気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Dry Bones in the Valley by Tom Bouman

2015-05-31 13:14:42 | 読書感想

2015 WINNER of the Edgar Best First Novel

雪解けが進む3月のPennsylvania州北東部、Holebrook CountyのWild Thyme 郡区の警察官Henry Farrelは診療所の医師Lizから銃撃を受けた患者がいるとの報告を受け、診療所に向かう。
わき腹に散弾を受けて治療してもらっていたDanny Stiobhardの話によると老農場主Aub Duniganの土地の道の整理をAubの従兄弟Kevinに頼まれてやっていたところをAubに撃たれたと話す。
Kevinに同行を頼み、Aubを訪ねたHenryに、Aubは、侵入者に発砲したことを認める、さらに、昨日、自分の土地に若者の死体があるのを発見したと告げる。死体は至近距離から散弾銃で撃たれ殺されていた。雪の中に遺棄されていたため死亡時期を特定するのは困難だったが、死後1、2ヶ月経っているとみられた。若者は地元の人間ではなく、身元を特定することはできなかった。
Henryの要請でやってきた郡保安官のNicholas Dallyは若者が散弾銃で殺されていることから、今日、散弾銃でDannyを撃ったAubを容疑者として拘束する。
Henryは KevinからDannyに仕事を依頼していないと聞き、Dannyが何故Aubの土地に無断で入ったのか、彼から事情を聴くよう助手のGeorgeを差し向ける。
そして、夜、Geogeから連絡がないのを不審に思って、Dannyの家に向かったHenryは、彼に銃を突きつけられる。彼はHenryをGeorgeのパトカーが止まっている場所に連れていき森に消える。車の中には頭を銃で撃たれたGeorgeの死体があった。
DannyとGeorgeは、以前から女性をめぐってもめており、前夜も、バーで喧嘩しているのが目撃されていたため、DannyがGeorgeを殺したと思われた。
Henry達は、保安官の指揮で近辺の森などの捜索を行うがDannyの行方を突き止めることはできなかった。

DannyはAubの土地で何をしようとしていたのか?発見された死体について関係があるのか?Georgeを殺したのは彼なのか?身元不明の死体は誰か、何故、ここに遺棄されたのか?

小さな片田舎だった町が、シェールガスの発見により、人々が、利権の譲渡で大金を得ることができる状況に活気づいている中、ほとんど経験したことのない殺人事件に、Henryはわずか10人にも満たない捜査員に混じって、2つの殺人事件を丹念に捜査していく。

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townshipのofficerという聞き慣れない言葉にとまどった。役職がよく分からなかった。sheriffと同等の関係と説明してあったように思ったが、どうも捜査の主体は保安官で、彼は現場の保存、見張りなどの補助をしているように見える。日本だと駐在所のお巡りさん?

部下が殺されたにもかかわらず、部下を亡くした悼み、犯人に対する怒りなどが伝わってこず、たんたんと語る口調に物語にのめりこんでいけなかった。また、延々とつづく情景、心情描写は文学的で、ミステリーとしては、ちょと退屈、ストーリーのテンポが遅い。

読み終わった後も(読み飛ばした?)若者の死体、警官の死、2つの事件の関連性が見えてこなかった。犯人の動機も、いまいち分からなかった。

 ★★ Kindle版 288ぺーじ


The Stranger You Know by Jane Casey

2015-05-24 09:18:22 | 読書感想

MWA 2015 Mary Higgins Clark Winner

ロンドン警視庁、特捜部の刑事Maeve Kerriganは、パートナーを組んでいる警部 Josh Derwentの明快な推理で解決された殺人事件の報告書を作成しているとき、特捜部長のCharles Godleyから、Gentleman Killerと呼ばれている女性連続殺人犯の捜査チームに加わるように命令される。
ロンドン市内ではここ9ヶ月の間に、3人の若い女性が首を絞められて殺され、さらに、目をえぐられた状態で、自宅のマンションで発見されていた。しかし、犯人は被害者をレイプしておらず、また、強引に部屋に押し入った様子もなく、被害者が犯人を部屋に招いたように見えることからGentleman Killerと名付けられていた。

Kerriganはマスコミも注目する事件のチームに加わったことに興奮する。しかし、当然加わると思っていたDerwentがチームから外されたことに、彼の優秀な捜査能力を知っているだけに、彼女は疑問を感じる。さらに、GodleyはKerriganが彼と接触することを禁じる。

疑問を感じる彼女に、Godleyは、20年前、Angelaという15歳の少女が首を絞められ、目をえぐられて殺された事件があったことを話す。容疑者として逮捕されたのは、彼女の交際相手、当時17歳のDerwentだった。彼は、アリバイを証言する目撃者がいて釈放されたが、事件は未解決のままになっていた。
Godleyは、犯行の手口があまりにも似ていることや、捜査会議で、被害者が犯人を抵抗なく室内に入れていることから、犯人は警察官であるという意見が出ていて、Derwentが犯人である可能性を排除できないと主張して、彼女がDerwentに捜査情報を与えないよう命令する。

Derwentは、この20年間ずっとAngelaを殺した犯人を逮捕することに執念を燃やしていた。しかし、今まで何の手がかりも得られず、この一連の事件が初めてAngela と関係がありそうな事件で、彼はなんとしてもこの事件の捜査に関わりを持っていたかった。
Kerriganは、パートナーとして組んでいた経験から、Derwentが女性を殺すことはありえないと考え、密かに彼に捜査情報を与えることを約束する。そして彼女はAngelaを殺した犯人が今回の事件を起こしたのなら、何故、今また殺人行為を始めたのか?彼女は、その謎を解くべく、20年前の捜査資料を精査し、関係者への再聴取を試みる。

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20年前の事件と関連があるなら、容疑者は簡単に分かると思っていたら・・・これがなかなかスムーズにいかず、Derwentの容疑もなかなか晴れず、Kerriganも一瞬、彼が犯人と疑ってしまうほど、犯人がわからずに最後まで読ませてしまう。

とにかく Maeve Kerriganのキャラクターが魅力的。
He was born to be a killer. I liked to think I was born to catch him.(P242より引用)
同僚の刑事達からのセクハラもさらりとかわす。相棒のDerwentが犯人ではないと上司に反論し、彼らの接触禁止命令を破り彼と密かに会って、事件を検討したりする。しかし、それはパートナーをかばうというよりも、冷静に彼の人となりを観て,論理的に判断した結果。彼の協力が捜査に必要だと思えば、上司の命令を無視する。しかし、そのことで、事件から外されたときには、人知れず涙を流す。ある時はタフな女性、ある時は繊細な女性へと揺れ動く普通っぽい彼女のキャラが魅力的だった。

そして事件に関すると思われることはどんな些細なことでもきっちり調べる。10個中10個、無駄な調査になるとしても捜査資料にある証人や証拠は、他の刑事が無視しても満遍なくをあたっていく。ねばり強く気になることがあると、とことん調べる。

女は男に守ってもらうものだと考える偏屈で粗野、しかし、捜査能力は優秀なDerwentとのやりとりはコミカルで楽しい。捜査状況を教えるように要求するDerwentと彼と接触するなというGodley、相反する要求にあたふたしながら、その間をうまく泳ぎきろうとがんばる彼女の姿は好ましく応援したくなる。他の作品も読みたくなった。

 ★★★★ Kindle版 383ページ


Stay With Me by Alison Gaylin

2015-05-10 08:46:36 | 読書感想

Missing personの調査を専門とする私立探偵Brenna Spectorの13歳の娘、Mayaは上級生のLindsay達からsleepover(お泊まり会)に誘われる。そこで彼女はブランディーを飲むように勧められる。始め拒否していたMayaだが、彼女たちから、彼女が好意を持っているMilesという上級生が、彼女のことを大人ぽいと誉めていたと聞いて、つい飲んでしまう。しかし、初めてのアルコールの強さに耐えきれず、彼女はその場で嘔吐してしまう。酒を飲むようにけしかけていたLindsay達は、その様子をWebcamを通してMilesに見せていた。Mayaは、すべてが彼女を貶めるためにLindsay達が仕組んだ罠だったことを知る。彼女は屈辱と怒りを感じながら酔いでもつれる足で彼女たちのあざけり笑いを後にしてその場を逃げ出す。Mayaは、Lindsayとの友情を信じた自分の愚かさに泣き、このビデオをLindsayたちがほかの生徒達に見せて彼女を笑い物にすることを考え、絶望に打ちひしがれる。 Mayaは、冷たい雨にうたれながら、悄然と家路へと向かう。

11歳の時に行方しれずになった姉の行方を探すために私立探偵になったBrenna。以来、どんなかすかな手がかりでも姉に関する情報を得ると、その情報をもとに姉の行方を探し続けていた。今回も、姉の持ち物が玄関先に置かれていることに興奮し、また、姉の行方探しをはじめる。

しかし、ある夜、娘のMayaが行方不明となったことで事態は一変する。MayaはBrennaと父親のJim宛に、「今の自分は幸せではない。私は新しい友達を見つけた、その人と幸せな生活を送る。どうか探さないで」というメールを送ってくる。
Brennaは、メールは、誘拐犯が無理矢理書かせたと思いながらも、メールの内容にショックを受け、一抹の不安を覚える。
目撃者の情報から、Mayaは青い車に自ら乗り込んで行方をくらましていた。ちょうど、20数年前、姉のCleaが行方をくらましたときと同じように。Brennaは姉と同じようにMayaも永遠に行方不明となるのではという不安に苛まれながらも、娘の生還に全力をあげることを決意する。

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And She Was,Into The Darkに次ぐ私立探偵Brenna Spectorの3作目。

ちょっぴり大人になった気分を味わいたい13歳という微妙な年頃の子供の心情、そして親には隠し事などしないはずと想っていた子供が自分達に秘密を持っていることにショックを受ける親の心情がよく描かれている。

さらに、自分のMayaへの想いはBrennaに負けないと想いながらも、実の母であるBrennaとJimが結束して娘を取り戻そうとしているように感じ、疎外感や嫉妬心を持ちはじめるFaithの心情。MayaがネットでBrennnaの姉への執着を話し、自分より姉の方が大事なのでは?、という思いを話していることを発見して、もしかしたらMayaは自発的に家出したのでは不安に思ったり、Mayaはすでに殺されているのでは悲観的になったり、Brennaの希望から絶望への心の揺れの描き方がうまく、ぐんぐんと物語に引き込まれていく。

手がかりを探して犯人に迫ろうとするBrenna達、手がかりを消して行方をくらまそうとする犯人、双方の駆け引きがテンポよく進み、特に、誘拐物特有の時間の経過とともに緊迫感が増していく展開に、楽しく読めた。また、終わり方は衝撃的だが、読んだ後、ほのぼのとした気持ちになった。
前作の内容がちらほらと見えてしまうので、前作を読んでみようと考えているなら前作から読んだ方がいいと思う。

 ★★★★ Kindle版  384ページ