気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Lost Girls by Angela Marsons

2016-04-26 19:44:50 | 読書感想

2014年2月、仲良しだった二人の少女Emily BillinghamSuzie Cottonが誘拐される。そして、数日後、Emily だけがSuzie と一緒に閉じ込められていた場所から連れ出され釈放される。

2015年3月 イギリス、バーミンガム市の北に位置するBlack Country にあるWest Midlands police のDI、Kim Stone は上司のDCI Woodward (Woody)から至急、暑に出頭するよう命令される。暑に着いた彼女は、Woody のほかに彼の上司の警視Baldwin が彼女を待っていたことに気づき緊張する。

Woodyは 彼女に、今朝、二人の少女が拉致される事件が起き、誘拐犯から母親たちに誘拐したというメッセージが送られてきたと話す。
彼女は、1年前の未解決の少女誘拐事件を思い出す。同じように二人の少女が誘拐され、一人が釈放され、一人は現在も生死不明だった。Woodyは、少女の母親の一人Karenが、自分はKim の知り合いだと言い、Kim に事件を担当して欲しいと話していると告げ、彼女に事情聴取のためにKarenの自宅に向かうよう命令する。Kim は誘拐事件は未経験なので、Karen から事情を聴いたら誘拐事件専門の刑事に事件を引き継ごうと考えていたが、Karen はKim だけが娘を取り戻してくれると言い、Kim に事件を担当して欲しいと懇願する。Kim も二人の母親の悲嘆、絶望にくれている様子を見て、彼女たちの苦境を救いたいという思いに刈られ、自らこの事件を担当することを決意、上司に直訴し、Woody も彼女が捜査指揮をとることを認める。

彼女は、今回の誘拐事件と13か月前に起きた事件との類似性に注目し同一犯の可能性を考慮して、当時の捜査資料を取り寄せ、誘拐犯がどのように行動したかを分析するよう部下に指示する。また、誘拐犯はKaren が少女たちを迎えに行くのを妨害するために彼女の車に細工していたことから、たまたま彼女の娘を誘拐したのではなく彼女の行動を綿密に調べ、十分に計画して意図的に彼女の娘を誘拐したことを知る。彼女は、少女たちの安否を心配する両親たちに、犯人は誘拐したとメッセージを送ってきたことから、必ず犯人から誘拐の目的が何であるかを伝えるメッセージが送られてくると話す。そして捜査は非公開で行うことを家族に告げ協力を求める。

当初、二つの家族はこの事態を団結して乗りきろうとする。しかし、犯人から身代金の競売という残忍、狡猾なメッセージがそれぞれの夫婦に届いた時、団結の絆はもろくも崩れ、お互いがよそよそしい態度をとるようになる。
Kim はこのメッセージに家族が答えないよう要請するとともに、この誘拐事件が、ほぼ1年前に起きた誘拐事件の犯人と同一人物であると確信する。部下の刑事たちがどちらかの娘が帰ってこない可能性を危惧する中、Kim は少女二人を無事、両親のもとに帰すこと以外考えるなと部下を鼓舞し、誘拐犯との戦いを宣言するように、あるメッセージを犯人宛てに送る。

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二人の少女を誘拐し両親に身代金を要求、両親に身代金額を提示させ,高い身代金を提示した両親の子供を釈放、一方の子供は殺すという残虐だけどユニークな設定は面白かった。ただ、誘拐された少女たちに対する誘拐犯の扱いは読むのがつらい。しかし、両親の結束が徐々に崩れていく中、少女たちが最後までお互いを労り、励まし合う姿は心に沁みる。

日本製のバイク「忍者」を移動手段に使うKim のプロファイル、私生活、生い立ちはよくわからなかった。母親は刑務所?親友はいない?子供時代は養護施設で過ごす?そのせいか(?)捜査にはかなりクールで家族の悲しみに冷淡?Crying would not get their children back (p72)。自分は誘拐犯の逮捕に全力を尽くし、家族の癒しはFamily Liaison Officerに任せれば良いと割り切っている。

E-book(Kindle版) ★★★ 439ページ 2005年11月 400円(2016年購入)


Indelible by Karin Slaughter

2016-04-13 19:00:19 | 読書感想

Saraは警察署長で恋人でもあるJeffrey に一緒に住もうと提案しようと警察署を訪ねるがJeffrey はそんな彼女に素っ気ない態度をとる。そんな彼の反応にSara が苛立っている時、Jeffrey に会いたいという二人の若者が受付にいるという連絡が来る。、彼らに会いに行こうとするJeffreyの後を追って受付に向かった彼女は、Jeffreyを 待っている若者の異様さに気付く。真夏なのに襟元までジッパーをあげたコートを身につけ、落ち着きなく周囲に視線を走らせている。そして玄関から警察官が入ってきたとき、男はコートの下に隠していた銃で入ってきた警官を射殺する。それを合図にして男たちの乱射が始まり暑内は叫び声と悲鳴の混乱に陥る。そして乱射の最中、暑内にいた6人の警官が殺され、Jeffrey も銃弾を受け、意識不明になる。Sara は彼の手当てをしようとするが、一刻も早く病院に運ばなければ彼の命が持たないことを知り焦燥にかられる

その頃、Lena は再び刑事に復職できることに不安を感じながらも、自分の天職は刑事なんだという信念を持って、復職第一日目を迎えようとしていた。またこれを機に、彼女は、同棲していた男と別れようと考えていたが、予定日を過ぎても生理が来ず、彼女は、妊娠を疑って別れることに躊躇していた。そんな心の揺れと闘いながら登庁の準備をしているとき、元パートナーだったFrank から警察署が襲撃されたという緊急の報せが来る。現場についたLena はJeffrey に面会を求めた二人組の若者が暑内にいた警官を殺し、人質をとって籠城していることを知る。Frank の話によると人質には社会見学の小学生、数人の警官、重傷を負って生死不明のJeffrey 、そしてSara が含まれていた。

Lena とFrank はすでに6人の警官を殺している二人組が更なる殺人を犯すことを危惧し、一刻も早く人質を救出する必要に迫られる。そして、体調不良のFrank に代わって、暑内の配置を熟知しているLena は対策本部責任者から人質救出のための重要な任務を託される。生死がかかる任務だがLena は迷うことなく引き受ける。人質を救うのが刑事としての職務であるという責任感、復帰後の初仕事を見事やり遂げて、彼女の復帰に懐疑的な仲間の刑事たちに自分の刑事としての能力を認めさせたいという思いから。彼女は、任務を実行すべく行動を起こす。

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警察署が襲撃されJeffrey やSara が人質として取られ、襲撃犯は暑に立て籠る、という本の紹介文に引かれて思わず購入した。緊迫したシーンが続くと思っていたら・・・数年前のSara とJeffrey の初めてのドライブ旅行、Jeffrey の生まれ故郷での体験談がメインのようになってきて、ちょっとがっくり。
でも、Lena がやっと立ち直って、刑事らしく活動を始めたのは収穫だった。

人は過去に起きた悲惨な出来事をどんなに悔やんでも消し去ることが出来ない。レイプされて子供が出来ない体になってしまったSara、姉をレイプ、殺した犯人を捕まえようとして逆にレイプ犯に捕らえられ数日間にわたり残虐な方法でレイプされ続けたLena。性衝動にまかせ、めちゃくちゃな青春時代を送ったJeffrey。それを恋人に知らせるか悩み、もし恋人や同僚がその事実を知ったらどのような反応を見せるのか?三人の懊悩する様子が文脈から伝わってくる。

また、著者本人がこの作品について解説しているブログがある。

E-book(Kindle版) ★★★ 358ページ 2004年 1015円(2016年4月購入)

 


Kill Me Again by Rachel Abbott

2016-04-05 19:13:36 | 読書感想


ある裁判に勝訴すればパートナーにするという条件に曳かれて7週間前にManchester に引っ越してきた刑事専門弁護士Maggie Taylor。 彼女と夫Duncan は、引っ越しに当たって、彼女が生活費を稼ぎ、Duncan は家事と育児を担当し、彼らの二人の子供達Josh(8歳),Lily(5歳)の面倒を見、その合間に配管工の仕事をするという役割分担に同意していた。

ある日、Maggieは雪のため道路が渋滞して帰宅が遅れることを家に電話した時、幼い子供を置き去りにして夫が外出してしまったことを知る。
Maggie は夫が幼い子供を置き去りにして外出したことにパニックになりながらも、急な仕事など何か理由があったに違いないと考える。しかし、彼が洋服や洗面用具、大事にしまっていた私物を持ち出していることから彼が彼女や子供たちを見捨て立ち去ったことを知る。
翌日、子供たちの面倒を見るため法律事務所に行くことをやめ夫の行動についてさまざまな理由を考えているとき、Maggieは夫を探しているという正体不明の男から脅迫的な電話を受け、慄然とする。

そんな中、Maggie そっくりの女性が殺される事件が起きる。警察は女性に関する情報を得ようとテレビで女性の似顔絵を公開する。それを見たJosh は夫の携帯に送られてきた女性の写真と同一人物であると断言し、夫はその写真を見て、急遽、車で出かけたと話す。携帯電話に送られてきたのは似顔絵ではなく写真。しかも、夫が写真を受け取ったのは女性の死体が発見される数時間前、Josh によると女性の目は人形の目のようだったということからその写真の女性は死んでいた可能性が高い。夫はその女性の死と関係があるのか?脅迫電話をかけてきた男は女性の夫?彼が妻である女性を殺した?さらに男は彼女の住まいを知っていると言い、暗に彼女達の身の安全について脅迫していた。子供たちの安全のためにも警察に知らせるべき。しかし、殺された女性の写真が夫の携帯にあったと話すことは、夫を容疑者として告発することになるようで、夫への裏切りを意味する?彼女は、夫を信じたいと思う一方、殺された女性の写真が夫の携帯に送られたことから、夫が事件に関与しているのではと疑い始める。電話をかけてきた男はどうして夫と話したいのか?殺された女性は誰なのか?
悩んだ末にMaggie は、夫と女性の関係を調べ、夫が自分達家族を見捨てた理由を自ら突き止めようとする。そして、彼女は、夫の過去や子供の世話以外の彼の生活について全く知らないことに気付く。

一方、この事件を担当する刑事Tom Douglasはこの事件と12年前に彼が担当した未解決の連続殺人事件とのつながりに気付く。前回の事件では瓜二つの若い女子大生が殺されていた。まるで同じ女性が2度殺されたかのように。もし、今回の殺人が同一犯ならば同じ容貌を持った女性を狙った次の犯行が予見される。そして、彼は殺害された犠牲者と瓜二つの女性を知っていた。彼の元恋人で現在行方不明になっている女性。彼は彼女が次の犠牲者になっていることを危惧し、12年前の捜査資料を精査し犯人の手掛かりを得ようと努力する。そして、彼女の行方を突き止めることに全力をあげる。

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終わり方は衝撃的。このままだと納得いかないとイライラしながら読んでいたが、途中から、そういうことかと納得、心穏やかに読み終わるかと思っていたら?とんでもない終わり方だった。 
Gillian Flynnを思い出させるストーリー。プロットは今までにもあったようなものだが、うまく捻ってあってとても面白く読めた。特に、他人の空似をテーマにしたのはユニークだった。
Maggieの苦境を読んでいると、Tomが何時、彼女と出会い、Maggieの窮地を救ってあげるのか、読む方もそれまでの暗い気分からから脱して、いくぶんリラックスして物語を楽しめることを期待して、先へ先へとページをめくっていったが・・。ただ、刑事弁護士という設定のわりにはMaggieは性格が軟弱かな。

Tom DouglasとBecky Robinsonのこの刑事コンビのキャラは魅力的。この二人のコンビの物語はないのかあな?

E-book(Kindle版) ★★★★ 334ページ 2016年2月出版 599円(2016年購入)