気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

NYPD RED4 by James Patterson

2016-09-22 19:06:59 | 読書感想


New Yorkの Ziegfeld劇場で 若手女優Elena Traversの最新作のプレミア上映が行われる。彼女は、上映会 に参加した帰途、2人組みの宝石強盗の待ち伏せに遭い、銃で撃たれ死亡する。強盗犯は彼女から著名な宝石デザイナーMax Bassettがデザインした800万ドルの価値があるネックレスを奪い逃走する。

New Yorkのセレブに関する事件を専門に扱うNYPDの特捜チームRED所属の刑事ZachKylieはこの事件を担当することになる。事件は、2人のチンピラが金目の物を奪おうとして女優を銃で脅したのに対し、宝石を黙って渡せば無事だったものを、女優の恋人の男が抵抗したため最悪の結果を招いたものと思われた。Zach達は、犯人と殺された女優との間に接点はないため、2人組みを捜すより、奪ったネックレスを彼らが闇で売りさばこうとするのを情報屋に見張らせ、そこから2人組みの犯人を突き止めようとする。彼らは、宝石商のMax Bassett、Leo Bassett兄弟に、犯人がネックレスを売りさばこうとする時に備えて、ネックレスの特徴や女優に身につけさせた経緯を聞きに行く。その事情聴取を通して、彼らは、経営方針をめぐって兄弟が対立していることを知る。

そんな時、Zach達は上司のCatesから直ちに市長のMuriel Sykesに会いに行くよう命令される。彼らを待っていたのは市長ではなく、夫のHowardだった。彼は、彼が理事を勤める病院を含めて、ここ2ヶ月の間に9つの病院から医療器具が盗まれる事件が起きていて、被害総額は2億円以上になっていると話して、事件の捜査を依頼する。Zachは、2つの事件を同時に捜査するのは強盗殺人事件の捜査を遅らせるとCatesに訴える。が、Catesは、市長とREDとの良好な関係を維持するため、また市長の二人に対する絶大な信頼に応えるべく窃盗事件の捜査も並行して進めるよう命令する。

そんな中、懇意にしている情報屋からRaymond DavisTeddy Ryderの二人組がネックレスを売ろうとしているという情報がもたらされ、2人はRaymondの住いを急襲する。しかし、彼らが彼の住いに踏み込んだ時、二人は銃で殺されているRaymondの死体を発見する。そして、監視カメラからの映像から撃たれた脇腹を抑えながら階段を下りていくTeddyの姿、そして彼を追いかけている襲撃者の姿を発見する。彼らは Teddyを指名手配するとともに、彼が母親のAnnieに助けを求めると考え、詐欺の常習犯として知られるAnnieの行方を突き止めようとする。

一方、KylieはBassett兄弟はこれまで4回、宝石強盗にあっていて保険会社から1900万ドルの保険金を受け取っていたことを突き止める。ZachとKylieは、今回の強盗は内通者がいるように考えられるとして兄弟の事件についての関与を疑い始める。二人は、上司のCatesに兄弟の財務状態などの精査の必要性を主張する。

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今回は、事件の追求とともにKylieの夫、麻薬常習者のSpenceが治療を拒否して行方不明になり、捜査の合間に、いや、捜査そっちのけで、Kylieが彼の行方を追うのが並行して描かれていく。kylieはどうしてドラッグ中毒の夫に見切りをつけないのかと苛立つが、彼女の両親が離婚した時に持った彼女の決意、一度心底愛した夫を簡単に見捨てない、もう一度、立ち直るチャンスを与えるという彼女の一途な想いはせつない。いい加減、この絆から解放させてあげたらと思って読んでいると、そんな我々の期待を予期しているような事態も起きるのだが・・

何はともあれ、印象に残ったのは、殺人の共犯者として警察に追われている息子の窮地を救おうとする詐欺師の母親Annie Ryder。詐欺で鍛えた知恵と度胸で、銃を持った男たちや警察を相手に渡り合う。読む側も、母親の行動の意味するところがわからない、いやぁ、お見事でした。

また、著者名が2人なのが納得するようなストーリー。医療器械の窃盗事件、と高級宝石強盗殺人事件、2つのストーリーが並行して進む。それにKylieの夫の問題が絡んでくるのだから、出て来るキャラがどの事件に関連しているのか混乱する。

ただ、ZachとKylieの2人、徐々に真相に近づいていく二人の捜査能力の敏腕さはもちろん、二人のやり取りの面白さで楽しく読めた。特に、Kylieに翻弄されるZachの悩める姿は微笑ましい。Kylieから電話があると、恋人のCherylをそっちのけにして彼女のもとに駆けつける。Cherylが怒って同棲をやめて出て行って、Zachがガックリしても、KylieはZachの事情など気にしない、当然の如く、何か必要があると思うと彼を呼びつける。

また、大岡裁きのようなものもあって面白かった。

E-book(Kindle版) ★★★★ 319ページ 2016年1月出版  550円(2016年購入)
NYPDシリーズ
NYPD  NYPD RED2 NYPD RED3



The Last Mile (Amos Decker #2) by David Baldacci

2016-09-11 10:30:24 | 読書感想


大学時代、将来を嘱望されたフットボールプレーヤーだったMelvin Marsは、両親を殺した罪で死刑を宣告される。それから20年間、彼は、テキサス州の州刑務所、処刑室から1マイル(last mile)しか離れてない死刑囚監房に収監されていた。彼は無実を主張して何度も裁判のやり直しを提訴したがことごとく棄却されてしまい、今は、彼も自分が処刑されることを覚悟していた。しかし、処刑当日数時間前、彼の両親の殺害を自白した男Charles Montgomeryが現れ、彼は処刑を延期すると告げられる。


元プロフットボールプレーヤーでプレー中、頭を強打する重傷を負ったAmos Deckerは、選手生命を絶たれた代わりに見聞きしたこと全てを記憶する能力を身につける。元警官だった彼はFBIのRoss Bogart捜査官がFBI内に創設した迷宮入事件(cold case)を捜査するチームに加わるためヴァージニアにあるFBI本部に向かう。その途中、彼はラジオのニュースでMars の死刑執行の延期を知る。彼は、大学時代、彼のいたチームと対戦し、彼のおかげで完敗したことを思い出す。彼は事件に興味を持ちネットで事件を検索し、一年半前に自分の妻子が殺された事件と彼の事件との類似性に気づく・・事件が迷宮入りになってから突然犯人が名乗り出るという類似性に。彼は、この事件を特捜チームの初仕事とするようメンバーに主張する。そして、他のメンバーが真犯人が名乗り出ている以上、捜査する意味がないと主張するのに対して、彼は、長い沈黙の後、突然、自分が真犯人だと名乗る男の自供には疑わしいものがあると話し、メンバーを説得する。

DeckerはMarsもCharlesも両親殺害の犯人ではなく、真犯人は他にいるという考えを持って捜査を進める。もしCharlesが犯人でないならば、警察と犯人しか知らない情報を彼に与えてMarsを釈放させようとしている人物は真犯人しか考えられない。今頃になってMarsを釈放させようとしている意図は何か?MarsとCharlesは知り合いだったのか?また、真犯人は、3週間後、他の殺人罪で死刑が執行される収監中のCharlesと何処で接触したのか?CharlesはMarsが処刑寸前という絶妙なタイミングで罪を告白した。どうやってMarsが処刑されることを知ったのか?彼はMarsやCharlesと会いその答えを得ようとする。

また、Deckerは、犯人はMarsの両親に怨みを持った人間の可能性が高いと考えて、彼らの過去について捜査を進めるが、彼は奇妙な点に気づく。彼らの過去はFBIの調査能力を駆使しても2人がここに来るまでに、何をしていたのか?何処から来たのか?突き止めることができなかった。また、彼らは極端に写真を撮られることを嫌い、家には彼らの写真が全く見当たらない。息子がプレーヤーとしてマスコミからも注目され、彼らも息子についてインタビューを申し込まれるが、ことごとく拒否していた・・まるで世間から身を隠しているように・・

両親と犯人との接点は発見できなかったが、DeckerはCharlesと犯人との接点の役割を果たした人物を突き止める。しかし、Deckerのミスにより、犯人像を聞き出す前に犯人に先手を取られて手がかりを失ってしまう。
そんな中、Deckerは犯人がMarsを出獄させた理由についてある仮説を立てる。そして、そんな彼の仮説を裏付けるような最悪の事態が発生する。

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犯人は、かって、Marsを罠にはめて死刑囚監房に彼を送り、20年後、突然、彼を死刑執行から救い、釈放させる。相反する行為を取った犯人の意図が謎として読む者を惹きつける。刑事時代に培われた洞察力の冴えと見聞きしたことすべてを記憶できる特殊能力で、Deckerがこの謎に挑んでいく。わかっている事実から事件についての仮説を立て、それが真実かどうか捜査する。彼の推理は、すごく論理的でこちらも物語に入っていきやすかった。彼の立てた仮説が捜査によって崩れると、また新しい仮説を立て捜査を進めていくというスピーディーで予想外な展開で一気に読めた。

ただ、チームによる捜査ということでは、Decker、ひとり活躍しているようで、チームの連携という点で物足りなかった。次作からもこのチームで行きそうなので、他のメンバーの活躍も期待したい。

E-book(Kindle版) ★★★★  418ページ  2016年4月出版 811円(2016年購入)

 


After She's gone by Lisa Jackson

2016-09-01 19:55:22 | 読書感想

1月、オレゴン州ポートランド
新進気鋭の女優Allie Kramerが主演する映画の撮影現場で、Allieの代役が実弾にすり替えられていることに気づかずに発射した小道具の銃で胸を撃たれて重傷を負う事件が起きる。そして、その日以降、撮影に立ち会わなかったAllieの消息も途絶える。映画関係者もマスコミも事件はAllieの命を狙った犯行だと考え、Allieは何者かに誘拐され、殺されたと思っていた

母親のような有名女優になろうと妹のAllieを誘ってオレゴン州からハリウッドにやってきた姉のCassieは、妹のAllieが女優としての才能を認められ、いきなり世間の脚光を浴びる中、女優の夢を諦め、脚本家として身を立てようとしていた。Cassieは、この事件から、有名女優であった母親のためにストーカーから命を狙われ死の恐怖を味わったことを思い出し、精神的に不安定な状態になり、自ら精神病院に入院する。

入院中、彼女は過去の悲惨な出来事の悪夢や幻覚に悩まされる。そんな中、悪夢にうなされて、午前3時に目覚めた彼女の病室に、見覚えのない看護婦の服装をした女性が現れて、Allieは無事、生きているというメッセージをCassieに伝える。彼女は、最初、看護婦が今時ありえない数十年前の制服を着ていたことなどから、看護婦は数年前に起きた出来事から受けた精神的障害による幻覚と考えるが、同じ病棟に住む少年の証言で実際に古い時代の制服を着た看護婦が、実際に彼女を訪ねてきたことを知る。彼女は妹は身の危険を感じて隠れていると信じ、彼女の行方を突き止めることを決意して精神病院を退院する。

退院したCassieは、メッセージを残して消えた看護婦の身元を調べ始める。そして、今回の映画の撮影に参加したスタッフと会い、Allieの行方について手がかりを得ようとするが、彼らの多くは彼女と会うことを拒む。警察と同様に、彼らは、Cassieが自分を差し置いて女優として成功したAllieに嫉妬していたと考えていて、Allieの失踪前夜、彼女とAllieが激しく口論していたという事実や彼女の夫がAllieと浮気していたことなどから、彼女がAllieを憎んでいると信じ、Allieの失踪に彼女が関与していると考えていた。

やがて、Cassieの調査に合わせるように撮影スタッフの女性が続けざまに殺される事件が起きる・・・それぞれの顔に彼女の母親と妹の写真のマスクを付けた状態で・・・。さらに彼女にとって最悪なことに、女性たちが殺された時刻に彼女は何処にいて何をしていたかの記憶がなかった。事件を捜査している刑事は、彼女を最有力容疑者として考え始める。

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サイコサスペンスのせいなのか、心理描写やヒロイン以外のキャラの描写が、そこまでは必要ないのではと思うほど、細かい。ただ、そのため もしかしたらこの人が犯人?と読むほうに思わせ、最後まで犯人がわからない展開、さらにうまいトリックがあったり、すごい仕掛けがあって面白く読めた。

普通、ヒロイ ンは優秀な探偵であることが多いのだが、このヒロイン、頑張って、妹の行方を探そうとするのだけど、幻覚を見たり、記憶の欠如する時間があるなど精神的に問題があり、なんか頼りない。探偵としては未熟でなかなか手がかりを得ることができないところが、ミステリーとしては新鮮だった?しかし、ヒロインのキャラクターがよくわからなかった。母親が女優だったために死の恐怖に陥ったにもかかわらず自ら女優を目指す?妹の行方不明を心配しながらも妹を題材にして映画の台本を書くつもりでいる。

E-book(Kindle版) ★★★☆ 2015年12月出版 394ページ 895円(2016年購入)