FBI、SAFE(Sexual Assault Felony Enforcement)のチーフLucy Guardinoはピッツバーグに転勤して3ヶ月、自ら囮捜査官となって、一目では人形と気づかない4歳の少女の縫いぐるみと共に取引現場に向かい、現れた小児性愛者を逮捕するという仕事に全力をあげてきた。彼女はSAFEのチーフという重責にありながらも、精神科医の夫と12歳の娘の妻として母親としての役割もきちんとこなし、仕事も家庭も何のトラブルもなく両立させていた、この土曜日までは。
その日朝、Lucyは仕事では、おとり捜査の現場で犯人の一人と蛇が充満したプールに落ち込むというトラブルにあう。そして家庭では、最愛の娘Meganに原因不明の発熱と扁桃腺が腫れるという症状があり、診てもらった医師から精密検査の結果を待たないと病名を判断できないと告げられる。Lucyは娘の重病の可能性を危惧する。
そんな中、14歳の少女Ashleyが行方不明になるという事件が起きる。FBIの介入に不満そうな地元の警察官たちに、彼女は子供たちに対する犯罪はすべてSAFEが捜査権限をもつことを説明し、自ら陣頭指揮することを宣言する。
Ashleyは 失踪当日、ベビーシッターのアルバイトがあると母親に嘘を言っていることや、自分のPCのデータを消去していることから彼女は誘拐されたのではなく家出したと地元警察官たちは考えていた。しかし、Lucyの直観はAshleyは拉致監禁されていると告げていた。
そしてその日の午後、Ashleyと思われる若い女性の死体が発見されたという報告が地元の警察から入る。死体は顔と手が焼けただれて身元の判明が難しいと思われたが、殺害現場にはAshleyの身分証明書があったことから、死体はAshleyであると思われた。しかし、死体を観察したLucyはピアスの特徴から死体はAshleyでないことを見抜く。Ashleyは自ら家出したばかりでなく 自分の身代わりとして若い女性を殺したのではという疑いが捜査官の間にわき起こってくる。捜査官の多くが被害者ではなく殺人者としてAshleyを見始める中、Lucyだけは彼女が拉致監禁されていると信じ一刻も早く彼女を救出することに全力をあげることを誓う。
そんな時、夫のNickから娘の容体が悪化して緊急入院したとの電話が入る。
母親として娘の側にいるべきか、SAFEのリーダーとしてAshley救出の捜査を続行すべきか、Lucyは苦渋の選択を迫られる。
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ヒロインのLucyは待つことが苦手としばしば語られているが、読む方も物語に進展がないといらいらするが、この作品は物語がどんどん進んでいき、いらいらすることなくおもしろく読めた。次の作品も読むつもり。
誘拐犯のAshleyに対する扱いの異常性は読むのを躊躇うほど残酷、しかし、心理誘導の仕方としてはとてもうまくかけていると思う。
ヒロインのLucey、家族についてはかなり心配性で、こんな性格で小児性愛者達に立ち向かえるのかと思っていると、彼らと向き合うときはすごくタフ。蛇のいるプールに落ちても、拳銃を頭に突きつけられても冷静に対応して相手を逮捕する、男相手に格闘しても負けない、なかなかかっこいい!また、犯罪者を逮捕しても協力してくれた地元警察に手柄を譲るなど控えめな性格も好感が持てる。
ただ、この作者、やたら省略英語を使うのでちょっと読みづらかった。
PBP=the Pittsburgh Bureau of Police BOLO= Be On the Look Out ERT = Evidence Recovery Team
ADHD= attention deficit hyperactivity disorder
Kindle 版 384ページ 406円 ★★★★