気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Talking to the Dead by Hary Bingham

2017-10-28 13:22:10 | 読書感想

イギリス、ウェールズの首都Cardiff,ドラッグ取引や売春の巣窟と云われる南地区Butetownのアパートでドラッグ常用者で売春をしていた思われる女性Janet Manciniとその6歳の娘Aprilが殺される事件が起きる。

Soutth Wales警察署のDC Fiona Griffiths(Fi)は元刑事Brian Penryが起こした横領事件を検察庁に送るための捜査資料をまとめていたが、事件現場で発見されたクレジットカードの調査を命じられる。事件現場周辺の聴きこみよりもデスクワークを得意とすると思われているFiは、大金持ちで9か月前に飛行機事故で死んだ男Brendan Rattiganのクレジットカードが何故、現場に落ちていたのか調べるよう命令される。カードはすでに失効しており、問い合わせたカード会社はRattiganが落としたカードをJanetが拾ったのではと説明する。しかし、Fiは大金持ちの男と貧しい彼女とは生活範囲が違い、彼女が男のカードを拾う可能性は無いと考える。彼女はRattiganとJanetはお互い知り合いだったと考え、Rattiganの妻だった未亡人に会いに行く。FiはRattiganがJanetを知っていたかどうか彼女に問い、彼女はノーと答える。Fiはさらに未亡人に夫婦のセックス生活、夫が妻に要求できないことを被害者の女性に求めたのではと聞き、彼女の呆然とした様子からJanetとRattiganは売春婦と顧客の関係だったと推測する。Fiは未亡人との会見の様子を報告書に書くが直ちに捜査主任Jacksonから呼び出され、未亡人に会いに行ったことを叱責される・・そういうことはベテラン刑事の仕事だと。

だが、FiはJacksonから彼女がまとめた母娘の検視レポートを褒められた時、デスクワークよりももっと実際の捜査に関与したいと彼に訴える。現場付近にいる売春婦に対する聴きこみは男性の刑事よりも女性のほうが向いていると主張して。さらに、Aprilを誰も見たことがないという近隣の証言から彼女たちは誰かを恐れてここに引越してきたのではないかという推理を述べるが・・Jacksonはかって彼女が聴き込みに周っている時、聴きこみをしている男に胸を触られたのを怒り、男の股間を蹴り救急車を呼ばなければならない事態が起きたことを指摘し、自分の行動をもっと律ししない限り補助的な捜査しか行わせないと忠告する。

彼女は母娘殺人事件の捜査にもっと参加できるように横領事件の捜査資料を早く検察に送ろうとその捜査に集中するが、事件に不可解な点があるのに気づく。Penryは横領した金を競走馬に投資して共同オーナーになっていた。金を横領してまで競走馬のオーナーになる人がいるのか?彼女は疑問を持つ。そして共同オーナーの名前を調べた彼女は、共同オーナーがRattiganと彼の会社の関係者であることを知る。大金持ちのRattiganとPenryが共同オーナーになることは偶然?さらにPenryは横領した金以上の金額を競走馬に投資していた、足りない金はどうやって工面したのか?Rattiganとは知り合いで彼が工面してあげた?もし、PenryとRattiganに繋がりがあるなら、そしてRattuganがJanetの売春の顧客だったならば、元刑事のPenryもMancini母娘 の殺人になんらかの形で関与しているのでは?

彼女は、再度、Jacksonに捜査のサポートではなく直接捜査に携われるよう直訴し、命じられたことだけを行うことを条件に認められる。Fiは女性の刑事とコンビを組み事件の重要参考人と思われる売春婦への聴き込みに向かうが、そこで売春婦の死体を発見する。彼女は事件の背後に組織犯罪の影を感じ、今回の殺人は他の売春婦に対するメッセージ、母娘殺害事件に対する口封じを意図した見せしめの殺人だったと考える。彼女はJacksonの忠告を無視して犯人の動きを誘発しようと独自の行動を起こすが、それは、彼女を言い知れぬ恐怖に陥れる

*******************************************************************************************************

タイトルの死人と話す、プロローグでの彼女の告白、自分は過去に死んでいた?、どういうことなのか興味を惹かれてしまった。作者のあとがきを読むとこの意味がわかる。オカルト的な要素はなくミステリーとして面白く読めた。

とにかく頭脳明晰で行動も早い彼女の異常なキャラクターに惹きつけられてしまう。同僚にはタバコは吸わないと言うが、密かに家で大麻を吸い、非合法な銃を所持、死人に対する親愛感、6歳の時から泣いたことがない。同僚からは、懇親会でも酒を飲まず、早々と去る非社交的で変り者と思われている。暴力に怯えるか弱い女性かと思うと、実は素手で大男を倒せる格闘技を身につけている。

インタビューが上手い。相手の様子を見ながら尋問の方法を変える。

殺害された親子にたいする情報を求める掲示を現場近くの店に、上司に無断で出す。容疑者の家に令状なしに入り込み、携帯電話を盗む。

ボーイフレンドが出来て初デートすると、普通の若い女性が体験するような出来事が自分に起きたとワクワクドキドキ興奮する。捜査報告書を人一倍早く作成できることを自慢したり、そのことを褒められて密かに喜んだり・・・とにかく魅力的なキャラクター。

感情移入しやすい文体、そして刑事の枠にはまらない彼女の無茶苦茶な行動で先が読めず、ぐんぐんストーリーにのめりこんでしまう。次回作も読みます。


E-book(Kindle版)★★★★★ 2012年9月出版 376ページ 265円(2017年購入)



 Her Last Goodbye by Melinda Leigh

2017-10-16 14:55:18 | 読書感想

ニューヨーク州の小さな町Sccarlet Fallsの10月、Morgan Dane元地方検事補佐の弁護士事務所に生後4か月の乳児を連れたTim Clarkが仕事の依頼にやってくる。彼の 20代後半の 妻Chelseaは、 先週の金曜日ワインパーティに行くと家を出た後、今日で5日間、行方不明となっていた。

彼によると捜査を担当するシェリフは、彼を容疑者として疑い、妻の行方よりも彼に対する捜査に重点を置いていると述べ、先月Morganたちが真犯人を突き止めたのを見て仕事の依頼に来たと話す。乳児をあやしながら妻の失踪について話すTimの様子を見て、3人の幼児を持ち一人で子育てする大変さを知っているシングルマザーのMorganは彼の依頼を受けることにする。

彼女は、Chelseaが幼児二人を置き去りにして失踪することは考えられず第三者が彼女を誘拐したと考えるが、Chelseaが自らの意思で失踪した可能性、さらに夫のTimが自らの犯行を偽装するために彼女を雇った可能性も排除せずに調査することを決心する。彼女は探偵のLanceを相棒として、彼女の友人、Timの会社の同僚などから最近のChelseaの様子や夫妻の仲がうまくいっていたのか、また捜査を担当している保安官から捜査状況を聴きこむ。そして、MorganはChelseaの車が放置されていた場所で彼女のネックレスを発見、彼女が誘拐されたという確証を得る。彼女はChelseaの周辺に容疑者がいないかどうか調べると共にネットで性犯罪の前科を持った者が近隣にいないか調べ、容疑者を絞っていく。徐々に絞られていく容疑者の数に危機感を抱いた誘拐犯はMorgan、そして彼女の家族に対して敵意を抱き反撃してくる。

******************************************************************************************************

Morganのキャラクター、なかなか魅力的、最初、情報を提供することを嫌がっていたシェリフから、うまく捜査情報を引き出してしまう調査手腕は見事でかっこいいと思っていると、女性的なひ弱さを見せる部分もある。事件の捜査の方針などは彼女が主導権を取って進めているようでかっこいいのだが、How could she possibly take care of three children and her grandfather? The answer was,she couldn’t ,at least not alone. She needs help.(215ページより引用)独り立ちする女性のかっこいい姿を期待して女性が主人公の物語を読んでいる身としてはガッカリ。2人は結婚するのかな?

探偵事務所所長のSharp,Morganに恋心を抱く探偵のLance,そして弁護士のMorgan、3人のチームワーク、事件を検討するときの会話は、うまく事件を整理してくれて心地良かった。

ストーリーの流れは面白く、飽きることなく読めるのだが、ストーリーの中にLanceがMorganを、MorganがLanceを想うロマンティックな部分がかなり在り、ミステリー好きだけどロマンティックな部分はあまり興味ない僕はちょと白けてしまう。ロマンティックな部分は添え物程度で書かれていて欲しい。

E-book(Kindle版)★★★☆ 328ページ 2017年9月出版 読み放題(又は¥602)





The Last Move by Mary Burton

2017-10-09 15:34:32 | 読書感想

テキサス州San Antonio 州間高速道35号線、11月26日 12:35 a.m、男は女性がガソリンスタンドに寄った時、密かに女性の車のタイヤに穴を開ける、そして男は女性の車を尾け、車が走行不能になるのを待って、上着に取り付けた小型カメラのスィッチを入れ、女性の車に近づき声をかけ、車の窓越しに女性を射殺する。

シカゴ警察署の殺人課刑事Theo Mazur は、元妻のSherryがSan Antonioに彼等の娘Alyssaと引っ越すと聞き、娘と遠く離れて暮らすことを嫌い、6ヶ月前にSan Antonio警察に異動してくる。午前8時、殺人事件発生の報告を受け、現場に着いた彼は、現場保存していた警官から、事件の発見、通報者は被害者の夫であることを知る。被害者はGloria Sanchez ,夫は Martin Sanchez 4つの自動車販売店を経営している。夫は妻から車が故障したという電話があり現場に向かい、妻の死体を発見したと彼に話す。女性が殺された場合、殺人者の3分の1は夫や男友達であることから、MazurはMatinを容疑者の1人として考えていた。歳が15歳も離れていること、結婚指輪を嵌めていないことことなど二人の結婚が上手くいっていなかったと感じながら。

現場検証していた彼は、殺人犯が、殺害の一部始終を撮影したビデオが添付されたテキスト、Dr.Kate Hayden,you did not catch meというテキストを 現場に残された携帯電話に送ってきたことに戸惑う。そして彼は、州間高速道35号線沿いに、この事件と同じ手口で女性を射殺する事件が5件続けざまに起こっていたことを思い出す。しかし、the Samaritanと名付けられた犯人は、6か月前にFBIによって逮捕されていた。その男を逮捕したのがFBIのプロファイラーのDr.Kate Haydenだった。犯人がDr Kateと名指ししていることから彼は今度の事件とthe Samaritanの事件の関連を調べるため彼女に協力を要請する。

ユタ州 Salt Lake City 11月26日 、FBIプロファイラーKateは病院の訪問時間、上司の命令を無視してSara Fletcherに会いに行く。彼女は、誘拐犯によって棺桶のようなボックスに34日間閉じ込められていた18歳のsaraを発見、救出する。彼女が発見された農場に置かれていた遺留品などから犯人は農場の所有者の従兄弟Raymond Drexlerと思われた。彼女は閉じ込められていたショックから立ち直れないでいるSaraに会い、彼の写真を見せて誘拐したのが彼であるという証言を得る。Kateは、Saraを救出した現場で、箱に入れられた4人の少女の遺体を発見していた。彼女はDrexlerが次なる犯行を企てることを懸念して相棒のエージェントと共に彼の行方を追う。

そんな時、KateはSan Antonio警察のMazur刑事から、彼女が担当したthe Samaritanの事件と似た手口の殺人事件がテキサス州San Antonioで起きたと告げられ、彼の強い要請を受け現地に向かう。その地は彼女の生まれ育った場所であり、忌まわしい思い出がある場所でもあった。殺害の手口を見た彼女は手口が類似していることに驚く。彼女はSamaritanは6か月前に逮捕し、今刑務所に収監されているDr.Charles Richardsonであると確信していた。彼女は、事件は模倣犯の犯行だと楽観していたが、犯人が使用した銃の弾道検査とSamaritanの弾道検査とを照会するよう要請し、銃が同一のものかどうかの確認を求める。彼女は殺人に使用した銃の発見、回収ができずにいた。やがて、今回使用された銃とSamaritanが使用した銃が同一のものであることがわかり、彼女は窮地に陥る。そんな時、州間高速道35号線で新たな殺人事件が発生する。現場検証した彼女は、殺人犯の標的が彼女であることを知る。

****************************************************************************************************************

Kateのキャラクターは読んでいるこちらが心地良くなるほど、自分の仕事に自信を持っている。もしかしたら誤認逮捕だと、みじんも感じない。自分の逮捕した男が犯人だという信念に揺るぎがない。感情を表に出さない。常に無表情を装い、容疑者に接する。意思の強さには相棒のMazurも感服するほど。

Mazurとの関係もプロ同士という感じで良い。お互いの器量を見極め、事件関係者への事情聴取も或るときはMazur,ある時はKateと阿吽の呼吸で役割分担していく。

2人の家族の問題を織り交ぜながら、徐々に犯人に迫っていくプロットは良くできているが2番目の殺人に関しては不満が残る。前半は興味津々、後半は興味半減してしまった。


E-book(Kindle版)★★★ 328ページ 2017年9月出版 Kindle読み放題(又は¥485)



Dead Woman Walking by Sharon Bolton

2017-10-01 10:13:02 | 読書感想

イングランドとスコットランドの国境付近、9月の朝6時、Jessica Laneは大好きな修道女の姉Isabelの40歳の誕生日のサプライズプレゼントとしてNorthumberland National Parkの気球旅行に招待する。空からの壮大な景観に興奮する姉を見て喜んでいた彼女は、眼下の廃墟と思われる建物で少女が男に殺されるのを目撃する。Jessicaはその男を携帯で撮るが、目撃されたことに気づいた男は気球めがけて銃弾を放ち、操縦士を射殺する。操縦士を失った気球は迷走し、やがて墜落する。姉を含む12人の乗客のほとんどは墜落のショックで亡くなるが、Jessicaは木の枝に引っ掛かり、命を取り留める。事態に呆然としている彼女は、少女をそして操縦士を殺した男が墜落現場に現れ、生き残った乗客を石で殴り殺していくのを目撃する。樹上の彼女に気づかず、生存者がいないことを確認した男は足早に去る。木から降りた彼女は姉の遺体の傍にしばらく留まった後、男が戻ってくるのを恐れて現場を離れる。

  Ajax Maldonado警視は公園で気球が墜落して、乗っていた13人全員が死亡したという報告を受ける。現場に着いた彼は気球から投げ出され高圧線で黒焦げになった乗客の死体などを見て衝撃を受ける。彼らは、操縦士を含めて13人の乗客中、11人の乗客の死体を発見するが操縦士とJessicaという女性の死体が発見出来ずにいた。しかし、彼は墜落の際に2人は気球から投げ出されたと考えて、捜索範囲を広げれば死体を発見できると楽観していた。

しかし、事故の記者会見を開いた直後、Jessicaの写真をテレビで見た食堂のオーナーから電話があり、彼女がたった今まで食堂にいて、テレビを見た後、すぐに立ち去ったと連絡してくる。彼は、彼女が生きていたことに驚くとともに、何故、彼女は救助を待たずに現場を離れたのか?何故、警察に連絡しないのか?という疑問を持つ。その答えを得るために、彼は彼女を見つけることに全力を挙げる。


****************************************************************************************************


すごく面白かった。気球墜落事故から生き残った彼女が警察にも行かず何故逃げ続けるのか?その謎を解明していく、よくできたプロットと捻り、彼女の行く先々に現れる殺人者、最初から最後までドキドキワクワクさせてくれる。ストーリーが良くできていて、これ以上、感想を書けないのが残念。


Jessicaの姉に対する想い、if I lost you,I think it would be the end of me.(55ページより)、修道院にいる姉を毎月必ず訪ね、彼女の仕事の様子、悩みなどを打ち明け、姉のアドバイスを受けることを20年以上続けている。本当に姉が大好きで頼りにしていたことが伝わってしんみりさせる。


E-book(Kindle版)★★★★★ 364ページ 2017年4月出版 550円(2017年購入)