気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

King & Maxwell by David Baldacci

2013-12-15 10:10:10 | 読書感想


米陸軍軍人Sam Wingoは中東の荒野を起爆装置をつけた2トンの荷物をある地点まで運ぶように命令されていた。彼は不測の事態が起こった場合は自爆するように厳命されていた。20時間のドライブの後たどりついた地点に待ち受けていたのは、CIAのエージェントと称する男をリーダーとする銃を構えた数人の白人だった。男は彼に銃を向けながら計画が変更されたと言い、彼に車から出るように要求する。仲間だと言いながら銃を突きつけて積み荷を要求する男たちに疑惑を抱いた彼は、起爆装置を見せて積み荷もろとも自爆すると脅して、単身、その場を脱出する。彼は 最愛の息子を残してここで死ぬわけにはいかなかった。彼は何としてでもアメリカに戻ることを決心する。しかし、Samは積み荷を放棄したことで AWOL(absent without leave)無断離隊者として軍から行方を追及されることになってしまう。

Sean KingMichelle Maxwellは、事務所に車で戻る途中、10代の少年が雷雨の中、何かに怯えるように路肩を走っているのを目撃する。少年が銃を持っているのに気づいたSeanが止めるにもかかわらずMichelleは彼が気になって後を追う。
やっと捕まえた少年は彼女が元シークレットサービスの私立探偵と知ると自分の名前をTyler Wingoと名乗った。
Tylerを自宅に送っていった二人は,待ちかまえていた兵士と継母の話から彼の父親がアフガニスタンで戦死したという事実を聞いた後、彼が家を飛び出していったことを知る。
Michelleは、Tylerの継母や兵士たちに対する反抗的な態度に興味を示し、困ったことがあったら連絡するように彼に名刺を渡す。
また、Michelleは子供が家を飛び出して行ったにもかかわらず彼を探しに行かず家にいた継母と軍人たちに不信感を覚える。

翌日、MichelleはTylerから彼らを雇いたいという電話を受ける。二人と会ったTylerは父親に何があったか調べて欲しいと依頼する。

Seanは未成年に雇われるわけにはいかないことや外国での調査権限がないことを理由に断ろうとするが、何故かこの件に積極的なMichelleに負けて調査することに同意する。
彼との話し合いの中で、二人は戦死した兵士の遺体は棺に入れられて米本土に空輸されて遺族との面会を許されるのが一般だが、今回はその手順が行われないことに疑念を抱く。
またSeanは、国防省の知人にSam について問い合わせたが彼は、新聞にはSamの戦死公報が載っているにもかかわらず、Samの生死についあいまいな返答しかしなかったことに不信を覚える。
そして調査を開始したMichelleの前に軍警察の職員だと称する男が現れて、この調査を即刻止めるよう警告する。
そんな軍のSamに対する異様な対応の背後に何があるのか二人は興味をひかれる。そんな中、、二人はTylerから彼が父親からのE-mailを受け取っていたことを知らされる、彼が死んだと言われる後に! 二人はSamが生きている可能性が高いことを知る。

SeanはSamについての情報を得るために国防省高官と再婚した元妻のDanaと連絡を取り、彼女に夫からSamについての情報を聞き出してくれるように頼む。
しばらくして連絡してきたDanaから、Samはある荷物をある場所まで運ぶという極秘任務の遂行中、運んでいた荷物とともに消息不明で軍が行方を捜しているという情報を得る。彼は何を運んでいたのか?また 荷物がどこにあるのか?その話し合いの最中、3人は、銃を持った3人組に襲われる。
軍でない何者かに彼らが監視されていることを知ったSeanは、彼らを襲った者が、Samが息子と接触することを期待してTylerも監視し拉致する可能性を考え、二人で彼のプロテクターとなることを決心する。

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犯人は途中でわかるのだが、犯人の目的がなかなか明らかにならない。そして、明らかになった目的は他のミステリーでも見たことがない、独創的な発想でおもしろかった。
そして、窮地に陥った二人が脱出するところは読みごたえがある。

父親と息子の愛情、裏切り者として糾弾されている父親の無実を信じ続ける軍人の息子、ある政治スキャンダルでスケープゴートにされて自殺に追い込まれた両親のため復讐を誓う軍人の息子、立場こそ違え、子供の父親の対する絶対的な信頼がよく描かれている。

二人のコンビは快調、
自分が運転するときは、めいっぱいスピードを出すくせに、Seanが運転するともっとスピードを落として運転しろといって彼を呆れさせるMichelle。二人で車で出かけるときはSeanは断固、自分の車で行くことを主張する、Michelleの車はゴミ置き場となっているのを知っているので。しかし、彼女に言いくるめられて渋々彼女の車に乗る場面などユーモアたっぷり。
後先のことを考えずに危険な事態に突っ込んでいくMichelle,彼女の無鉄砲さに困惑しながらもカバーに回るSean、本当に良いコンビ。


現代の探偵業にはドラゴンタトーのSalnder、やNYPDのMalloryなど、コンピュータに精通した人間が必要なようで ここではEdgerという男が二人を助けている、次回からは彼らの事務所の一員となりそうだ。

このシリーズアメリカでTVドラマ化されたようだ。でも1シーズンで終わり。どんな感じのドラマだったのか?見たいような、見たくないような。自分の中でこしらえた二人のイメージとあまりに違うとがっかりするから。

★★★★ Kindle 1002円


Girl Who  Played with Fire by Stieg Larsson

2013-12-08 10:52:59 | 読書感想

一年間、気ままに海外を旅した後、Lisbeth Salanderは久しぶりにスウェーデンに戻ってきた。彼女は、Mikael Blomkvistのために大企業の不正取引の調査を行った際、天才的ハッカーと言われる能力を駆使して 不法な金をすべて自分の口座に移し、彼女は大金持ちになっていた。そして、その大金の一部を利用して、Salanderは旅にでる前に偽名を使い新たにマンションを購入していた。帰ってきた彼女は、今まで住んでいたマンションは親友のMimmiに無償で提供することにした。

 ある日、Mimmiと行ったバーでSalanderは若者と同席しているBlomkvistを見かける。彼が今何を記事にしようとしているのか気になったSalannderは彼のPCに侵入し、彼が売春目的の人身売買についてスクープを狙っていることを知る。そして、彼女はその資料の中に売春組織の黒幕としてZalaという名前が載っているのを見て愕然とする。

 BlomkvistはSalanderと組んでスウェーデン有数の大企業のスキャンダルをスクープし、その記事に関してテレビや雑誌のインタビューを受け、一躍、有名人になっていた。
BlomkvistはSalanderと親交を深めようとしていたが,彼女に拒否され、ここ一年、彼女と会っていなかった。
雑誌Millenniumの編集会議で編集長のErika BergerDag Svenssonという若者を紹介し、彼が追っている「売春目的の人身売買」のルポをミレニアムで本として出版する計画であることを話す。Svenssonはこの4年間、東欧から10代の少女がスウェーデンに移送され政府高官や実業家、警察官などの性奴隷となっている実態を恋人のMia Johanssonと協力して調査していた。
BlomkvistはSvenssonの熱意に好感を持ち、本の出版へのサポートを決意する。彼は、少女たちの相手をした男たちの実名を公表すること決定し、編集スタッフたちに事実の裏付け調査を行うように指示する。

 一方、Lisbethの後見人である弁護士のBjurmanは彼女に弱みを握られ、彼女の命令に服従していた。Bjurmanは、彼女をレイプする場面をビデオに撮られていて、それが公になった場合、彼の社会的地位が喪失することを恐れていた。彼はビデオを取り戻す手段を探ろうとSalanderの過去の経歴を調査する。

そこで、彼は彼女が12歳の時にAll The Evilと前後見人の弁護士が表現した出来事があり、それ以後、彼女が小児精神病院に収容されたことを知る。そして、その出来事と関連しそうな警察レポートがあることを知るが、そのレポートは国家機密事項として非公開になっていた。少女の何が国家機密になるのか、さらに調査を続けた彼はそのレポートを作成した警察官が知り合いであることを発見する。ようやく手に入れたレポートの中に、Bjurmanは彼と同じようにSalanderに敵意を抱く男がいることを知る。やがて、その男の代理人と会った彼は10万クローネでSalanderの処分を依頼する。

 売春組織に関する本の出版まで3週間と迫った晩、Blomkvistは執筆責任者のSvenssonから電話を受け、組織の首謀者とみられるZalaに関して新たな情報を得たので草稿を書き直したいという趣旨の電話を受ける。締め切り間近の書き直しにBlomkvistは躊躇するが、彼の熱意に負けて認める。

 それから数時間後、Blomkvistは二人が銃で撃たれて殺されているのを発見する。現場で発見された銃には所有者であるBjurmanの指紋の他にSalanderの指紋がついていた。また Bjurmanの自宅に出向いた刑事によって、彼が同じ銃で殺されているのが発見される。事件の捜査責任者のJan BublanskiはSalanderとBjurmanの関係、及び過去の経歴を調べた結果、彼女が暴力的傾向を持つ精神異常者であることを知り、殺人容疑者として彼女を指名手配する。

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数年前に紀ノ国屋のバーゲンセールでこの本を買ったのだが大部なので読むのを今まで躊躇していた。読み始めたら噂通り面白かった。
前作はBlomkvistが主役だったが,今回はSalanderが主役。今回の方が断然おもしろかった。彼女の自立性、どんな場合でも他人を頼らない、自分一人で乗り切ろうとする姿はかっこいい。150センチしかない彼女が巨漢の大男二人に立ち向かう場面は必読。

Salanderの過去が明らかにされていく。じつに凄まじく読んでるこちらがやるせなくなる半生。
相手の暴力に対しての反撃としての暴力、しかし、Salanderは自分に加えられた暴力を第三者に訴えることはなく、相手は反撃された暴力を第三者に訴える。Salanderだけの暴力が取り上げられ、彼女は暴力的傾向をもつ精神異常者と見なされる。Salanderは最初は自分の正当性を主張していた。やがて 誰も耳を傾けないことに絶望し 他人とのコミュニケーションを拒否するようになる。彼女は小児精神科医の診療にも請け答えを拒否し小児精神病院に送られる。退院してからは無能の精神科医の鑑定のためにふつうの社会行動、財産管理ができないとして準禁治産者として扱われる。そして 追い討ちをかけるように明かされる衝撃的な事実、それを乗り越えていく彼女の強さに感動した。

やられたら倍返しだ!2013年ドラマ「半沢直樹」この言葉はSalanderにもあてはまる。
Salanderは女性を虐待する男には当然、虐待されているのを我慢している女性にも嫌悪感を抱く。どうして反撃しないのかと。

Salanderがぺちゃんこだった胸の整形手術を受け、初めてブラを買いに行くところはほのぼのする。
それぞれの登場人物のキャラクターが良い、ちょっと書きすぎだなぁと思うものもあるけど。特に気に入ったのは、刑事Jan Bublanskiのキャラ、たとえ、上司の命令でも理屈に合わないと反抗し部下を守る、

Salanderに首根っこを押さえられたBjurmanが 反撃をたくらんで彼女の過去を徹底的に調べ、怪しげな奴と密会する。
Salanderが12歳のときに起きたAll The Evilとは何か?Blomkvistと売春組織との緊張関係、まるで導火線の火花のようにその事実が、対決が、いつ爆発するのか緊迫感が続いて面白かった。

ただ スウェーデンが舞台であるため人名、地名が分かりづらかった。

★★★★★  PB 649ぺーじ

 

 

 


 


Suspect by Robert Crais

2013-12-01 09:44:42 | 読書感想

 進軍する場所の安全と爆発物の有無の検知を任務とする軍用犬MaggieはハンドラーであるPeteと一心同体であることが喜びであった。

Peteを守ること、喜ぶことをすることが彼女の使命であり喜びであると感じていた。しかし、探索活動を行っている時、敵の待ち伏せに会いPeteは殺される。彼女は危険を察知したにもかかわらずPeteを守ることができず彼が殺されたことにショックを受け、銃声やハンマーなどの打撃音に怯えるようになる(PTSD)。

軍用犬として活動することができないようになったMaggieは、LAPDのK9の部署で警察犬としての訓練を受ける。ハンドラーは新しくこの部署に配置されたScottという警察官だった。

 9ヶ月前深夜、パトロール警官のScottは相棒のStephanieとパトカーで巡回中、高級乗用車がトラックに追突される場面に遭遇する。直ちにパトカーを降り、ドライバーの様子を見に行こうとした彼らはトラックからの乱射を受け、Stephanieは胸に被弾する。Scotは彼女を安全な場所に移そうと救援に向かうが足や肩を撃たれる、彼女を移動させることが負傷した自分にできないとわかったScottはパトカーを盾にする事を考え、彼女をその場に残しパトカーに戻ろうとする。だが 武装した男に気づかれ胸に銃弾を浴び意識を失う。

かろうじて一命を取り留めたScottは 9ヶ月たった今もその出来事が彼の精神的なトラウマ(PTSD)となっていた。特に、殺されたStephanieが最後に彼に向かって叫んだ言葉「私を見捨てないで!」が。Stephanieが見捨てられたと思いながら死んでいったことが悪夢となって彼を苦しめていた。パートナーが殺されるという同じ精神的苦痛を二度と避けるため、怪我が癒えて復職した彼はパートナーとして物言わぬ犬を選んだ。

 事件は何の手がかりも得られぬままに9ヶ月が過ぎていた。当時、Scottは殺人課の刑事たちから尋問を受けるが人数が5人であったこと以外、彼らはマスクをかぶりグローブをつけていたため何一つ有力な情報を与えることができなかった。
そんなある日、Bud Orsoという刑事から電話があり Scottの事件を担当していた刑事が退職したため、彼が事件を引き継いだことを話し、Scottとの面会をもとめる。
 Orsoは 事件当日、数ブロック離れた店が盗難にあったことを話し 彼に心当たりがないか尋ねる。Scottは、最近、犯人の一人のもみあげが灰色だったと思い出したことを話し、捜査資料を自分にも見せて欲しいと頼む。Orsoは彼がそれを見ることによって何かを思い出すことを期待して了承する。

 8週間のハンドラーの研修が終わり、Scottは自分と組む犬を割り当てられるが、彼はその犬を拒否し、PTSDの症状が見られるとして飼い主に戻すことになっているMaggieを自分の組む犬にしたいと頼む。K9の責任者のDominick Lelandは2週間の期限を条件に彼にそれを認める。Lelandは 研修の間、Scottを見ていて彼が犬との意志疎通が全くできていないことから 彼がこの仕事に向いていないのではないか(suspect)と判断していた。そして、ストレスを抱えたMaggieもまた警察犬には向いていないのではないか(suspect)と。そして、MaggieをScottにつけることによって、Scottが辞職することを期待していた。

ScottはMaggieの訓練の合間をぬって、Orsoが許可してくれた捜査資料を参考にしながらMaggieを相棒に Stephanieを殺した犯人たちを特定するために独自に捜査にのりだす。

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パートナーを失ったことのショックからなかなか立ち直れない犬と男が新しいパートナーを見つけて立ち直っていく過程が語られていく。Scottが悪夢に涙するとき、Maggieがその涙を嘗めて彼に癒しを与え、Maggieが通りの騒音にすくむとき、Scottが「俺が守ってあげる」と囁きながら背中をそっとさすって癒しを与える。傷ついたもの同士がお互いに助け合いながら立ち直ろうとしている姿は読んでいる側にも癒しを与える。

物語の構成にMaggieの視点から見た章があり、彼女(?)がScott をどうみているのか、状況をどう判断するかという様子が詳しくかかれており、また内容に説得力があり、犬が行動するときの心理(?)がわかって、興味深く読めた。
 あるインタビューで著者がコメントしているが,かっての名犬リンチンチンやラッシーなどの人間のような頭脳や振る舞いをする犬ではなく あくまでも主人に忠実な犬として描かれている。そのため、主人が重傷で一刻も早く病院はつれていく必要がある時、同僚の仲間が彼を運び出そうとするのを彼を守るべく噛みついて阻止しようとする。

警察犬の嗅覚による犯人の追跡というシーンは昔の映画には会ったが、徒歩で逃げてくれたら犯人に行き着くかもしれないが、車による逃亡という現代は無理がある、犯人逮捕にどう絡めるのかと思っていたら うまく考えていた。ただ、犬、警察犬の性質、訓練については多くのことを教えてくれるが、ミステリーとしては物足りない。

★★★ Kindle版 ¥1282円