気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Protector by Laurel Dewey

2011-04-18 05:13:59 | 読書感想

Denver市警の殺人課刑事Jane Perryは 14歳のとき、病床にあった母親から父親の暴力から弟を守るようにとの遺言を守り 弟の楯となって父親の暴力を受け続けた。彼女は、父親に受けた傷の痛みを和らげる方法として酒を飲むことを覚え、父からの暴力を受けなくなった35歳の今でも 多量のアルコールを飲み続けておりアルコール依存症気味である。 Janeは父親を憎みながらも 自分も父親と同じ刑事の道を歩んでいた。  Janeは 刑事としては優秀だった父親から子供時代に学んだ嘘の見破り方や拳銃を持った相手に対する対応の仕方などの捜査方法と、独特の捜査感(第6感)で管内の主要な事件のほとんどを解決していた。

ある日、彼女はパートナーのChrisと共にマフィアの犯罪を告発する証人Bill Stoverをガードする任務に就く。
しかし、その証人は彼女の目の前で 仕掛けられた爆弾によって妻と娘ともども殺される。燃え上がる車の中で 助けを求めて必死の形相で彼女を見つめる少女の眼がやがて絶望に代わっていく様子が 以来、悪夢となって彼女を悩ませる。
彼女の上司Wylerは ショッキングな場面に遭遇したChrisとJaneの二人に精神科医の診察を受けることを要求していたが彼女は拒否していた。
Janeは アルコールのせいか 過去に受けた暴力のせいか しばしば幻覚を見ることがあり 徐々に自分の正気が失われていくことを心配しており 精神科医に診てもらうことによって その事実が明らかになることを恐れていた。

カウンセリングを拒否するJaneWylerは停職を言い渡す。
署内の階段にたたずみ捜査に復帰する手段を考えていたJaneは 、そこで福祉局の職員に連れられた少女Emilyと出会う。左手にしっかりと携帯プラネタリウムを握り締めてJaneを見つめるEmilyを見た瞬間、Janeは彼女に対して初対面にもかかわらず 昔からの知り合いのような親しみを感じる。 

Emilyは2日前に起きた殺人事件で両親を殺されたが、自分はクローゼットに隠れて難を逃れていた。彼女は犯人を見た可能性が高いのだが 精神的ショックから、その夜の出来事を思い出すことを拒否していた。
Emilyも 初めて会ったときに Janeと同じような感覚をもったようで、彼女は捜査員や福祉局の職員との会話を拒否し、 唯一の話し相手としてJaneを望んでいた。

Wyler Janeに停職を撤回することを条件にEmilyと同居して 彼女が事件について知っていることを聞き出すよう命令する。
二人はEmilyたちが住んでいた惨劇のあった家で覆面パトカーに守られながら暮らし始める。Stover事件以外のことについて興味のないJaneEmilyから 事件について聞き出すつもりはなかった。

暮らし始めて数日後、Janeは任務のためにアルコールを絶っていたが その後遺症によるイラつきからEmilyが家の外に出ないという約束を破って、家の外に出たことに怒り、Emilyに暴力的制裁を加えようとする。寸でのところで我に返ったJaneは 自分にも父親と同じ暴力的衝動があることにショックを覚え Emilyのもとから去る。

自宅に戻ったJaneは 仕事にも人生にも絶望し、疲労困憊したまま眠りに就くが Emilyの自分に助けを求める声に目覚める。
Emilyの助けを求める声の幻聴に 不吉な予感を覚えたJaneEmilyのもとへ向かう。そして、そこでEmilyに付き添っていた福祉局の職員が殺され、殺人者から逃れるために屋根から落ちて倒れているEmilyを発見する。

 彼女の両親を殺した男が警察の監視の隙をついてEmilyを襲ったことに危機感を抱いたWylerは 警察が用意したDenver市から離れた町のセーフハウスに事件が解決するまでEmilyを保護することを決定する。そして Emilyをガードする役目をJaneに任命する。
EmilyとJaneのふたりは 犯人から身を隠し、Emilyが犯人についての手がかりを思い出すまで、名前も変え親子としてその町で暮らすことになる。 

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面白かった。
最初から最後まで緊迫した場面が続いて 次はどういう展開になるのか気になって 読むのを途中でやめることがなかなかできない。よくプロットができていて Janeの粘り強い捜査資料の検討から新事実がじょじょに明らかになって行き、最後に明かされる犯人にはドッキリする。

読み終わった後も Emilyが彼女にすべての悲しい出来事を忘れて癒しを与えてくれる携帯プラネタリウムを片手にしっかりと握り締めて 人々の間にポツンとたたずんでいる姿が心に浮かぶ。また、Janeが Emilyが寝た深夜 タバコを口に咥えて 捜査資料を何度も何度も検討する姿も。この二人のキャラクターがとてもよかった。

どちらも孤独感があるのだけど Emilyはまだ同世代の子供たちのなかに入ろうとしたり 周りの人ともけっこううまく溶け込もうとしているのだが、Janeは まわりとの人間関係を一切拒否している感じで切ない。相棒のChrisが 自分たちはパートナーだから一緒に捜査しようといっても拒否するし セーフハウスに移ってからも人々との交際を拒否する。友達とかボーイフレンドもいないようだし 仕事以外いっさい興味がない。
また Janeの父親が Janeに暴力をふるうシーンはすさまじい、家庭内暴力という言葉はよく聞くが これはそれ以上のものがあると思うのだけど・・アメリカでは事件にならないのかな?

次の作品も購入したのだけど この作品で せめて親身になって相談相手になってくれる友達かボーイフレンドができて この孤立感がなくなることを期待したい,
いや、これが彼女の個性だから このままのほうがいいか?