜び、悲しみを共有していく心の繋がり、結びつきも強く感じられた。ひとりが落ち込んでいると皆が駆けつけてその悲しみを共有し彼女に孤立感を抱かせない。仲間って良いなぁと思わせる。
また、犯人を追いつめていく過程も前回、Lindsay 一人で捜査を進めていく感じがしたが、今回はCindyがオークランドの殺人事件の情報を教えたように、チームワークを発揮して事件を解決していく。Women's Murder Clubの名にふさわしいストーリーになってきた。
今後もこの展開を期待。
★★★★ 本の長さ 410ページ Kindle版 ¥794