気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Gone Girl by Gillian Flynn

2014-10-26 10:23:16 | 読書感想

 


5年目の結婚記念日Nick Dunneが妹Margo(Go)にゲーム好きな妻のAmyが毎年結婚記念日に彼に与えるTreasure Huntというゲームについて悩みを打ち明けているとき、隣人の男から電話がかかってくる,家の玄関ドアが開けっ放しになっていると。急遽、家に戻った彼は部屋に争ったような跡があり、妻がいなくなっていることを知る。

荒らされた室内の様子からAmyが自主的に家を出たようには見えないことから警察は公開捜査に乗り出す。

Amyの両親は誰もが知っている「Amazing Amy」というタイトルの本を書いている児童書の作家で、自分達の子供にその主人公の名前を付けるほど彼女を溺愛していた。有名作家の娘が失踪したということでこの事件はマスコミと世間の注目を集める。

捜査を始めた刑事は妻のAmyが行方不明になっているにもかかわらずAmyの友人や両親と連絡を取ろうとしないNickの態度に違和感を覚える。さらに、刑事達はAmyの失踪前夜、二人が大喧嘩していたという近所の人の証言、彼女が護身用の銃を欲しがっていたことなどを突きとめ、徐々にNickがAmyを殺した可能性に捜査の焦点を絞っていく。

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以前、この作者の「sharp object」という本を読んだことがあるが、作風が僕の趣味に合わなかったのでこの本も読むのを迷っていた。しかし、去年出版されたにもかかわらず今もニューヨークタイムズのベストセラーリストの一位にランクインしていたり、今年(2014年)映画化されるようなので、きっと面白いストーリーなのだろうと思い、読んでみることにした。

物語の前半、読み続けるには根気がいる。何とかがんばって前半を読み終わると俄然面白くなってくる。夫と妻(妻は二人の出会いから現在に至るまでの日記)のモノローグで物語が進行するという構成はユニーク。プロットがすごくよくできているのであらすじとか感想も書きづらい。
2013年MWA Best Novelの候補作になったのも納得できる。

12月12日日本公開、映画「ゴーンガール」オフィシャルサイト(http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

★★★★ 本の長さ 434ページ Kindle版 665円

 


Last to Die by Tess Gerritsen

2014-10-12 12:20:09 | 読書感想


ボストンPDのJane Rizzoliは母のAngelaと父親Frankの口論の仲裁に忙しいとき、上司のCroweから電話がありすぐ殺人現場に来るように命令される。
現場は高級住宅地のBeacon Hill、犠牲者は銀行家で慈善家としても知られるBernard Ackermanと妻Cecilia、そして3人の養女。いずれも銃で撃たれて殺されていた。家族の中で唯一難を逃れた里子の14歳の少年、Teddy Clockはショック状態にあり誰とも口を利こうとはしなかった。Croweは少年の心を開かせるには女性であるJaneが適任であるとして彼女にTeddyの事情聴取を命ずる。現場に着いたJaneは一つ一つの部屋を丹念に回り住んでいる人すべて皆殺しにしようとした殺人者の手口に戦慄を覚える。呆然としているTeddyと話そうとしたJaneは、彼を保護した隣人から里子として彼がAckerman家にやってきた経緯を聞いて衝撃を受ける。2年前Teddyとその家族はヨットで世界一周旅行をしていた。ある夜、西インド諸島に停泊中、何者かに就寝中を襲われ両親と妹を殺され、彼だけが唯一の生存者として海に浮かんでいた。
そして、やっとJaneに心を開いたTeddyは彼が寝台の下に隠れていて男の靴以外なにも見ていないと話すが、両親を殺した男が彼を殺しにやってきたと確信していて、また自分を殺しにやってくると絶望な眼差しでJaneに告げる。
Teddyの絶望的な表情を見て、Janeは2年前の未解決の事件と今回の事件の関連性を考える。

しかし、犠牲者宅には押し入った形跡がないことや警報装置が解除されていたことから、この家の鍵と警報装置の解除の仕方を知っている家政婦Maria Salazarとその恋人Andres Zapataが有力な容疑者として浮かび上がる。Zapataは窃盗や麻薬密輸で逮捕歴があり、侵入路と思われる台所から彼の指紋が検出されたことから警察は彼を犯人と断定して指名手配する。Janeは強盗にしては夫妻の財布が手つかずに残されていることや高価な宝石なども盗まれていないことなどからZapataが犯人と決めた捜査方針に疑問を感じる。

そんな中、ボストン警察のMEで親友でもあるMauraからJaneの携帯電話にメッセージが届く。
Mauraはかってワイオミングの山中で共に生死の境をさまよったJulian Perkinsという少年と2週間の休暇を過ごすために彼が学ぶ寄宿学校にいた。Mephisto Societyが運営する、その施設は人家から離れた森の中の広大な敷地に厳重な警備システムを設置し、親や兄弟を殺された子供たちに一般の授業のほかに社会でのサバイバルの仕方を教えていた。
そしてその子供たちの中に、最近、Teddyと同じように2年前に両親を殺され、先月里親を殺されたClaire Ward,Will Yablonskiの少年少女二人が加わっていることをMauraは知り、ただちにJaneに知らせてくる。
Janeは里子を狙った事件が他に2件もあったことに驚き、Teddyの事件との関連を調べるためTeddyを訪ねる。そこで彼女は何者かがTeddyを預かった里親の家に侵入しようとする場面に遭遇するが、侵入者は警官であるJaneの存在を察知したのか何もせずに去り、事なきを得る。しかし、警察関係者など一部の者しか知らないTeddyの居場所を侵入者が知っていたことに危機感を持ったJaneはMauraの勧めに従いTeddyを警備が万全で関連性が疑われる二人もいるという寄宿学校に連れていく。

JaneはWards家、Yablonskis家、Clocks家の両親と子供が場所は異なるが同じ年の同じ週に殺されていて、2年後、その惨劇から生き残った子供たちが再び命を狙われたのは偶然ではないと捜査会議で主張するが、2年という月日の経過、同じ犯人とするには犯行現場がロンドン、Maryland州、そして西インド諸島とあまりにも離れすぎている、として彼女の主張は却下される。
しかし、Janeは3人の家族にはつながりがあると確信し、それが何か?そして、そのつながりの中に殺人者が潜んでいると考え 捜査方針に反して単独で3家族の捜査に取り組んでいく。そして、殺人者がまたTeddy達3人の命を狙ってくると確信し、Janeは彼らを殺人者から守りぬくことに全力をあげることを決意する。

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最初、この本を読み初めて感じたのは昔々、読んだミステリーのプロットのことだった。
幸い、僕の思ったそのミステリーの展開にならなかったが。両親が殺されて孤児になった子が2年後また狙われるという設定に興味を魅かれ、物語に引き込まれていった。そして予想以上の思いがけない展開があり面白く読めた。

また、殻に閉じこもっていた少年たちが同じ境遇にある仲間に徐々に心を開いて立ち直っていく様子は、読了後、さわやかな気持ちにさせてくれる。


久しぶりにこのシリーズを読んだ。前に読んだときはJaneが妊娠中だったと思う。その子が産まれて一児の母親になっている。JaneとMaura、年齢が書かれていないか読み落としたかわからないが、Mauraはすごく落ち着いて見え、Janeの方がMauraより若いように思う。Mauraの静とJaneの動、Janeが捜査に動き回り、捜査に行き詰まったときなどにMauraがアドバイスする。このパターンが僕は好きで、たまにMauraがメインになって活躍する物語もあるようだがあまり読書欲をそそられない。

 本の長さ 353ページ  ★★★★  Kindle版 873円


Resurrection Men by Ian Rankin

2014-10-05 11:57:20 | 読書感想


美術商Edward Marberの殺害事件の捜査に従事していたJohn Rebusは突然、地区本部長から呼び出され数年前に起きたBernie Johnsという麻薬取引業者殺害事件に関する潜入捜査を命じられる。地区本部長によると殺されたBernie Johnsは、警察内部に内通者を持っていた。

そして、Johnsが逮捕、刑務所内で殺害されるドサクサに、内通者だった警察官達は彼が隠していた300万ポンドの金を強奪していた。しかし、彼らがやったという証拠はつかめず事件はうやむやになっていた。内通者と思われた警察官の名前はFrancis Gray,Jazz McCulloughAllan Wardの3人。GrayとJazzはまもなく定年。警察上層部は彼らが警察を辞める前に証拠をつかむべく、日頃から素行の悪い彼らを警察学校の再教育施設に送る。同様に、上司に反抗したという理由でRebusを再教育施設に送り込む。Rebusは再教育を受ける過程で彼らにとけ込み、Bernie Johns事件と彼らの関与を明らかにするように命じられる。

一方、Rebusの部下のSiobhan Clarkeは新人のDavie Hyndsを相棒にして美術商殺しの捜査を進めていく。その過程で、彼女は美術商の顧客にM.G.Cafferty(Morris Gerald Cafferty)通称Big Gerがいることを発見する。さらに美術商が殺された日、美術商が主催した内覧会に彼が出席していたことを突き止める。Caffertyは東海岸を牛耳っているギャングのボスで、Rebusの宿敵だった。しかし、話を聞いたRebusは殺害の手段が彼らしくないとCaffertyの関与に疑問を呈する。だが美術商を自宅まで乗せたタクシー会社の名前がCaffertyと同じ名前のMGタクシーという会社であることを知り、彼女はこの会社の所有者がM.G Caffertyである可能性が高いと考え、Rebusとは逆にCaffertyがこの事件に関与していると考え始める。

再教育訓練を受けることになったRebus達は捜査の原点であるチームワークの必要性を再認識させる教材として6年前に起きた未解決の事件「Eric Lomax殺害事件」を与えられる。Rebusはその資料を見たとき内心の動揺を抑えることができなかった。その事件が万一解決された時は 彼の刑事生活が終わることを意味していたから。
本部長の意図は自分を辞めさせることが真の目的で、3人の不正疑惑は罠なのか?Rebusは疑心暗鬼にかられながらも 3人の不正の証拠を突き止めるべくある賭にでる。

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物語の前半はRebusが3人組の不正を見破れるのかというよりも、逆に、RebusがEric Lomax事件で3人組に追いつめられていく過程が描かれているようにみえる。

不正を疑われているGrayとJazzだが、捜査手腕はなかなか見事でRebusが未解決のままで終わって欲しいと願っているにもかかわらず、当時は検討されなかった事実を見つけだして、徐々に事件の真相に迫っていき、Rebusを動揺させる。そしてRebusの動揺は、彼が事件の何を隠しているのか分からない我々読者を不安にさせハラハラドキドキさせる。Rebusという男、タフで物事に動じない男と思っていたが、自分の過去の不手際が明かされる事件の資料を提示されて 手の震えを抑えることができないとは、意外と繊細(?)。上司のJillや部下のSiobhanから好意を持たれているし、外された美術商殺しに関して捜査の進展をSiobhanに問い合わせてくるほど仕事熱心。どうして警察上層部が彼を煙たがるのかと不思議に思っていたが、最後にナルホドとうなずけた。

またSiobhan、「Shi-vawn」と発音すると、彼女自身が説明するほど読み方が難しい名前の女性刑事が魅力的。最近、巡査部長(sergeant)に昇進したことからくる同僚の妬みや、同僚からのデートの誘いなどをうまくかわしながら、上司である女性警視のJillのようにいつか自分も警視になりたいと昼夜問わず捜査に没頭する。
Rebusと同じように一匹狼のようで、気になることがあると独りで捜査に出向く。Rebusとの会話から二人の結束の強さや信頼関係が推測されるがよく有りがちな恋愛関係が無いのが良い。

前半はSiobhanの地道な捜査とRebusの突破口を見いだせないいらだちが交互に描かれていくがちょっと退屈。後半、ばらばらに活動していたふたりが一緒になって捜査に協力していくようになってからは俄然面白くなった。
またスコットランドが舞台なので地名に馴染みがなく人名か地名かわからず読みづらかった。

2004年 MWA best novel 受賞 ★★★★  456ページ Kindle版 811円