気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Never Look Back by Mary Burton

2020-12-27 11:28:44 | 読書感想

TBI(テネシー州犯罪捜査局)の捜査官のMelina Shepardは売春する女性達のための救護施設を運営している友人の聖職者Sara Beckettからここ2週間で2人の売春婦が行方不明になっていると相談を受ける。Melinaは売春婦と彼女達のヒモとの間でトラブルがあってヒモが2人を何処かに監禁したと推理。自ら売春婦のふりをして仲間の女性達から2人の情報を得ようと聴き込みを行う。その時、彼女を売春婦と勘違いした男の車が寄ってきて、拒否する彼女を力づくで車に拉致しようとする。突然の暴力にパニックになりながらも、彼女は持っていたナイフを男の腿に刺して反撃、男は逃走する。彼女は手錠やドラッグ入りの注射器などを装備した車や拉致しようとした時の手際の良さから男が常習者であると上司に警告し、ナイフについた男の血のDNA 検査をFBIに求める。

事件から一週間後、FBI捜査官Jerrod RamseyがTBIにやって来る。彼女がFBIに照会したDNAはわかっているだけで10人の売春婦を拉致、拷問して殺しているKey Killerと呼ばれる男のDNAと合致することが分かる。Ramseyは7年にわたってこの男の捜査に従事していた。

彼女はRamseyと、男や男の車を見かけた売春婦がいないか聴き込みを行ったり、逃走した車などの捜索を行うが犯人への手がかりを得ることはできずにいた。そんな時、彼女は上司から車の追突事故があった現場に向かうよう指示される。街路樹と追突し大破した車は16日前にカリフォルニア州San Diego で盗まれた車で、車の運転手は指紋を拭き取ってその場を去り、後部座席に6歳の少女Elena Sanchezが置き去りにされていた。そして、車のトランクからはもう1人のシリアルキラーの存在を確信させる物が発見される。彼女は、Ramsey の協力を得て、2つの連続殺人事件の捜査を進めていく。感情的にならず冷静に捜査をするべきだと考えながらも、彼女は保護者から見捨てられて怯えるElenaに会った時、言いようの無い感情の昂ぶりを覚える。やがて、少女を置き去りにした運転手の正体を突き止めた時、彼女は辛い彼女自身の過去の出来事と向き合わざるを得ない事態に追い込まれて行く。

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物語冒頭、いきなり殺人犯が登場して手際良く女性を拉致する場面から始まったと思ったら、拉致しようとした女性は潜入捜査官だったという展開に、一気に物語に引き込まれた。

数年にわたって若い女性を殺しているシリアルキラーの捜査の物語かと女思って読んでいると突然、他の連続殺人犯の捜査になって、あれ最初の事件の捜査はしないかと戸惑ってしまうが、最後でうまくまとめられていて面白く読めた。

BBと呼ばれる老獪な詐欺師のキャラクターは強烈。会う人々を悉く自分のペースに巻き込んで自分の思い通りに事を運んでしまおうとする口のうまさはすごい、Melina も最初は胡散臭い目で見ているが徐々に彼女の話に引き込まれていき彼女のペースに乗せられそうでヒヤヒヤする。でも彼女の求めるものが何かと分かると物悲しい気分になった。

E-book(Kindle版)★★★ 327ページ 2020年7月出版 Kindle読み放題(686円)

 


Dead End Girl by L.T.Vargus,Tim McBain

2020-12-06 12:28:54 | 読書感想

殺人、レイプ、人身売買などが多発する社会、Violet Darger はそのような犯罪から市民を守る一員になろうと思いFBI捜査官になる。しかし、捜査官になって殺人や誘拐事件などの捜査を担当すると考えていた彼女は、2年経つても、事件を担当することなく本部で他の捜査官が担当した事件の事務処理を行う日々に不満を感じていた。

そんなある日、ボーイフレンドで今は上司でもあるCal RyskampからOhio州のAthens郡で起こった猟奇連続殺人事件の捜査に向かうよう命令される。1年に一件殺人があるかないかというAthens郡で女性が3人続けざまに殺される事件が起きる。マスコミからTrash Bag Murders とかDoll Parts Murdersとか名付けられた犯人は、女性を拉致殺害した後、死体を切断してゴミ袋に入れて住宅街などの空き地に放置するという残虐な犯行を繰り返していた。凶悪な事件の捜査の経験がない地元の保安官事務所はFBIに捜査の協力を求める。

FBIは要請に応じてベテラン捜査官Victor Loshakを派遣するが、彼は他の捜査官と組むことを嫌い、1人で捜査することを好み、本部に捜査状況を報告してこないという評判を持っていた。今回も評判通り、本部に報告しないばかりでなく地元警察との連絡も絶っていた。事件の残虐さに地元住民とマスコミが騒然とする中、捜査状況が分からず困惑していたRyskampは、彼の捜査の補佐としてDargerを派遣することを決断する。

Dargerは、捜査状況の報告係という役割に不満を感じながらも初めての現場、連続殺人事件の捜査に向かうことに興奮する。現場に着いた彼女は、Loshakは体調が悪くほとんど寝込んでいる状況であることを発見し、ひとりで地元警察との捜査会議に参加し事件の捜査を行なっていく。

そして、Darger は捜査資料から犯人に拉致されたが監禁場所から逃げたという少女Sierra Petersという目撃者の存在を知る。犯人は現場に何の遺留品を残しておらず、彼女の目撃証言は重要だと思われた。しかし、捜査にあたる刑事達は少女がドラッグ常習者で常に警察とトラブルを起こしている非行少女であり、事情聴取のたびに供述内容を変えることから彼女が連続殺人犯に襲われたという証言を信用していなかった。Sierraと会ったDargerは、捜査官になる前にVictim SpecialistとしてFBIの被害者支援課にいた経験を生かして、警察官から嘘吐きと思われていることに苛立っているSierraをリラックスさせた状態にして、当時の状況を聞き出そうとする。そしてマスコミに公表していない事実を彼女が述べたことでSierraが連続殺人犯の手から逃れた唯一の女性であると確信する。しかし、更なる情報を得ようと意気込む彼女の前からSierra は突然行方をくらましてしまう、彼女の車と金を盗んで…

男はマスコミのニュースや警察官が集まる酒場で彼についての捜査の進展具合をチェックしていた。そして報道されるニュースの中に映る女性FBI捜査官に目を止める。男は、彼女が滞在するモーテルを突き止め監視し始める。彼を罠に嵌めて逮捕しようとしている警察の裏をかいて、彼女をターゲットの1人にしようと決意して…

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犯人の異常な行為についてなどストーリーの描写が細かすぎ、途中で読むのをやめたくなる。でも、最後まで読ませたのはヒロイン、Violet Dargerの魅力。初めての現場、初めての連続殺人犯の捜査ということで、共同捜査する地元警察との付き合い方が分からず刑事達から総スカンをくったり、被害者の遺族とのやり取りで重大なミスを犯し、自分は捜査官に向かないのではと落ち込む。そこから、なんとか立ち直って独自の視点から犯人に迫っていく過程は面白く読めた。

また、刑事達からは嘘つき呼ばわりされ、母親からは見捨てられ頼るべき人が誰もいないdead end girlと呼ばれる彼女の絶叫が心を打つ。This isn’t fair. I was doing good.I tried really hard.And then all this stuff happened. I give up.

E-book(Kindle版)★★★ 505ページ 2017年4月出版 Kindle読み放題