気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

NYPD Red2 by James Patterson

2015-02-22 09:56:49 | 読書感想

秋のニューヨーク、市民の間ではHazmat Killerという連続殺人犯が話題になっていた。マスコミからHazmat Killerと名付けられた犯人は、これまでに3件の犯行を繰り返していた。いずれも、暴力や脅迫などで証人を沈黙させて裁判では無罪になった犯罪者を拉致監禁し、自分がやった犯罪を拷問を加えて白状させ処刑、その死体が発見された後、自白した様子を撮ったビデオをネットに公開していた。殺された被害者が皆Hazmat防護服を着用させられていたことから犯人はHazmat Killerと呼ばれていた。

そして、月曜日早朝、NYのセントラルパークの中にある遊具、回転木馬でその男の犯行と思われる女性の死体が発見される。
女性は他の被害者と同じように毒ガスなどを扱うときに着用する防護服Hazmatを着せられ、拷問された様子があることから、自分が殺人者であることを自白し、殺されたと思われた。

以前の3件と異なり、彼女はセレブの一族で、常習の犯罪者ではなかった。しかし、彼女は同性愛者で、愛情関係のもつれから愛人の女性を14階のマンションから突き落として殺した容疑がかけられていた。警察は殺人事件と見て捜査を行おうとしたが、政治的圧力がかかり、事故死で捜査を終了していた。
女性は大金持ちの一族の一人だったことからセレブに関する犯罪を捜査することを任務とするNYPDのエリートチームRED所属の
JordanKylieがこの事件と今までの3件の連続殺人事件を担当することになる。
二人は市長室に呼ばれ、市長は被害者が来週行われる市長選の対立候補Muriel Sykesの選挙参謀だったことを明かし、Sykesから市長の犯罪に対する取り締まりの怠慢を糾弾されており、何としても投票前、一週間以内に犯人を逮捕するよう命令する。
二人は目撃者探しの聞き込みを行うが、被害者が犯罪を自白していることや、法が裁けなかった犯罪者を処刑するHazmat Killerの犯行を是認する人も多く、それらの人々は捜査に非協力的だった。また市長選に伴う政治的圧力や妨害もあり、二人の捜査は困難を極めた。しかし、粘り強い聞き込み捜査の結果、犯人が複数であることや車を使っていることなどを二人は突き止める。Jordanは警察所属の精神科医Cherylに犯人像の分析を求める。

そして、彼女の導いた犯人像は衝撃的なものだった。

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メインプロットはどこかで見たような設定、そのメインプロットにサブプロットを織り交ぜて、テンポよく物語が進み、最後に思わぬ展開があり大満足。おもしろく読めた。

Jordanという刑事のキャラクターがとても良い。
ふつう、男の刑事が主役だとダーティーハリーのような型破りのキャラクターの刑事が相棒の刑事をあたふたさせる設定が多いが、この物語では規則などは破ってもかまわないと思っている相棒の刑事と緊急時はルール無視も黙認する上司の女性達に挟ま れて、きちんとルールを守って捜査を行うことを信条とする刑事が主人公。
同僚の精神科医Cherylに恋心を抱きながらも、離婚して間がない女性を口説くのは倫理に反すると考えて離婚したばかりの彼女と距離を置こうとする。しかし、MattというIT犯罪担当の男が彼女と親しく話しているのを見て、彼女をMattにとられると邪心して落ち込んだり、すごく人間くさいのが良い。

Kylieとのコンビは今回も好調。どちらかが主導権を取るというのではなく、お互いが意見を述べあって捜査の方針を決めてい く。Kylieがきれいで活発なだけでなく理知的なところが良い。次回作も期待。

 

 ★★★★ Kindle版 417ページ 946円


 NYPD Red  by James Patterson

2015-02-08 09:47:04 | 読書感想


月曜日、NYPDのエリートチームRedに所属する刑事 Zach Jordanは、朝4時に目覚めた。早く目覚めた原因は今週ハリウッドスターがNYにやってきて行うさまざまなイベントの警備に緊張していたからというより、今日から組むパートナーKylie MaxDonaldのためだった。長年の相棒だったJordanのパートナーは怪我で入院中で、その相棒が復帰するまでの間の臨時のパートナーとして任命されたのはKylieだった。10年前、警察学校の初日、JordanはKylieに会った。およそ警察官には似合わない美貌をもった彼女に同期の誰もが抱いたようにJordanは一目惚れをしてしまう。しかし、彼女にはすでに恋人がいて、やがてその男と結婚、彼のKylieと結婚するという夢は破れたが、10年たった今も、Jordanはまだ彼女に恋心を抱いていた。

Kylieは首席で警察学校を卒業するほど優秀だったが、最近も、自ら囮になって連続レイプ犯を逮捕し、新聞の一面を賑わすほど優秀な刑事として知られていた。
しかし、レイプ事件は彼女の担当でなかったにもかかわらず、上司の許可を得ることなく独断で勝手に事件に介入したことで警察幹部は彼女について快く思ってなかった。
Jordanは上司のCatesからパートナーとなる彼女が任務から逸脱した行動をとることがないよう監督することを命じられる。
Kylieは臨時で任命されたとはいえ、NYのセレブたちを犯罪から守ることが任務であるエリートチームRedに入ったことに興奮しており、二人の上司である警部に自分の能力を認めてもらい、一時的ではなくこのままRedに残ることを希望していた。

パートナーを組んだ初日、二人はハリウッドからやってきた映画関係者の不審死の捜査を命じられる。
NY市はハリウッドの映画産業を誘致しようと考えて、ハリウッドから映画関係者を招きハリウッド週間として、一週間にわたってイベントを行う計画を立てていた。第一日目の月曜日、朝食中に映画プロデューサーが死亡する事件が起きる。さらに数時間後、撮影スタジオで俳優が死亡する事件が起きる。Jordan達は二つの出来事は同一犯による殺人と考え捜査を進める。映画関係者が一日の内に二人も殺されたことを受けてRedの捜査主任のCatesは夕方5時に緊急の捜査会議を開き、今夜行われるNY市主催の歓迎パーティーの警備にJordanを責任者として任命、さらなる事件が起きないように各自警備に万全を期すように命令する。
しかし、Jordanが監視カメラで監視している目の前、イベントを中継しているテレビカメラの前でさらなる惨事が起きる。

男は映画制作にエキストラとして参加していた。自分の才能を過信している男は、映画会社などに送り続けている自作の脚本がすべて無視されたことに怒りを感じていた。彼は自ら書いた犯罪映画の脚本を、マスコミをカメラと見なし、自らを主役として演じていくことを決意する。自分の行った犯罪がテレビ、新聞で報じられ有名になることで、いつか映画会社が自分の行った犯罪を映画化してくれると確信して。男はエキストラで培った変装技術を利用して、脚本通りに自分の正体をさらすことなく次々と殺人を実行していく、脚本のクライマックスとなる大惨事に向かって。

Jordanたちは男の犯行が徐々に大胆、派手になっていることに気づき、男が多数の犠牲者を出す事件を計画している可能性に懸念を抱き、急ぎ犯人を捕まえる必要性を感じる。二人はこれ以上犠牲者が増えないように現場に残された手がかりから犯人に迫っていく。

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二人の女性が心に残る。映画館で毎日ポップコーンを売っている退屈な生活から抜け出してワクワクする刺激的な生活を得た女、あこがれていたREDに入ってはりきっている女性、どちらもその刺激、興奮が続くことを願って頑張る姿が好ましい。
ミステリーとしては犯人も最初からわかっているし、ひねりもなく捜査が進めばいずれ犯人に行き着く単純なストーリー。しかし、次から次へと事件が起きるスピード感ある展開で、一気にクライマックスまで読む者を引っ張っていく。楽しく読めた。
JordanとKylieのコンビは良い。Kylieは仕事熱心で寝る間を惜しんで捜査の手がかりを得ようとする。犯人逮捕に必要とあらばルールを破ることも厭わない。また自分の捜査能力に自信満々で市長に必ず犯人を捕まえると宣言したり、天真爛漫な態度がさわやか。いっぽう、Jordanは一歩後ろからKylieを見守っているようで、いざとなると前にでてKylieを守る。なかなか良い男。
さらに上司のCates,警察嘱託の精神科医のCherylと魅力的な女性達に囲まれて仕事するJordanがうらやましい。

 ★★★★ Kindle版 481ぺーじ ¥905円


Bullseye by David Baldacci ( short story)

2015-02-01 08:29:31 | 読書感想

77ぺーじの短編です。


国家の謀略を監視する私的組織Camel Clubのリーダーで墓地の管理人の仕事をしているStoneはいつものように土曜日の午後、閉店間際の銀行に支給された給料を預けに入って行く。そして、そんな彼を尾行していたかのように国家機関の暗殺組織に所属するWill Robieも同じく銀行に入る。
Stoneが行員と入金手続きをしている時、半分閉じたシャッターをくぐって数人の武装した男達が警備員を殺して侵入してくる。男達は行員とStoneたちを拘束して銀行に立てこもる。しかし、男達は、金を取ることなく大金が納められた金庫の扉を閉じるという銀行強盗としては不似合いな行動をとる。彼らの行動に違和感を覚えながらStoneはCamel Clubのメンバーに秘かに救出を依頼する。

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このところ他のシリーズに隠れて影が薄くなっていたCamel Clubシリーズ。
最近の作品でStoneが他の仲間から距離を置き始めたと感じ、このシリーズはもう続かないと思っていたので、短編ながらも、メンバーの活躍を久しぶりに読めて楽しかった。このシリーズの復活を期待したい。

また、国家機関の暗殺組織に所属するWill RobieがStoneの背後に登場、Stoneは諜報機関にとっては癌のような存在、ついにRobieにStone殺害指令が?などと、銀行強盗の目的と相まって短編ながら読む方をワクワクさせてくれた。

このRobieとStoneの関係、昔読んだ「ルパン対ホームズ」という小説のようにどちらもファンがいて、片方だけを引き立たせると片方から不満が起きる。どう料理するのかなぁと思ったら・・まぁ、不満ないかな。

 ★★★   77ページ  Kindle版  270円