気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Kidnapped by Jan Burke

2015-07-26 08:47:00 | 読書感想

5年前の5月、カリフォルニア州Las Piernas、芸術家Richard Fletcherが自宅で殴り殺され、3歳の娘Jennyが行方不明になる事件が発生する。翌日、警察は息子のMansonを殺人容疑で逮捕する。逮捕された時、彼の乗っていた車から凶器に使われたと思われる血に塗れたトロフィーと衣服が発見され、さらに、父子がたびたび口論していたという証言などから、Jennyの生死は不明だったが、彼は裁判で終身刑を宣告される。しかし、Mansonの異父弟Calebだけは、兄の無実とJenyyの生存を信じていた。以来5年間、彼は毎週末、兄を刑務所に訪ね、さらに、兄を陥れたのは誰か探し続けていた。

地元の新聞「Las Piernas Express」記者、Irene Kellyは毎年、100万件近く起きるMissing Childrenに関心を持ち取材する。特に、家出についで多いfamily abduction、親権をはく奪された父親、母親が子供を誘拐するケースに注目し、記事を書く。記事を読んだ人から行方不明の子供たちに対する情報が、今も子供を待ち続ける親に届けられることを期待して。そして 記事に対する読者の反応に対応していた時、Ireneは編集部長のJohnから、人員がいないことを理由に、切断された腕が発見されたという建築現場に行き取材してくるよう命令される。彼女は殺人課の刑事と結婚したことで 取材の公正さを疑われることを危惧した社の方針で、殺人事件の記事を書くことを禁止されていた。彼女が記事を書くのではなく、犯罪記事担当のMarkのサポートとして現場に向かった彼女は、友人の鑑識員Benと彼の助手として働いているCalebと出会う。彼女はCalebが誰であるかすぐに思い出す。社に戻った彼女はMarkに取材内容を伝えた後、5年前にCalebの家族に起こった悲惨な事件の資料を取り出して事件を検討する。そんな中、彼女のもとにやってきたMarkから、建築現場で発見された遺体はGerry Serreという男だと教えられ愕然とする。Ireneは今朝、彼女の記事を読んだというJane Serreと名乗る女性から2年前、元夫のGerry Serreが3歳になる息子Lukeを連れ去ったという電話を受けていた。Lukeはどうしたのか?気に病む彼女に遺体などを探索するsearchdogのトレーナーSheila Dolsonが探索犬が建築現場から新たな遺体の一部を発見したと電話をしてくる。Ireneは直ちに現場に向かうが、常にマスコミの注目を浴びようとするSheilaの態度に不快感を抱いていた。Sheilaは刑事たちの許可なく現場に入ったという非難にもめげず、現場から探索犬が歯を発見したと報告する。しかし、Benの完璧な仕事ぶりを知っている彼女は、彼が現場に残された遺体や骨を見逃すことはないと確信していた。IreneはSheilaが証拠(歯)を捏造したことを疑い、彼女の身元を調べ始める。そしてSheilaは犬のハンドラーではなく死んだ母親の訓練犬を引き継いでハンドラーと偽っていたことを突き止める。なぜSheilaは身分を偽り、証拠を捏造したのか?Sheilaを問い詰めようと彼女の家に向かったIreneは彼女が殺されているのを発見する。Ireneは直ちに警察に通報すると同時に、電話機の脇に置かれたメモ帳に書かれた電話番号をひそかにメモして、あとで彼らに電話することによって、犯人を捜す手がかりを得ようとする。また BenとCalebを招待した夕食の席でMansonのことが話題になり彼女は事件について調査することをCalebに約束する。
そして missing childrenの続報をIreneが新聞に載せたとき殺人の連鎖が始まる。

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誘拐というテーマは好きなジャンルで、ストーリーの展開もIreneというキャラも僕好みでおもしろかった。。でもプロットは現実的に考えると無理なのではと考えてしまう。また、終盤の盛り上がりがちょと物足りない。

そして、キャラが多すぎ、各章ごとに違うキャラが登場、物語を進めていく。誰が誰だかわからなくなる。ほんらい、探偵役のIreneがそれらの人物、人間関係を整理してくれると思うのだが、この本では自分で前のページに戻ったり、検索をかけたりして読まなくてはいけない。せめて2,3人に絞って他のキャラは彼らの視点で語ってくれたほうが読みやすかった。

 ★★★ Kindle版 402ぺーじ

 


The Burning Room by Michael Connelly

2015-07-12 12:59:56 | 読書感想


カリフォルニア州、南ロスアンジェルス,土曜日、午後、人々でにぎわう広場で仲間とバンド演奏していたMercedはギャング団同士の抗争の流れ弾を背骨に受ける。彼は10年間さまざまな合併症に苦しんでいたが、10年後の今、遂に亡くなる。また、銃撃した犯人も逮捕されることなく今に至る。未解決事件の再捜査を担当しているBoschは、上司のCrowderからこの事件の捜査を命じられる。当時、この銃撃事件は、市長選に立候補していたArmand Zayasによって、南LAの治安の悪さの象徴として利用され、当時マスコミによって大々的に取り上げられた。そして、いま、検死官は、彼の死は10年前の銃撃に起因するものと断定、警察は殺人事件として捜査することを決定したことから、再びマスコミの関心を呼び、現在、州知事を目指しているZayasの同席のもとBosch達は記者会見を開くことを余儀なくされる。

マスコミや政治家の圧力の中、Boschは新たにパートナーとなった新米の女性刑事Lucia Sotoに捜査のイロハを教えながら、10年前の捜査資料と、今まで生死に関わるという理由で取り出すことができなかった背骨から取り出した銃弾という新証拠から迷宮事件に挑んでいく。
そして取り出した銃弾の鑑定結果から凶器は狩猟用ライフルであることがわかり、Mercedは、流れ弾に中ったと云うより、何者かが彼の命を意図的に狙ったと思われた。さらに、当時の現場の監視カメラの映像を最新の科学技術で鮮明にし、狙撃された映像を分析したBoschたちは不審な動きをしている人物を発見する。
10年という歳月が過ぎ、当時の関係者の記憶が薄れていく中、Boschは丹念に捜査資料に載っている人々の所在を突き止め、その人々に対する聞き込みから徐々に犯人に迫っていく。いつのまにか開けてはならないburnning roomの前に佇んでいることに気づかずに・・・

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Kindle版が無料だったので、有名なHarry Boschのシリーズを読んでみた。
ちょと予想外の終わり方だった。
でも、思い返すとちゃんと伏線が張ってあった。そのほかにも、後になってなるほどと思う謎がちりばめられていて、よくできたプロットだと思う。

Boschというキャラを誤解していた。僕は、Boschに「ダーティーハリー」のイメージを持っていた。仲間から浮き、上司のことなど無視、相方にも黙ってついてこいという感じで、法律を無視した強引な捜査方法で犯人を追い詰めていく、と思っていた。が、自分たちが解決できなかった事件を再捜査することに不愉快な気持ちになっていると思われる刑事たちにも、何か新しい手がかりを発見して犯人が特定できたら一緒に逮捕に行きましょうと気を使ったり、時には、パートナーのSotoに尋問を任せ、自分は後ろに控えていたりと穏やかで思いやりのある僕好みの性格、とくに娘に関しては親バカぶりを発揮、男とのデートに危険がないか心配してこっそり陰から娘を見守っていたりする。

BoschとSotoのコンビネーションも良い。主に聞き取りはBoschが担当し、聞き取りしたい相手の居場所や犯罪歴などはPCに慣れているSotoが担当、順調に捜査を進めていく。翌日の捜査について彼女に説明して、納得行くまで討論する。ただSotoはBoschに打ち明け、彼も協力していたが、自分が関係者でもある20年前の放火事件について執着を持っていて、一人で密かに捜査している様子があり、二人の関係が壊れないか冷や冷やする。

引退という言葉が頭に浮かび、若い女性刑事を一人前の刑事に育てていこうというBoschを見ると、長く続くシリーズのヒーロー、ヒロインが年が経るごとに歳取っていくことに寂しさを感じる、ヒーロー、ヒロインは歳を取らないというのはダメかな。

Kindle版 ★★★★ 390ページ

 


Deja Dead by Kathy Reichs

2015-07-05 10:51:15 | 読書感想

カナダ、ケベック州Montreal、6月の木曜日、元教会の所有地だった場所で電力会社の保守作業員が骨を発見する。連絡を受けた科捜研の法人類学者Temperance Brennan(Tempe)は白骨の鑑定に行く。白骨は首、胴体、手足を切断されゴミ袋に入れられて放置されていた。Tempeは死後2、3ヶ月経ったほぼ白骨化した他殺体であると断定する。所内で検死した彼女は死体は若い女性で白人と推定する。行方不明届けの中から、可能性のある該当者の歯型の照会をした結果、被害者はIsabelle Gagnon、23歳の女性であることがわかる。Tempeは去年10月、Chantale Trottierという16歳の少女が、同じように首、手足を切断され、ゴミ袋に入れられて放置されていた事件があったことを思いだし、事件を担当している刑事Luc Claudelに同一犯の可能性を主張する。しかし、Claudelは、彼女は検死が専門であって、捜査には門外漢だとしてその忠告を無視する。
Tempeは、犯人のさらなる犯行の可能性を危惧していて、Claudelが二つの事件の関連性を無視したことに苛立ちを覚える。
Tempeは殺された女性の痛み、無念、恐怖、絶望を想い、何としてもserial killer の次なる犯行を阻止しようと、自ら行動を起こすことを決意する。
・・・それが彼女の身辺の人物を危険にさらすことになっていくことを知らずに・・・
そして、彼女の恐れていた第三の犠牲者が発見される。

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読む本に困ったときに参考にしている児玉清さん「寝ても覚めても本の虫」に紹介されていたので読むことにした。しかし、馴染みのないフランス語の地名、フランス語が混じった会話、比喩の多用、僕の語学力では読みづらかった。

死体なら、毒殺か、扼殺、刺殺などが検死で分かるだろうが、骨を調べて何が分かるのだろうと思って読んだが、読み進むうちに、骨が死因や犯行の手がかりを与えることを知り、今、ミステリーの中で鑑識という分野のTVが流行っているのも納得できた。
また、検死といっても様々な専門家がいるとわかって興味深かった。病理学者、身元を特定するために不可欠な歯型を鑑定する歯科医、白骨化した死体を調べる法人類学者、レントゲン技師など・・ただ、そこまで知る必要があると思えないほど、事細かにかれらの作業が述べられていて、骨の部位など辞書を引かねば分からない単語や死体を切断した鋸についての延々とした説明はちょと退屈。

Tempeは粘り強く調査して、killerがどのように被害者の女性たちを選んだのかなど、次々と手がかりを探し出す。次に彼女がどういう行動をとるのかと期待してページをめくると、なぜか、Jazzのコンサートや映画、ヨガに行ったりと、調査に関係のない私的行動が書かれていて、拍子抜けしてしまう。もうちょっと緊張感、スピード感が欲しい。
ただ、刑事たちから骨の鑑定だけをして、事件については口出しするなという非難、非協力にあいながらも被害者の無念、さらなる犯行を抑止するために、killerを特定しようと孤軍奮闘、Tempeの頑張る姿は好感が持てる。
 
しかし、それぞれの死体はバラバラに切断されて、ゴミ袋に入れて放置されていたという共通性がありながら、刑事たちがシリアルキラーについて考えないのはちょと不自然の感じがする。ふつう刑事ならば関心を持つと想うのだが。
 

児玉さんはTempeの性格について爽やかで品格があると書かれたが、児玉さんが読まれたのは3作目、僕は処女作を読んだせいか、Tempeは感情の起伏が激しい性格だと思った。自分の意見を強行に主張したと思うと、もしかしたら刑事の云う通りかもしれないと急に弱気になったりする。そんなに興奮しなくとも、そんなに落ち込まなくともと思ってしまう。大学生の娘がいるのだから、もうすこし落ちついた性格のほうが安心して読んでいける。このストーリーは、TVドラマ、Bonesの原作だが、テレビのTempeのほうが生き生きとしていて魅力的。


終わりに出てくるClaudelがTempeに送ったメッセージ
We are the last line of defence against them: the pimps,the rapists,the cold blooded killers. (Deja Dead P411より 引用)
は良い言葉だと想う。作者は実際に法人類学者として捜査に携わっているようなので、すべての捜査関係者の想いをそのメッセージに託したのかもしれない。

 ★★★ Kindle版 411ぺーじ

Forrensic anthropologists work with the dead for whom normal autopsies are impossible-the skeletal,mummified,decomposed , dismembered,burned, or mutilated. We're consulted on many issues,all of which are answered through analysis of the bones.(Deja Deadの終わりに抜粋されていたBones of the Lost より引用)