気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

End Game (Jonathan Grave) by John Gilstrap

2014-08-24 11:26:39 | 読書感想

セキュリティ会社に所属し、紛争地域で要人を警護する任務に就いていたJolaineは11歳の少年Grahamを守るためにFBIに雇われる。

Chechenで核兵器の技術者だった彼の父親Bernardはアメリカに移住して、NATOが始めたソ連崩壊時に所在不明になった核兵器の場所を特定する作業に従事していた。ある日、Bernardは同じChechen人でロシアからの独立を目指すChechen過激派の友人Gregoryからロシアに対する報復のため核兵器の情報を教えるように脅迫される。彼は家族の身を案じ彼に同意するが、FBIに自分の窮地を電話する。FBIは彼に二重スパイになることを要求する。息子の身を心配する両親のためにボディガードとしてJolaineを雇うことを条件にして。

以来3年間、Jolaineは一家の家に住み込み学校の送り迎えなど四六時中、彼の安全を図っていた。ある夜10時、Jolaineは玄関のドアが激しく叩かれる音に気づく。夜遅い訪問者に戸惑いながらも玄関に向かう彼女に、「自分が出る」と言いながら父親のBernardが銃を構えて玄関に向かう。さらに妻のSarahも彼に従って。Bernardが銃を構えていることや普段は寝ているはずのSarahがドアを叩く音に身構えている事態の異常さにJolaineは動転する。

ドアを叩いていた男は胸に銃弾を受けたGregoryだった。息絶え絶えのGregoryは「自分たちの計画が知られた、これがそうだ」と言いながら、彼に一片の紙片を渡す。救急車と叫ぶBernardに対して妻のSarahはJolaineにすぐに息子を連れて逃げるように命令する。
Jolaineは息子を守るために雇われていた、事態の展開に呆然としながらも息子のGrahamを起こし、同じように事態が飲み込めない彼を連れて家を出ようとするが、Gregoryを追ってきた男たちが現れ銃撃戦になる。Jolaineは夫婦が応戦している中、両親の身を心配するGrahamを強引に家から連れ出し、車で脱出しようとする。その際、銃で胸を撃たれたSarahを救出し、3人でその場を脱する。

傷の手当てのために病院に行くことを主張する二人にSarahは病院に行くことを拒否し、知り合いの医者だという男に連絡する。たどりついた場所は何かのアジトのように思われた。秘密のエレベーターで着いた場所には立派な手術設備があった。手術を受ける前にSarahはGregoryがBernardに渡した紙切れをGrahamに見せ、その内容を記憶するように命令する。
Grahamは一度見聞きしたことはすべて記憶できる特殊な能力を持っていた。
Jolaineはその紙切れのためにGregoryが死んでいることから、その内容を記憶することはGrahamを危険にさらすと考え、やめるよう説得するがSarahは大切なことだとしてGrahamに記憶するよう強要する。

さらに あらかじめ教えておいた指示を実行するように彼女はGrahamに話す。指示通り、相手に会って覚えた内容を教えろと。JolaineはSarahにその紙切れの内容が何を意味するのか教えるように要求するが無視され、彼が指示通り行動すれば命の危険はなくなると言い、それまで彼を守れと命令される。
JolaineはGrahamを誰から守るか、何処に向かうかも分からぬまま、彼を連れて銃創の手術をするSarahのもとを去る。

行くあてのないままに、二人は道路際にあったモーテルに泊まる。GrahamはJolaineが買い物に出かけた隙に、彼女が禁じていたにも関わらず指示にあった電話番号に電話してしまう。電話に出た相手の対応に不信を抱いたGrahamは途中で電話を切るが、居所を逆探知されてしまう。二人は銃を持った数人の男たちに襲撃されるが、Jolaineは実戦に基づく冷静沈着な対応によって撃退する。しかし、銃撃戦を住民によって通報され、警察が来る前にその場を脱出する。Jolaineは 銃撃した男たちの一人から、Grahamが指示に従わない限り、ロシア、アメリカ、中国などすべての国が彼の命を狙ってくると告げられる。Grahamに指示とは何か?問いつめながら車を運転するJolaineは、パトカーに止まるように命令される。

同じ夜、チャリティパーティに出席していた、人質救出を専門とする民間警備会社を経営するJonathanは親友のFBI長官Wolverineの使いだというMaryanneと名乗るFBI捜査官に話を聞いてほしいと頼まれる。
彼女によると今夜、核兵器の専門家Bernard Mitchellから救急事態の連絡を受け、捜査員が駆けつけてみると、たくさんの銃弾の痕と血痕、そして彼が殺されているのが発見される。また、妻と息子、子守女の3人が行方不明になっていた。彼女によるとこのような事態になった場合、ある番号に電話して指示を受けるようにProtocolを与えているが、彼らから連絡がないと話す。

FBIはBernardをChechen過激派の情報を探る二重スパイにしていた。
FBIはChechenの過激派にBernardが与える情報を信用させるために複雑なコードを打ち込まない限り作動しないように作り変えた核兵器の所在を教えていた。しかし、Bernardは、最近、FBIとの接触を断っていた。FBIは彼がChechen側に寝返った可能性を憂慮しはじめていた。さらに、最悪なことにBernardは核兵器を作動させるコードを手に入れたと確信していた。そして、そのことを知ったロシア情報部が核兵器を作動させないためにBernardを襲ったとFBIは確信していた。

そして、コードをBernardたちに教えたり、彼がコードを得たという情報をロシアに与えた内通者が政府機関にいると思われた。政府機関が信用できない今、FBIのWilverineはこのような事態に実績のあるJonathanに窮地に陥っていると思われる彼らを捜し、保護してほしいと依頼する。

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水戸黄門のようにストーリーがパターン化している。善人である少年が悪人にこれでもかというほどに虐待され、あわやというところで善人の味方Jonathanたちが現れ、かっこよく悪人をやっつけ、彼を救う。水戸黄門のように結果は分かっているので安心して楽しめる。

しかし、結果までいく途中で、はらはらドキドキさせてくれるので、このシリーズ、つい読んでしまう。
少年を守るJolaineという女性、なかなかカッコいい、と思っていたら途中からパワーダウン、Jonathanたちを引き立てるためにはしかたないのか?

★★★  448ページ(本の長さ)  Kindle版


Final Appeal by Lisa Scottoline

2014-08-17 09:22:12 | 読書感想

かって弁護士として活躍していたGraceは、娘が生まれたことをきっかけに弁護士の仕事を辞めていた。3年前に離婚してシングルマザーになったGraceは、娘が6歳になり通学するようになったのをきっかけに3ヶ月前から週3日、法律学校出たての若者たちに混じって、控訴裁判所の裁判長のLaw clerkとして働き始める。

ある日、Hightowerという黒人の若者が白人の姉妹を殺して死刑判決が出された事件が担当地区である彼女の勤める裁判所に控訴される。
酒に酔った17歳のHightowerは学校一の美少女とその10歳になる妹を殺してしまう。
世論とマスコミは町でも評判の姉妹を殺した少年に死刑を望んでいた。
少年が死刑判決を控訴したことで、Graceの勤める控訴裁判所の前は控訴を棄却するよう求めるデモ隊であふれていた。

控訴審の裁判長のArmenはこの事件の補佐役として元法廷弁護士だったGraceを指名する。弁護士時代、彼女は経済事案を扱っていて、このような生死が決定されるような刑事裁判は始めてであり、戸惑い、拒否しようとするがArmenに説得されてしまう。

二人は、深夜遅くまで訴状を検討し、死刑は不相当であるという結論で一段落したとき、GraceはArmenに言い寄られ 一度は拒むが彼が明日にも妻と離婚するという言葉を信じ、以前から彼に好意を持っていた彼女は関係を持ってしまう。

翌朝7時半、彼女はArmenが自殺したという衝撃的な知らせを受ける。
Graceは数時間前まで一緒にいた男、今日、妻と離婚すると言った男が自殺したとは信じられなかった。
自殺に納得できない彼女は警察に自分の考えを話しに行くが、警察は、家に侵入した痕跡がないことや銃痕から、自殺と断定していた。

落胆して警察署を出てきた彼女は、上着のポケットに「今日が僕たちの愛の第一歩だ。愛しているよ」と書かれたArmenからのメモがあるのを発見する。その上着は二人が愛し合った日に着ていた上着だった。彼女はArmenは殺されたことを確信、自ら犯人を捜し出すことを決心する。

Graceは銃の所有者で自殺当日、離婚届けにサインする予定だった妻のSusanを容疑者として考える、またArmenが死んだことで裁判長になれたGalanterも怪しいと考える、彼はArmenが生きていたら裁判長になることなく定年を迎えるはずだった。

手がかりを求めてArmenの執務室の書類を調べていたGraceは、彼がGreg Armenという偽名を使って65万ドルの大金が預けられている匿名口座を持っていることやマンションを借りているのを発見する。この大金は何処から得たのか?収賄?彼はこの金に関係して殺されたのか?Graceは彼女がほとんどArmenについて知らないことに呆然とする。

そんな中、Graceに二人の男が近づいてくる。一人はフリーのレポーター、一人はFBI捜査官と称して、二人はそれぞれArmenは殺された可能性が高いと言いながら Graceに協力を求めてくる。

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児玉清さんの「寝ても覚めても本の虫」という本を薦められて読んでみた。行間からこの人は本当に本が好きなんだという思いが伝わってくる。
そんな彼がこの著者の本を紹介していたので、彼が推薦していた本とは違うが、以前この本を購入したのを思い出した、1995年のMWAのBest PB受賞作ということで。しかし、購入して読み始めたが途中で読むのをやめてしまった。アメリカの裁判になじみがない僕にとって延々と続くlaw Clerkたちのやりとりは退屈で途中で断念。
でも児玉さんが紹介している作品はかなりおもしろそうな作品。この作品も面白いかもしれないと思い再挑戦。

しかし・・・
死刑問題、人種問題、家族問題、裁判官の汚職等、欲張りすぎて物語のテンポが悪い。
最後にわかる犯人も欲張りすぎが高じて拍子抜けする。

でも この作品は彼女の2作目、児玉さんが紹介している作品「Moment of Truth」は7作目、作家として上手くなっているはず?紹介された本を読むか考慮中。

 ★★ 356ぺーじ(本の長さ)


 Stay Alive  by Simon Kernick

2014-08-10 08:44:10 | 読書感想

Amandaの不運、災難は父親と喧嘩して実家に泊まらずに予定を変更して自宅に帰って来たことから始まった。帰宅した彼女は出張で不在のはずの夫の車があるのを発見する。かねてから夫の浮気を疑っていた彼女は、自分の留守を知っている夫が浮気相手の女性を自宅に招き入れたと思い、二人と対決すべく寝室に向かう。そこで彼女は、二人の死体と血塗れのナイフを持ち目出帽をかぶった男に遭遇、いきなり襲われ殺されそうになるが、必死に逃走してかろうじて窮地を脱する。

犯行の手口から男はこの一年半、カップルの男女を襲い、女性に性的暴行を加えた後ナイフで二人を切り刻んで殺すという残虐な犯行を3件繰り返しているDiscipleと名乗る男と思われた。事件を担当した刑事Mike Boltは彼女が連続殺人犯と対峙した唯一の目撃者であることから犯人の手がかりを聞き出そうと意気込むが、逃げることに必死だった彼女は犯人について腕に入れ墨があったこと以外有力な情報を与えることができなかった。
BoltはDescipleが捕まるまで 彼女を警察の保護施設に置くことを主張するが 彼女はたいして情報を持っていない自分が狙われることはないと主張し、スコットランドの森に囲まれた住宅に引っ越す。

しかし、彼女の災難は終わってなかった。
事件から3週間、閑静な環境の中で 事件のショックから立ち直りかけていた彼女は、散歩の途中、3人組の男たちに銃を突きつけられ拉致されそうになる。しかし、一瞬の隙をついて彼女は男たちの拘束を逃れ川へと続く森の中に逃げる。彼女は彼らが何故自分を追いかけてくるのか、理由も分からぬままに自分の不運を呪いながらもひたすら逃げる。

叔父夫婦との楽しい川下りをしていた17歳のJessと10歳の妹Caseyの不運は Amandaが銃を持った男たちに追われて二人の前に現れたときにはじまった。
彼女が何者かわからないまま、彼女の言うままに男たちから逃れるために川にカヌーを漕ぎ出す。しかし、男たちの銃撃で叔父夫婦が殺され、JessとCaseyはカヌーを捨て対岸の森の中にAmandaとともに逃げ込む。それは男たちの執拗な追跡を受けることになっていくのだが。

Frank Keoghの不運は無能の配下を雇ったことを知ったときに始まった。Amandaが散歩に出たところを拉致するという簡単な仕事を無能な部下のために失敗、カヌーで川下りをしている家族を巻き込んだことから事態は最悪となっていく。彼は自分たちの顔を見られたことから家族とカヌー業者を殺す決断を下す。そして、その決断は彼に予想外の敵をこの追跡ゲームに加える結果になり、さらなる不運を招く。

Mike Boltの不運は4ヶ月前、Discipleの捜査責任者の刑事が事件解決のプレッシャーから心臓麻痺を起こし死亡し、彼が代わりに捜査責任者となったときに始まった。Discipleの残虐な犯行に世論は恐れ騒然とし、犯人を逮捕できない捜査当局の無能を非難し有能な捜査責任者を要求していた。Discipleは残虐なだけでなく頭も良く、殺害現場にDNAなどの証拠を残していかなかった。
しかしこの4件目の犯行で、彼ははじめて目撃者を作ったという事実にBoltは運がむいてきたと感じる。そして、彼の予想通りDiscipleはこの現場で致命的なミスを犯し BoltはDiscipleの逮捕に自信を深めていく。

そして、Boltは森で繰り広げられている追跡劇に何時気づくのか?不運を幸運に変えるのは逃げる女性たちか、それとも追うKeoghか。どちらも自分たちの幸運を信じて森の中を駈ける。

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武装した男達から必死で森の中を逃げる女性と少女、逃げきったと思ってほっと一息しながら耳を澄ます 静寂、しかし、バキバキと枝を踏む音がしてあわててまた逃げる。そして身を潜める。この緊張した逃亡についての描写力がうまい・・息もつかせない展開であっと言う間に読み切った。
MWA賞を取ったある作品と設定に似ている部分があるなぁと思ったが・・とんでもない展開になって・・読みごたえ十分。

Amandaという女性は魅力的。窮地に立たされても的確な判断と行動で危地を脱っしていく。
 最初は彼女をつけねらっているのは現場を目撃されたDiscipleかと思ったがなぜか4人組の男達。なぜ男達が彼女を狙っているのか?理由がなかなか明らかにならないのも読むペースを早める。

Amandaと一緒に逃げている姉妹もたくましい。捕まっても、瞬時の隙をついて相手の拘束を逃れてまた行方をくらます。両親が死んだために叔父夫婦に引き取られたCaceyを守ることが自分の使命だと信じて行動するJessとその姉を信頼していたずらにパニックに陥らないCaceyの姉妹愛は微笑ましい。

女性たちのナイトとして現れるのが、あの「Siege」という作品に登場したScope,あいかわらずかっこいい!また、他の作品で登場することを期待。

Kindle版  ★★★★   354ページ(本の長さ)  986円