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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Scarecrow by Michael Connely

2015-06-21 16:14:12 | 読書感想

 

金曜日の午後、LAの新聞記者Jack McEvoyは経営が悪化しているタイムズ社から解雇通知を受ける、新人のAngela Cookの後任教育をすることを条件に2週間の猶予を与えられて。

40代の彼は、もはや自分を採用してくれる新聞社はないと考え、新聞社を去るに当たって、残り2週間で新聞記者として永遠に自分の名前が残るような最高の記事を書く決心をする。

彼は、解雇通知を受けた直後に苦情の電話がかかってきたtrunk murder事件に関する記事に注目する。事件は、LA南部の黒人スラム街で黒人ギャング団の一人でドラッグ売人の16歳の少年Alonzo Winslowがドラッグを買いにきた白人のストリッパーDenise Babbitを残忍な方法で殺し、その死体を彼女の車のトランクに隠した事件だった。容疑者はドラッグの売人、被害者はドラッグ常習者ということでJackも編集長もさして事件に関心を示さず、彼は警察発表のままに記事を書き、社会面の片隅にその記事は載せられた。少年の母親と名乗った女性Wanda Sessumsは、息子は無罪だと主張し、記事の訂正を求めていた。さらに 彼女は16歳という年齢なのに犯罪の残忍な手口から、裁判が少年としてではなく、成人として裁かれる可能性に怒っていた。

Jackは 犯罪者の身内から無罪を主張する電話が来るのには慣れていた。たとえ、決定的な証拠があっても、彼らの家族は、新聞記事は嘘で彼は無罪だと苦情を言ってくる。Jackは、彼が書いた記事を読み直し、少年が犯行を自白したと警察が発表していることから有罪を確信する。

彼は少年が どうしてこのような残虐な犯罪を行ったのか、10歳のときから学校に行くのを止め、ドラッグ売人になり、ついには殺人を犯すようになった原因は何か、この事件をとおして貧困と犯罪の密接な関係について書くならば、自分の新聞記者として最後の仕事として相応しい記事が完成すると考えていた。

Jackは、Sessumsに少年が無罪ならばすぐに釈放させると言い、弁護士に電話をさせて、Winslowの供述調書を手に入れる。調書を熟読したJackは9時間に及ぶ尋問にもかかわらず、Winslowは窃盗については自白したが、殺人についてはかたくなに否定していることを知る。また、Winslowが殺人を犯したという証拠もないことがわかり、Jackは 彼の有罪について疑問を感じ始める。さらに彼は、Angelaがインターネットでtrunk murderを検索した結果から、2年前、今回と同じ手口で女性が殺されたが事件が、Las Vegasで起きていることを突き止める。事件は女性の死体が元夫の車のトランクの中で発見されたため、元夫が逮捕され有罪となっていたが 元夫は無罪を主張して控訴していた。

どちらも同一犯とすれば大スクープになると予感したJackは事件の当事者に会うためにLas Vegasに向かう。その途中、かって一緒にPoetという男による連続殺人事件を解決したFBI Rachel Walling捜査官に電話して、彼女に捜査に参加するよう要請する。

一方、インターネットで自分の犯した殺人に対する情報が検索されるのを監視している男がいた。ちょうど、畑の作物を食べにくる鳥たちを監視している案山子のように。男は Jack達が情報にアクセスするのを検知、直ちに対策を立て、Jackを罠にかけるべく待ち構える。

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一つの謎が解けると、次なる謎がとテンポよく物語が展開していき面白かった。

犯人の先の先を読んでいる犯行は鮮やか、なんでそのような行動を取るのか?読む進んでいくとその意味が分かってくる。警察の捜査手法をあらかじめ予測して組み立てられた犯人のミスリードの手法には感嘆。そんな犯人の意図を見破って、彼を追いつめていくRachelとJackの推理も見事。とくに、ついに犯人を特定するときのJackの推理は、あっ、そういうことかぁ! と感心した。

この本を読んでいると、インターネットの普及による新聞業界の苦境が伝わってくる。そしてデジタル化に対応できないアナログ人間のJackのデジタル人間(mojo)に対する反発も。ふとKindleで本を読んでいる僕は出版不況に一役買っているのだろうかと考えてしまった。

  ★★★★ Kindle版 559ページ(長さを感じさせないおもしろさ)


Memory Man by David Baldacci

2015-06-14 08:38:55 | 読書感想

深夜、張り込みから帰宅したBurlington 警察の刑事Amos Deckerは妻と娘が殺されているのを発見する。愛する人を失った悲しみから彼は自殺を図るが、駆けつけた警官によって止められる。
彼は 警官になる前、Burlington出身の唯一のプロフットボールプレイヤーとして、全市民から期待されていた。しかし、デビュー戦で頭を強打し、生死の境をさまよう。奇跡的に命を取り留めた彼は、選手生命を無くすが、代わりに観たものすべてを記憶する能力を身につける。
彼は警官になり、その能力を生かし、相棒のMary Lancasterとともに犯人逮捕に優秀な検挙実績をあげていた。
しかし、妻子が殺された後、その特殊能力の故に、惨たらしく殺されていた妻子の記憶が際限無く彼の頭に浮かび、働く気力を無くした彼は、警官の職も自宅も失う。そして、生活費を得る目的で、私立探偵となり、元同僚の警官たちの紹介してくれる仕事で、かろうじて今日の食事をありつけるホームレス一歩手前の生活をしていた。
そして、事件から16ヶ月経った今、元パートナーだったLancasterが彼を訪ねてきて、男が出頭して彼の妻子を殺したことを自供したと伝える。
男はSebastian Leopoldと名乗ったが、ホームレスで身元を証明するものは持っていなかった。Leopoldは事件の一ヶ月前、7ーElevenでDeckerが彼をバカにしたことに恨みをもって、彼の妻子を殺したと供述していた。しかし、完璧な記憶を持つ彼は、7ーElevenでLeopoldが言ったような出来事の記憶がなかった。
Deckerは、彼の母校でもあるMansfield高校で起こった銃の乱射事件で署内が騒然としている状態を利用して、弁護士を装ってLeopoldに会い、彼が真犯人であるか見極めようとする。Deckerは自らの記憶と照合しながら、Leopoldから犯行の内容を聞き出し、彼がマスコミに載っている事実以外、警察が内部留保している事実を供述しないことから、Leopoldは犯人ではないと確信する。
Leopoldの尋問の後、家に戻ったDeckerは待ちかまえていた元上司の警部Millerから、無断で権限もないのにLeopoldに会ったことに釘を刺される。
だが、元同僚だった刑事たちの子供たちが通うMansfield高校の銃乱射事件が気になって様子を見に行ったDeckerは、Millerからofficial consultantとして事件の捜査に加わるように要請される。
Deckerは事件の現場に佇む人々の悲しみを観て、さらに、犯人が誰にも目撃されずに現場から逃走できたことに興味を抱き、捜査に協力することに同意する。
事件現場と目撃者たちの証言記録をすべて彼の記憶に刻みつけ、その記憶を検証した彼は次々と犯人の痕跡を突き止めていくが、犯人へとたどり着く手がかりは得られずにいた。そんな中、彼は、この事件で使用された銃が彼の妻を殺した銃と同じものであることを知らされる。
Deckerは、妻子が殺された事件はcold caseとなってしまったが、この事件の犯人を逮捕することが妻子殺しの犯人を捕まえることになると知り、動機、手がかりを徹底的に追及していくことを決心する。
それは やがて今以上の絶望感に彼を直面させることになるのだが・・・

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捜査が行き詰まったら、現場に戻るという現場100回という言葉が刑事にあるが、このDeckerはまさに、その言葉通りの行動をとる。現場に佇んで、その風景を心に記憶させ、目撃者の証言などと照らし併せて、じっと手がかりを探る。
またこの物語の中には犯人の侵入、逃走経路についての謎解きがあるが、学校の校内の見取り図があると読む方は助かる。

メモリーの記憶という点、色とか数などがからんで、ちょとまどろこっしい。同じような設定のBrenna Spectorのほうがすんなり物語にとけ込んでいる。
ただ、完璧な記憶能力を持っているために、忘れたい妻子が殺されていた場面が目の前に浮かんできてしまう。完璧な記憶をもっているなんて羨ましいと思っていたが、そういう負の一面もあると書いてあるのは新鮮だった。

Deckerというキャラがしっくりこなかった。妻子を殺されて生きる気力を無くして自殺を図る。ふつう、こういう場合、犯人を突き止めることに執念を燃やすことを期待して読む、迫力不足。

犯人の執拗なまでのDeckerへの執着理由がなかなか明かされない。Deckerも必死に考えるのだが分からない。理由が分かったとき、ちょっと犯人にも同情してしまう。それを見透かしたような最後のどんでん返しにはビックリ。

 ★★★★ Kindle版 405ページ

 


Mr.Mercedes by Stephen King

2015-06-07 09:02:51 | 読書感想

WIINNWER OF THE 2015 EDGAR AWARD FOR BEST NOVEL

2009年4月、リーマンショックで不況にあえぐアメリカ中東部の都市。職を求めて市役所が開くのを徹夜で並んで待つ人々がいる。
その人々の中に、後に盗難車と分かる一台のMercedesベンツが意図的に何度も突っ込み、8人がひき殺され、多数のけが人が出る事件が発生する。Mercedes Killerと名付けられた犯人は車を残し,現場から逃走する。

この事件の捜査責任者だった刑事Bill Hodgesは犯人を逮捕することなく定年を迎える。
定年から6ヶ月、凶悪犯の逮捕ということが生き甲斐だった彼は、人生に目的を失い、テレビのワイドショーを観ながら酒を飲むという自堕落な生活を送りながら、自殺を考えていた。そんな彼のもとに、Mercedes Killerは自分だという男から手紙が届く。

男は、二度とこのような事件は起こさないと言いながら、車で人を殺したときの快感を滔々とまくしたて、多くの人が自分の起こした事件をテレビやネットで観て楽しんでいると語る。また、シリアルキラーの逮捕に失敗した刑事が自殺した映画の話をし、暗にHodgesに自殺を勧めているようにみえた。さらに男は、男と接触する手段としてネットのUnder Debbie's Blue Umbrellaというチャットルームを指定し、そのサイトに彼がメッセージを残すことを求めていた。

Hodgesは手紙の内容から、男は、彼が常に酒と銃を手元に置いて、時には銃口を口に入れているのを窓越しに目撃していると推測する。また、二度と事件は起こさないと言っているが、男は再び世間の脚光を浴びることを望んでいることが文面から窺われた。
彼は、この手紙を警察に届けたならば、刑事の一人から手紙の内容がマスコミに漏れ、この事件が再び世間の注目を浴びることが男の望みと考え、自分一人で事件の再捜査に取り組んでいく決心をする。彼は、酒もテレビも見るのを止め、手元に置いていた銃も金庫にしまう。そして手紙の内容から、男が真犯人だと断定し、文体、使われている単語などから犯人像を探ろうとする。さらに、ネットでMercedes Killerの事件の新聞記事を調べる。さらに、かってのパートナーで、今、この事件を担当している刑事Peteから、彼に悟られることなく、事件の最新情報を得ようとする。Hodgesは、刑事時代の自分に戻ったように、彼が行動していることに満足し、久しぶりに精神が高揚するのを感じる。

小学校が終わる2時ぐらいまではPCの修理屋として、2時からは子供相手のアイスクリーム屋として、車でHodgesの住む周辺を巡回しているMercedes KillerことBrady Hartsfieldは、Hodgesに手紙を書く。彼の退屈しきった顔を見て、彼がその手紙を警察には届けず、自分で動くと考えて。彼は手紙に次の犯行は無いと書いたが、次なる犯行に備えて、自宅の地下室に多量のプラスティック爆弾を保管していた。
しかし、その犯行の前に彼はやるべき仕事をもっていた、Hodgesを自殺させるという仕事を。彼は、Hodgesの退職記念パーティーが盛大に行われたという報道記事に激怒していた。市の歴史上、最悪の惨事を引き起こしたMercedes Killer事件の犯人の逮捕に失敗したにもかかわらず、Hodgesが、優秀な刑事だったとして、退職パーティを開いてもらったことが、彼には許せなかった。Hodgesは負け犬で、勝ったのは自分なのだから。彼はHodgesを自殺に追い込む手段を準備して、Hodgesがチャットルームにログインするのを待っていた。

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序盤は犯人BradyとHodgesとの心理ゲームのようだ。Mercedes Killerを捕まえるという目的ができ、再び、人生に生き甲斐を感じはじめるHodgesと、その生き甲斐を挫折させて自殺に導こうとするBrady。ネットへのメッセージを通して、相手の意図を判読し、自分の意図する方向に相手を引き込んでいこうとする。その駆け引きが面白い。

中盤からは、二人の駆け引きが伯仲して、読むのが止められなくなるほど緊迫した場面が続き、どきどきしながら最後まで読み切った。

キングは、SF作家、スリラー作家だと思っていた。彼のMWA受賞におやっと思ったが反省してます。
手紙の内容を分析して犯人像に迫ったりするのは、シャーロック・ホームズのミステリーを連想させたし、車のKeyの問題は密室殺人を解くようで、キングはミステリーもすごいんだと実感した。

ただ、身勝手なHodgesという男は、あまり好きになれないキャラクターだった。
僕のお気に入りのキャラはある女性。普通、女性は命の危険に迫られるとパニックに陥り為すすべもなく男の助けを待つが・・この女性がたくましく成長する姿は、読んでいて心地よかった。

 ★★★★ Kindle版 紙の本の長さ 449ページ


Dry Bones in the Valley by Tom Bouman

2015-05-31 13:14:42 | 読書感想

2015 WINNER of the Edgar Best First Novel

雪解けが進む3月のPennsylvania州北東部、Holebrook CountyのWild Thyme 郡区の警察官Henry Farrelは診療所の医師Lizから銃撃を受けた患者がいるとの報告を受け、診療所に向かう。
わき腹に散弾を受けて治療してもらっていたDanny Stiobhardの話によると老農場主Aub Duniganの土地の道の整理をAubの従兄弟Kevinに頼まれてやっていたところをAubに撃たれたと話す。
Kevinに同行を頼み、Aubを訪ねたHenryに、Aubは、侵入者に発砲したことを認める、さらに、昨日、自分の土地に若者の死体があるのを発見したと告げる。死体は至近距離から散弾銃で撃たれ殺されていた。雪の中に遺棄されていたため死亡時期を特定するのは困難だったが、死後1、2ヶ月経っているとみられた。若者は地元の人間ではなく、身元を特定することはできなかった。
Henryの要請でやってきた郡保安官のNicholas Dallyは若者が散弾銃で殺されていることから、今日、散弾銃でDannyを撃ったAubを容疑者として拘束する。
Henryは KevinからDannyに仕事を依頼していないと聞き、Dannyが何故Aubの土地に無断で入ったのか、彼から事情を聴くよう助手のGeorgeを差し向ける。
そして、夜、Geogeから連絡がないのを不審に思って、Dannyの家に向かったHenryは、彼に銃を突きつけられる。彼はHenryをGeorgeのパトカーが止まっている場所に連れていき森に消える。車の中には頭を銃で撃たれたGeorgeの死体があった。
DannyとGeorgeは、以前から女性をめぐってもめており、前夜も、バーで喧嘩しているのが目撃されていたため、DannyがGeorgeを殺したと思われた。
Henry達は、保安官の指揮で近辺の森などの捜索を行うがDannyの行方を突き止めることはできなかった。

DannyはAubの土地で何をしようとしていたのか?発見された死体について関係があるのか?Georgeを殺したのは彼なのか?身元不明の死体は誰か、何故、ここに遺棄されたのか?

小さな片田舎だった町が、シェールガスの発見により、人々が、利権の譲渡で大金を得ることができる状況に活気づいている中、ほとんど経験したことのない殺人事件に、Henryはわずか10人にも満たない捜査員に混じって、2つの殺人事件を丹念に捜査していく。

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townshipのofficerという聞き慣れない言葉にとまどった。役職がよく分からなかった。sheriffと同等の関係と説明してあったように思ったが、どうも捜査の主体は保安官で、彼は現場の保存、見張りなどの補助をしているように見える。日本だと駐在所のお巡りさん?

部下が殺されたにもかかわらず、部下を亡くした悼み、犯人に対する怒りなどが伝わってこず、たんたんと語る口調に物語にのめりこんでいけなかった。また、延々とつづく情景、心情描写は文学的で、ミステリーとしては、ちょと退屈、ストーリーのテンポが遅い。

読み終わった後も(読み飛ばした?)若者の死体、警官の死、2つの事件の関連性が見えてこなかった。犯人の動機も、いまいち分からなかった。

 ★★ Kindle版 288ぺーじ


The Stranger You Know by Jane Casey

2015-05-24 09:18:22 | 読書感想

MWA 2015 Mary Higgins Clark Winner

ロンドン警視庁、特捜部の刑事Maeve Kerriganは、パートナーを組んでいる警部 Josh Derwentの明快な推理で解決された殺人事件の報告書を作成しているとき、特捜部長のCharles Godleyから、Gentleman Killerと呼ばれている女性連続殺人犯の捜査チームに加わるように命令される。
ロンドン市内ではここ9ヶ月の間に、3人の若い女性が首を絞められて殺され、さらに、目をえぐられた状態で、自宅のマンションで発見されていた。しかし、犯人は被害者をレイプしておらず、また、強引に部屋に押し入った様子もなく、被害者が犯人を部屋に招いたように見えることからGentleman Killerと名付けられていた。

Kerriganはマスコミも注目する事件のチームに加わったことに興奮する。しかし、当然加わると思っていたDerwentがチームから外されたことに、彼の優秀な捜査能力を知っているだけに、彼女は疑問を感じる。さらに、GodleyはKerriganが彼と接触することを禁じる。

疑問を感じる彼女に、Godleyは、20年前、Angelaという15歳の少女が首を絞められ、目をえぐられて殺された事件があったことを話す。容疑者として逮捕されたのは、彼女の交際相手、当時17歳のDerwentだった。彼は、アリバイを証言する目撃者がいて釈放されたが、事件は未解決のままになっていた。
Godleyは、犯行の手口があまりにも似ていることや、捜査会議で、被害者が犯人を抵抗なく室内に入れていることから、犯人は警察官であるという意見が出ていて、Derwentが犯人である可能性を排除できないと主張して、彼女がDerwentに捜査情報を与えないよう命令する。

Derwentは、この20年間ずっとAngelaを殺した犯人を逮捕することに執念を燃やしていた。しかし、今まで何の手がかりも得られず、この一連の事件が初めてAngela と関係がありそうな事件で、彼はなんとしてもこの事件の捜査に関わりを持っていたかった。
Kerriganは、パートナーとして組んでいた経験から、Derwentが女性を殺すことはありえないと考え、密かに彼に捜査情報を与えることを約束する。そして彼女はAngelaを殺した犯人が今回の事件を起こしたのなら、何故、今また殺人行為を始めたのか?彼女は、その謎を解くべく、20年前の捜査資料を精査し、関係者への再聴取を試みる。

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20年前の事件と関連があるなら、容疑者は簡単に分かると思っていたら・・・これがなかなかスムーズにいかず、Derwentの容疑もなかなか晴れず、Kerriganも一瞬、彼が犯人と疑ってしまうほど、犯人がわからずに最後まで読ませてしまう。

とにかく Maeve Kerriganのキャラクターが魅力的。
He was born to be a killer. I liked to think I was born to catch him.(P242より引用)
同僚の刑事達からのセクハラもさらりとかわす。相棒のDerwentが犯人ではないと上司に反論し、彼らの接触禁止命令を破り彼と密かに会って、事件を検討したりする。しかし、それはパートナーをかばうというよりも、冷静に彼の人となりを観て,論理的に判断した結果。彼の協力が捜査に必要だと思えば、上司の命令を無視する。しかし、そのことで、事件から外されたときには、人知れず涙を流す。ある時はタフな女性、ある時は繊細な女性へと揺れ動く普通っぽい彼女のキャラが魅力的だった。

そして事件に関すると思われることはどんな些細なことでもきっちり調べる。10個中10個、無駄な調査になるとしても捜査資料にある証人や証拠は、他の刑事が無視しても満遍なくをあたっていく。ねばり強く気になることがあると、とことん調べる。

女は男に守ってもらうものだと考える偏屈で粗野、しかし、捜査能力は優秀なDerwentとのやりとりはコミカルで楽しい。捜査状況を教えるように要求するDerwentと彼と接触するなというGodley、相反する要求にあたふたしながら、その間をうまく泳ぎきろうとがんばる彼女の姿は好ましく応援したくなる。他の作品も読みたくなった。

 ★★★★ Kindle版 383ページ


Stay With Me by Alison Gaylin

2015-05-10 08:46:36 | 読書感想

Missing personの調査を専門とする私立探偵Brenna Spectorの13歳の娘、Mayaは上級生のLindsay達からsleepover(お泊まり会)に誘われる。そこで彼女はブランディーを飲むように勧められる。始め拒否していたMayaだが、彼女たちから、彼女が好意を持っているMilesという上級生が、彼女のことを大人ぽいと誉めていたと聞いて、つい飲んでしまう。しかし、初めてのアルコールの強さに耐えきれず、彼女はその場で嘔吐してしまう。酒を飲むようにけしかけていたLindsay達は、その様子をWebcamを通してMilesに見せていた。Mayaは、すべてが彼女を貶めるためにLindsay達が仕組んだ罠だったことを知る。彼女は屈辱と怒りを感じながら酔いでもつれる足で彼女たちのあざけり笑いを後にしてその場を逃げ出す。Mayaは、Lindsayとの友情を信じた自分の愚かさに泣き、このビデオをLindsayたちがほかの生徒達に見せて彼女を笑い物にすることを考え、絶望に打ちひしがれる。 Mayaは、冷たい雨にうたれながら、悄然と家路へと向かう。

11歳の時に行方しれずになった姉の行方を探すために私立探偵になったBrenna。以来、どんなかすかな手がかりでも姉に関する情報を得ると、その情報をもとに姉の行方を探し続けていた。今回も、姉の持ち物が玄関先に置かれていることに興奮し、また、姉の行方探しをはじめる。

しかし、ある夜、娘のMayaが行方不明となったことで事態は一変する。MayaはBrennaと父親のJim宛に、「今の自分は幸せではない。私は新しい友達を見つけた、その人と幸せな生活を送る。どうか探さないで」というメールを送ってくる。
Brennaは、メールは、誘拐犯が無理矢理書かせたと思いながらも、メールの内容にショックを受け、一抹の不安を覚える。
目撃者の情報から、Mayaは青い車に自ら乗り込んで行方をくらましていた。ちょうど、20数年前、姉のCleaが行方をくらましたときと同じように。Brennaは姉と同じようにMayaも永遠に行方不明となるのではという不安に苛まれながらも、娘の生還に全力をあげることを決意する。

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And She Was,Into The Darkに次ぐ私立探偵Brenna Spectorの3作目。

ちょっぴり大人になった気分を味わいたい13歳という微妙な年頃の子供の心情、そして親には隠し事などしないはずと想っていた子供が自分達に秘密を持っていることにショックを受ける親の心情がよく描かれている。

さらに、自分のMayaへの想いはBrennaに負けないと想いながらも、実の母であるBrennaとJimが結束して娘を取り戻そうとしているように感じ、疎外感や嫉妬心を持ちはじめるFaithの心情。MayaがネットでBrennnaの姉への執着を話し、自分より姉の方が大事なのでは?、という思いを話していることを発見して、もしかしたらMayaは自発的に家出したのでは不安に思ったり、Mayaはすでに殺されているのでは悲観的になったり、Brennaの希望から絶望への心の揺れの描き方がうまく、ぐんぐんと物語に引き込まれていく。

手がかりを探して犯人に迫ろうとするBrenna達、手がかりを消して行方をくらまそうとする犯人、双方の駆け引きがテンポよく進み、特に、誘拐物特有の時間の経過とともに緊迫感が増していく展開に、楽しく読めた。また、終わり方は衝撃的だが、読んだ後、ほのぼのとした気持ちになった。
前作の内容がちらほらと見えてしまうので、前作を読んでみようと考えているなら前作から読んだ方がいいと思う。

 ★★★★ Kindle版  384ページ

 


Cop Town by Karin Slaughter

2015-04-29 14:22:14 | 読書感想

2015 Edgar Nominees  Best  Novel

人種差別が撤廃されてまもない1970年代のアメリカ南部Atlanta市、黒人市長が誕生するが、白人の警察官たちが大多数を占める警察にはまだまだ人種差別の風潮があった。警察官には黒人もいるが彼らは白人から事情聴取することは認められず、黒人を逮捕することだけが彼らに許されていた。また少数だが、女性警官もいるが、女性を採用することによって与えられる政府の補助金が目当ての採用で、女性に警察官は勤まらないと考えている男たちは、彼女たちを戦力と考えておらず、セクハラの対象としてしか見ていなかった。しかし、白人警官達には、この町に住む人々に安心と安全を与えているという自負があった。その見返りとして、当然のように彼らは町での飲食に金を払わなかったが。

11月の月曜日の早朝、Atlanta Police Department(APD)所属、女性警察官のMaggieは、母親への電話で警察官で、兄のJimmyがパトロール中に襲われ、相棒のDon Wesleyが殺されたことを知る。ここ3ヶ月の間に、APDの白人警官が殺される事件が相次いでおき、Donが5人目の犠牲者になった。警官達は犯人をAtlanta Shooterと呼んでいた。Maggieは兄の怪我の状態を心配したが、警官である自分にこのような重大事件の連絡がこなかったことに苛立つ。また、Maggieは、他の事件では現場に向かった二人の警官が殺されているのに、今回はJimmyが殺されなかったことに疑問を感じる。自宅に戻ったJimmyと、朝食に立ち寄った叔父で捜査主任のTerryに、その疑問をぶつけるが、Terryは彼女が事件に関心を持つことに怒り、Jimmyは事件の状況について話すが、彼の証言の中に嘘があることを彼女は発見する。Jimmyは事件について何かを隠している。MaggieはTerryをはじめ同僚の刑事達が、女性である彼女が事件に関わることに反発することを考え、彼らに知られることなく、自分だけで独自にShooterの事件を捜査することを決意する。

捜査会議の後、市内巡回の任務に就いたMaggieは新人警官のKate Murphyとパートナーを組むように命じられる。
若く、長身、スタイル抜群の美貌のKateは、男の警官達から受けた卑猥な扱いにショックを受け、おどおどしていた。そんな彼女の様子を見て、Maggieは、今日一日で彼女は辞めると判断する。
Kateは2年前にベトナム戦争で夫を亡くしていた。悲しみに打ちひしがれて泣き暮らしていたKateを心配して、父親は社会に出て働くことを勧め、彼女に事務の仕事などを紹介するが、彼女に会う仕事は見つからず、すぐに解雇されていた。警察官は、たまたま、広告に出ていた婦人警察官募集の広告を見て応募した職業だったが、世の中に役立つ仕事ということで親も大賛成だった。お嬢様育ちのKateは、男達の粗野な言動、同僚女性の非友好的な態度に泣きそうになりながらも、この仕事を辞めて家族を失望させたくなかった。Kateは、Maggieの教えを受けながら、男社会の警察で生きていくことを決意する。
二人は同僚女性警官の支援を受けながら、男の刑事たちとは違った視点からShooterの捜査を進めていく。

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昔あったというパルプフィクションの感じ?ドロドロ、退廃した空気が行間から漂ってくる。
犯人と思われる男には自白させるために、読む方もためらうほど、暴力を行使、それも男性警官だけでなく女性の警官も・・そして、卑猥な言葉の連発。

予想外の展開、キャラクターに唖然。なんと、Kateのか弱いこと!
でも、男性社会の中でがんばる女性警官達はかっこいい!とくに、エピローグの二人はカッコいい!

男の警察官たちが犯人は黒人の男と確信し、市内で黒人たちを片っ端から尋問する事によって、力づくで犯人を突き止めようとするのに対し、Maggieたちは、冷静に事件を分析し、これまでにあった被害者の共通点を調べたり、事件の目撃者を捜しに現場周辺の聞き込みをしたり、論理的に犯人に迫っていく。そして男たちが証拠をでっち上げることを意に介さないのに反し、彼女たちはあくまでも法に則った手続きに従って犯人を検挙しようとする。
決して、二人とも強い意志を持っているというわけではないが、一人がくじけそうになると、もう一人が励まして停滞することなく、一歩一歩犯人に迫っていく。

 ★★★★  Kindle版 466ページ 975円

 

 


Rough Justice by Lisa Scottoline

2015-04-19 14:39:03 | 読書感想

円安で新刊が高くなって買いづらくなったので、安い本を物色。以前読んだ「Moment of Truth」が面白かったので同じシリーズの「Rough justice」(¥474円!)を読んでみることにした。

アメリカ、フィラデルフィア。深夜、信号待ちしていた富豪のElliot Steereはナイフを持ったホームレスの男に襲われるが所持していた銃で男を撃ち殺す。彼の弁護を引き受けた全米でナンバーワンと言われる刑事裁判専門の弁護士Marta Richterは彼の行為は正当防衛だったという主張を展開し、陪審員の評決を待つ。公判の経緯から判断して陪審員は、無罪の評決を下す可能性が高い。しかし、評決を待つ間、MartaはSteereから男を殺したのは正当防衛ではないと告白され、衝撃を受ける。

Steereから感謝の言葉を期待していたMartaは、無罪を勝ち取ろうとした被告Steereは,実は、冷酷な殺人者だったことを彼の告白によって知る。正当防衛で男を殺したと信じてSteereを弁護したMarta Richterは、一転、彼の有罪を証明しなければならないと決意する。

Marttaは評決が出る前に彼が有罪である証拠を探し出す必要がある。評決までの残された時間は24時間、彼女は助手として雇ったRosato& Associate事務所のassosikate弁護士JudyMaryを叱咤しながら大雪で都市機能が麻痺した町を有罪の証拠を求めて駆け回る。

しかし、裁判は結審していて、あとは評決待ち。そんな状態で、もう一度審理をやりなおせるのか?また、弁護人が被告の利益に反する行為をするのは職業倫理に反する。どうやって職業倫理に反することなく彼を有罪にすることができるのか?・・・興味を持って読んだが、ちょっと期待はずれ。似たようなプロットで、ある作家が書いているが、その方が落ちがうまいし、説得力があった。こちらは犯罪の動機も結末も物足りない。でも、出だしから緊迫した状態が続いて、けっこう最後まではらはらしながら読めた。

ただ、いろいろ詰め込みすぎだと思う。陪審員たちの会議は要らないと思う。その他、市長、判事などちょこちょこと登場人物が多すぎる。
ヒロインがピンチ!どうなると思うとところでそれらの人々の場面に転換。緊張感が維持できない。チョとしらける。

JudyとMaryのふたりのやりとりは楽しい、何かにつけて悲観的なMaryと楽観的なJudy。MaryがMartaのコロコロわる指示に苛立ち、Judyに鬱憤をぶちまけ、彼女がさらりと受け流してやることでMaryも平静を取り戻す。また二人の事件についての議論はテンポがよく、徐々に真相に迫っていく、時には漫才のような掛け合いになったりするが・・二人の友情、絆の深さが二人の会話から読みとれる。できればこの二人をメインにして物語を進めていって欲しかった。連携してない3組の探偵は多すぎる。

 ★★★ 480ページ Kindle版


W is for Wasted by Sue Grafton

2015-04-12 11:43:52 | 読書感想

80年代から続く、タイトルにアルファベットを付けるこのシリーズ、「A is for Alibi」から始まってWまで来た。2014年の SHAMUS AWARDSのTHE HAMMER AWARD (Best P.I. Series Character)にKinsey Millhoneが選ばれたということで久しぶりに読んでみることにした。
このシリーズを読むときは、どうしても同じように80年代から続くSara ParetskyVicシリーズと比較して見てしまう。
Vicのほうはシリーズが続く内に彼女も歳を取ってしまったが、Kinsyは事件を1988年に設定して、38歳と若いままにしている点が大きく違っていて、Vicが年を取っていくのを残念に思っていた僕には、いつまでも若いままでいるこちらの設定のほうがうれしい。

浜辺で死んでいたホームレスの男がKinseyの名前と電話番号を所持していたことから、彼の身元を調べた彼女は男が彼女の従兄弟で、彼女に60万ドルの遺産を与えるという遺言を残していたことを発見する。
男の死に不審な点があって、Kinseyが事件を調査して犯人を突き止めていくのかと思ったら、男の子供たちと彼との疎遠な関係やKinseyの家族の歴史など遺産相続の問題が延々と語られていく。
Kinseyが遠い親戚の男から突然大金を相続することになり、それが彼の子供たちの反発にあってどうなるのかが物語の主題?ミステリーとしては物足りないと思っていたら、物語が進むにつれ、思わぬ展開になり、ミステリーとして十分楽しめた。人によっては物語前半は退屈な展開かもしれないが、Kinseyの語りのうまさで、けっこうストーリーに引きつけられて読み続けていくことができる。
久しぶりに読んだがおもしろかった。最初の書き出し、格闘シーンとシリーズを読んでいる人にはおなじみのパターン。

★★★★ Kindle版 484ぺーじ


Backlash by Lynda La Plante

2015-04-05 10:17:58 | 読書感想

物語の出だしは興味を引かれる。パトロールの警官が不審尋問した車に女性の死体が見つかる。署で尋問された男Henry Oatesは、女性を殺したことを認め、さらに二人の女性を殺していると話す。一人は5年前、マスコミを賑わした少女行方不明事件Rebekka Jordan、もう一人は警察も事件を把握していない交換留学生Julia。彼は本当に二人を殺したのか?それとも捜査を混乱させるための嘘か?

ワクワクさせる物語の始まり方!

しかし、期待外れ!物語の展開が遅く、ストーリーがだらだらと長い。それなりに、物語に、捻りや山を作ろうとしているようだが、さして、盛り上がりもせずに、だらだらと終わりに向かっていく。終わり方も期待はずれ。

キャラも魅力的でない。Annaシリーズとうたっている割に、Annaの存在感、個性が伝わってこない。
Oatesが殺害したという二人の女性RebekkaとJuliaを、AnnaMike、二人の刑事がそれぞれ別個に捜査を進めていく。
ある章では、AnnaがRebekkaの事件を捜査する様子が述べられ、ある章ではMikeがJuliaの事件を捜査する様子が述べられて、さらにある章では、かってRebekkaの事件を捜査した彼らの上司Langtonが事件に介入する様子が述べられるという感じで、誰が主役か、どこに視点を置いて読んでいけばいいのか混乱してしまう。
ページ数もかなりあり、読むのはお勧めしません。

 ★ 484ページ Kindle版