気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Last 10 Seconds by Simon Kernick

2016-05-15 19:27:32 | 読書感想

4か月前 ロンドン南部のCamden地区のCamden's Murder Investigation Team(CMIT)のDI、捜査主任のポストについたTina Boydは、ここ23ケ月の間に5人の若い女性をレイプしたうえで残虐な手段で殺害する犯行を繰り返しているNight Creeperとマスコミから呼ばれる男の捜査を担当することになる。

犯行はそれぞれの被害者の自宅で行われたが、犯人が自宅に押し入った様子がないことから Killerがどのようにして被害者宅に侵入したか謎とされていた。Tinaは被害者の友人の証言から被害者の女性宅に侵入警報装置を設置したAndrew Kentという男を割り出し、彼が他の被害者の女性宅の警報装置も設置していることを突き止める。

そして彼の部屋を捜索したTinaのチームは、殺人に使用された凶器と彼のPCの中に犯行の様子を映したビデオを発見する。Tinaは彼をNight Creeperとして起訴するが、彼は自分は無実、嵌められたのだと主張、彼女は彼の演技とは思えない怯えた様子から、彼が真犯人であることに微かな疑問を感じ始める。さらに、彼女は彼から衝撃的な証言を引き出す。改めて捜査資料を検討しなおした彼女は、彼をNight Creeperとするには、どうにも越えられない障害があることを知る。

潜入捜査官のSean Eganは、15年前に彼の兄を殺害したにも関わらず証拠不十分で、軽微な罪で放免された3人組のギャングを殺人などの重罪で逮捕することに執念を燃やしていた。今、彼は上司に無断で、彼らに接近することに成功し、彼らがある人物を拉致誘拐する計画に参加することにする、彼らに兄の殺害を告白させる機会を得たことに、興奮しながら。それが 今話題のNight Creeperという殺人犯を警察から奪還することだとも知らずに・・

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出だしの部分は緊張感があって、先を読みたくなるのだけど・・Kernickの作品にしてはスピード感が足りない。とくに、Seanのモノローグ、特に何かというと兄の殺害を取り上げるところは退屈だった。
Kentが真犯人かどうか悩み、戸惑うTinaの部分だけでストーリを進めたほうが面白かったと思う。
Kentが犯人か?彼を誘拐したのは誰の指示か?警察に内通者?など多くの謎が提供され、中盤からは面白くなってくる。ただ、プロットの主題はどこか他でも読んだようなもので、今一だった。

E-book(Kindle版) ★★★ 474ページ 2010年2月出版


Lucy Kincaid

2016-05-08 19:14:52 | 女性探偵(刑事)

20代 FBI 捜査官 half-Cuban

手話、読唇術、スペイン語に堪能。尋問が得意。
大学で犯罪心理学を専攻、プロファラーとしての能力がある。また、検死センターで見習いとして一年間研修を受けたためある程度の検死は自分でできる。

殺人事件の現場では、他の捜査官が被害者に対する悲しみや犯人に対する怒りを感じているとき、彼女は、それらの感情を見せることなく、証拠や犯罪者の心理について神経を集中する。

18才の時、彼女は、ネットを通じて、レイプ犯に罠をかけられ拉致誘拐され、レイプされているシーンをネット上に公開されるという悲惨な体験をする。その事が今も悪夢となって彼女を苦しめている。彼女は、若い女性が自分のような目にあうことがないように、ネット犯罪や性犯罪者から若い女性を守るためFBI捜査官になる。また、過去の出来事を忘れるために、常に働いていることを求める。

作者 Allison Brennan

Lucy Kincaidシリーズ
Love Me To Death 12/28/2010
Kiss Me Kill Me 2/22/2011
If I Shoud Die 11/22/2011
Silenced 4/24/2012
Stalked 10/13/2012
Stolen 6/04/2013
Cold Snap 10/29/2013
Dead Heat 6/03/2014 
Best Laid Plans 08/04/2015
No Good Deed 11/03/2015
The Lost Girls 11/01/2016


Kiss Me Kill me by Allison Brennan

2016-05-07 19:28:36 | 読書感想

カリフォルニアの生活が気に入っていた17歳の高校生Kirsten Bentonは、3年前、両親の離婚によってカリフォルニアからバージニア州に引っ越して来るが、こちらでの生活に不満を持っていた。そんな彼女は、ネットの匿名性に曳かれParty Girlという アダルトサイトに自分のセックスライフを投稿していた。やがて彼女は、サイトで知り合った女子大生Jessica に誘われ 週末家を抜け出して彼女の住むNY に行き、大学生など若者が主催する廃墟のビルで行われるドラッグとセックスの秘密パーティーに参加するようになる。そして、いつものようにJessicaと一緒に参加したパーティーから家に帰ろうと考えたKirstenは、ドラッグで朦朧となりながらもJessica を探すため外に出るが、そこで彼女が殺されているのを発見する。恐怖にかられその場を逃げ出した彼女は、車に乗っている人物を見つけ助けを求めようと駆け寄るがその場で気絶してしまう。

友人のPatrick Kincaidと共同で、セキュリティサービスを事業とする会社RCKの支店をワシントンDCに開設したSean は、姻戚にあたるTim Benton から娘Kirstenが行方不明になっているので探して、家に連れ戻して欲しいという依頼を受ける。早速、Seanは母親と少女の住むバージニア州のWoodbridgeに向かい、少女の部屋の様子やPCを調べる。しかし、何の手がかりも得られなかったSean はFBI の採用試験を受け合否通知を待っているLucy に少女の捜索の助力を求める。10代の少女の生態に詳しいLucyは、Seanが送ってきた少女の部屋の様子を映したビデオの映像を見た瞬間、少女がネットに自分のセックスライフを投稿していることに気付く。少女のネット履歴を調べたLucyは少女が投稿しているアダルトサイトがParty Girlだということを突き止める。Lucy は自分がKirsten の年齢だった時に経験した悲惨な出来事を思いだし、彼女の行動の危うさを心配する。

Sean はKirsten の携帯電話の履歴から彼女がNY に住むJessica Bell という女性と連絡を取り合っていることを突き止める。さらに、Lucy はJessica もParty Girl のサイトのメンバーであることを発見する。Kirsten はJessica に会いにNY に行ったのか?そしてJessica と一緒にいるのか?二人はJessica に会いにNY に向かう。彼女のアパートを訪ねたLucyはJessica がここ4ヶ月の間に3件起きている連続殺人犯人、Cinderella Strangler の4番目の犠牲者であることを知る。殺人犯は、秘密パーティーに参加した女性を会場近くで待ち伏せて、パーティーで飲んだドラッグで意識が朦朧としている女性をプラスチックバッグをかぶせて窒息死させる手口で殺害し、何故か、被害者の片方の靴を持ち去っていることから、マスコミによってCinderella Strangler と呼ばれていた。Jessicaが殺された夜、二人は秘密パーティーに参加していた。Kirsten は犯人について何か知っている可能性が高い。彼女は殺人犯から身を隠しているのか?Lucyは、Kirstenの安全を守るため、犯人よりも早く彼女 の行方を探しだす必要性を痛感する。そして、Lucy は、FBI捜査官Suzanneの要請で、Cinderella Strangler のさらなる犯行を阻止するため、連続殺人の捜査に参加、協力していく。

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Lucy Kincaidの2作目、最新作と比べると犯罪のスケールが小さいが、彼女の犯罪に対する真摯な態度は変わらない。彼女の夢が破れ、絶望的な状況に置かれているにもかかわらず女性が被害者である犯罪を目にすると次なる犠牲者を出さないように、我を忘れて、捜査資料の調査に全精力を傾ける。
Lucyの犯罪心理学士として、また検死医のもとでの一年の研修経験が他の捜査官とは違った独自の分析をする、どうしてそれにこだわるのかと思っていたら、いやぁ、見事な推理だった。ストーリーもミスリードがうまくできていて、よく捻ってある。

事件を捜査する過程で、被害にあった女性達と自分の過去の過ちが重なり、Lucyが過去の出来事について何度もなんども悔やむ場面が出て来る。この精神的落ち込みを、過去には克服できたのだから、今度も必ずできると信じて行動する彼女には意思の強さがある。でも 彼女にもCinderella Strangler の最初の犠牲者Alannaの親友Jillが、Alannaが殺されたショックから大学を辞め家に閉じこもっていることに対して、FBI捜査官Suzanneが彼女に忠告する言葉は心にしみると思う。
" Don't live in the past. I know you harbor a lot of regret and guilt. But I can tell you that it'll eat you up if you let it....Alanna wouldn't want you stuck in limbo." (P146ページより)
この言葉で 僕はこの捜査官が好きになった。

E-book(Kindle版)   ★★★★ 398ページ 2011年2月出版 864円(2016年購入)