気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Dead Weight(Lizzy Gardner 2 ) by T.R. Ragan

2016-11-23 20:37:17 | 読書感想


カリフォルニア州の州都Sacramentoの私立探偵Lizzy Gardnerは、少女の時、シリアルキラーに拉致監禁されるが、隙を見て逃げ出した唯一の女性として世間に知られていた。2010年の夏、彼女の事務所に2人の女性が事件の依頼に訪れる。
1人は21年前に車で家を出たまま消息を絶った16歳の娘Carolの行方を突き止めて欲しいという娘の母親Ruth Fullerton。癌の末期症状にある彼女は、娘に何があったのか彼女が死ぬ前に知りたいと切に願っていた。
一人は6か月前に消息を絶った妹Dianeを捜してほしいという彼女の姉Andrea Kramer。Dianeは失踪前、ダイエットのカリスマ指導者Anthony Melbourneのセミナーにのめり込んでおり、警察は否定しているが、Andreaは妹の失踪には彼が関与している可能性が高いと言い、彼のセミナーに潜入して彼の動静を探るよう依頼する。
Lizzyは迷宮入りになっているCarolの事件について警察から当時の捜査資料を提供してもらい、アルバイトとして雇っているJessicaHayleyに資料の検討を命じ、捜査に見落とした点がないかどうか調べさせる。
一方、彼女自身はAnthony Melbourneのダイエットセミナーに参加し、彼の動静から不審な点がないか探ろうとする。
そんな中、Hayleyは母親を麻薬中毒にし、自分に性的虐待を加えた男たちに対し復讐することを計画していた。彼らを排除すれば母親が麻薬中毒から立ち直ることができるのではと思いながら・・・

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ミステリーの題材にダイエットを取り上げたのはユニークだと思うが、どうもそこまでやるかという感じでピンとこない。また、性犯罪歴がある男に平然と事情聴取できるHayleyとそういう男と接触する事に躊躇してしまうJessica。二人のコンビは面白いが18歳と21歳の2人が調査に従事し、Lizzyに代わって、関係者に事情聴取するのは、ちょっと、年齢による違和感がある

Hayleyのキャラは魅力的だった。彼女の推理力、行動力、ときには違法な手段を使って証拠を手に入れる大胆さで事件の真相に迫っていく姿はLizzyも形無し。ただ、Hayleyが今まで虐げられてきた男に対して復讐する様子が描かれていくが結果は期待はずれ、もうちょっとスマートなやりかたを期待していたのだが…

ただ、プロットは良くできていて、どういう結末になるかわからず、最後にこういう事かと納得、面白く読めた。

E-book(Kindle版) ★★★☆ 304ページ 2011年12月 読み放題を利用

 


The Lost Girls(Lucy Kincaidシリーズ) by Allison Brennan

2016-11-16 19:25:57 | 読書感想


RCKのKane Rogan の友人で 写真家であるSiobhan Walsh は突然消息を絶った友人の2人の娘を2年間探し続けていた。そんな彼女にテキサス州の片田舎 の教会の神父から電話がかかってくる。神父は、教会の前に生まれたばかりの乳児が放置されているのを発見したこと、乳児は、若い2人の姉妹Marisol、Anaと彼女が映っている写真が入ったロケットを身につけていたことを伝える。直ちに教会に神父を訪ねた彼女は、乳児とともに残されたロケットが彼女が姉妹に与えた物だと確認する。さらに彼女は神父からロケットの他に『誰も信用するな!』というメモが残されていたことを教えられ、姉妹がただならぬ状況におかれていることを知る。
彼女は教会の信者の主婦から隣の家に複数の妊婦を含む多数の男女が出入りしていると聞き、その家に姉妹が監禁されていると信じ、主婦の家から秘かにその家に出入りする人々の様子を見張ることにする。そして彼女は乳児を抱いた女性や屈強な男達が家に出入りする様子をカメラに撮らえる。彼女は姉妹の手掛かりがないかどうか調べるため、一瞬の隙をついて家屋内を捜索しようとする。万一の場合はFBIのRickに電話してくれるよう に神父に依頼して。

Seanとの結婚式を1ヶ月後に控えて幸せ感に浸っているFBIエージェントLucyは同僚のNoahとRickの要請を受けてSiobhanの救出に向かう。彼女はSiobhanの話や教会の前に乳児が放置されていた事件から乳児を売買する闇市場の存在を感知する。そして売買組織に監禁されている可能性が高い姉妹を救出するためにも犯罪組織の解明に全力をあげる。

一方、結婚式の準備に忙しいSeanのもとに、大学時代の恋人Madison McAllisterが訪ねて来る。彼女は、メキシコに行った夫Carsonと息子Jesseが帰宅予定日を過ぎても帰らず、48時間連絡も取れないことから誘拐された可能性が高いと主張し、Seanに父子を無事連れ戻して欲しいと懇願する。彼女は、Seanの親族が人質救出を専門とする民間会社RCKを運営していることや、その評判も知っていた。彼は自分はRCKにはもはや関与していないと話して、KaneなどRCKのメンバーを紹介すると話し、暗に彼女との関わりを拒否しようとする。そんなSeanにMadisonは息子の写真を見せる。疑いもなくSeanの息子であることがわかる写真。彼は、今まで自分に息子がいたことを隠していた彼女に憤りを感じながらも息子救出のためメキシコに向かう。この事態をどうLucyに説明すべきか悩みながら…

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SeanやKaneなどの男達より、LucyやSiobhan、そして非力ながらも妹を助けるために危機的状況と対峙するMarisol達の行動がカッコいい。
男達が自分の息子、身内、家族の血筋を引いているという理由で、助けに向かうのに対して、LucyやSiobhanは性犯罪の被害者を減らすために闘う、2人の行動には男たちにはない高尚さがある。

そんなLucyだが、今回は個人的な問題でかなり苦悩する。Seanとの結婚式を控えて幸せの絶頂にいたはずが、彼に息子がいたことが分かる。しかも、彼は、Lucyに息子がいたと言う事実を告げずに息子の救出に向かう。ただでさえ、自分が愛する人の子供を産むことができないことことに負い目を感じている彼女は大ショック。2人の関係はどうなるのか?事件より気になった。
面白かったが、ちょとアクションシーンが物足りなかったので★ひとつ減らしました。

E-book(Kindle版) ★★★★ 438ページ 2016年11月出版 836円(2016年11月購入)


Blind Sight Kathy Mallory12 by Carol O'Connell

2016-11-07 19:21:45 | 読書感想


ニューヨークの朝9時、かっては有名なジャズプレーヤーが演奏したことがあるSt Marks Placeの空き店舗の前で事件が起きる。杖をついた目の不自由な少年Jonah Quillが多くの観光客で賑わっている通りから行方不明になる。
その翌日、Kathy Malloryを子供のころから知っている Brenner神父はSt Marks Placeから半マイルも離れていないSoHo police stationに彼女を訪ねる。
神父はMalloryに昨日からMichaelと言う修道女が母親を訪ねる途中に行方不明になっていて、誘拐された可能性が高いと話す。Malloryは誘拐は自分の担当ではないと冷たく言い放つ。しかし、彼が身代金の要求はないと話すと、身代金や電話も来ないのに何故誘拐されたと思っているのか興味を持つ。神父は、修道女が自ら失踪するなら修道女の格好で出かけない、さらに彼女は母親のために、母親の自宅近くの花屋でバラの花を買ったと話して、失踪は考えられないと話す。また、市長は何故か、Missing Persons report(失踪人届)が受理される前に彼女の失踪を知っていたと告げる。
Malloryは修道女の本名がAngela Quillであることを知り、同じQUILLという名を持つJonah Quillが同じく昨日から行方不明になっていることに興味を持つ。彼の行方不明は誘拐の可能性を考えて、マスコミ協定により報道を控えられていた。やがて、AngelaとJonahは叔母、甥の関係であることがわかる。
そして、Angelaの死体が市長の公邸の庭で、3人の死体とともに放置されているのが発見される。4つの死体は、それぞれ心臓を抉り抜かれていたが、年齢、性別に共通性がなく犯人は無差別に被害者を選び殺したと思われた。
Malloryは警察がAngelaの行方不明を知る前に市長が知っていたことや死体が市長の公邸に放置されていたことから犯人は密かに市長に対して被害者に対する身代金を要求していたのでは推理するが、市長は否定する。
Malloryは修道女と甥は他の被害者のパターンに合わないと考える。他の被害者はそれぞれ世間との付き合いがなく、行方不明になっても誰も気づかない人々だった。AnngieとJonahは行方不明になったその日に警察に届けられていた。そして彼女は、むしろ同じ日、同じ通りで強盗にあった、ほとんど人付き合いのないAlbertという老人のほうが被害者のパターンに合致すると推理し、彼を自宅に訪ねるが、すでに犯人の手が及んでいた。
彼女は監視カメラを無効にする手口などから、殺人犯はプロの殺し屋だと断定する、そしてAngelaは殺し屋を知っていたという大胆な推理をする。また、4つの死体は死亡時刻が違っていることから、殺し屋は誘拐者を殺すまでしばらく生かしていたことがわかり、Jonahもまだ生きている可能性が高いと考え、Malloryは彼の捜索に全力をあげる。また、殺し屋を雇ったのは市長に恨みを持つ者と推測し、密かに市長の身辺を調べ始める。

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大好きなキャラクター、Malloryシリーズの3年ぶりの新作(12作目)。このシリーズのいいところは、第1作Mallory's Oracleから20年以上経っていても、ヒロインは歳をとらず、相変わらず20代、誰もが振り返る美貌を維持しているところ。また、彼女の守護天使のような存在の養父の友人たちとのやり取りも相変わらず楽しい。同僚の刑事たちからMallory the Machineと言われているように、人間の喜怒哀楽に無関心、身内を亡くして悲嘆に暮れている遺族にも捜査に必要なら容赦なく尋問や協力を要求する。彼女独特の犯罪に対する見解、感性、彼女以外の刑事には思いもつかない方法で犯人に迫っていく姿は期待通りワクワクさせてくれる。
印象に残ったのはAngieという女性のなんと心優しい生き様、修道女の前には売春していたというがそれは兄の学費を出してあげるため、兄が卒業した後は盲人の甥のday careの費用を稼ぐため…自分のことより他人のために頑張る姿はまさに神に仕える修道女の生き方、心打たれる。
そして、殺し屋IggyとJonahとの緊迫した関係もドキドキさせてくれるが、興味深かったのはIggyがJonahに聞いた質問、盲人は夢を見るのか?生まれついての盲人は景色や物を認識できない。Jonahの答えは作者が実際に盲人に取材した結果の答えなのか、着眼点に感心した。

E-book(Kindle版) ★★★★ 388ページ 2016年9月出版 1183円(2016年10月購入)