CIAの特殊工作員Will Robie はCIA が綿密に計画した暗殺計画に従い、標的の男が窓際に置かれた電話を取った瞬間を、通りを隔てた向かいのビルから狙撃する。Robie の放った銃弾は男の頭を貫通し、男に駆け寄ろうとしていた少女も射殺してしまう。Robie には少女は死角になっていて彼女の存在に気付くことができなかった。Robie は不可抗力だったとはいえ少女を巻き添えにして殺したことを深く悔やむ。そして、Robie は次の任務の時、標的に駆け寄る子供の幻影を見てしまい、標的の暗殺に失敗する。仕事を続けることに自信をなくしたRobie に上司のBlue man は休暇を与える。Blue man はRobie の幻影が少女ではなく少年と父親だったことから、彼のトラウマの原因は20年以上会っていない父親と彼との関係にあると考え、彼に故郷に帰って父親と話し合うようアドバイスする。彼の父親Dan Robieは、最近、殺人罪で逮捕されていた。
22年前、男はタフでなければならないと主張して、何かにつけて彼に暴力を振るう父親に反発して、Robieは高校卒業と同時に、父親に無断で家を飛び出していた。以来、彼は父親とも故郷とも縁を絶っていた。父親の苦境を救おうと故郷に帰ったRobie だが、貧しい弁護士だった父親が判事になり、彼と同年代と思われる美しい女性と再婚して失語症の子供をもうけていることに戸惑う。そして、父親は無断で家を出た彼を許さず、彼と会うことも援助の提供も拒否する。
父親の頑なな態度をある程度予想していたRobieは、彼の意向を無視して、事件を調べ始める。父親が殺したというSherm Clancyという男は以前は貧しい農夫だったが、彼の土地から石油が発見されて大金持ちになっていた。殺される数か月前、Sherm ClancyはJanetという少女を殺害したとして裁判にかけられていたが、事件当夜のアリバイが証明され無罪の評決がなされていた。裁判で、彼のアリバイを証明したのは事件担当判事Danの妻Victoriaだった。彼女は、事件当日、Shermと一晩中、一緒にいたと証言したため、町の誰もが彼女が彼と寝たと考え、Danも二人が不倫したと考え、人々の前で、彼を殺すと脅していた。そのような状況の中、 Shermが車の中で殺される事態が起きる。殺害の手口が彼の父親がかって所属していた海軍の暗殺手法を使っていることや、殺害現場近くで彼が運転する車が目撃されていたことなどから、町の誰もがDanがShermを殺したと確信していた。そのような最悪な状況に遭遇しているにもかかわらず、ようやく面会したRobieに父親は殺害当日のアリバイについて述べることを拒否する。
Robieは 父親の態度に不審を感じながらも彼の無実を信じ、同僚のJessica Reelの協力を得ながら、Janetの殺害とShermの殺害にはつながりがあると考え二人の身辺を調べ始める。また、彼がかって見捨てた故郷や父親とうまく折り合えることができるかどうかが、彼の現場復帰の必須条件であると感じて、父親の窮地を救うために、彼は全力をあげる決心をする。そんな、彼の前にFBIが、そして銃を持った暴力集団が立ち塞がる。
************************************************************************
父親と会うことが彼の問題をどうして解決できるのか?よくわからなかった。
故郷も父親も彼の人生の一部ではなかった彼にとって、父親に駆け寄る少女を殺してしまうまで殺す男の背後にいる家族のことは念頭になかった?少女を巻き添えにしたことで、彼も自分と父親の絆を意識したのか?
ストーリーが二転三転するが、Robie の生い立ち、親子の葛藤がテーマのためか、最後は迫力不足。特殊工作員であるRobie,Reel にとって相手がちょっと物足りない。
ただ、ストーリーはテンポよく進み、Robieは一時も休まず、気になることがあると深夜でも家から抜け出して捜査に向かう。Jessica Reelの登場の仕方もかっこよく作ってある。また、アメリカ南部の閉鎖的な町の様子がよく描かれている。夢も希望もない町を何とか出ようとするが出られない若者たちの苦悩、多くの雇用を生んでくれる悪徳企業にたいしては、町の雇用を確保するために多少の悪には目をつぶる警察など。
E-book(Kindle版) ★★★★ 2015年出版 417ページ 812円(2016年購入)