気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Silent Twin (Detctive Jennifer Knight #3) by Caroline Mitchel

2017-06-25 19:29:12 | 読書感想

4月朝10時頃、Nick と Joanna Duncan夫妻の9歳の少女Abigailが自宅の農場で隠れんぼをしている時行方不明になる。彼女がかけていた眼鏡が農場から森へ続く道で発見されたことから、警察は何者かに少女を連れ去ったと考えて、捜索隊を組織して一帯を調べる。

超常現象事件を扱うOperation Moonlightチームに所属する刑事Jennifer Knightは、一家が住む古い家は突然電球が切れたり、ドアがひとりでに閉じたりという怪奇現象がおこるということから、家族に対しては捜査の状況を、捜査本部には家族の情報を与える役割のFamily Liaison Officer(FLO)として、捜査の一員に加わる。

一家の住む農場に出向いた彼女は、家族の絆が崩壊しているに気づく。娘が行方不明になっているにも関わらず何事もなかったかのようにふるまい、にこやかにテレビのインタビューに答える母親Joanna.、悲痛な態度を見せない妻に苛立つ夫Nick、Abigailが行方不明になった時から失語症になり常に怯えたようなそぶりを見せる双子の姉妹のOlivia

 Jenniferは、Abigailが失踪した時一緒に遊んでいたOliviaが何かを知っていると感じ、Oliviaと二人きりになるチャンスを得て、Oliviaの心をほぐして手掛かりを得ようとする。そして二人きりになった時、彼女はOliviaを通してAbigailの声を聴く。『私を見つけて』というメッセージを。Oliviaの様子から彼女は自分が話したことに気付いていないと感じたJenniferは、彼女が興味ありそうな話題を持ち出し彼女が話すよう仕向ける。Oliviaはそれについて答えようと口を開こうとするが、父親が部屋に入ってきたのを見て、あわててその部屋から走り去ってしまう。Oliviaは何故か父親を恐れているように見える。JenniferはOliviaの失語症になったのは父親のせいではないかと疑う。父親が容疑者?それとも悲痛な素振りを見せない母親?それとも家に出入りしている誰か?Jenniferは 上司から連絡係に専念しろという忠告にも関わらず、事件の捜査に深入りしていく。

 Jenniferは、Oliviaを通してAbigailとコミュニケーションが取れることを発見し、できるだけ二人になる機会を作ろうとする。そして、Oliviaといる時、彼女はAbigailからのメッセージを受け取るが、暗いトンネルの中にいるとか、うちへ帰りたいと言う以外、誰が彼女を連れ去ったのか、何処にいるのか、という肝心なことを聴きだすことはできなかった。また、Abigailの声はときたま彼女に囁きかけて来る死者の世界からの声なのか、それとも双子の強い絆からくる現実の世界の声なのか?彼女はAbigailの生死についての判断に悩む。そして、失踪から一日、二日と時を経るにつれてAbigailの声が弱っていき、絶望のつぶやきに代わっていくことを感じ、少女は生きていて救出を待っているのではないかという思いが湧き上がってきて、彼女は焦燥感にかられる。そんな中、農場に近接している川を捜索していた警察は川の中から身元不明の死体を発見する。

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うまいひねりがあって、第1作よりも面白かった。また、彼女の特殊能力を生かして犯人や少女を見つけるというより、FLOとして家族と接触していく中から家族の秘密を探り出し、突き止めた事実に基づいて推理を駆使して犯人に迫っていく、というミステリー色が強く出ていて楽しめた。「Don't Turn Around」とどちらかを選べというならば、迷わず、この本を読むことをお勧めします。前作を読んでなくても問題ありません。

 

E-book(Kindle版)★★★★ 322ページ 2016年4月 299円(2017年購入)



 Don't Turn Around by Caroline Mitchell

2017-06-18 09:58:35 | 読書感想

子供時代に悲惨な経験をした男がいる。悪霊は彼の世の中に対する恨みにつけこみ、彼の心を乗っ取り殺人を繰り返させる、20年後、同じように子供時代悲惨な経験をした女性がいる。女性は刑事になり、悪霊が起こした事件を捜査する。死者の声が聞こえる彼女以外、この事件を解決できないと信じて。悪霊は、少女時代の彼女の悲惨な経験を彼女に思い起こさせ、彼女の心の闇に入り込もうとする。悪霊は 次々と人の心に入り込みさらなる殺人を行いながら、彼女の能力を讃え、二人が一体となることを語り掛ける。彼女は悪霊の力に圧倒されながらも、彼の犯行を止め、彼を排除する方法を探っていく。

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面白いタイトルだったので購入した。最初は連続殺人を捜査するミステリーと思って読み進めていたら、死者の声を聴くことができる女性刑事ということが分かり、徐々に異常な事態になっていく。しかし、ヒロインのキャラに惹かれるものがあって、彼女がどうなるのか、こういうものの終わり方はどうなるのか気になって結構いいペースで読み終わった。事件の解決の仕方はミステリーファンとしてはかなり不満、パラノーマルファンとしても、よくありそうな終わり方でもう一捻り欲しかった。ただ、悪霊とヒロインの対決という話なのだが、悪霊は誰かの身体に乗り移っているので、その誰かを特定していくのはミステリーとして充分楽しめるし、悪霊の次なる標的は誰か、彼女はそれを阻止できるかどうか、ドキドキさせる。

とにかく、ヒロインJennifer Knightが魅力的で次の作品も読みたくなった。

著者が作った架空の町、ロンドン近郊の町Haven市の刑事、32歳、独身。彼女は死者の声を聴くことができると上司のDI James Allisonに話したことによって 彼から精神科のカウンセリングを受けるよう命令される。精神科医はストレスによるものだと彼女に話し、彼女の話を信じない。これ以上、死者の声が聞こえると話せば失職することを懸念して、彼女はだれにも話せない。

異常なほどのきれい好き、朝、遅刻してでも家の掃除してからでないと出かけないし、同僚の刑事のネクタイにシミがついていると我慢できずにシミを取ってあげたりする。

妹の家族に献身的、特に甥や姪に対する愛情、妹には煙たがられるほど一生懸命。

また彼女とWillの刑事コンビ、彼らの友情、信頼感は読んでいてほのぼのする感じを与える。

 

E-book(Kindle版)★★★☆ 317ページ 2015年4月出版 399円(2017年6月購入)



The Fix (Amos Decker Series #3) by David Baldacci

2017-06-07 19:26:34 | 読書感想

ワシントンDC、通行人で賑わうFBI本部,Hoover Buildingの前で初老の男と女がすれ違う。男はすれ違いざま銃を取り出し、背後から女を射殺、その後、その場で自殺する。

男はWalter Dabney、61歳、FBIやDIAなど国家情報機関や捜査機関を取引先とする会社のオーナー。会社経営は順調で豪邸に住み、愛妻と4人の娘に恵まれて公私ともに何不自由ない人生を送っていると思われた。だが、男にはギャンブル癖があり、その借金を補うために仕事で得た国家機密をテロ組織や敵対国に売っている事実が発覚し、DIAが密かに捜査していた。

女はAnne Berkshire59歳、代用教員として学校で教えながら、週に2,3回ホスピスを慰問する初老の女性が理想とする模範的な生き方をしていると思われた。だが、彼女は、教員の給与ではとても支払えない超豪華な邸宅に住み、高級乗用車を所有する裕福な生活。10年前までは経歴をたどれるが、それ以前、彼女が何をしていたか、どこにいたかFBIのデータベースでも突き止めることができないミステリアスな一面を持っていた。

 男の数十メートル背後を市民とFBIエージェントで構成するFBI特殊捜査班に所属するAmos Deckerが歩いていた。Deckerは男が女を射殺、そして自殺する瞬間を目撃していた。事件は、DabneyがFBIと取引していることからFBIの管轄になり、彼ら特殊捜査班が事件を担当することになる。男は女性を知っていたのか?それとも自殺する道連れとしてたまたますれ違った女性を殺したのか?彼らはふたりの身元を調べ、ふたりの繋がりを探ろうとするが、教師と会社経営者という2人に何の接点を見出すことができずにいた。しかし、Deckerは不自然な私生活やミステリアスな過去をもつ女性がたまたま彼の標的となったという偶然を信じず、彼らの間には何らかの繋がりがあると信じていた。

 そんな時、DIAエージェントのHarper Brownが彼らの捜査に介入してくる。彼女はDabneyのスパイ容疑について話し、彼の漏らした情報がテロリストに渡ると9.11のような大惨事が起こると警告し、この事件を早急に解決する必要があると主張し、彼らに事件から手を引くように要求する。Deckerは、9.11のような事態が起こる可能性があるなら各捜査機関が協力して事態を打開した方が良いと主張し、共同で捜査を進めるよう彼女を説得する。

彼は、見聞きしたことをすべて記憶できる能力を駆使し、この事件について彼が記憶した事実を一つ一つ頭の中で検証し、事件を解決する手掛かりを探ろうとする。

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全て見聞きしたことを記憶できる能力で事件を解決する。でも、彼が見聞きしたことはすべて本の中に書かれているとしたら、読んでいる我々も同じように手掛かりを与えられている?ということは、昔の推理小説のように全ての手がかりは本の中に提示されていて、我々も彼と同じように真相に辿り着ける⁇うーん、微妙だな・・・。事実が二転三転、思いがけない展開になる。ただ、国家機密が盗まれたという割に緊迫感が乏しい展開だった。でもラストはドキドキさせてくれるうまい終わり方だった。


E-book(Kindle版)★★★ 2017年4月出版 560ページ 959円(2017年購入)