気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Beauty With A Bomb by M.C.Grant

2018-03-28 18:48:42 | 読書感想

2015年PWA BEST ORIGINAL PAPERBACK P.I. NOVEL候補作

SAN Francisco

ビルの屋上から飛び降りようとしている妊婦と思われる女性を説得しようとした刑事のFrank Furyは、彼女からレポーターのDixie Flynnと話したいと要求される。やがて、やって来たDixieに、彼女は自分はAnia Najak、ポーランド人だと名乗り、自分のことを調べて記事にしてほしいと頼み、 止めようとするDixieを振り切りビルから飛び降りる。そして落下する途中、彼女の体は爆発する。その爆発のショックで近くのビルの窓ガラスが割れ、ガラスの破片による負傷者が発生し、また近くに止められていた車の警報が鳴り響き、飛び降りる様子をスマホに映そうとしていた人々は彼女の血に染まる。Dixieは、彼女は帝王切開で赤子を取り出され、代わりに体内に爆発物を埋め込まれていたことを知り、そのような手術を施した人物に怒りを覚える。また、単なる飛び降り自殺と見ていた警察は自爆テロの可能性が出てきたことで騒然となる。Frankは事件を人々を恐怖に陥れようとするテロリストの警告だと主張するが、Dixieは、今までにポーランド人がテロを行ったことはないことから女性はテロリストではなく、人々を傷つけないように場所を選んで自爆したと考え、彼女のことを調べ記事にすることを決心する。彼女は同僚に最近6か月以内のポーランド人コミュニティに起こった暴力事件があるかどうか調べるよう頼む。そして自らは、裏社会に詳しい賭け屋の男に最近ポーランド人の間に何か変わったことがないか聞きに行く。彼女は男から情報を得ることはできなかったが彼のボディーガードのポーランド人Jakubという男から呼び止められる。彼は、記事に出さないことを条件に、Aniaのことに関して、彼の叔母Irenaに会ってほしいと告げる。

Irenaはポーランドからアメリカへ不法入国する女性達を悪質な密入国業者から守ろうとする組織に属していた。Irenaは、密入国した女性たちが行方不明になっている事件が頻発していると話し、Aniaも行方不明になっている女性の1人であったとDixieに告げる。

数日後、DixieはAniaの叔母に会わせるというIrenaの伝言で彼女達に会いに行く。彼女達は戦闘服を身に着け、これから売春組織に女性たちを売ろうとしている密入国業者を襲い、女性たちを救い出すとともに、密入国業者からAniaに爆発物を仕掛けた人物を聴きだすつもりだと言い、Dixieに参加することを求める。Dixieは直ちに承諾して彼女らから渡された武器を手に救出作戦に参加する。彼女たちは密入国業者の不意を襲い女性たちの救出に成功するが、Dixieが警察に通報してる間に密入国業者は逃走してしまう。Dixieは密入国業者からの報復を危惧して、彼女達の身が危険であることを警告する。だが、彼女の危惧が的中する事態が発生し、彼女は仲間の女性の身を守るために自ら敵地に乗り込んで行く。

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殺し屋から刑事まで多彩な交友関係を持つ女性の事件記者がその人脈を通じて誰よりも、警察よりも早く事件の核心に迫って行く…と思っていたらこのヒロインのタフなこと。悪人と対等に渡り合う、恐れ知らずに犯人のアジトに潜入する。隠し持った武器で容赦なく悪人を殴打する。仲間に加わった襲撃では、味方の女性達も彼女の凶暴さに怯える。捕まえた男達が逃げたことを知り、殺せば良かったと後悔する女性達に、殺すよりも警察に引き渡すことが大事だと言いながら、いざ自分がその場に立つと殺しを厭わない。痛快爽快な劇画調の物語。

ただ、妊娠した女性の胎内に爆弾を収納してテロ行為を行うという動機はユニークだったけどいまいち納得がいかない動機だった。

Kindle読み放題に入っている人は絶対のおすすめです。


E-book(Kindle版)★★★★ 266ページ 2014年9月出版 読み放題(または900円)





The Twelve Lives of Samuel Hawley by Hannah Tinti

2018-03-18 09:15:42 | 読書感想

2018年 MWA Best Novel 候補作品

10代の頃から全米を転々としながら窃盗、強盗、盗品の運び屋、金の取り立てなどを繰り返す無頼な生活を送るSamuel Hawleyは、自分がいるべき場所はここではないと感じ、何時か、この生活から抜け出すことができる何かが起きることを期待していた。

そして、ある日、Hawleyは、永年の犯罪仲間である男から彼が刑務所で知り合った犯罪ブローカーの男に金を届けてほしいと頼まれる。待ち合わせ場所の食堂で男を待っている時、Hawleyは、葬儀帰りだという若い女性Lilyに出会い、自由奔放に振る舞う彼女の魅力に引き付けられる。やがて、金を受け取りに男がやって来るが、男は彼女を見るなり、彼女の父親の知り合いだと名乗る。そして、彼女の父親に金を貸していると言い、立ち去ろうとする彼女の腕をつかみ、彼女から金を取り立てようとする。Hawleyは、彼女を守ろうとして男と格闘になり、男に金を渡すことなく彼女が乗ってきた車でその場を立ち去る。

やがて二人は結婚する。Hawleyは、Lilyのためまっとうな生活をしようとするが、過去のしがらみから逃れることができず、そのために愛する彼女を失う。彼は二人の間に生まれた一人娘Looのため完全に過去のしがらみを断ち切る決心をする。そして、Looが12歳の時、Lilyの母Mabel  Ridgeが住む町に娘と共に移り住み、漁師として生きる決心をする。Mabel は娘は犯罪者と結婚したために亡くなったと信じ、彼らと交流することを拒否する。また、町の人々も、幾つもの銃弾の傷跡を持つ彼の特異な容貌から彼と一定の距離を置いて接触しようとせず、その影響から娘のLooも学校でいじめなどに会う。しかし、Lilyの同級生だっという校長の支援を得て徐々に二人はこの町で生活の礎を築いていく。

だが、平穏な生活を送ることができると考えていたHawleyは、やがて、断ち切ったはずの過去のしがらみから逃れられないことを知ることになる。

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ミステリーというよりは家族愛を描いた小説。ミステリーとしては不満だが、家族がお互いを愛し合う姿は感動的だった。犯罪者だった男に愛する妻ができ、そして娘が生まれ、男は犯罪から足を洗い、まっとうな仕事についていこうとする。しかし、過去のしがらみから最愛の妻を失う。最愛の人を失った悲しみから、男は過去のしがらみを切り捨て、娘のために生きようと奮闘する。父娘の強い絆、お互いの愛情、うまく娘への愛を言い表せない父親の不器用さ。妻が死んだ後も、彼女の存在を忘れないよう、写真や遺品を飾り、妻の記憶がなくならないようにしている男の妻への思慕。そして娘の強さ、学校でいじめにあいながらも父親に話さず、自らの力で解決していく。乳児の時に亡くなった母親の手袋をこっそりはめて母親を想う姿。Lilyが娘のために命をかける姿。母親Mabel に自分の結婚を認めてもらおうと深夜遅くまで一生懸命にへやを掃除するLily。娘や孫を犯罪者である男から切り離そうとする祖母Mabel  Ridgeの娘、孫への愛情。

先へ先へと読ませてくれる面白さがあった。


E-book(Kindle版)★★★☆  496ページ 2017年3月出版 536円(2018年購入)