気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

A Minute to Midnight (Atlee Pine #2) by David Baldacci

2021-11-27 09:32:13 | 読書感想

アメリカ、グランドキャニオンに近い町 アリゾナ州Shattered RockのFBI捜査官事務所のただ一人の捜査官Atlee Pineは6歳の時、就寝中、窓から忍び込んできた男に双子の姉Mercyを誘拐される事件に会う。

30年後、消息不明の姉の行方を捜索するためFBI 捜査官になったAtlee Pineは、Mercyが拉致された当時、自宅のあったジョージア州で立て続けに4人を拉致殺害し、終身刑で服役中の男が犯人であると確信していた。彼女はたびたび刑務所に男を訪ね、Mercyの行方について追及するが明確な答えを得られずにいた。刑務所からの帰途、彼女はAmber Alert(誘拐事件発生速報)で手配された逃走中の男を発見する。無駄足になったことに苛立っていた彼女は男を逮捕する際必要以上の暴力を男に振るってしまう。上司からの停職処分を覚悟していた彼女に上司は休暇を取るよう命令、暗にMercyの問題に決着をつけるよう提案する。

Pineはアシスタントの女性Carol Blumを伴い、30年ぶりに事件が起こった町ジョージア州Andersonvilleに戻る。南北戦争ゆかりの地として知られる町は、数日後に控える記念イベントを観に来る観光客で賑わっていた。

彼女は保安官事務所を訪ね当時の捜査資料を手に入れる。警察は犯人は窓から侵入してきたという彼女の証言を無視して、父親の犯行を疑っていたが、確たる証拠を得られないまま事件は未解決となって処理されていた。

30年ぶりに自宅に戻り、惨劇が起こった部屋に立ち当時の記憶を思い出そうとしていたPineは、自分の記憶に誤りがある可能性に気づく。さらに、事件当時、両親の知り合いだったという人々から与えられた両親についての情報が、自分が両親から話されていた情報と全く異なっていることに、彼女は呆然とする。彼女は彼女に隠していた両親の秘密がMercyの誘拐に関係していると考え捜査を進めていく。

そんな中、Pineは女性が殺害されている現場に遭遇する。犯人は被害者にウェディングベールを被せ、指に結婚指輪を嵌めておくなど異常な行動をとっていた。彼女は担当する刑事に連続殺人の可能性を指摘する。人口が千人に満たない町で、殺人捜査に不慣れな刑事は彼女に捜査協力を依頼する。彼女は自分の家族に起きた事件を捜査しながら殺人事件の捜査もしていくことになる。

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面白かった。このシリーズの続きを絶対に読みたいと思うほど…単なる少女誘拐事件だと思っていたら、Baldacciの作品らしく彼女の両親にはとんでもない秘密があることがわかる。

彼女が信じ、思い込んでいた事実が次々と覆されて真実が明らかになっていく。どういう結果に行き着くのかワクワクさせてくれる展開だった。

そして彼女の抜群の捜査能力。今まで真実と思い込んでいた事実が間違っていたと気づき、考え直した仮説は両親の犯行の可能性を否定できないという難問に出会う。だが、事件当日の調書や関係者からの聴き込みからその難問を解いていく推理力は論理的で明快で心地良い。

ただ同時に起きた連続殺人については犯人の動機に無理があるように思えて話しについていけなかった。

エピローグは心をしんみりほんわかさせてくれる。

E-book(Kindle版)★★★★ 420ページ 2019年出版


The Missing American by Kwei Quartey

2021-11-13 09:54:50 | 読書感想

2021 PWA BEST First PI Novel , 2021 Nominee for MWA Best Novel 

数十年前、アメリカ人のGordon Tilsonは海外協力隊員としてガーナに派遣されるがその風土や生活ぶりが好きになる。任務が終了してアメリカに帰国する時、彼は現地で知り合ったガーナ人の女性と結婚する。13年前にその妻に先立たれた彼は、妻や夫に先立たれた人々向けの交流サイトをネットに立ち上げる。彼はそこで知り合った若いガーナ人の女性とネットを通して頻繁に交流、好意以上のものを女性に持ち始める。そんな時、その女性から妹が交通事故で大怪我をしたが手術費用を支払えないので手術ができないと知らされ、彼は数千ドルを彼女に送る。それを知った息子Derekがネット詐欺ではないかと忠告するが、彼はSNSのやりとりばかりでなくSkypeなどで直接顔を見ながら話しているので詐欺ではないと断言する。そして恋心が止められなくなった彼は、彼女に会いに行くことを決心しガーナに向かう。

数ヶ月後、ガーナにある探偵事務所をDerekが訪れ、失踪した父親の行方を探して欲しいと依頼する。彼は、ガーナにやって来た父親はネット詐欺にあったのに気づいたこと、父親は友人のジャーナリストの依頼によってしばらくガーナに滞在して詐欺グループを突き止めようとしていたこと、その間、息子の彼にはメールで近況を知らせていたが数ヶ月前から連絡が途絶えたことを話す。

上司によるセクハラを拒否したため、警察を首になリ探偵事務所に雇われたEmma Djanは初仕事として、この調査を担当する。彼女はDerek から、警察はアメリカ人の行方の捜査に積極的でなく非協力だと伝えられる。彼女は警察に頼ることはできないと考え、メールをやりとりしていたDerekからの情報をもとに単独でGordonが出会った人々を訪ねて彼の行方の手がかりを探そうとする。それは彼女もGordonと同じ運命をたどる危険性を秘めているのだが…

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ガーナという馴染みのない国の事件で地名や人名が読みづらく戸惑ってしまった。裕福な生活をするにはネット詐欺で欧米の白人から金を騙し取るしか方法がない貧困な国の若者の実態。そして、かって彼等の同胞を奴隷として使っていた白人への犯行に罪悪感を持っていない若者達。犯罪を行なっている若者達から目こぼしとして金銭を受け取っている警察官僚。詐欺グループに絶対的に信奉されているFetish Priestという牧師というよりは呪術師のような存在。正直、あまり行ってみたい国とは思えなかった。

Fetish Priest ⇒ガーナ、トーゴ、ベニン、その他の西アフリカの国々では、フェティッシュプリーストは霊と生活の間の仲介役を務める人物です。フェチ僧侶は通常、フェチ神社と呼ばれる囲まれた場所に住み、神々を崇拝します。フェチ神社は、その周りにある種の囲いや柵がある単純な泥小屋です。(ウィキペディアからの引用)

章ごとに目まぐるしくキャラクターが入れ替わるのでEmmaが主役という印象は薄く、またそのキャラクターの多さに読む側も混乱する。事件解明もEmmaが進めるというより各章ごとに現れるそれぞれのキャラクターの心情や行動によって明らかになっていく。警察を首になり、探偵として再出発したEmmaが活躍して事件を解明していくという展開を期待していた僕には物足りない展開だった。小説というよりはむしろテレビドラマのほうが向いているストーリーだと思う。

E-book(Kindle版)★★★ 422ページ