気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Circling the Runway by J.L.Abramo

2016-12-13 19:35:28 | 読書感想


2016年 Shamus Award for Best Paperback Original PI Novel

サンフランシスコの私立探偵Jack Diamondは、聖パトリックの夜、友人とバーをはしごする。二日酔いで迎えたの最悪の翌朝、彼は地元マフィアのTony Carlucciから従兄弟の息子Benny Carlucciが警察に窃盗、殺人の容疑で逮捕されたので何とかして欲しいと頼まれる。裁判所に向かった彼は審理を終えたBennyを発見、Carlucci一家のお抱え弁護士Lionel Katzから事件の概要を聞く。Bennyはトランクに死体があるのを知らずに、たまたま鍵付きの車を見つけ家まで乗って行こうとした窃盗だけを認め、殺人は否定していた。Carlucci家は、Jakeにトランクに入れられた男を誰が殺したか突き止めるよう要求する。Jakeは今日が最悪の1日になる事を予感する。

SFPDの巡査部長 Rocky Johnsonは高層マンションの夜勤の管理人が殺されたという通報を受け現場に向かう。現場に着いた彼は、そのマンションの35階に住む検事補のRoberto Sandovalが銃殺されているのを発見する。犯行は深夜に行なわれ、殺人犯はガードマンの首を捻って殺した後、35階に上がり検事補を銃で殺したと思われた。マンションの住人の1人が犯行時刻と思われる時間帯に、顔をサングラスとスカーフで隠した女性がマンションから出て来るのを目撃していたが、髪や目の色などの特徴を述べる事ができなかった。

現場を捜索していたJohnsonは休暇のはずのLaura Lopez警部が現れたのに驚く。また証拠品としてテーブルの上に置かれていた手紙を、彼女が秘かに持ち去ろうとしているのを彼は目撃する。不審な彼女の行動を問いかけようとした彼に、Lopezは彼をこの捜査から外し、昨夜起きた車のトランクの中に発見された死体についての事件を担当するよう命じ、彼を戸惑わせる。彼は、この事件から外されることに反論しようとするが、何時もと違う彼女の様子に何かを感じ命令を受け入れる。

彼は現場を去る時に、死体を発見、現場保存をしていた警官に女性を目撃した男に再度、事情聴取を行い、女性について具体的な情報を得るよう求める。その警官から聴取の結果を聞いた彼は、目撃された女性がLopezだった可能性が高いと思い始める。そして、直接、彼女から事情を聴こうとした彼は彼女から回答を拒否される。彼女の名誉を守るため警察内の誰かに相談することができないと考えた彼は、Lopezの不審な行動を探ってもらうために、Jake Diamondを雇うことを考える。

*************************************************************************
Jakeが主人公のこの本はシリーズ4作目のようだが、いきなり4作目から読んでも問題なかった。場面展開が早く、劇画コミックを読んでいるよう。ちゃらんぽらんな探偵Jakeと生真面目な刑事Johnsonという対比でストーリーは進んでいくが、Johnsonの捜査のほうが迫力があり面白い。別々に進められた捜査がやがて絡み合い、もつれて面白くなっていくのだが、とにかく登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなって混乱してしまう。冒頭に人物紹介の一覧があるが電子書籍では戻るのが面倒である。

また、本の紹介で刑事と探偵は犬猿の仲と書かれていて、どうやって折り合っていくのか興味津々だったが、JohnsonがJakeに調査を頼むなど、彼とJakeは仲が悪いように見えず、ちょっと期待外れ(?)だった。

他の誰かが感想に書いているが、短い小説のわりにいろいろエピソードを詰め込みすぎだと思う。

E-book(Kindle版) ★★★ 242ページ 2015年4月出版 512円(2016年購入)

 


 The Promise by Robert Crais

2016-12-04 12:25:39 | 読書感想


私立探偵Elvis Coleは、国防省指定の爆発物の原料となる燃料製造業社の重役Meryl Lawrenceから会社の同僚で友人でもあるAmy Breslynを探して欲しいという依頼を受ける。
Amyは失踪時、会社から46万ドルを持ち去っていた。Merylは会社にはこの事実を隠しいて、会社に知られないようにColeが会社内で調査することを禁止する。また事が公になる事を怖れていて、秘密厳守をColeに約束させる。

燃料製造技術部門の副部長であるAmy Breslynは息子のJacobがテロで殺されてから精神的に不安定になる。息子の死の16か月後、、彼女は突然、消息を断つ。MerylはJacobの友人だったThomas LernerがAmyの消息を知っているかもしれないと言って、ColeにLernerの住居を教える。更にMerylはAmyの失踪の背後には男の存在があると断言し、男の正体を突き止めるよう要求する。

ColeはEcho Park にあるThomas Lernerが借りている家を訪ね、彼の不在を知り、彼が帰ってくるのを道路に止めた車の中で待つ。
Lernerの家を見張っていたColeは、Carlosという殺人犯を追跡中の警察車両や警察のヘリで一帯が騒然となるのを目撃、その騒音に出てきた隣人から彼が見張っている家は数年前から空き家であると教えられる。見張りを止め、その場所を去ろうとしたとき、Coleは、彼が見張っていた家から男が出て来るのを目撃する。物陰に隠れるように行動し、ついには走り出した男を殺人犯と思い、Coleは警官の応援を求めながら彼を追跡しようとするが、警官に銃を向けられ追跡を断念する。やがて、刑事から事情聴取を受けたColeは、Merylとの約束で、その家を見張っていた理由を曖昧にしたことから共犯者と疑われ、彼らの監視の対象に置かれる。

LAPDのK-9部門のScott Jamesは、Carlosの痕跡を警察犬Maggieに追跡させている時、小さな家の裏口から中年の男が出てくるのを目撃する。Scottは男に家の中に戻るよう要請する。だが、Maggieがその家に突進するのを見たScottは窓越しに追跡中のCarlosが死んでいるのを発見、彼と話した男が彼を殺したと気づく。しかし、男は玄関からすでに逃走していた。そして、家を捜索していたK-9、Maggieは近隣を吹き飛ばすほどの量の爆発物を発見する。
爆発物が発見されたことから事件はLAPDの重大犯罪課の担当となり、Scottは容疑者の唯一の目撃者として捜査の一員に加えられる。

Carlosを殺した男、Mr.Rollinsは、AmyとCarlosのボスEliとの取引の仲介をしていた。彼はひとつのルールを持っていた。決して、証拠や目撃者を残さない。彼はEliにScottの殺しを依頼する。
Amyと繋がりがあると思われる人物の家で発見された爆発物と爆発物の専門家である彼女との関連を危惧しながら、Coleは相棒のJoe Pikeの手助けを得て、警察の目を逃れながらAmyの行方の調査を続行する・・。だが、調査が進むにつれ、Amyがイスラム過激派と接触しようとしていることが分かり、さらにColeの危惧は増していく。

**********************************************************************

緻密な構成で文句なく面白い。物語冒頭、同じ出来事を犯人、探偵、警官、それぞれの視点から描くという手法はユニークで面白かった。K-9とのコラボも、無理なくストーリーに溶け込ませて、ふたり(?)に重要な役割を果たさせている。
Coleは依頼人と、ScottはColeと彼らの秘密を守る事を約束する。特に、Scottは、そのために窮地に陥るが頑なにColeとの信義を守る。ここまで追い詰められたら、自分ならついポロリと言ってしまいそう、彼の信義の強さに感動。また、その信義に応えるColeの対応にも、さすが、世界一優秀な探偵だなと納得。

Coleのキャラはやはり魅力的。読んでいる時も読んだ後も気持ちをさわやかにさせてくれる。
⇒ColeのAmyに対する心情。息子を爆弾テロで失った彼女の悲嘆を我がことのように思い、危うい彼女の行動を止めるために全力を挙げる。
⇒機知に富んだ会話、ある女性と。『何時、家へ来る?』『旦那さんのいないのは何時?』
⇒人を見つける方法や手段が卓越している。Lernerが住んでいると思っていた家が空き家であると知っても失望しない。家の所有者を調べて彼に当たればLernerの住いがわかると楽観的に考える。

ただMaggieの章は、ちょっともう、という感じで、ざっと読み飛ばした。★一つ減。

E-book(Kindle版) ★★★★ 401ページ 2015年11月出版 925円(2016年購入)