TBI(テネシー州犯罪捜査局)の捜査官のMelina Shepardは売春する女性達のための救護施設を運営している友人の聖職者Sara Beckettからここ2週間で2人の売春婦が行方不明になっていると相談を受ける。Melinaは売春婦と彼女達のヒモとの間でトラブルがあってヒモが2人を何処かに監禁したと推理。自ら売春婦のふりをして仲間の女性達から2人の情報を得ようと聴き込みを行う。その時、彼女を売春婦と勘違いした男の車が寄ってきて、拒否する彼女を力づくで車に拉致しようとする。突然の暴力にパニックになりながらも、彼女は持っていたナイフを男の腿に刺して反撃、男は逃走する。彼女は手錠やドラッグ入りの注射器などを装備した車や拉致しようとした時の手際の良さから男が常習者であると上司に警告し、ナイフについた男の血のDNA 検査をFBIに求める。
事件から一週間後、FBI捜査官Jerrod RamseyがTBIにやって来る。彼女がFBIに照会したDNAはわかっているだけで10人の売春婦を拉致、拷問して殺しているKey Killerと呼ばれる男のDNAと合致することが分かる。Ramseyは7年にわたってこの男の捜査に従事していた。
彼女はRamseyと、男や男の車を見かけた売春婦がいないか聴き込みを行ったり、逃走した車などの捜索を行うが犯人への手がかりを得ることはできずにいた。そんな時、彼女は上司から車の追突事故があった現場に向かうよう指示される。街路樹と追突し大破した車は16日前にカリフォルニア州San Diego で盗まれた車で、車の運転手は指紋を拭き取ってその場を去り、後部座席に6歳の少女Elena Sanchezが置き去りにされていた。そして、車のトランクからはもう1人のシリアルキラーの存在を確信させる物が発見される。彼女は、Ramsey の協力を得て、2つの連続殺人事件の捜査を進めていく。感情的にならず冷静に捜査をするべきだと考えながらも、彼女は保護者から見捨てられて怯えるElenaに会った時、言いようの無い感情の昂ぶりを覚える。やがて、少女を置き去りにした運転手の正体を突き止めた時、彼女は辛い彼女自身の過去の出来事と向き合わざるを得ない事態に追い込まれて行く。
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物語冒頭、いきなり殺人犯が登場して手際良く女性を拉致する場面から始まったと思ったら、拉致しようとした女性は潜入捜査官だったという展開に、一気に物語に引き込まれた。
数年にわたって若い女性を殺しているシリアルキラーの捜査の物語かと女思って読んでいると突然、他の連続殺人犯の捜査になって、あれ最初の事件の捜査はしないかと戸惑ってしまうが、最後でうまくまとめられていて面白く読めた。
BBと呼ばれる老獪な詐欺師のキャラクターは強烈。会う人々を悉く自分のペースに巻き込んで自分の思い通りに事を運んでしまおうとする口のうまさはすごい、Melina も最初は胡散臭い目で見ているが徐々に彼女の話に引き込まれていき彼女のペースに乗せられそうでヒヤヒヤする。でも彼女の求めるものが何かと分かると物悲しい気分になった。
E-book(Kindle版)★★★ 327ページ 2020年7月出版 Kindle読み放題(686円)